人工天使:第9回
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『この手記が伝えることを事実と宣伝することは避けたいと思う。なぜなら、我々が経験したことはまさしく雲をも掴むような話であり、ほとんどの人間にとっては受け入れ難いものであることは当然であるからだ。
だが、我々はその経験を忘れることはないだろう。我々がこの先いつ迄生きおおせるかは神のみぞ知る話である。だが、我々はその生涯でこの経験を忘れることはあるまい』
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『ブラウンリング邸にて』
前回の最後のシーンの続きからです。レイデス、サリー、ローマンの三人は窓から外をぼんやり眺めています。マリアは病院の庭です。ジェフリーはチャールズを追い掛けて行って、捕まえられなかったところです。
GM: では部屋に残っている人から始めましょうか。風を受けてはためくカーテンの先は、先程少年がマリア医師を抱え、滑り去った空です。
サリー: 「マリア先生、あの天使と一緒に飛んでいっちゃった……」目の前で起こったことがまだ信じられずぼーっとしてます。
レイデス: まだちょっとぼぅっとしてます。
GM: 部屋から出る人や、何か行動をする人はいますか?
レイデス: 「あ、そうだ! マリア先生がどこに行ったか探さないと!」と部屋を出ようとします。
サリー: レイデスさんの声で少し我に返って、部屋の中に視線を移します。「そういえば、ジェフリー先生と、チャールズ先生はどこに行ったのかしら」部屋の中を見回します。
GM: サリーが部屋を見回すと、先ほどは机の影に隠れて見えませんでしたが、脇には怪し気な大判の本が積み重なっています。ベッドのシーツには、人型に焦げ目がついており、博士の火傷がここで負ったものであることがわかります。
ジェフリー: チャールズの追跡をあきらめたジェフリーは「くそっ!!」と吐き捨てて、部屋の方に戻ります。
GM: では部屋の中にいる人は『対物観察』などをして下さい。
サリー: はーい。『対物観察』をします。「わぁ、大きな本がいっぱい……。博士の本かしら?」本に近づいてよく見ようとします。ベッドの方はなんだか怖いので近寄りません。 <1.gif> <2.gif> 目の和 3 基本値+10 達成値 13 (2個振り)
GM: 本の題名は解りませんが、サリーの見たところかなり古いものです。本の表紙に6つの角がある星印が描いてあったりします。
サリー: 「星印……。何の本かしら?」開いて本の中身を確かめます。
GM: 本の中身は見たところラテン語で書かれています。中身は怪し気な図もありますが、びっしりと手書きの書き込みがなされています。
レイデス: 僕も『対物観察』します。部屋を出ようとしたときにちらっと目に入った物は…… <5.gif> <5.gif> 目の和 10 基本値+6 達成値 16 (2個振り)
GM: 部屋のドアわきの壁に金属製のがっちりとした戸棚があります。
レイデス: 「?」ちょっと気を惹かれて戸棚の方に近づきます。
GM: 今の状態では戸棚には鍵が掛かっています。そして、その扉には100鍵程度のキーボード状のものが付いています。
レイデス: 「? 導引機械……かな?」ともうちょっと詳しく戸棚をみてみます。
GM: どうやら導引機械というよりは、もっと単純な装置のようです。
ローマン: 「一体どうなってるんだ」部屋の中を見回しながら、博士の机のあたりを調べます。
GM: 机には一枚の焼けこげてぼろぼろの写真があります。ローマンが見ると、それは見覚えのある人物です。写真の人物はブラウンリング博士ですね。
ローマン: 「おや、これはブラウンリング博士の……」他に何か写ってます? 撮影場所は?
GM: 撮影場所はこの屋敷のエントランスホールのようです。
サリー: 「うわっちゃ〜、読めないコトバだ〜(^^; おまけに書き込みでぐっちゃぐちゃ(^^; 博士の文字かしら……?」書き込みを読もうと試みます <1.gif> <5.gif> <3.gif> 目の和 9 基本値+10 達成値 19 (3個振り)
GM: 読めません。書き込みはどうやらサリーの人生で出会ったことのない文字で書かれています。かなり詳細な書き込みではあります。読みすすめようと努力を続けていると、複数の人間が書き込みをしているらしいことに気付きます。
サリー: 「……だめだ、読めない〜(^^;。私こーいう、アタマ使うのって向いてないし(笑)」気を取り直して本を持って二人の方へ向かいます。「あの〜、変な本があるんです〜。見て下さい〜」
ローマン: 「はい、何でしょう。その本はどうしました」
GM: 部屋にいる人々がそんなことをしていると、ジェフリーが戻ってきました。
サリー: 「あ、ジェフ先生! どこに居たんですか? マリア先生飛んでいっちゃいましたよ〜」
ジェフリー: 「飛んでいった……どういうことだい?」
サリー: 「天使が、マリア先生と一緒に、そこの窓から飛んで行ってしまったんですよ〜、ねぇ、記者さん?」とジェフリー先生に答えて記者さんに同意を求めます。「あ、記者さん、これ、どうやら博士の本みたいなんですけど、私何が書いてあるのかさっぱりわからなくって」記者さんと、先生に本を示します。
ローマン: 本を受け取って読もうとします
GM: ローマンが本を開くと、ラテン語と奇妙な文字がびっしりと書いてあります。
レイデス: 「ふむ? ここはこう……かな?」と機械をちょっと操作しようとします。
GM: レイデス がキーを適当にカチャカチャと押して、enterと書いてあるキーを押しても何も起きません。鍵も外れません。 レイデス: 「あれれれ。うーん、どうするかなぁ」その鍵は自力で開けられそうですか?
