人工天使:第5回
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『発見当時その女性はヒステリー症状を呈しており、自分の名前も満足に言えなかった。また、彼女の両手両足には酷い出血の痕が確認された。彼女が何者かによって暴行を受けたのではないかと思われたが、後に本人はそれを否定した。
彼女の証言によると、光を纏った天使が彼女を祝福したのだという。この証言についてある心霊関係の専門家は、聖痕現象の代表的なものであると語っている……』
『我々は彼の魂が安らかに祝福された時を永遠に過ごせる事を祈りましょう。彼は彼の手による発明品で我々を文明的な暗黒から導いてくれました。彼の魂が神と共にありますように』
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『葬儀は呆気無いものであった。彼程の人間であれば、もっと大勢が集まり、その死を惜しんでも不思議は無いはずだ。しかし、雨だったとはいえ、参加者は数える程しかいなかった。
彼の葬儀の数日後、我々は彼が何を我々に託したかを確かめるために、彼の研究室に向った……』
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『西ヴィクトリア病院にて』
チャールズによると、事務手続きは知り合いの医者の紹介という事でシンプルに済んだそうで、患者は本日午後には転院できるそうです。もう夜10時を回っています。君たちは病院の事務室で紅茶を飲んでいた所です。なお、念のために言っておきますと、翌日の朝10時には博士を退院させる事が決定されていました。
GM: 「ああ、マリア先生、サリー君。博士は聖マイケル教会付属病院に移動する事が決定しましたから」と言われます。
マリア: 「ああ、そうですか……良かった。とりあえずは治療が続けられるのですね」
GM: 「元気が無いようだけど、もう安心だよ。僕の知り合いが快く引き受けてくれるそうだ」とチャールズは口の端に笑みをたたえながら言います。
サリー: 「そうですか」どう返事をしていいのかわからず、あやふやな笑みを返します。
GM: 「まだ博士にはその旨を伝えて無いんだ。まぁ主治医である君たち……あれ、 ジェフリーが見えないな……」
サリー: 「あら、ジェフリー先生ならさっきまでここに……」
マリア: 「どこへ行かれたのでしょう……」そうしてチャールズに微笑みながら尋ねます「私、明日付き添ってもかまいませんかしら?」
GM: 「ああ。付き添ってくれよ。博士としても安心するだろうからね。 まぁ、ジェフリーには僕から言っておくよ」と言うと、扉を開けて部屋から出て行きます。
マリア: 「わかりました」
サリー: 「マリア先生、博士にはこのことをお伝えしなくてもいいんでしょうか?」
マリア: 「……博士には…私から伝えておくのが良いでしょうね」
サリー: 「今から行かれるのですか? 私、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
『レイデス家にて』
GM: レイデスが博士の見舞いを数日していたため、自宅兼工房は酷いことになってます。
レイデス: 「ああ、しまった! こりゃメアリ叔母さんにどやされるぞ……」
GM: 新聞が崩れ床に散乱してます。レイデスが床から新聞を拾い上げている最中に、外から女性の悲鳴が聞こえます。
レイデス: 慌てて外に出ます。
GM: 外に出ると、もう夜ですから道ぞいに瓦斯灯が輝いています。その輝きが照らす下に、崩れ落ち、横たわった女性の姿が見えます。
レイデス: 女性に駆け寄って具合を見ます
GM: 女性は貧血で倒れたようです。気絶しています。軽く揺すってみても起きません。顔色は真っ青です。
レイデス: ここでは何なので取りあえず家に運び込みます。ソファーの上の物を適当にどかして、そこに彼女を横たえ、ウイスキーを薄く割ったものを作りに台所に向かいます。
GM: 女性は暫くすると意識を取り戻します。「あ……。ここは?」と尋ねます。
レイデス: 戻ってきて、「おや、気が付きましたか。ここはボクの家です。まぁ、かなり散らかってますけど(苦笑)」
GM: しかし彼女はレイデスの話を全く聞かずに「そういえば、私、見ちゃったのよ。そうよ、あれは怪物だわ。絶対そうよ。ところでここはどこ? あなたはどなた? 今何時ですか?」とまくしたてます(笑)
レイデス: 「僕の名前はレイデス。レイデス・ジャクソン。ここはボクの家です。今は……えーと」と時計を見ます。
GM: 「そうそう。お礼をせねばなりませんが、それよりも今はあの怪物の事を伝えるべきですわそうですわ。そうしましょう。警察? いえ、新聞社がいいわ! ここの近所に新聞社はあるかしら?」とまた一気にまくしたてます(笑)
レイデス: 「新聞社なら、向こうの筋を右に曲がると、確か……。えーと、そうそう、デイリーロンドンがあったはずですよ」
