🗑️法学部、ロースクール、司法研修所で学ぶ法律知識――主要10法と法的思考のエッセンス
2021/12/7に改訂版がでている
https://gyazo.com/3e02014db93018fa7d46fab3073bd893
僕が法曹になったら親しい人に配ってまわりたいくらい、本気のおすすめ本です。主要7法だけでなく、知財や労働なども抑えてて、条文の読み方や法律の文章の書き方もわかりやすく書いてあります。書き口も優しくて、旅行のガイドブックみたいな感じです。ほんと読んでみて...
品川 皓亮
2018年10月
目次
第1部 法学部で学ぶ「法理論の基礎」
第1章 法律学の基礎知識
条文・判例・学説とは
2 日本の法令の全体像
法令とは
法令の種類と効力順位
法令を分類する視点
1 憲法問題が争われた最高裁判例
2 憲法の意義
憲法の意義(1) 自由の基礎法
憲法の制限規範性とは/憲法の名宛人は誰か?
3 最高法規性という憲法の位置づけ
非嫡出子の法定相続分の問題
非嫡出子に関する民法の定め/憲法違反の判断と民法改正
基本的人権パートの概要
統治機構パートの概要
5 基本的人権のエッセンス ── 人権の種類と限界
人権には限界があるか?
二重の基準論
6 統治機構のエッセンス ── 三権分立の目的と働き
三権分立の目的/議院内閣制とは
3つの機関による相互コントロール
国会と内閣の相互コントロール/裁判所と国会・内閣の相互コントロール/砂川事件判決の統治行為論
第3章 民法
2 民法第1編〜第5編の概観
第1編 総則
意思表示とは/意思表示の瑕疵(1) 意思の不存在/意思表示の瑕疵(2) 瑕疵ある意思表示
生活の中の債権法/債権の4つの発生原因/「無断駐車は罰金5万円」という貼り紙の法的意味/債務不履行に基づく損害賠償請求
離婚の種類/民法上の離婚/家事事件手続法による離婚
相続の2パターン ── 遺言相続と法定相続/相続人の範囲/相続人の範囲(具体例)/共同相続における相続分/共同相続における遺産分割 3 民法の大原則
私的自治・契約自由の例外
参考資料 民法の目次
1 会社法の基礎知識
会社の存在意義
会社法の重要テーマ
2 株式の基礎知識
株式と株主
株式譲渡自由の原則とその例外
株式譲渡自由の原則/株式譲渡が制限される場合
株式の内容と種類
募集株式の発行
3 会社の機関
会社の機関とは
取締役・代表取締役
各機関の役割と関係性のまとめ
4 実践問題
第1問 募集株式発行の差止請求
募集株式発行の差止請求/主要目的ルール
第2問 経営判断原則
第3問 株主総会の決議取消事由
株主総会決議の瑕疵/招集通知発送の遅延の場合
1 民事訴訟法の基礎知識
クリスマス100万円事件の概要
手続法としての民事訴訟法
民事訴訟法の目的 ── 真実発見と紛争解決
紛争解決が優先される理由
2 民事訴訟の流れ ── 紛争発生から判決確定まで
民事訴訟の全体像
【1】訴訟以外での紛争解決手段
【2】訴訟の開始
【3】訴訟の審理
【4】訴訟の終了
訴えの取下げ/請求の放棄・認諾/訴訟上の和解
【5】上訴or判決の確定
3 民事訴訟法を理解する4つのキーワード
処分権主義の具体的内容/処分権主義の背景
弁論主義の意義と背景/弁論主義の第1テーゼ【主張責任】/弁論主義の第2テーゼ【自白の裁判所拘束力】/弁論主義の第3テーゼ【職権証拠調べの禁止】
既判力の根拠/消極的作用と積極的作用/既判力の基準時/既判力の客観的範囲/既判力の主観的範囲
第6章 刑法
犯罪は成立するか?
