肝生検ガイダンス
Guidance for Liver Biopsy
肝生検指針作成WG(2024)
→肝生検 16〜20G(背景肝は16〜18G・腫瘍は20G)が一般的 経皮的肝生検:肝表面から1〜2cmのエコー上脈管の認識できない領域が採取される 病理学的に適正な評価可能な検体
門脈域は6〜8個以上含まれた15mm以上の長さを採取したい
門脈域・中心静脈・肝小葉が十分含まれている
門脈など大型の脈管周囲や肝被膜直下でない(線維化が過剰評価される可能性がある)
腫瘍生検の場合は腫瘍から離れた正常背景肝を同時に採取したい
https://gyazo.com/0a42c67729714381b7c75e344b35dad4
びまん性肝疾患
診断
予後評価
治療方針決定支援
肝移植関連(本ガイダンス範囲外)
診断
肝生検ではじめてオーバーラップ症例が診断されることも多い
ステロイド投与前の肝生検評価
IgG4関連硬化性胆管炎
免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象
AYA世代
画像では評価困難な場合
背景肝に原因を認めない場合
病期診断・予後予測
非侵襲的検査において
線維化進行例と軽度例の中間値に相当する場合
複数回の検査結果が一致しない場合
臨床経過と矛盾する場合
非侵襲的検査困難な場合
病理学的因子評価
治療選択
AIH・PBC
複数疾患の併存時の評価
肝腫瘍診断・悪性度評価
遺伝子診断
確定診断において肝生検は必須でない(他の疾患の合併を疑うときのみ適応)
病期:肝線維化評価(他のモダリティでも代替可能?)
治療適応:肝線維化の評価が有用なことがある
経過観察:線維化評価は有用
発癌予測:線維化の評価は有用
確定診断において肝生検は推奨されない(他の疾患の合併を疑うときのみ適応)
病期:HBe抗原とALTから推定される病期と組織学的な炎症・線維化進展に乖離がみられる例があり、正確な診断には有用
治療適応:一般的な治療基準外の症例では評価が有用なことがある →肝生検ガイダンス参照 ALTの間欠的上昇や軽度上昇・40歳以上・HBV DNA高値・肝細胞癌家族歴など
経過観察:肝組織線維化の改善が治療効果判定に有用であるが普通は生検しない
発癌予測:線維化の評価は有用
Gill US, et al. Gut 2018;67:767–775. Liver sampling: a vital window into HBV pathogenesis on the path to functional cure DOI: 10.1136/gutjnl-2017-314873
NAFLDは確定診断において肝生検は必須でないがNASHは必要とされる(可能な限り行う)
MASHにおいて病理学的なsteatohepatitisの概念が残る? 他の疾患の合併を疑うときは生検推奨
小児例での所見の検討はまだ十分でない
病期・治療適応・経過観察・予測:MASLDとする限り全国に2千万人いるため、肝生検は現実的でない
確定診断において肝生検は必須、疑ったら躊躇無く生検すること
病期:組織より線維化を評価する
治療適応:適応無し
経過観察:ステロイド中止の前に組織学的寛解を確認する(適応あり)
予後予測:意義不明
確定診断において肝生検は必須でない(他の疾患の合併を疑うときのみ適応)
AIHとのオーバラップでは生検必須
治療適応:適応無し
予後予測:Nakanuma分類
確定診断において肝生検は必須でない(他の疾患の合併を疑うときのみ適応)
AIHとのオーバラップでは生検必須
まれに肝内胆管のみPSC所見があることがある
病期:肝線維化評価は有用
治療適応:適応無し
予後予測:Nakanuma分類
確定診断において肝生検は推奨されない(他の疾患の合併を疑うときのみ適応)
病期:線維化評価は有用 NIHの3群分類
予後予測:短期予後の指標や治療の反応性予測となりうる
確定診断において肝生検は必須でない(他の疾患の合併を疑うときのみ適応)
病型診断としてはあらゆるパターンをとりうる
B型肝炎再活性化や免疫チェックポイント阻害剤によるものも広義に含まれる
AIHの除外診断目的で有用(ステロイド中止により再燃する)
鑑別診断には有用
アミロイドーシスは出血リスクがあるため疑った場合は生検を避ける
鑑別診断において有用 → 鑑別診断はガイダンスを参照
非侵襲的な検査で原因不明な場合
臨床的な診断と乖離をみる場合
画像診断困難な場合、肝内胆管癌・転移性肝腫瘍を疑う場合は生検適応
治療適応:コンパニオン診断などゲノム診断目的なら生検適応
経過観察:適応無し