GM: 鍵はがっちりとかかっていて、普通の方法では外すことは難しいでしょう。鍵穴のようなものはありませんし、無理に引くと戸棚ごと倒れるでしょうね。
レイデス: 「うむむむむ……。鍵? あ、そうだ! 誰か、あの少年の名前覚えている人いますか?」とちょっと大きめの声で言います。
ジェフリー: 「覚えていますが……それがどうかしましたか?」
サリー: 「少年? さっきの天使なら、マリア先生がMoonstoneって言っていたわ」
レイデス: 「そうですか。有り難う」といって、「moonstone」とキーから入力し、「enter」を押します。
サリー: 「それがどうかしたの?」本を記者さんに預けて、技士さんの方を見に行きます。
ローマン: 本を受け取り、「どうやらラテン語のようですね、ただ、なにやら見慣れぬ文字もありますが」ラテン語——読めるのかな ? 奇妙な文字はともかく——教養(歴史学)で読める?
GM: さてどうでしょう? でも今は無理だと思いますよ。辞書もないですし……。
ローマン: 「ちょっとわかりませんね。これでは、あとで調べることにしましょう」
ジェフリー: 「読めない本と格闘するよりは、他のできることからやってしまいましょう、ローマンさん」
GM: レイデスがenterキーを押すと、「がちゃん、がちゃん、がちゃんがちゃん、がちゃ」と幾つもの鍵が同時に開き、扉を動かせるようになりました。 サリー: 「わぁ! すごい、動いたの? さっすが〜!」技士さんの手腕に感心しています。
レイデス: 「うん、まぁ見てて」と、もったいぶって扉を開けます。
ローマン: がちゃがちゃとうるさいのでレイデスの方を向きます。
GM: 戸棚の中から歯車のようなものが有機的に組み合わさり、極めて複雑な形をした装置のようなものが出てきます。レイデスにはその部品が、『中央歯車樹』と呼ばれる導引機械の中心部分であり、かつ記憶装置を兼ねるものである事がわかります。
レイデス: 「ふぅむ……」データの出力は出来ますか?
GM: そのような装置に接続すればデータの出力は問題なくできそうです。ただ単にこれは例えばCPU単品のようなものだと考えて下さい。
サリー: 「なんだかすごい機械みたい」動きだした機械と技士さんを感心して眺めています。何やってるかは全くわかってません(笑)
GM: どうやら規格は汎用のものですが、自分の家の導引機械には繋がらないだろうなとレイデスは直感します。規模がもっと大きいシステム用のものだと見て取れる大きさです。
レイデス: 出力装置はありそうですか?
GM: この部屋には無いようです。隣の部屋には解りませんが……。誰かあの惨状の中を探しますか?
サリー: 私は隣の部屋には行きたがりません。他の人が探しにいくなら、この部屋をもう少し散策(?)します。
レイデス: 僕も隣の部屋は探しません……。取りあえず機械を作動させようとしてみます。
GM: ここでは歯車樹を動作させるのは無理でしょう。もっと大きなシステムに組み込んではじめて用いることができる部品です。
レイデス: 「うーん、取りあえずこの歯車樹は持って帰るかな……」
GM: サリーが見たところ、部屋には先ほど見つけた焼け焦げのついたベッド、怪し気な本の山、大きな机、そして先程技師が開けた戸棚以外には何も無さそうです。
サリー: 「ふーん、なんだか難しいのね。」レイデスさんのやってることを見ているのが、ちんぷんかんぷんで飽きてきたので、こわごわとベッドに近づきます。
GM: ベッドは焦げて茶色や黒に変色しており、綿のシーツが所々破れています。
サリー: 「うっわ、これって、もしかして人の形じゃない??(汗)」ベッドの焦げ跡を見ました。ついでなので『対物観察』します <1.gif> <2.gif> 目の和 3 基本値+10 達成値 13 (2個振り)
GM: 人型に焦げてるなという程度です。熱いアイロンを押し付けたらこんな感じになるのかな? という感じですか。
ローマン: 「ここでは もうこれ以上どうにもならないようですね」
ジェフリー: 「そういえば……マリア先生を探しに行かなくて良いのか? あの天使が彼女に危害を加えるとは思えないが……チャールズが向かったはず……もし、彼女がヤツと出くわしたら危険だ」
レイデス: 「ああ、そうれはそうですね……。では、ここからはさっさと出ましょうよ、ジェフリー先生。気味悪いですし」と言って歯車樹を丁寧に取り外し、持ち運べるようにします。
GM: 中央歯車樹は結構な重さです。なんせ鉄の固まりですから。100kgくらいあるようです。
サリー: ベッドの焦げ跡をまだ見ています。 「……やっぱり、ブラウンリング博士の……寝た跡?」