2つのケース/AとBに犯罪は成立するか?
刑法の法益保護機能
刑法の自由保障機能
2つの機能の関係
2 刑法の全体像 ── 総論と各論
3 刑法総論 ── 犯罪成立の3ステップ
犯罪成立の3ステップ
違法性の意義/正当防衛の具体例
責任の意義/精神障害と責任無能力者
窃盗罪の構成要件
①他人の財物/②窃取/③不法領得の意思
窃盗罪にまつわる5つのケース
ケース1 情報窃盗/ケース2 「他人の占有」の有無/ケース3 窃盗罪の保護法益/ケース4 権利者排除意思と使用窃盗/ケース5 利用処分意思と毀棄・隠匿目的の窃取
2 刑事訴訟法の永遠のテーマ
刑事訴訟法の永遠のテーマ
「真実発見の要請」と「人権保障の要請」
真実発見と人権保障の調和
3 刑事手続の登場人物
被疑者と被告人
弁護人
裁判所・裁判官
犯罪の被害者
4 刑事手続の流れ ── 捜査から判決確定まで
【1】捜査の端緒
【2】捜査の実施
強制処分と任意処分/被疑者の身体拘束(逮捕・勾留)/証拠の収集保全
【3】捜査の終結(公訴提起/不起訴処分)
【4】公判手続
①冒頭手続/②証拠調べ手続/③弁論/④判決宣告
【5】上訴or判決の確定
5 捜査が違法になる場合とは?
強制処分に関する原則
任意捜査の原則
任意処分の限界
捜査の違法性についてのまとめ
司法試験をのぞいてみよう
第8章 法令・条文の読み方
1 条文を読み解くための基礎知識
前段・後段と本文・但書き
どんな法令にも登場する用語
「or」を表す接続詞 ── 「又は」と「若しくは」/「and」を表す接続詞 ── 「並びに」と「及び」/数量の基準 ── 以上・超える、以下・未満
2 間違えやすい法律用語
「推定する」と「みなす」
「違法・不正・不法」と「不当」
「棄却」と「却下」
「公判」と「口頭弁論」
「時」と「とき」
3 法令解釈のテクニック
拡張解釈と縮小解釈
反対解釈と類推解釈
第9章 法的思考法の基礎
1 法律家の思考の枠組み
要件と効果
要件・効果とは/売買契約成立の要件と効果
法的三段論法とは/2つの事例(傷害罪の成否)/法的三段論法の使い方
原則・例外パターン
原則・例外パターンとは/具体例(1) 一般法と特別法/具体例(2) 本文と但書き/具体例(3) 判例
「論理性」と「結論の妥当性」のバランス感覚
事例でリーガルマインドを鍛えよう
ある温泉街の事件/論理性の観点からの検討/結論の妥当性の観点からの検討/「論理性」と「結論の妥当性」のバランス
コラム 法曹三者への道のり
法曹三者を目指す2つのルート
法曹三者になるまでのステップ
裁判官・検察官・弁護士への分かれ道
第2部 ロースクールで学ぶ「理論と実務の架け橋」
1 行政法の基礎知識
行政法ってどんな法律?
