精緻化
意味処理をすれば知は密接になる
精緻化とは、推論を行うことで、与えられた情報に何らかの別の情報を付け加えることを言う。
その定義に「何らかの情報」などという曖昧な言葉が入るのは、精緻化にはさまざまなタイプがあるからである。最もよくあるものの一つに、カテゴリー情報を用いた精緻化がある。いちご、りんご、ぶどうはすべて「果物」というカテゴリーに属している。そこでこれらをその特徴を用いてまとめるわけである。これに「かれい」と「にしん」も加えて「食べ物」というカテゴリーを作ることもできるだろう。
物語法、つまりお話づくりという方法もある。「 げんき な たぬき は ひるねがとくい だが、なにかの こだま を聞いて起きてみると いちご がそばにあった」などというような、へんてこりんでもよいのでお話を作ってしまうのである。こうした方法も記憶成績をとても向上させてくれる。また、物語と共通する部分もあるが、単語のイメージを思い浮かべるとか、そうしたイメージをつなぎ合わせて頭の中に情景を作り出すという方法もある。
あり得そうな関係を作る精緻化
手がかり再生(対連合学習)のような状況の場合は、覚えるべき二つの項目の間のありえそうな関係を作り出すような精緻化が効果的であることがわかっている。たとえば、「話し下手の男が新聞を読んだ」という文を覚える時に、「今日録画する番組を探すため」という精緻化を行うよりは、「受けるネタを探すため」というほうがずっと思い出しやすくなる。つまり、その特定の特性を持った人が行うべき行動の理由を考え、精緻化を行うことが有効である。むろんこれはこうした題材が用いられる時、そして「話し下手の男」という手がかりが与えられる時という限定がつく。
精緻化が困難なケース
人の名前がなかなか覚えられないという人は少なくないが、これも精緻化がしにくいからだと考えられる。人の顔の形状とその人の名前という音声情報はどういう精緻化を行っても結びつけづらい。
情報を加えると思い出しやすくなる
ふつう、記憶項目は少なければ少ないほど思い出しやすいのに、ここではまるで逆で、記憶項目以外のことまでわざわざ自分で作り出して覚えておくことで、記憶成績を向上させている
出典