人工天使:第8回
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『——神は自らの産み賜うた者にしか祝福をお与えにならないのか——』
『無論、この事件に直接関係した数人にしか全貌は明らかになっていない。いくら推理推測を重ねようが、真実は一向に見えてこないだろう。
ただ、未だスッキリしないのは、博士の後見人が誰であったかという点、そして博士は何故天使を我々に託したのか? という点だ。前者は深い闇に隠され、その真実はもはや明かされる事はないだろう。当時の局長も、そしてチャールズも、今となってはこの大倫敦で出逢う事もできない。残念ながらそれ以上の手がかりは我々には残されていないのだ。
あの夜から3年が経過しようとしている。その間、事件に関係するあらゆる存在は、再び我々の前に姿を現わすことはなかった。まるで事件そのものが起こらなかったかのように。
そしてこの手記ももうじき終わりを迎えようとしている……』
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<暗転>
『遡ること二日前 デイリーロンドン新聞社内にて』
GM: ローマンはハンナ・ワトキンス及びその数日前の東端区の男から得た情報を元に、導引機械検索を行なっています。導引機械が唸りを上げ、吐き出されるデータの束が机に積まれていきます。
ローマン: 「まずは機械主義者たちの動向だな。最近何か目立った動きはないかな?」
GM: 機械主義関係資料を普通に漁った限りでは、別段機械党関係の情報はありませんでした。ローマンは 機械主義者についてを調べ終わり、次の検索に移ろうとしています。
ローマン: 「 怪物か……機械主義者でないとすると何であろうか……」メモを見ながら「をを、これはどうかな?」と言いつつ過去に起こった似たような事件を検索しようとします。
GM: ローマンがそう考えている間に、「おい、ローマン。この関係はお前が担当なんじゃないか?」と編集長がにやりと笑います。編集長が投げて寄越したデータファイルは、警察の発表したもので、娼婦に対する傷害事件のものです。しかし、ただの傷害ではなく、手や足に奇妙な傷の受け方をしているという話です。
ローマン: 「ほぅ、娼婦ですか……。これは興味深いですな」
GM: 『 被害者はキャサリン・エドワーズ 女性 28歳 ヒステリー状態で保護された。発見当時、手の平、足の甲からおびただしい量の血を流していた。警察では傷害事件として調査を開始した……』そのような情報がファイルには記されています。
ローマン: 「これだけじゃよくわからんな。警察へ直接聞きに行かなければ。傷の様子はどうなってるのだろうか? これも後で警部に聞いておこう。倫敦に巣くう怪物……。ヒステリーといえばワトキンスさんはどうしてるのだろうか」
GM: 「いつまでぼんやり見てんだ、行くならとっとと取材にいってこい!」と編集長が怒鳴りました。
ローマン: 「ここは、もう一度情報を整理しないとな」——なじみの情報屋へと向かいます。
<暗転>
『コベントガーデンにて』
情報屋は常に一定の場所にいるとは限らない。彼等は自分の持つ情報を最高に高く売るために生きている。その情報は早く、新鮮で、力を持っていることが重要だ。そのためには彼等はあらゆる噂話、公式発表、記事の断片を頭中で整理し、必要としている者に提供しているのだ。無論、情報は安い買い物ではない。その情報は時に非合法なものであり、確実性のまるでないものもある。だが、彼等を頼る人間は多い。この大都会では情報を多く持つ者が真実を操れるのだから。今回ローマンが尋ねたのもそのような一人だ。彼とは個人的なパイプがある。この数年利用させてもらったし、情報も提供している。無論、社には内密の関係だ。
ローマン: コヴェントガーデンの路地裏の角に立って合図してます。
GM: ローマンが立っていると、背後から近づいてくる鳥打ち帽の男がいます。彼は新聞を四つ折りにして、小わきに鋏み、医者の持つような黒い鞄を抱えています。そして友人に偶然出くわしたように、「や、これはこれは」と声をかけてきます。
ローマン: 「どちら様でしょうか 私はいつまでもつまらぬものですが……」 1ポンド札をひらひらと振って、合図をします。
GM: 札が目に入ると、「おや、ではちょっとこっちに来て下さい。地図を描いてあげますよ」と言って彼はローマンの脇にぴったりとくっつき、「で、何を?」と低く言います。
ローマン: そばによって耳打ちを。「金属の棒を生やした少年を探してるのだが……。機械主義者あたりだと思ったが、どうもそれらしいものがなくてな」
GM: 「金属棒の少年。警察発表のキャシー、西ヴィクトリア病院、ブラウンリング工学博士に関係してますな。これで……1ポンド」彼はすました顔でそう言います。
ローマン: 「西ヴィクトリア病院か……。工学博士。何のことだ……。なんとかならんか? 空を飛んだという話もあるのだが……見た女性はちょっと興奮しててな、要領を得んのだ」
GM: 「先日の隕石は実はそいつだったって話もありますな。あとは何故かブラウンリング博士の家に少年がいたとか。しかも数人も……これで3ポンド」
