人工天使:第1回
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『そしてまた夏が来ようとしている……』
『風の音、新緑の草が風に吹かれ、擦れ合う音、そしてこの時期になると、あの経験を思い出すのだ……』
『三年前のあの夏……』
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『1893年 初夏 倫敦近郊』
『馬車の車輪が行き交う音。雑踏』
GM: 画面は薄暗いパブの一角。白衣を着た男達がサンドイッチを齧っている。時刻は昼を回ったくらい。 医局の近くなのだろう。消毒液の匂いをしみ込ませた若い医者の卵が集まっている。彼等の話題は扱っている患者の事などだ。
ジェフリー: 私も他の人間同様、サンドイッチを頬張りながら飲み物でも飲んでいるんでしょうね。
GM: そうですね。ジェフリーがサンドイッチを食べていると、知り合いの若い医者が声をかけてくる。
ジェフリー: 私も自分の患者のカルテに目を通しながらですが、「なんだい?」とその医者の話を聞きます。
GM: 「よ、昨日の夜に隕石が落ちたとかで、新聞が騒いでるけど、知ってるかい?」
ジェフリー: 「新聞を見ただけさ、良くは知らないよ」と答えてあげます。
GM: 「見てみな」と、彼はジェフリーの机に『ザ・デイリーロンドン』を広げる。
ジェフリー: 家でぱっとしか目を通さなかった新聞の記事を今度はしっかりと見ます
GM: その1面には『隕石落下か。初夏の夜の怪』という大きな文字が書かれている。
ジェフリー: 記事を読み進めます。
GM: 『どうやら倫敦郊外に隕石らしきものが落下し、辺には火花のようなものが散ったらしい。駆け付けた警官が調べたところ、それらしきものを発見することは出来なかった。デイリーではこの事件に関して情報を募っている』というようなことが書いてあった。
ジェフリー: 「で、これがどうかしたのかい?」と医者に聞き返します。
GM: その若い医者(確かチャールズ・スターハートという名前だったはずだ)は、「ジェフは星を見るのが趣味だったろ? 興味があるかと思ってね」というと、パブの親父の方をちらちらと見る。親父の手許にはビールポンプが(笑)
ジェフリー: 「仕方ないな……」と言いながら「親父さん、こいつにビールをやってくれ」と(笑)
GM: チャールズは、その言葉を聞くと、待ってましたという顔で「もうひとつ取っておきのネタがあるんだけど、聞かないかい?」と言う。
ジェフリー: 「ビールの分の話くらいは聞かせてくれよな。別料金だとは言わせないぞ」と苦笑いをしながらこたえます。
GM: 「いや、どうやら隕石じゃなくて天使か悪魔だっていうのさ。星座の話を医局の広報に書くお前だ。良いネタになると思ってね……。マスター、F&Cひとつ!」
ジェフリー: 「天使か悪魔……ねぇ。書いてはいるものの、いるとも思えないんだけどなぁ」と返します。
GM: 勝手にF&C(フィッシュアンドチップス)を注文したチャールズは、「ま、食べながら話そう」というと、ちょっと口の端に笑みを貯えながら、「僕の実家が倫敦の南にあるのは知ってると思うけど、いや、道すがらその隕石話を耳にしたのさ。帰省から帰ってくる途中でね」
ジェフリー: 「なんだ、隕石が落ちたのは君の実家の方だったのか……」
GM: 「ああ、ちょっと離れているけど、従兄弟の家に寄ってくる途中で偶然にね」とチャールズが言う。「最初に新聞に記事を売った奴は、ちょっとおかしくなっちまっててね」とチャールズは苦笑しつつ頭を指してくるくると指をまわした。「そいつが言うには羽を持った小僧が歩いて北に去ったというんだな。隕石の墜ちたところと時刻にぴたりと一致するんだよ」
ジェフリー: 「ただの偶然じゃないのかい?そんなことを真に受けていたら、倫敦中の事件とかなりの人間が結びついてしまう」と苦笑いします。
GM: 「どうやら倫敦まで歩いていくんじゃないかって、その男は言ってたけどね。ま、ああなっちまったら人間終わりだよなぁ。最近は仮想人格とかでいっちまうのも増えてるらしいけど、まぁ、適当なところで止めておくのがいいんだろうな」とチャールズは続けて、「変な話をして悪かったな。ごちそうさん!」とチャールズは飲み干したグラスを君の方に押し、パブから出て行った。
ジェフリー: F&Cの代金は払っていったのかな?
