認知心理学
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認知心理学とは
人間が外界を認識し記憶し問題解決する認知過程を研究する心理学
認知的パラダイムを用いた人間の心の解明に向けてのアプローチ
基本的前提概念
認知心理学ではコンピューターと同様に人も
情報を処理する情報処理システムとする考え方を取る
処理プロセス
人間の心の働きの多くは処理プロセスからなっている。
処理プロセスの存在を示す複数の操作(輻輳的操作)によって証明することができる。
情報処理の2方向性
データ駆動型処理(ボトムアップ処理)
データの入力から始まりより高次の処理へ続く
概念駆動型処理 (トップダウン処理)
知識をもとに推論する。
これら2方向の種類は通常相互に作用しながら働く
領域固有性
あるタイプの情報に対して特化した処理メカニズム
領域一般性
領域を問わず一般化された処理のメカニズム
認知心理学としての視覚研究の特徴としては,
生体の認知の仕組みを 「情報処理」 として扱い, コンピュータとのアナロジー (比喩)として明らかにしてきたことである。
✅カテゴリー化の理論
言語化とカテゴリー化の関係
言語相対仮説
言語を用いて自然界をカテゴリー化していると考えるもの
言語が変われば自然界の認識の仕方、カテゴリー化も変わってくる。
言葉を持たなくてもカテゴリー化自体は可能であるとされている。
✅検索
スキーマとスクリプト
人間の言語や推論といった高次の認知過程を扱うためには,
活性化拡散モデルよりもさらに構 造化された知識表象が必要である。
✅総合的なモデル
✅言語理解
心的辞書 (mental lexicon)
心的辞書には、語彙情報の集合体を指す膨大な数の単語 (成人では約5万語以上)が、
形態,音韻,意味,統語といった属性情報とともに保持されていると考えられる。
単語認知の目標は、 心的辞書が有する情報にすばやくアクセスすることにある。
単語認知のモデル
単語認知は、聴覚による音声言語の処理と, 視覚による文字言語の処理に区 分できる。
(1) 音声言語 コホート・モデルでは(cohort model) 〜
音声言語の処理を扱う、単語の音声が入力されると
候補として初頭部の音素(言語で用いる音を区別する最小単位) を共有する
単語群(コホート)が並列的に活性化され、
次に、意味情報や統語情報などを利用して候補が絞り込まれる。
単語が/sta / の音で始まれば, 第1音が同一である stack, stand, stamp, stance, などを含むコホートが活性化。続く単語の音声や前後の文脈によって、
ある時点で1語に絞り込まれると考える。
連続した音声を区切って音素や単語を認知するには、複雑な処理が必要とな る。
音声の切れ目が語境界と一致することもあるが、そうでないことも多い。
発話では連続する音素が結合する同時調音 (coarticula tion) が生じるためであり、
音声の切れ目は、語境界の指標として有効ではない。
(2)文字言語 相互活性化モデル (interactive activation model)
相互活性化モデルはおもに文字言語の処理に焦点をあてている。
音素の区切りが不明確な音声言語に較べて,、
文字言語では単語の始めと終わりが判別しやすい。
欧米言語の正書法では,分かち書きの習慣があり、単語を明確に識別できる。
日本語は、 助詞や助動詞などの付属語によって文法的な関係を示す膠着語 (agglutinative language) であり、 文理解においてまず文を単語に分割することが問題となる。
形態素解析 (morphologi cal analysis)
意味を担う最小の言語要素、形態素を同定する処理。
日本語においても、音声言語より文字言語の方が形態素解析が容易。
Googleなどの検索エンジンに用いられている。
●相互活性化モデル
特徴レベル, 文字・音素レ ベル, 単語レベル, 統語・語義レベル, 意味レベルからなる多層ネットワーク によって構成されている。
これに対して、相互活性化モデルは、異なるレベル間の情報の 流れを制限せず、多様な処理過程を一様な構造のもとで把握できる。
●言語使用に関する系列的モデル。
言語理解と言語産出は同じ認知システムを使用するが、処理の方向は逆転すると仮定。
言語理解過程は,、知覚処理の後に音声・文字の処理, 単語処理, 統語解析, 意味解析,文脈解析, 総合判断といった順序で系列的に実行されると考える。
こうした系列的なモデルでは,言語理解における複数の処理が一方向に固定されてしまう。
✅読むこと
読みにおける眼球運動
眼球運動はなめらかで連続的であるように思えるが、
①跳ぶような動きのサッカード (saccade; 跳躍運動)
②眼球運動が止まり,その間に 情報を取り入れる停留 (fixation) とが繰り返される。
個々の停留時間は普通 200ミリ秒程度であり、
その持続時間は、行われた言語的な処理の性質に依存している。
視線は単語を順に追うわけではない。
文法的な役割をもつ機能語 (function word; 例: where, when, a, on) は,