ローマン: 財布からもう3ポンド出します。「隕石、そいつのことは知らないではないがな。金属棒の少年が他にもいる可能性は」
GM: 「これ以上はちょっと。あとは自分の足でどうぞ。博士はどうやら科学秘密結社の会員らしかったですからな。……これでぜんぶで7ポンド。まだあと3ポンド」と男は言います。
ローマン: 「まぁ、しょうがないな」財布の二重底からさらに追加し、「道案内でそれはないな」と言いつつその場を去ります。
GM: 残された男は「お気を付けて。よい旅を」と言って振り向き、人込みに紛れます……。
<暗転>
『西ヴィクトリア病院前 パブ「土星の環亭」にて』
GM: 全員は病院からパブに移り、一つのテーブルを囲んで、今後の行動を練っています。 入る時に、パブの親父が「今日は何度も出入りするねぇ」と言って笑いました。さぁ、では対策を練って下さい。
サリー: 「チャールズ先生はもう研究室へ行ったのかしら」と、パブの亭主にサンドウィッチを頼みながら不安そうに言います。
レイデス: 「僕らも一刻も早く研究室に向かうべきですよ」
ジェフリー: 「そうだな。とりあえず……博士の研究室へ行ってみよう。チャールズの動きも気になるし……」
ローマン: 「どうやら、博士の研究が鍵を握っているようですね」
GM: サンドウィッチが来ます。そして親父は「ああ、チャールズ先生なら先刻そこの人と来た後、また顔を出して、もう会えないかもしれない」って言ってたぞ。何かあったのかね?」と心配そうに聞きます。
レイデス: 「研究室に行かないと詳しいことは分かりませんしね」
マリア: 「とにかく、博士の研究室へ行ってみましょう。それからまた考えればいいことです」
サリー: 「いきなりチャールズ先生とはち合わせは、ちょっと怖いなぁ。。(^^;」
ジェフリー: 「そうならないことを祈るしかないさ。それに、チャールズとは一度しっかり話さければいけないだろうし」
サリー: 「うう……(^^; そうですね……」(もぐもぐ)とサンドウィッチをほうばります。
GM: 博士の研究室の住所は、人名録などを見れば何の苦もなく発見できます。
サリー: 人名録を見て、「わぁ、実は博士って、有名な人だったのかしら(^^;」
レイデス: 「博士は凄く有名だったよ。少なくとも技術者の間では神様みたいな人だったから」
サリー: 「うひゃー、そうなんだ(^^;」
レイデス: 「でなかったらわざわざお見舞いになんか行かないよ(笑)」
ローマン: メモを見ながら「博士の所で何人かの少年を見たという話もあるのですがねぇ。あっ!」
マリア: 「少年? あの天使のことかしら……」
ローマン: 見ていたメモをかざしながら「破られている……重要なことが書いてあった気がするが……」
マリア: 「ええっ! ……その場所には何が書いてあったのです? 思い出せないんですか?」
サリー: 「そうだ、チャールズ先生、『もう会えないかも』とか言ったとかって、何なんでしょう(もぐもぐ)」
レイデス: 「そりゃ現存する人類が全滅すれば『もう会えない』でしょう? そういうことじゃないかなぁ……」
サリー: 「ううっ、怖いこと言わないでよ〜(;;)」とレイデスに言います。
サリー: 「……じゃついでに、実はチャールズ先生も有名な博士なのかな。。(もぐもぐ)」
ローマン: 「あっ大丈夫だ。多分関係ないところだろう。博士はある科学秘密結社にいたらしい」
サリー: 「ひ、秘密結社? (ごっくん)……なんか、話がどんどん怖くなっていく気が……(汗)」
ジェフリー: 「とにかく、食事を終えたら向かってみよう。ここで話すより得られるものがあるような気がする」
レイデス: 「そうですね。憶測で話していても解決しませんからね」
マリア: 「そうですね、行きましょう」
サリー: 「う〜ん、博士からお手紙ももらってるし、天使も気になるし……、みなさんやっぱり行かれるのですね。それなら、お供します」
ローマン: 「博士の所でも調べれば何かわかるでしょう」
サリー: サンドウィッチを食べ終えて、とりあえず決心はつきました。
<暗転>
『パブを出ると、既に午後の日ざしも薄いオレンジがかったものになっていた。博士の研究室を目指すのには少々遅い時間ではないかと思ったが、チャールズのことも気になった我々は、馬車を飛ばし、博士の家に向った……。
都会には時折ぽっかりと真空地帯ができることがある。人気のない路地、ちょっとした階段。古びた石造りの家——そんな主のいない屋敷は、帰らぬ主人を待つかのように聳えていた。不吉にも夕方の赤い夕日に幾羽もの鴉が舞い、我々のこの探索行の行方を暗示するようであった』
<暗転>
『倫敦 アイリントン地区 ジョン・ブラウンリング邸にて』
GM: 博士の家は今は空家となっています。少なくとも人名録では家族、係累は存在しないことになっています。馬車から降ろされた後には、屋敷の周りを取り囲むように庭があり、太い樹が数本生えています。階段が屋敷に続くように伸びており、君たちを誘うようです。
ジェフリー: 外から見て人の気配とかはありますか?