行政法を勉強する視点/「行政法」という法律はない
法律による行政の原理
「法律による行政の原理」の意義/「法律による行政の原理」の内容
法律の留保の原則
法律の留保の原則とは/法律の根拠が必要となる場合
2 行政法の全体像
行政の行為形式とは/行政立法/行政行為/行政指導/行政契約/行政計画
行政救済法の2本柱/原状回復の方法/金銭救済の方法
3 行政行為の特殊性
定義と具体例/行政行為の3つの特徴
行政行為の効力
4 取消訴訟の重要論点 ── 処分性の要件
取消訴訟の訴訟要件
「国民の個別・具体的な法的地位の変動」の解釈に関する議論
表示行為(通告・行政指導など)/規範の定立行為(行政立法など)/内部行為(通達など)/段階的行為(行政計画など) 処分性要件の変遷
あなたの身に起こるかもしれない労働問題
労働法の存在意義
労働法の全体像 ── 基本となる3つの法律
労働条件を決める4つの法的ツール
労働契約・法令・就業規則・労働協約/4つのツールの効力順序
労働基準法の概要
労働時間と休日に関する原則的なルール
32条が定める労働時間/35条が定める週休制の原則/時間外労働・休日労働と割増賃金
労働時間と休日に関する例外的な制度
労働契約法の概要
解雇権濫用法理の内容
①客観的合理的理由/②社会的相当性
整理解雇の有効性に関する4要素
4つの要素とは/ケース2の解雇の有効性
労働組合法の目的
労働組合法の3つのキーワード
団体交渉/団体行動/不当労働行為
ケース3の解説
1 倒産法の世界
倒産のイメージ
倒産法とは
倒産処理手続の種類
2 誰のための倒産法? ── 倒産法の2つの目的
債権者のための倒産法(債権者間の公平と総債権者の満足)
債務者のための倒産法(債務者の経済的再生)
破産手続の全体像
ステップ1 破産手続の開始
破産手続開始決定の要件(破産手続開始原因)/破産手続開始決定の効果
ステップ2 ─ ① 配当の基礎となる財産の確定
破産管財人の仕事/破産管財人の権利(1) ── 双方未履行債務に関する解除権等/破産管財人の権利(2) ── 否認権 ステップ2 ─ ② 配当を受ける破産債権者の範囲・債権額の確定
基本ルート:配当による破産債権の弁済/例外ルート:優先的な弁済を受けられる場合
ステップ3 破産手続の終結
配当による破産手続の終結/目的を達成しない場合の破産手続の終結
4 その他の倒産処理手続
1 知的財産法の意義と種類
知的財産権が問題となるケース
知的財産法の意義
知的財産権の種類
特許法の概要
特許法の目的/特許を受けるための要件
「発明」の要件と種類
「発明」の要件/発明の種類
「発明」以外の要件(要件②〜⑥)
②産業上利用しうること(産業上の利用可能性)/③新規性があること/④容易に考え出すことができないものであること(進歩性)/⑤先願と同一の発明でないこと/⑥公益に反しないこと
特許の登録手続
特許権の効力
特許権侵害に対する救済手段
(1)差止請求/(2)損害賠償請求・不当利得返還請求/(3)信用回復措置請求/(4)特許権侵害罪
実用新案は「ミニ・特許」
「考案」の要件
登録手続の特徴
実用新案権の効力
意匠法の目的
意匠登録の要件
①意匠法上の「意匠」にあたること/②工業上利用しうること(工業上の利用可能性)
意匠登録の手続
意匠権の効力
商標とは何か
商標法の目的/商標の種類
商標権の効力と類似性
商標権の効力/商標の類似性
フランク三浦事件の顛末
著作権法の意義
著作物とは
新聞の中に著作物はあるか?/著作物の要件とカテゴリー/あてはめ
著作権の内容
著作者人格権/著作財産権
著作権の制限 ── 著作物の自由利用が認められる場合
著作権の制限の趣旨と概要/私的使用のための複製/著作物の引用
第14章 要件事実と主張・立証責任
1 訴訟の勝敗はどう決まるか?