意味をもつ内容語 (content word; 例: we, look, ) と比較して読み飛ばされ る傾向にあり、
複数の停留が生じる内容語 (例: dependent) もある。
逆行するサッカードは重要であり、文の複雑さや統語的な多義性などによって生じる。
✅心的辞書における意味的情報
心的辞書に貯蔵された意味情報 に関して、プライミング法を用いた研究が行われてきた。
●音節
単語は音節 (syllable) に分解することができる。
日本語の場合音節は通常, 1つまたは2つの子音(consonant) と1つの母音 (vowel)からなるという厳しい制約が存在する。
これに対して, 英語には単音節の型式が19種類ある。
英語の音節は約3000個あるのに対し日本語の音節は約100個し かない。
●感覚様相間 (cross-modal)
意味的な文脈が語彙的多義性の解消過程に及ぼす効果
先行する文脈における多義語の認知がどのように語彙処理に影響を及ぼすか
多義語を刺激材料とし、プライミング法を用いた実験が報告さ れている。
わかっていること
* 先行する文脈による制約が強い場合でも、多義語が提示された瞬間には
無意識的かつ並列的に、複数の連想語が活性化される。
* 文脈と適合しない活性化は約3音節後で抑制され、関連しないプライミング効果は消失。
* かなり早い段階で複数の語義活性化が生じ、その後、迅速に語義の選択がなされる。
* 多義語の提示直後に多岐的アクセスが見られた場合であっても、
文脈に適合した方が、適合しないときよりも、プライミング効果が大きい傾向がある。
単語の意味
統計的アプローチによる研究例
百科事典のすべての文章における単語と見出し項目の共起頻度に、
因子分析を一般化した特異値分析における潜在意味解析を行い、
数百次元からなる単語のベクトル表現を構成した。
さらに、単語を表現するベクトル同士の類似度を数学的に定義したうえで、
TOEFLの 類義語問題などに、LSAの分析結果を適用するシミュレーションを行った。
その結果、人間の受験者に近い正答率が得られ
単語ベクトルの次元数を 300 とした場合が最適であることが見出された。
特定の単語の意味は、ほかの数多くの単語との関連で把握すべきであることを示し。
また、単語の多次元的な意味空間には、実用上適切な情報圧縮のレベルが存在するらしい。
✅文レベルの言語理解
文を理解するには、単なる再認プロセスではなく、構成的なプロセスが必要になる。
人間の発声・聴覚器官の制約によって、単語は1つずつ継時的に話される。
しかし、文が言語学的には階層構造であるのに、言葉は系列的に伝えられる。
多義性を解消するためには、単なる統語的な知識以外の情報を用いる必要がある。
●構文解析 (parsing)
私たちが文を読んだり聞いたりするとき、個々の単語をつなぎ合わせて、新たに一貫性のある心的表象を作り出す。文の読み手や聞き手は、文字や音声から単語を同定し、
単語と単語の関係 (単語の文法的な役割) を推定する。
文法理論について簡単に説明しよう。
grammarは、統語論,音韻論,意味論を含む概念である。
文理解におけるおもな問題は次の3つである
① いつ単語と単語の間の関係を推定し始めるのか。それは逐次的なのか、それとも主要部によって駆動されるのか。
②一度にいくつの心的表象を構築するのか。系列処理なのか、それとも並列処理なのか。③どのような言語情報を利用して心的表象を構築するのか。 統語処理が最初なのか, それとも制約依存的 (相互作用的)なのか。
✅構文解析はどうなっているか
人間の構文解析システムは、多義性に直面したとき、非常に多くの要因から影響を受ける。
(1)プロソディ (prosody)
発話理解の重要な手がかりとなる、時間的に変化する情報。
* 短い間 (ポーズ; pause)
* 声の高さ (ピッチ; pitch)
* 発話のリズム
こうした情報は多義性を低減できるし、聞き手も活用できる。
一方, 単語には名詞や動詞など, 複数の文法役割があることが多い。
単語や用法の出現頻度も、構文解析や多義性の処理に影響を及ぼす。
(2) 視覚的文脈
実生活の中で発話を理解する際には,言語情報だけではなく、視覚的な情報 も手がかりとして活用できることが多い。
文に関する視覚的な文脈が、統語的多義性の処理に
誤った解釈や、読み時間や読み返しが増加すること取り除く情報を提供する。
生成文法理論の立場
言語能力が生得的なモジュ ールに基づくと仮定している。
つまり何らかの言語に対応のモデルが存在すると言う立場
コネクショニスト・モデルの立場
言語のために特別な仕組みがあるのではなく、
一般的な認知能力の発達との相互作用に基づいて,言語能力が形成されると考える。
●単純再帰ネットワー ク(simple recurrent network; SRN)
3層 (入力層, 隠れ層,出力層) のネットワークに、
一時点前の隠れ層の内容を保持する文脈層を追加した
文脈層はワーキングメモリに相当する役割をもつ。
シミュレーションの結果、
ネットワークに文法に関する知識をまったく与えなくても、