サリー: こわごわと博士の屋敷を見上げます。
レイデス: 「うーん、なんか薄気味悪いね。気のせいかも知れないけど」
マリア: 「……行って、みますか?」階段に一歩近づいて皆の方を向きます。
GM: 誰か『対物観察』しますか?
レイデス: します。「えーと」 <1.gif> <1.gif> 目の和 2 基本値+6 達成値 8 (2個振り)
サリー: 「うわ〜、ここに入るの?これから?(^^;」対物観察します。外側から屋敷の様子をうかがいます。 <5.gif> <5.gif> 目の和 10 基本値+8 達成値 18 (2個振り)
GM: 屋敷は時間の流れがそこだけ変化したかのように静かです。音らしきものは君達の耳に届いてきません。
ジェフリー: 「とりあえず、奥へ行こう」と気を配りながら歩き出します。 『対物観察』<2.gif> <4.gif> 目の和 6 基本値+10 達成値 16 (2個振り)
GM: ジェフリーが歩き出すと、細い軋むような音が聞こえてきます。『キィイイィー』という感じです。
マリア: 『対物観察』振ります <4.gif> <3.gif> 目の和 7 基本値+10 達成値 17 (2個振り)
GM: ピンゾロのレイデスは魂を1減らしてね(笑)。サリーが外から見た屋敷は静かですが、ちょっと無気味な雰囲気があります。マリアも耳に軋む扉のような音が聞こえます。
レイデス: (青ざめて)「ちょっと入りたくなくなってきましたね……」
ローマン: 「夕日に包まれた屋敷は訪れるものをただ静かに見守ってるようであった」と『対物観察』します。 <3.gif> <5.gif> 目の和 8 基本値+8 達成値 16 (2個振り)
サリー: 「怖いよ〜」レイデスのそばによります。
レイデス: 取りあえず強がっておきます。「大丈夫、僕らがついてるから。さぁ、行こう」と言ってサリーさんの手を取ります。
サリー: 「うるうる(@_@)」技士さんの手にしがみついて進みます(笑)
ジェフリー: 奥へつかつかと歩き出します「見ているだけじゃ、埒があかない。行こう」
マリア: 息を飲んで、一歩踏み出します
サリー: 「ああっ、先生たちが行っちゃう!待ってください〜(涙)」あわてて追いかけます。
GM: 近づくと、今度は全員の耳に扉が風に揺られて軋んでいる音が聞こえます。
GM: ひゅぅと風が耳もとを通り抜け、一際大きな音で、「バタン!」と音がしました。
GM: それっきり音は途絶えました。
マリア: 「ああ、ドアが…」
サリー: 「あわわわわ……(涙目)」
レイデス: びくっ! とします。表情に変化はありません。
GM: 君たちが恐る恐る近づいて行くと、屋敷の扉は閉ざされています。
マリア: 背筋を伸ばして、扉のところまで行きます
ジェフリー: 「老朽化してるだけだ……大丈夫」とサリーに声をかけます。で、マリア先生について扉へ。
GM: 真鍮のノッカーがついた分厚い扉です。人の気配はありません。
マリア: ノッカーに手を伸ばして、コンコン、と2回ほど叩きます
GM: 金属を打ち合わせるノックの音がします。しばらく待ちますが、静寂が支配します。返事はありません。
サリー: 「うう……なんだか寒くなってきちゃった。チャールズ先生ここにいるのかしら?」レイデスの横できょろきょろしてます。
レイデス: そろそろと扉に近づきます。
マリア: 「……どう、しますか? 入ってみます?」近づいてきたジェフリーに言います。
ジェフリー: 「入ってみよう……その為に来たんだから」とマリアにいってドアノブに手をかけます。
ローマン: 「ここまで来た以上、先へ進むしかないだろう」
ジェフリー: ドアを開けます。
サリー: (さすが、お医者様は行動力&決断力があるのね)と後ろから勇敢なマリア先生とジェフ先生を尊敬の眼差しでみつめます。
<暗転>
『僕にはその惨劇を語るだけの筆力が無い。しかし、逆にいえば、読者を卒倒させるような、冒涜的な場面を描き出せないことに感謝をしている。そこで繰り広げられた呪わしき饗宴は、我々の夢に何度も登場し、我々を寝汗にまみれさせる。
静かな闇が支配するその空間は、まず鼻を突く異臭に満ちていた。腐り始めた肉の甘やかな匂いが充満し、窓から入る夕日の色と影のコントラストが、視界に映るものを非現実的なものに見せている。
僕達は暫くそこに立ちすくんでいた、しかし、誰とは無く最初の一歩を踏み出した。先で待つ恐怖に魂が打ち勝ったのだと、今はそう思いたい』
<暗転>
レイデス: 「サリーさん、目を閉じて、鼻と口をハンカチで押さえておいて!」
マリア: 「……酷い臭い……」ハンカチを口と鼻に当てて周囲を見回します。
ジェフリー: 同じくハンカチで口と鼻を覆いながらあたりを見回します「酷いな……人の住むところじゃない」
サリー: 「うう〜っ(涙目)か、神様……」ぎゅっと目を閉じて片手で顔を覆い、レイデスにしがみついています。
マリア: 屋敷の中はどんな様子ですか?