自動車売買に関する事例
勝敗は「訴訟物の存否」で決まる
訴訟物の存否を判断する流れ
要件事実の意義と役割
要件事実とは/要件事実の役割 ── 効率的な訴訟運営
要件事実の基本ルール
①権利の発生の障害となる事実/②権利を消滅させる事実/③権利の行使を阻止する事実
主張・立証責任とその分配
Xの先制攻撃
「請求の趣旨」と「請求原因」/請求原因として主張・立証する必要がないこと
Yの防御と反論 ── 認否と抗弁
Yによる3つの反論/認否 ── 相手方の主張に対する応答/抗弁 ── 相手方の主張に対する反撃
Xの再反論 ── 否認・再抗弁
攻撃防御構造の整理
【反論1】の場合/【反論2】の場合/【反論3】の場合
第15章 判例の重み
1 判例の重要性
法令と判例の違い
判例と裁判例の違い
2 判例を味方につける
パートナーシップ関係の破棄による慰謝料請求
事案の紹介/問題の所在
原告(A弁護士)の主張
被告(B弁護士)の主張
原告(A弁護士)の反論
「判例はパートナーシップ関係の一般論を示したものではない」という反論/「判例と本件ケースの事実関係は大きく異なる」という反論
原告と被告の主張のまとめ
3 判例に挑む ── 判例変更
尊属殺人罪に関する判例変更
有責配偶者からの離婚請求に関する判例変更
非嫡出子の法定相続分に関する判例変更
コラム 司法試験の問題に挑戦!
司法試験の問題を見てみよう!
丙の罪責の検討 ── 占有の成否
丙の罪責の検討 ── その他の検討事項
第3部 司法研修所で学ぶ「法律実務」
第16章 民事訴訟の事実認定
1 事実認定の対象
ステップ1 当事者が主張するストーリーの把握
ステップ2 動かしがたい事実の抽出
「動かしがたい事実」とは/何が「動かしがたい事実」になるか
ステップ3 ストーリーと動かしがたい事実の整合性の確認
整合性の確認とは/観点(1) 契約書や借用書が存在しないこと/観点(2) 貸付行為の方法の不自然さ/観点(3) 借入れの動機・必要性/観点(4) 15万円の振込みの評価
事実の総合評価
3 証拠についての基礎知識
書証の基礎知識(1) 文書の証拠力
文書の証拠力/文書の形式的証拠力/文書の実質的証拠力
書証の基礎知識(2) 「文書の成立の真正」に関する推定
1 刑事訴訟の特殊性
刑事訴訟で要求される証明の程度
刑事訴訟における法曹三者の役割
刑事訴訟の2つの争点
2 事実認定の基礎
検察官による立証の構造
直接証拠による立証に対する弾劾/間接事実の積み重ねによる立証に対する弾劾/別の事実・証拠の提出による要証事実の存在自体の弾劾
事実の総合評価
3 実践問題に挑戦 ── ポシェット窃盗事件の犯人は?
4 ケース1 ── 近接所持の間接事実
ケースの紹介
C供述の信用性
C供述の証拠価値
Aが所持していたポシェットは被害品か?/Aが犯行以外の経路で被害品を取得する可能性
5 ケース2 ── 不審人物に関する供述
ケースの紹介
Aの犯人性を推認する過程
推認過程は合理的か?
6 ケース3 ── 他の事実による証拠価値の変化
ケースの紹介
各証拠の証拠価値
証拠・間接事実の総合評価
第18章 弁護士の思考法
1 ある日の法律相談
2 紛争解決を導く4ステップ
3 ステップ1 ── 事案を整理する
①事実関係を把握する
時系列表の作成/関係図を描く
②依頼者の要望を理解する
4 ステップ2 ── 法律構成を検討する
考えられる法律構成
(1)アップリ社のスター社に対する請負代金請求権/(2)アップリ社の星野氏に対する不法行為に基づく損害賠償請求権/(3)アップリ社のスター社に対する使用者責任に基づく損害賠償請求権
法律構成を検討する糸口
①反論と争点を予想する
「請負代金請求権は発生しない」という反論/もう1つの反論
②証拠を精査する
③「落とし所」を見立てる
「落とし所」とは/本ケースの落とし所
6 ステップ4 ── 方針を決定する
①法律構成を決定する
依頼者側の事情/相手方側の事情
②アクションを決定する
各手段のメリット・デメリット/アクションの選択
ケースの紹介
契約書レビューのポイント
契約書のレビューに挑戦