多くの例文を学習することによって、正しい文法構造を獲得できることが示された。
文脈層(ワーキングメモリ)からのフィードバックに制限を設け、
容量を徐々に大きくすることによって
複雑な文や、出現位置の離れた単語間の依存関係も学習可能になる。
「ワーキングメモリの小ささ」という
弱点だと考えられてきた幼児の認知特性が、
複雑すぎる文を除去して学習を促進する積極的な意味をもつ可能性がある。
文章認知
文章は文よりも大きな言語単位であり、全体として統一性や一貫性をもつ。
知識と統合し、全体として一貫性のある意味表象を形成しなければならない。
次文章を理解するには, 読み手が文章中の事柄を推論によって関係づけ、
文章理解の代表的なモデル
文の形式や逐語的な情報はごく短時間しか保持されない。
文の意味的な情報はかなり長く保持されることが知られている
●構築 - 統合モデル construction-integration model)
①構築過程
個々の文は意味を表す命題に変換され、短期記憶の中で命題ネットが構成される。
個々の命題に関連した情報が、長期記憶の知識ベースから検索される。
②精緻化命題ネット
文自体から構成された命題に、長期記憶から検索された情報や、推論で得られた命題が付加され、精緻化命題ネットが構成される。
文章のテーマと無関連な多くの命題も含まれている。
③統合過程
活性化拡散によって意味表象が選択され、
文脈的に共起しているものは強められ, 矛盾を含んだ要素は取り除かれる。
その結果、一貫性のあるネットワーク表象が作られる。
●テキスト表象の構造
エピソード的テキスト記憶 (episodic text memory) に保持される。
これらの処理過程の3水準の表象が構成されることになる。
①文章を構成する個々の文や単語, 文の統語的な形式などに関する表層的表象、
表層的表象は急速に忘却される
②文の意味的なつながりに関する命題的表象 (テキストベース),
は時間が経過しても部分的にしか忘却されない
③既有知識をもつ読み手によって理解された, 文章の骨組みにあたる心的表象
状況モデルの強度 (特定の状況で真かどうか)は時間が経過しても減衰しにくい
が支持された。
感情認知
無意識的自動的感情認知と
記憶を参照してなされる評価に基づく意識的感情認知
深い感情を喚起する場面の空間的に中心にある情報はよく記憶されやすい
また周辺の情報が記憶されにくい
記憶ではなく中位の問題
深い感情が有効視野の範囲を狭めるから空間的に周辺情報が符号化されない
情動性知能 EI EQ
自分の感情認識や相手の感情を読み取ったりそれをうまくコントロールする能力
社会的知能
脳が大きくなっていったのは霊長類の社会性によるものだと言う仮説がある
人の目は他の霊長類と比較して最
も横長になっており白目部分が広く露出している
白目部分が大きくなるとそれだけ瞳の位置を検出しやすくなり、
他者の行為を知るコミニケーションができる
肘などは目線によって戦術的な欺きを行うこともあり他者の瞳を通じてコミニケーションを図っていることがわかる
ミラーニューロン
自ら行動する時と同じ行動私が行っているのを観察するときの両方で活動するニューロン
技能習得に重要である
認知発達
因果についての知識獲得を可能にするプロセス
環境への働きや変化についても、知覚や記憶注意などの認知機能についてもすべてはそれらの因果関係についての知識獲得であると言うことができる
ピアジェの発達理論
幼児は最初に外在的な要因から自己と言う概念を獲得したり、
1反射や感覚から認知を組み立てていくようになる
ものを手に取ったり邪魔になるものを取り払ったりする事は目的と手段の関係が成立していたり
同化と調整による均衡化
外界と心理的な要素との相互作用について
自分の持っている知識の枠組みに合うように外界の情報を取り入れて
や外界が自己に合わない場合は新しい情報によって枠組みを変化させること
知的の発達水準が独力で問題解決が 可能でなくても他社の援助が問題解決が可能となり
社会的相互作用で自分自身でできる能力以上は経験
ヴィゴツキーの理論
言葉はもともと他者との意思伝達手段としての機能を持ち(外言)
それが次第に思考の手段としての言葉に移行していくと考えた
つまり個人の能力の発達だけでなく
個人を取り巻く関係性全体としての発達を見ることが重要。
認知領域における領域固有性と領域一般性
つまりある認知においてある程度共通化されたアルゴリズムで処理されているのか
それとも領域ごとに固有のアルゴリズムで認知的な処理を行うのかと言う問題。
ピアジェの発達段階説ではそれぞれの発達段階における認知構造はそれぞれ異なる
各段階の構造は領域一般的なものとして扱われる、この議論は認知発達に限定されるものではなく、
人の認知はいろいろな領域に区切られておりそれぞれが独自の特徴や構造を持っていると言う主張。 例えば恐竜について妙に詳しい年少児とか特定のものに関して発達した推論様式を示し構造化された知識を使って答えを導こうとしたりするもの
物体の単一性の知覚
例えば 箱の裏に|が移動した時にその|が切れちゃったわけじゃないよって言う奴