GM: 家具が夕陽に照らされ、赤く染まっています。外から見た程には広くないようです。ざっと見回したところ、一階にはホールと応接室、食堂などがあるようです。また、2本の階段がホールから二階へと伸びています。階段の壁には両方とも本がずらりと並んでいます。
ジェフリー: 「明かりをつけないと……」とランタンを出して火を灯します。
GM: オレンジの明かりが揺れます。ランタンのガラスの中は平和な暖かい光に満たされています。
サリー: 「な、何よ〜ここ、ほんとにこんなところに天使がいるの?(涙声)」しがみついたままぶつぶつ言ってます(笑)
レイデス: 「サリーさん、取りあえず目は開けても大丈夫そうだよ」
サリー: レイデスさんに言われてそっと目を開けました「え……(こわごわ)」
マリア: 階段の方へ歩いていきます
サリー: おそるおそるあたりを見回します。
GM: 一階に生きているものの影は、この静寂を破った君たちの一団だけです。
ジェフリー: 匂いはどのあたりからしますか?
GM: 一階の奥の方は匂いが酷く有りません。
ジェフリー: 「一階の奥からさほど匂ってこない……と言うことは二階か」階段の方へ向かいます。
マリア: 床に埃は積もってますか?
GM: 埃は積もってません。絨毯ばりです。しかし……。所々に茶色い染みがあります。
マリア: しゃがんでその茶色い染みを観察します。振った方がいいかな?
GM: いや、専門ですから瞬時に理解できます。乾いてこびりついた血です。
ローマン: 壁に並べられた本を見回し……機械主義と天使関係に何か関係のありそうな書物をさがします」
GM: ローマンが調べた結果、本棚に収められているのは、工学関係の専門書籍です。それはもう膨大な書籍の量です。背が皮張りのオリジナル装幀のものから、まだ製本していないものまで並んでいます。
レイデス: 取りあえず本棚の方に近づきます……。「ローマンさん、何か見つかりましたか?」
ローマン: 「主に専門書のようだ。特にこれといってないようだね」
レイデス: 「そうですか……」と本棚の本を見て「わぁ、凄いですね……」と目を輝かせます。
ジェフリー: 「良く読む本なら、本棚にしまいはしないだろう……すぐ手の届く所に。違うかな?」
サリー: 「博士の研究室って、どこなのかしら……」こわごわ周りを見回してます。
GM: マリアの見つけた血の痕は階段から点々と伸びています……。
マリア: 「…血だわ…。ジェフリー先生、血の染みがこんなに」
ジェフリー: 「血の染み?なんで、そんなモノが……」
GM: 見ると、血の染みは階段にも付いています。誰かの靴の裏に付いたものと見て間違いなさそうです。
マリア: 「階段の方からだわ…ジェフリー先生、上がってみますか?」
サリー: 「血?(ぎくぅ) やだなー、私、病院とか以外で見る血とかって苦手だよ〜(;;)」
ジェフリー: 「匂いもおそらく2階から……上がってみよう」とマリアにいってゆっくりと階段を上がりだします。
マリア: ジェフリーの後について階段を上がっていきます。
ジェフリー: ゆっくりと、血痕を辿りながら上っていきます。
サリー: いきなりどこかから変なものがでてきやしないかと、びくびく&きょろきょろしながらついていきます。
レイデス: はっと気づいて「今はそう言う時じゃないですよね……」と言って最後尾からみんなに付いていきます
GM: 一歩一歩を踏み締めるごとに、乾いた木の軋む音がホールに響きます。段を一段上がる毎に異臭も次第に強くなっていくような気がします。そして足下の血痕もまたはっきりとしたものになっていきます。
GM: そしてホールを見下ろす廊下に面した扉は二つしか無く、一方は半分開いています。血で描いた足跡はそこから真直ぐに君たちの方に向っています。
マリア: 血痕には靴の形がはっきりと付いてますか?
