感覚記憶
視覚情報は0.5〜1秒、聴覚情報は5秒ほど保持可能
首を非常に素早く回して元に戻してみる。すると回した先の情景の画像が知覚レベルで得られる、つまり視覚表象ができる。首を元に戻す過程でこの画像を生み出すもととなった情景は視界から消えるが、なんとなく残像のような形で頭の中に残り、間もなく消える。
この残像のようなものが残っている場所が感覚記憶と呼ばれる貯蔵庫である。外界から得られた情報はまず非常に短い時間、感覚記憶と呼ばれる貯蔵庫に入る(感覚登録器とか、視覚情報の場合にはアイコニック・メモリ、聴覚情報の場合にはエコイック・メモリなどと呼ばれたりする)。こうした意味で感覚記憶というのは、日常的な記憶という言葉とは全く一致していない。
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感覚記憶では何が入っているのかの意識が伴わず、外界の情報がそのままの形で分析抜きに存在している。
こんな例がこのことの理解に役立つかもしれない。たとえば、ふつうワープロソフトで原稿を書いていれば、検索の命令をすることによって特定の文字がどこにあるかがわかる。しかし、もしこの原稿を写真に撮って画像ファイルとして保存したとしたら、特定の文字を検索することはできない。つまり、確かに文字は画像ファイルの中にあるのだが、それが何かが分析できない形で保存されているのである。感覚記憶に貯蔵された情報も、これと同じような形になっている可能性がある。
出典
論文
Sperling, G. (1960). The information available in brief visual.