GM: 払ってません(笑)<代金
ジェフリー: 気づいて、机をガタン、と。でもいないんだな……「チャールズの野郎……覚えてろよ」と渋々親父さんに金を払います。
<暗転>
『月の美しい晩だった』
『開けた場所であったためか、風は吹き抜け、草むらからところどころに顔を出した岩は月の光を浴びて白く輝いていた』
『そして、月を背後に従えるように、天空から降りてくるものがあった。最初は蝙蝠かフクロウか、夜行性の動物かと思ったが、その考えは数瞬の後に撃ち破られた』
『天空から舞い降りるその姿は、私を呼んだその姿は……!』
<暗転>
『医局の事務室にて』
GM: 「……あー、君の患者だがね、彼もうすぐ退院できるのかね?」君の直属の上司が訊く。
ジェフリー: 「患者、ですか? 持っている患者が一人というわけではありませんので……どの患者のことでしょうか」
GM: 彼はでっぷりと太った男で、階段で二階まで上がるだけで、心臓が苦しい。仕事には熱意はあるようだが、いかんせん運動不足と気力不足で空回りをする傾向にある。「ああ、三号棟の足を義足にした男さ、えー」どうやら名前を思い出せないらしい。【適当に名前をつけてあげてください(笑)】
ジェフリー: 「ああ、ヒューゴさんですか。彼ならもう大丈夫じゃないでしょうか?」
GM: 「おお、彼。ヒューゴさんだ。ああ、それなら良かった。急な入院要請があってね。上からの指示なので私としてもも困っていたんだ。ああ、よかった」と、肉の付き過ぎた身体をゆらしながら笑い、「ああ、その患者も君の担当ということになりそうだ。了承してくれたまえよ」というと、彼はその巨体をゆっさゆっさと左右に振りながら部屋を出ていった。
ジェフリー: 「はぁ……患者がいすぎて手が回らないというわけでは無いですから、大丈夫ですが。その患者さんはどのような方なのですか?」と聞きます。
GM: すると、どこから現われたか、「おい、その患者、ちょっとヤバいらしいぜ」と、チャールズが声をかけてくる。
ジェフリー: あ、(局長は)行ってしまった。じゃあ、チャールズに「何がやばいんだい?」と聞きます。
GM: 「外科長はもう帰るらしいぜ。どうやら話に出てた『依頼先』に行くらしいよ」とチャールズが廊下から顔を出す。
ジェフリー: 「依頼先……まあ、そこまでは首を」と言いかけたところで額に血管を浮き出させながら「そういえば、チャールズ君。あのF&C、いったい何のつもりかな?」
GM: 「ジェフリー、君は『機械主義者』の患者を扱ったことがあるかい?」
ジェフリー: 「機械主義者? 扱ったことがあるわけないだろう……」とちょっといらだち気味です(笑)
GM: 「ただの義足とか、義手ではない、本当の『機械主義者』の患者だ。僕には経験がない。だけど話は聞いている」 チャールズはそう言うと、「今度の患者はそういう奴らしい。看護婦から聞いた話だけどね」
ジェフリー: 「まあ、なんにせよ患者は患者だ。受け持った以上は責任を持って対応するさ。それより……」
GM: 「ああ、あれか。あれはこうなる事を見越しての、先払いってこと♪」と悪びれもせずにチャールズは「せいぜい君をバックアップすることにするよ。幸いここの看護婦には『お友達』が多いんでね。色々ときな臭いネタが入って来るんだ。じゃ!」というとチャールズは顔を引っこめた。
ジェフリー: 「先払い……ねぇ」と肩をすくめた後、再びカルテに目を通しだします。
<暗転>
<スタッフロール 音楽:『戦斧(作曲:アーサー・ガゥアー)』>
『本日の上演はここまでです。次回をお楽しみに』
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