GM: 靴の形ははっきりしています。
ジェフリー: 無言で血痕を辿ります。
GM: 扉が影になって階段側の廊下からは何も見えません。
マリア: 靴跡の大きさとかはどうでしょう。大人のものですか?
GM: 大人のものです。明らかに革靴のようです。
サリー: 他の人から離れないように、血痕を避けてついていきます。
レイデス: 先生方のすぐ後ろに付いていきます。
マリア: 「あそこからですね……」扉を目指して歩いていきます
ジェフリー: 少しためらった後、息を飲んで扉を開けます。
サリー: 「せ、先生〜、どうか気をつけて〜……。神様〜」
<暗転>
『博士の研究室、それは虐殺の名で語られるに相応しい場所であった。
異臭は確かにこの部屋を発生源としている。ランタンの明かりが部屋の中に入ると、そこは乱闘の跡とも見える荒らされた部屋であった。扉を見ると、そこには『研究室』とネームプレートが刻まれていた。
最初に目に付いたもの——ランタンの明かりに浮かび上がったものは、扉の向いの壁に打ちつけられた金属製の翼の模型のようなものであった。しかし、その翼から壁を伝う幾本もの血の筋の下に、背中を抉られ、虚ろな目をした死体が転がっていた』
<暗転>
レイデス: 慌ててサリーさんの目を隠します。
マリア: 再び背筋を伸ばして、研究室へ入っていきます
GM: ランタンをかざすと、他に幾体かの死体があります。それぞれ全て翼をむしられたようになっています。ばらばらになった羽根は、部屋のあちこちに散乱しています。
サリー: 「あ、あ、あ……(がくがくがく)」足が震えて立っていられません。
GM: 侵入者である君たち以外に、この部屋に動くものは全くありません。
ローマン: 「むむぅ…… 」
マリア: 一番最初に目に付いた翼と死体のところへ行きます。死後どのくらいかわかりますか?
GM: 死後三日程度でしょうか。まだ虫は湧いていません。
ジェフリー: 「研究の……犠牲者、か。酷いな……」
マリア: 「惨い…」すばやく十字を切って、他の死体も調べてみます
ローマン: 「金属の天使……倫敦の怪物か……」
GM: マリアの調べた死体には弾痕が残っていました。なお、部屋に踏み入れた人々は、足下が乾いた血で覆われているのに気付くかもしれません。
レイデス: 「うぐっ」吐き気をもよおしてます。
マリア: 弾そのものは残ってますか?
GM: 弾そのものについては暗くて解りません。しばらく関われば発見できるかもしれません。【『対物観察』をしても構いません】
サリー: 「は、博士の……、天使って……、えええええええええええええ(がくがくがく)」
GM: 一瞥して全遺体は全て同じ死に様です。拳銃などの銃器で打ち抜かれ、ショックまたは出血多量死と診断できます。どうやら翼などに対する破壊などは死後に行なわれたようです。
ローマン: 死体をよっく見ます。
レイデス: 「つ、翼はボクが見た方が良さそうですね……」
マリア: 「翼を、抉られているようですね……どうしてかしら……たった一人だけ、翼をもがれなかった天使がいる……」
サリー: 「み、みんな…死んじゃってるの……?(涙声)」腰が抜けました。
マリア: 「サリーさん、部屋の外にいらした方がいいですわ」
サリー: 外に出たくても動けません。少し放心気味にへたりこんで部屋を眺めています。
レイデス: ということで翼を調べてみます。
ローマン: 「神の恩寵を失った堕天使たちのように翼をもがれ、地に伏す。ここでは一体なにが起こったのであろうか」
GM: レイデスが翼を手に取ると、それには電極らしきコードが伸びています。見た目も温度も金属そのものです。
マリア: 弾痕のある死体について、もっと良く調べてみます。 <3.gif> <6.gif> 目の和 9 基本値+10 達成値 19 (2個振り)
GM: 弾痕は拳銃によるものでしょうね。肉がひしゃげて抉れたようになっています。貫通した鉛弾も発見できます。
ジェフリー: 「研究室、この中に鍵はあるはず……」とつぶやきます
レイデス: 翼の機械的、電気的な仕組みは分かりますか?