レイデス: 「すいません、誰か運ぶの手伝っていただけませんか? 僕一人ではちょっと……」
サリー: 「……な訳ないか、(^^; 博士が入院してたときの火傷ってこれに関係あるのかしら」——レイデスさんの発言は聞こえてませんでした(笑)。
ジェフリー: 「サリー君、僕たちは先に外に出て歯車を運ぶ準備をしているから……。行きましょうか、レイデスさん、ローマンさん」
レイデス: 「はい、すいませんねぇ」とジェフリー先生にこたえて歯車樹を運び出します。
ローマン: 「これを抱えて行くのは大変だな、何か探してこよう」隣の部屋へ探しに行きます。
サリー: ジェフリー先生にこたえて「……あ、はい!? え、ちょ、待ってください〜、おいて行かないでください〜(焦) 私も行きます〜」振り返ったら、みんなが帰り支度をしているので焦って駆け寄ります。
ジェフリー: 「さすがに……重いですね。これが小さくなればもっと便利になるんでしょうけど」
レイデス: (運びながら)「そ、それにはもうちょっと時間がかかるでしょうね……。未来になればもっともっと小さくなるんじゃないでしょうか……」
サリー: 「あら、記者さんは?」あたりを見回して「記者さ〜ん!」
GM: 隣の部屋には、ローマンが見たところ台車らしきものは見当たりません。結局落とさないように数人でゆっくりと運び出すほかは無いようです。
ローマン: 「どうやら使えそうなものはないようですね」と隣の部屋から戻って来ます。「仕方ない、運びますか」
ジェフリー: 「じゃ、サリー君も手伝って。4人で持てば何とか運び出せるはずだ」というわけでみんなで運び出します。
サリー: 「……え、私も運ぶんですね(^^;」重たそうなのでちょっとしりごみしました(笑)
レイデス: 「助かります、サリーさん」
ジェフリー: 「大丈夫、局長ほどは重くないから(笑)」
GM: 四人で装置を運び出しました。
『病院へと向う我々は、馬車の道行きで、先ほどの屋敷の光景を反芻していた。死の臭い、血の惨劇、そして天使! そして我々と天使に拳銃の先を向け、何かに取り憑かれているような言動を行なったチャールズ……我々は重い心を抱え、西ヴィクトリア病院へと馬車に揺られた。
病院では、世にも稀な体験をし、一足先に到着していたマリア女史との再開を果たすことになる』
『四人が歯車樹を運んでいる頃 西ヴィクトリア病院裏にて』
マリア: しばらく呆然と天使が飛び去った方の空を見ています。
GM: 木々の影が月明かりに伸び、その先端が瓦斯灯の光にかき消されている。星は瓦斯灯の光と共にその姿を見せることは少なくなった。今回の事件に巻き込まれた同僚の医者のジェフリーは星を見るのが趣味らしい。倫敦では星も十分に見えないと時々愚痴っている。
マリア: 周囲を見回します。誰かの気配とか無いですね?
GM: 特に無いです。
マリア: 「ここは……病院の裏、よね……」病院の方へ向かって歩き出します。
GM: 木々の隙間から病院の建物の白い壁が、薄黄色い瓦斯灯の明かりに照らされています。病院の裏手から延びる小道を行くと、病院の正面に出ます。まだ夜はそんなに遅く無いので、病院の窓にはちらほらと明かりがついています。マリアがふと見ると、病院の入り口の石段に大柄の男が座っているのが見えます。
マリア: (入り口の男を見て)「あら……?」
GM: シルエットになったその姿は、パイプを燻らしながら、何者かを待っているようだった。
マリア: 近づいていきます。
GM: 男は、マリアを見ると、「よっこらしょ」と言って、立ち上がり「他のみんなはどうしたんだ?」と聞きます。外科局長です。
マリア: 「……まだ、他の人は博士の研究室におります……」
GM: 「ああ、何かあったかね? チャールズ君と会ったとか……。まぁ、お茶でもどうかね? こう見えてもミルクティーを入れるのは上手いんだよ」と言って階段を上がります。
マリア: 局長の後ろについていきます。「チャールズ先生は……もう、もう彼は……私は彼を人として信じられない……」
GM: 「まぁ、話は彼等が帰ってきてからにしようじゃないか。これがここでの私の最後の仕事になりそうだしね」と局長は言って、ヤカンを火にかけます。
マリア: 「……最後の、仕事とは?」
GM: 「ああ、それも彼等が帰ってきてからにしよう」と局長は言います。その口調はどことなく寂しそうで、今迄知っているどの局長のものとも違っていました。
<暗転>
<スタッフロール 音楽:『戦斧(作曲:アーサー・ガゥアー)』>
『本日の上演はここまでです。次回をお楽しみに』
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