奥行きを見る
奥行きを見る
網膜に投影される映像は2次元の平面画像であ るにもかかわらず、 奥行き情報には, 単眼性のものと両眼性のものがある
奥行きも,色や動きと並んで重要な視覚属性であ
奥行き手がかりというのは,単眼だけでも奥行き感を生じさせるものであ
(1) 重なり
ある対象が別の対象の一部をおおっている場合に、
おおっている面はおおわれている面よりも手前におおわれている面は後ろに知覚される。
(2) 相対的大きさ
大きいものは手前に小さいものは奥にあるように感じられる。
大きさと重なりを複合すると,より奥行き感があ るように見える。
特にその大きさをよく知っている場合に強く感じられる。
遠ざかる平行線は1点に収束する。 同じ幅をもった対象でも観察者から遠ざかるほど幅が狭くなる。
一様なテクスチャが広が っているとき、観察者から遠いほどきめが細かく,近いほどきめは粗く見える。
大気に霞や靄がかかっているときには、遠くにある対象は 色や形がぼけたりかすんで見える。 近くのものほど鮮明に見える。 水墨画 では大気遠近法によって遠近感が表現される。
移動する観察者が静止した対象を見ると, 注視点よりも遠いものは移動方向と同じ方向に, 近いものは進行方向と逆方向に動いて網膜に投影され,
その動きの大きさの違いをもとに奥行きが推定される。
そのほかに,陰影、濃淡の勾配,濃淡も奥行きの手がかりとなる。
両眼性の奥行き手がかり
両眼網膜視差
両眼は左右に離れてついており, 1 つの対象を両眼で見ると、 左右の目の網膜に投影された像は少しずれている。 このずれを両眼網膜視差、あるいは両眼視差とよぶ。
両眼性の眼球運動も奥行き視の手がかりとなっている。 注視点の観察距離に応じて両眼の回転角度が変わるので、
外眼筋の司る眼球運動を観察者から注視対象までの絶対奥行き情報として利用している。
眼球に関していえば毛様体 によって調節される水晶体の厚みも近距離においては奥行き手がかりの情報となっている。