GM: 電気的な仕組みについては、現在では通電出来るというだけですね。他には動力などと連動させることで、翼を羽ばたかせることはできるようです。
サリー: 「じゃぁ、……(生きてる)天使はもうどこにもいないのかしら……。チャールズ先生が連れていっちゃったのかしら……」ぼーっとつぶやきます。
マリア: 「酷い……どうして……」
レイデス: 「これが博士の言ってた物質? 普通の金属みたいだけどな……」
ジェフリー: 博士の日記のようなモノありませんか?
サリー: 「あんなに、光ってたのに……」
ローマン: 「少年たちを見たというのはこの事なのか」
GM: すると、隣の部屋の窓が「バタン!」と開いた音がします。カーテンのバタバタとはためく音もします。
GM: ジェフリーが日記を探しはじめた所で窓の音が聞こえました。
レイデス: ぼーっとつぶやいているサリーに「!? サリーさん!?」と声を掛け、ぺしぺしとほっぺたを軽く叩きます。
サリー: 「……っ!! きゃぁぁぁぁぁっ!!!!」はたかれたのと、物音でびくっとして叫びました。
マリア: 「!」思わず立ち上がって、音のした方へ走ります。
ジェフリー: 「!? ……」隣の様子をうかがおうと、部屋の入り口に歩いていきます。
レイデス: 叫ばれたのと、物音でびくっとなってます。
サリー: 飛び上がって、レイデスさんにとびつきました
レイデス: 「大丈夫、大丈夫だから」とサリーの背中を優しく叩きます。
ローマン: 「ん……」音のする方を見ます。
GM: 隣の部屋は扉が閉まっています。ただ、中からバタバタという大きな布がはためく音が聞こえてきます。
ジェフリー: 「扉、開けますか?」とマリアに聞きます。
マリア: 隣の部屋のドアを開けます。
GM: 扉を開けた人には、以下の風景が目に入ります。夕闇の中、窓は開かれ、風はカーテンを捲き上げています。巨大な机とベッドがあり、その机の上に少年が腰掛けています。ただ、人間の少年と違うところは、背に大きな翼を背負っているという所と、四肢に杭のようなものが刺さっているところです。
マリア: 「……貴方……」それ以降は声にならずに口をぱくぱくさせます。
ジェフリー: マリアの隣に出てそれを見ています。間近で見ているので驚きは隠せません。
GM: 少年はマリアをじっと見つめます。その顔立ちはすっきりとした美しさとわずかな愁いをはらみ、金の巻き髪は風になびき、その瞳は悲しみをたたえています。
マリア: 「……そちらに行ってもいいかしら……?」少年に話しかけます
GM: 少年は「ロクニン スベテノ イノチガキエタ…… シンデシマッタ……」と片言で喋ります。拒否の意志が見て取れます。
マリア: 「……では、私達はここにいます」少しぎこちなく微笑みかけます。
ローマン: 「何かあるのか」廊下を扉の方へゆっくりと近づいてゆきます。
レイデス: 「い、今誰かの声が聞こえたようですが」と扉の方へ移動します。
サリー: 「え……(そっちへ行くの?)……(汗)」
レイデス: 「大丈夫だよ、人間みたいな声だったから……」とサリーさんに言います。
サリー: 「……置いていかないで(涙) ひとりはいや〜(;;)」
レイデス: 「じゃぁ、一緒に行こう」とサリーさんの手を取って連れていきます。
ローマン: 扉ごしに見えたものは……「天使……倫敦の怪物……」ぐっと身を乗り出します。
ジェフリー: 「これが……博士の言っていた鍵……Moonstone……」
GM: ジェフリーの口にした名前を耳にして、少年は「オトウサンモ シンデシマッタ」とぽつりと言います。
マリア: 「貴方の名前は、Moonstoneね?」と少年に話し掛けます。
GM: 少年はマリアに向かってこくりと頷きます。
マリア: 「お父さんは、だぁれ? ブラウンリング博士?」
GM: 少年はコクリと頷きます。
ジェフリー: 「君は……どうしたいんだ? 博士……いや、親も他の兄弟達も死んでしまった。そんな中で一人で?」
GM: 遅れてきた三人が扉から覗いてみると、翼を持った少年がマリアと話をしています。
サリー: 「あ、天使! 生きてる……!!」こっそりレイデスの陰から部屋の中をのぞいて目を見張ります。
マリア: 「貴方の、その手足はどうしたの? 痛くないの? はずした方がいいんじゃないかしら……」
GM: 少年はマリアのその質問に対しては首を振ります。
マリア: 「はずしてはいけないのね?」
サリー: 「あの、……さっきの、死んじゃってた天使たちは……。……。……。……誰が?」おそるおそる天使に声をかけてみます。