GM: 「あなたレイデスさんというのですね。ありがとうございました。私はハンナ・ワトキンスと申します。いやだわ、おはずかしい所をお見せしてホホホホホ。ところで新聞社には馬車がよろしいかしら、そうですわよね、こんな時間ですものね。そうしましょう。近所に馬車乗り場はございま……ああ、歩いて行けますか? でも私さっきの怪物が街を歩いていると思うと恐くて恐くて一人では行けそうにありませんの。ごめんなさい、もしよろしければ一緒に来ていただけませんこと? お忙しいかしらそうですわよね。でも困りましたわ」と一人でぶつぶつ言っています。
レイデス: 「……よろしかったら一緒に参りましょうか?」
GM: 「まぁ、貴方はまさに紳士ですわレイデスさん。きっと(以下200語程削除・笑)」そして二人はデイリー社に向かいます。道なりずっと彼女は先程見た怪物の事を語っています。
レイデス: 「はぁ、はぁ」と生返事をかえしておきます。
『デイリーロンドン編集局』にて
GM: 編集局にはローマンしか残ってません。
ローマン: (カリカリ……)「まったく編集長の奴、書く記事書く記事全部ボツにしやがって……」
GM: ドアにノックの音がします。
ローマン: 「はいっ どちらさん?」入り口の方へ向かいドアを開けます。「こんな時間に何だろう」
レイデス: 「あ、私近所の導引技師のレイデスと言います。」
ローマン: 「おやおや、こんな夜中に……どうもデイリーロンドンのクリストっファー・ローマンです。どうなされました」
レイデス: 「実はこちらの方が……」
ローマン: 「おや、気分でもすぐれませんか? 顔色が」
GM: 「ええ私見てしまいましたのよ、怪物ですわあれは怪物ですわよ。身体から太い金属の棒が何本も何本もああなんてオゾマシイ! 神をも恐れぬとはこういうことですわ。倫敦市民として怪物がいるなんて許せませんわよね、そうですわよね。ところで記者さん、倫敦市民の正義の代表としてこの記事を書いて頂きたいのですわ。詳しい話は後でお話しますけど……」と言って肩で息をしています。
ローマン: 「怪物ですか」「さぁ、どうぞおかけになって」応接室へ通します。「そうですね、詳しいことをお話しいただければ……。もっともウチの編集長 あまりそういうのはねぇ(苦笑)」
(以下 ローマンのメモによる)
『応接室で語られたことを全て書くのは無駄であるため、その大要を記すことにする。
ハンナ・ワトキンスの見た怪物は、先日ローマンが男に聞いた描写とほぼ同一であった。
ただ異なる部分は、ハンナの見た怪物は、全身を青白い光で包み、空へと飛び立ったという事だ。そしてその時、明らかに金属製であると見られる翼がその怪物の背に一対目撃されたという点は特記するに値しよう。
ただ、この話を編集長がそのまま載せることを許可するかはまた別の話であろう。このハンナという女性の話は深夜三時にまで及んだ。彼女を助けてしまったというレイデスという男の不運には同情を禁じ得ない。また、彼女は当紙の用意した馬車に乗り、悠々と去った』
『西ヴィクトリア病院』にて
GM: チャールズが事務室を訪れていた時、入れ代わりになるようにジェフリーはブラウンリング博士の部屋を訪れようとしていた。
ジェフリー: 「博士、主治医のジェフリーです。失礼します」といって部屋に入ります。
GM: 博士の部屋には獣脂ロウソクの明かりが点され、時折その炎が風にゆらめいている。壁に移るその影の濃淡は何か目に見えない者が踊っているかのようだ。「ああ、先生。先日は御迷惑をおかけしました」と言って、博士はロウソクの明かりで書いていたメモから顔を上げます。
ジェフリー: 「お体の具合は、いかがですか?」
GM: 「ああ、だいぶん良くなっていますよ。先生とあの女医さんの腕が良いからでしょうなぁ」
ジェフリー: 「彼女の腕が、ですよ。私はほとんど何もできませんでしたから……」
GM: 「しかし、私ももう終わりですよ。身体はこんな、研究は中断、もう勤め先も無い……」と博士は寂しそうに笑います。
ジェフリー: 何も言うことができず、苦笑いを浮かべて聞いています。
マリア: (コンコン)ノックをして「失礼します」
サリー: 「しますー」マリア先生の後ろからついて入ります。
GM: 「……私は全てに敗北した男です……。おや?」と、ノックの音に目を向けます。「どうなさいました? こんな夜に。皆さんお揃いではないですか……」
ジェフリー: 「マリア先生、サリー君まで。どうしたんですか? こんな時間に……」
マリア: 「こんばんは、博士。具合はいかがです?」少し複雑な微笑みを浮かべています。
GM: 「明日退院だとは局長先生から聞いてますよ」と寂しそうににっこりと微笑みます。「本当にどうもありがとうございました。身体が治ったら必ずお礼に参ります」と三人に言います。
マリア: 「そう、ですか……実は……」と口ごもります。
GM: 「……? 何でしょう?」
マリア: 「そのお身体では、私はまだ退院することは無理だと考えております。ですので……」
ジェフリー: 「……博士のお体の治療は今後、聖マイケル教会付属病院に引き継いでもらうことになりました」
マリア: 「この病院の——チャールズ医師の知り合いである聖マイケル教会付属病院へ、転院なされるのがよろしいかと……こちらではもう手配はすんでおりますが」
ジェフリー: 「……博士のお体を最後まで治して差し上げられないことが非常に残念です」
