視覚系の情報処理プロセス
視覚系の情報処理プロセス
●環境から網膜へ
水晶体を通った光は, ガラス体を通過し,
光感受性をもった網膜に、上下逆さで投影される。
網膜の光感受性は、2種類の光受容体細胞が担う。
●網膜から視神経へ
視覚対象を正確に捉える為、
目を絶えず動かことで、中心窩と云う錐体が密集した、
網膜上の狭い高解像度の範囲に像が鮮明に結ばれる必要がある。
外界の情報は網膜に投影 され、
錐体細胞・ 桿体細胞によって光を分析
電気信号に変換して視神経によって脳へと運ば れていく。
網膜からは100万本もの視神経が脳へと延びている。
視神経が束になる部分には光受容体である視細胞が入り込む隙間がない。
ここが盲点とよばれ,盲点内にあるものは消失したり、欠損した情報が周辺の視覚情報によって補完されたりする。
●視神経から脳への経路
脳に到達する前に、脳の底部で、
左視野の視神経は右の視覚野に,右視野は左の視覚野へと交差して接続している(視交差)。
大脳皮質の視覚野へと伝えられる前には外側膝状体という中継地点を経由する。
多くの視覚情報は
網膜→視交差→外側膝状体→視覚皮質の順を経て運ばれるが,
外側膝状体から上丘など, 視覚皮質以外へ投射する経路も一部ある。
●視覚皮質からの情報経理
網膜から視覚皮質へと送られた情報は,
最終的には必要な情報だけが選択的に処理されていくことになる。
後頭葉にある視覚皮質 へと到達した視覚情報は、
まず第1次視覚野 (V1) へと入力・処理される。
第1次視覚野 V1で行う主な処理
* 視野上の場所と対応した網膜との相対的位置関係の再現
* 方位選択性コラム
異なった傾きの線分に応答する細胞が柱状に分布
* 色情報の処理に関与して波長選択性を示す細胞群がある
□伝達経路
色や形態情報の 場合は V1 から V2, V4 を経て側頭葉へと伝達されていく。 このような伝達経路は腹側経路とよばれる。
空間や運動情報は V1 から V2, V5 (MT野ともよばれる)へと伝達され、 背側経路とよばれる
□視覚脳内の機能特殊性
色や形, 動きといった外界の視覚属性が視覚脳内の異なる部位で処理されるという機能特殊性がある。
脳は並列的かつ階層的な処理過程をもつ多くの領野から成り立っている。さまざまな認知機能は、脳の領野が機能特化し,
それぞれがネットワークを構成して成り 立っている。
そのようにして、脳から心が誕生するのである。