GM: そしてゆっくりと全員が扉から部屋に入り、その会話に耳を傾けた時のことです。
GM: 天使の顔が一瞬恐怖に歪み、怯えます。
GM: ゆっくりとした拍手が廊下で響きます。
ジェフリー: 廊下の方に振り向きます。
レイデス: 振り返ります。
ローマン: 振り返ります
サリー: はっと振り返ります。
マリア: 一瞬、廊下の方に気を取られながらも、とりあえず少年の様子を見守ります。
GM: 「ジェフ。やっぱり君は友人として素晴らしいよ。マリア先生も優秀な同僚。看護婦としての可憐さに満ちたサリーさん。レイデス氏は技師の鑑だし。ローマン記者の凄腕も聞いていますよ」と声がします。
サリー: 「うわうわ、そ、その声は、ちゃ、チャールズ先生……(汗)」思わず一歩後ろに退きます。
GM: 扉の影から手を打ち鳴らしながらチャールズ・スターハートが現われます。
ジェフリー: 「チャールズ、何のことだ?」と声の方に返します。
レイデス: 「チャールズさん……」と睨み付けます
ローマン: 「スターハート先生、このような所でお会いするとは、どういう縁でしょうかね」
マリア: 「……貴方に、そんな風に言われても嬉しくないですね…」あくまでも声の方には向かずに言います。そして少年の方へ一歩近寄ります。
GM: 「『ここに七つの喇叭を持てる七人の御使いこれを吹く備へをなせり』 そんな事態を防ぐ英雄として相応しいではないですか」とにやにやしながらチャールズは立ち止まります。そしてポケットから拳銃を出して構えます。
サリー: 「!!」ぎょっとしてチャールズ先生を見ます。
ジェフリー: 「何のまねだ、チャールズ!!」怒鳴りつけます。
マリア: 「……黙示録……」
GM: 「さ、第一の天使の機能を持つ少年よ、君の名前はここの人たちから聞かせてもらったよ。さぁ、来てもらおうか?」とチャールズは少年に話し掛けます。
マリア: すばやく駆け寄って、少年を抱きかかえます。
GM: 「君たちのような魂なき人間の世を滅ぼすためにね」と部屋にいる人々をねめつけるようにしてチャーリーは言います。
レイデス: 「魂なき人間の世を滅ぼすため? 何を馬鹿げたことを……」
サリー: はっとして、「ま、まさか、隣の天使たちをあんな目に遭わせたのは先生なんですか!?」と叫びます
GM: 「ふん。残念ながら解らずやの馬鹿どもが、せっかくの機会を台無しにしてしまったのさ。魂なき者は何をするか解らん原人だからな」と、チャーリーがサリーに向って言います。
サリー: 「え?! ……せっかくの機会?!」
GM: 「さ、こっちにおいで、Moonstoneよ……」とサリーの質問を無視してチャーリーが言うと、天使はマリアの腕の中でぶるぶると震え出します。
マリア: 「貴方の名前が鍵になると、博士は言ったわ……貴方は自分のことをどれだけ知っているの?」少年に向かって囁きます
ジェフリー: 「チャールズ、おまえは何がしたいんだ。おまえの言っていた『狩り』って言うのは……」とチャールズに問いかけます。
ローマン: 「何が貴方の望みなのです? スターハート先生」
マリア: 「Moonstone、あの男の言葉など聞かなくていいわ……落ち着いて」
サリー: 『狩り』という言葉を耳にして、「っ!! ダメです!! チャールズ先生! 私たちは博士から天使を預かったんですもの!」
GM: チャールズはサリーの言葉を聞くと、吹き出します。そして、「こりゃ傑作だ。あの男が望んだのは、君たちも見た、あの惨劇だというのに!」とサリーに言います。
サリー: 「そんな……!」気を取り直して再び、「で、でも、チャールズ先生のなさろうとしてることは、博士の望まれたこととは違うと思います!」
GM: チャールズは再び真顔になって、「僕はその天使の本当の役割を果たさせてやろうというのだよ。何がおかしい?」とジェフリーとローマンに向って言います。
サリー: 「『人間の世を滅ぼす』なんて、、そんな恐ろしいこと……」
ジェフリー: 「本来の目的……それが人間の世を滅ぼすことだ、と?」
マリア: 「貴方は、利用するのね、チャールズ。この子を……黙示録を実現する為に……」
レイデス: 「博士は我々にあの天使を去らせてやって欲しいと頼んだんだ。間違ってもあんたにあの子を渡すわけにはいかない」
サリー: チャールズに向かって、「でも! 天使はもう、この子以外は……!」 ……ぶるぶるっ(さっきの隣の部屋の惨状が頭をよぎります)