GM: 「え……?」博士は信じられないという顔をします。そして「聖マイケル教会……ですか?」とくり返します。
マリア: 「はい……。何か問題でも?」
GM: しばらく沈黙が続き、「聖マイケル教会……」と博士は呟きます。
ジェフリー: 「どうかしましたか? 医療面では問題の無い病院のはずですが……」
サリー: どきどきしながら話の流れを見守っています。
GM: 「先生方、どうもありがとうございました……」と博士が低い声で呟きます。「もう、これで最後です……」
ジェフリー: 「最後……どういうことです?」
GM: すると、布団を剥ぎ取り、博士は、「私は……このままあれを置いて死ぬ訳にはいかないのだ!」と怒号します。
マリア: 「は、博士?」
サリー: 「博士!」駆け寄って布団を拾います。
GM: 「せめて! せめて託すべき人間を…………」と言うと、博士は三人を見渡します。
ジェフリー: 「博士!! お体に障ります、落ち着いて下さい!!」
GM: 博士の周りの空気が焦げる匂いがします。「もう、実験は全て終わったのだ! もう二度と、二度とあれの様な者を生み出してはならん!!」
ジェフリー: 「いったい、どうなさったのです? 話は聞きます……ですから落ち着いて、落ち着いて下さい」
サリー: 匂いにぎょっとしながらも、博士のそばによって支えようとします。(こ、怖いよ〜(泣))
マリア: 「博士、落ち着いて下さい。どうなさったのですか」近寄っていって、体に触れます。
GM: 博士の腕の包帯が赤くボッという音と共に炎を上げます。肉の焼け焦げる臭いが届きます。
マリア: 「きゃぁっ!!」触れようとしていた手を引っ込めます。
GM: 博士は立ち上がり、窓の側にまで身体を引き摺るようにして歩いていきます。
ジェフリー: 「博士!! ダメです、そんな体では……」火傷覚悟で体をつかみます。
GM: バチ! バチ! と空中に光が弾けます。
マリア: 「博士、いけません。まだ傷が…」
サリー: 「あわわわわ……(涙目)」博士のベッドのそばでへたり込んでます。
GM: 博士は窓をばたんと大きく開け放つと、博士の全身は風に煽られ、炎に包まれます。機械の部分は赤く焼け、肉はじりじりと焦げ、ベッドのシーツにも飛び火しています。
サリー: 「きゃぁぁぁぁっ! だ、誰か〜〜」へたったまま力無く叫びます。
マリア: 「博士!!」
ジェフリー: 「サリー君、毛布を貸してくれ。それと水を、早く!!」
マリア: 「サリーさん、とりあえず火を消して!!」
ジェフリー: サリーが動けないようなら、毛布を奪い取って火を消そうとします。
サリー: 「……はっ! いけないっ!」我に返りました! 毛布をつかんで駆け寄ります。
GM: 「これ……が……最期の……鍵だ……」と博士は三人に告げます。「アレを……救っ……やってくれ……」
サリー: 「は〜かせ〜!!!」毛布を広げて突進します。
GM: そして博士は君たちの制止を聞かず、窓から外に転がり落ちます。
マリア: 「いやぁぁぁ〜!」
GM: 中庭に直撃した博士は、さらに燃え広がります。
ジェフリー: 「博士!!」と窓から下を見て少し呆然となります。
サリー: 「……っっきゃぁ〜〜〜〜!! って落ちるぅ〜〜!!」窓辺に博士がいないので、その勢いのまま窓へ突進(笑)
ジェフリー: 部屋を飛び出して中庭にかけていきます。
サリー: 「はっ、先生〜〜、毛布引っ張ってください〜〜(涙)」毛布ごと窓の外にずり落ちかけてます。
マリア: 「ああ、そんな…」窓枠のところでくずおれます。
サリー: 「落ち、落ち、落ち……っ!(汗)」必死によじ登ります。
GM: と、その時、三人は窓枠の外、月よりも青く光るものが上空に静止しているのに気付きます。それは背に一対の巨大な翼を持った少年に見えます。
マリア: 涙にぬれた顔で見上げます。「……あれは……」
ジェフリー: 「え?」と目を疑ってそれをみます。
サリー: 「えっ!?」つかんでいる毛布を照らす明るい光に気づいて空を見上げました。
GM: ゆっくりと翼を上下させているそれは、君たちにはとても悲しそうに感じます。
ジェフリー: 「翼の生えた人間? まさか……」
GM: 四肢から突き出ている棒状のものは、あたかも槍、または杭のようにそれの身体を貫いています。そのシルエットは、あたかも殉教者のようにも見え、青白い燐光がそれを包んでいます。
サリー: 「て、天使だわ……」(ずりずり)毛布ごとずり落ちながら我を忘れて見入ります。
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『その時、時が止まっていた。数秒とも数時間とも感じられる時間が我々三人を包んでいた。
そしてあの天使こそが、今は亡き博士の生み出した存在である事を、我々は博士の唯一残った遺品によって知ることとなる。
それは博士が我々に宛てた遺言だったのだ』
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『本日の上演はここまでです。次回をお楽しみに』
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