記憶
過去の注意が積み重なったもの
記憶とは、注意の過去形
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記憶は単一の箱ではなく、さまざまな処理機構と貯蔵庫の連結なのである。情報を受容した時点で一時的にそれが貯えられる感覚記憶、注意が向けられた感覚記憶内の情報が貯えられ、操作される短期記憶、リハーサルや精緻化によりほぼ永続的にアクセス可能になった情報が存在する長期記憶──人間の記憶システムはこういうふうに作られている。
こうした記憶システムは、コンピュータのそれと似ているように感じられる。感覚記憶は入力用のバッファ、短期記憶はメモリ、長期記憶はハードディスク、という具合である。
しかし、こうしたたとえはとても限定的と考えなければならないだろう。第一の理由は、人間の記憶においては、その時に行う操作によって記憶容量が変わってしまう、あるいは記憶単位が可変であるからである。チャンキングや精緻化によって、通常測定される記憶量の限界をはるかに超えた量の情報を貯蔵できるという事実は、これの直接的な証拠となる。
記憶の書き換え
・ソースモニタリングの失敗(記憶の置き換え)
・エピソード記憶の融合(融合)
記憶の消去とエピソード記憶
出来事の記憶、つまりエピソード記憶は、自己同一性と深く関係している。私たちは過去の自分の体験の所有者であること、つまりその記憶を持っていることで、自分が自分としてあることを、ある時は意識的に、ある時は無意識的に確認している。
したがって、記憶の欠如は時に深刻な混乱をもたらすことがある。朝目覚めたら、買った記憶のないお酒が冷蔵庫に入っている、知らない場所で寝ていた、なぜか泥だらけになったシャツが脱ぎ捨ててあるなどのことがあると、それがアルコールのせいであるとわかっていても、相当不安になるらしい。こうしたことが起きないように、私たち人類はエピソード記憶を形成したのかもしれない。
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アとヤ
北の夜空を巡るW形の星座は「カシオペア座」と呼ぶ人が7割を超え、1割強の「カシオペヤ座」を圧倒しました。専門用語としては「カシオペヤ」が使われていますが、一般的には「カシオペア」が定着していることがうかがえます。
一般には「カシオペア座」が定着