ローマン: 「そもそもどういうことなのですか。スターハート先生。あなたの口から説明してもらえますか」
マリア: 「Moonstone、貴方はどうしたいの?」耳元で囁きます
GM: 「ははは。その通り!」さぁ。天使よ。その力をふんだんに用いたまえ。『血の混じりたる雹と火とありて、地に降り下り、地の三分の一焼け失せ、樹の三分の一焼け失せ、もろもろの青草焼け失せたり 』とは伊達ではあるまい!?」
マリア: 「Moonstone、駄目よ。あの男の声を聞いてはだめ」
サリー: 「だめぇっっ!!」叫びます。
ジェフリー: 「チャールズ、おまえは普通じゃない……いい加減に目を覚ますんだ!!」と組み付きに行きます。
ローマン: 「何を言っても無駄ですね。仕方ありませんが……」チャーリーの方へ歩み寄ります。
GM: 叫び声を聞いた途端に少年の四肢の杭のようなものが発光しはじめます。低く唸り声を上げ、熱を持ち、青白い稲妻が杭の回りに走ります。
マリア: 発光している四肢に驚いて、思わず抱きしめていた腕の力を抜きます。
GM: すると、少年はマリアの身体ごと、ふわりと空中に浮かび上がります。
サリー: 「え!?」光と稲妻に気づいて天使の方を見ます。
マリア: 「きゃっ!」
ローマン: 「何だ」少年を振り返ります
GM: 「あぁ。何という事を……」とチャールズは言い廊下の柵を乗り越え、一階ホールにまで飛び下ります。
レイデス: 光った方に向いて驚いています。「通電してる? 一体どういう原理なんだ……」
ジェフリー: 「待つんだ、チャールズ!!」同じく飛び降りて追いかけます。
マリア: 少年にしがみつくようにしています。
GM: 少年は翼をばさりと羽ばたかせると、重力が存在していないかのように窓から外に飛び出ます。
サリー: 「何? どうしたの!?」まぶしさから、腕で顔をかばいます。
GM: 少年の身体は重力に打ち克ち、マリアの身体を抱えたまま、大空へと羽ばたいて行きます。
サリー: 「ああっ、マリア先生っ!! 大変!!」
レイデス: 出ていった窓から姿を目で追いかけています。
サリー: 「せんせ〜い!! ああっ、だ、誰か〜!」
レイデス: 「速すぎる! あれじゃ馬車でも追いつけやしないよ……」
ローマン: 「飛んだ……か」
サリー: 遠ざかる燐光を見つめながら「すごいわ。。やっぱりほんとに天使なのね」と感動しています。「博士は、ほんとに天使を作ったんだわ」天使がマリア先生を連れて飛び去った窓辺で呆然としています。
GM: 一方追い掛けたジェフリーは『運動』でチェックして下さい。
ジェフリー: 魂の分2個足して振りますね。 <4.gif> <6.gif> <4.gif> <5.gif> 目の和 19 基本値+8 達成値 27 (4個振り)
GM: ジェフリーは柵を華麗に飛び越え、チャールズを追います。しかし、扉の外に出た時には時既に遅し。空中より伸びた縄梯子に足を掛け、チャールズは暗い倫敦の夜に消えて行く所でした。
ジェフリー: 「チャールズ!!」と空に向かって叫びます。
GM: 少年は倫敦の夜を時折杭から光を迸らせながら滑るように飛び、しばらく経つと見なれた郊外の町に辿り着きます。
マリア: 「ここは……?」
GM: マリアを抱えた天使は西ビクトリア病院の裏の林に降り、マリアを降ろすと、また再び夜空へと去っていった。
マリア: 「待って!」飛び去る少年に向かって叫びます。
GM: しかし、マリアのその言葉は虚空に吸い込まれ、天空からは何の返事も帰ってきませんでした。
<暗転>
『チャールズも天使も倫敦の闇夜に消えた。この探索行は惨劇と絶望に満ちたものであった。だが、二人と我々は翌晩の月下の草原にて再会することとなる。
この事件より数日後、近隣の通報により、博士の家で少年の遺体が六体発見されたという警察の発表があった。それ以降ブラウンリング博士の名が科学界ではタブーとなったのは言うまでもあるまい。
これらの一連の事件がチャールズの手によって計画されたことか、それとももっと大規模な組織によるものかはわからない。現在に至るまで、あの三年前の事件をきちんと解明できている者は誰もいないのだから。
そしてきちんと解明できるはずの人間も、今や噂を聞かなくなって久しいのだから……』
<暗転>
<スタッフロール 音楽:『戦斧(作曲:アーサー・ガゥアー)』>
『本日の上演はここまでです。次回をお楽しみに』
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