自己免疫性肝炎
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Autoimmune hepatitis;AIH
* 病理と臨床 2017 vol.35 no.3 p218- 自己免疫性肝疾患 * 病理と臨床 2017 vol.35no.3 p.211 総論 ← NASH-AIHオーバーラップ症例 典型的なロゼット形成やinterface hepatitis 写真あり * 肝臓 51巻12号 722-729(2010) ステロイド投与でニューモシスチス肺炎を合併した自己免疫現象を伴うC型慢性肝炎 ←きれいなロゼットの画像あり * 肝臓 51巻8号 (2010) 腹腔鏡検査が診断に有用であった1例 ←腹腔鏡画像あり ! 急性発症例、急性肝障害疾患合併例では腹腔鏡下肉眼所見が唯一の診断根拠となりうる
! 他の所見がすべて否定的であっても、肝表面に凹凸不整、小陥凹の散在、赤色紋理を認めれば、AIH典型例とできる。
診断.icon
Autoimmune hepatitis,F2/A3
Chronic hepatitis,F2/A3,compatible with AIH
所見.icon
グリソン鞘はリンパ球の浸潤と線維化により拡大し,piecemeal necrosis インターフェイス肝炎 (ピースミール壊死) を認めます。びまん性に炎症細胞の浸潤を認めます(A2)。Councilman体が認められます。肝細胞の一部は軽度腫大を認め,中心静脈を中心(zone3)に胞体の淡明化と脂肪化を認めます。線維性隔壁の形成は軽度で架橋形成には至っていないと考えます(F1)。拡大したグリソン鞘内部にロゼット様の肝細胞や偽胆管の増生を認めます。
インターフェイス肝炎(ピースミール壊死)を認めます。spotty necrosisやpiecemeal necrosis
リンパ球・形質細胞浸潤および線維化を伴いつつ拡大した門脈域および線維性隔壁の形成を認めます。
形質細胞浸潤や肝細胞の壊死・脱落が目立ち、
! リンパ濾胞形成は慢性C型肝炎でもみられるが、AIHでは胚中心を伴うことさえある。
インターフェイス肝炎
リンパ球形質細胞優位な浸潤
肝細胞ロゼット形成
胆管病変は認めません。→高度胆管障害hepatitic duct lesionが認められ、CNSDC様の病変も出現する。
中心静脈周囲の炎症が目立ちます。
! 中心静脈周囲性の壊死像が高頻度に認められ、門脈周囲炎や形質細胞浸潤に乏しい例も多い ???
→ 急性発症のAIHとして臨床的にフォローが必要・薬剤と鑑別必要
F0 線維化なし
F1 門脈域の線維化
F2 架橋形成 bridging fibrosis
F3 小葉のひずみを伴う線維性架橋形成
F4 肝硬変
A0 活動性なし
A1 インターフェイス肝炎interface hepatitisほとんどなし
A2 インターフェイス肝炎 あり
A3 高度活動性
◇ AIHの診断指針・治療指針(2013)
4 組織学的にインターフェイス肝炎や形質細胞浸潤がみられる 1を満たし、2~5のうち3項目以上を認める
◇ 簡易版国際AIH診断基準(2008)
リンパ球浸潤を伴う慢性肝炎を認める +1点
◇ 改訂版国際AIH診断基準(1998)
肝組織所見
インターフェイス肝炎+3
リンパ球形質細胞優位な浸潤+1
胆管病変(肉芽腫性胆管炎、胆管周囲性輪状線維化、胆管消失、銅の沈着)-3
組織検査
検査実施1.実施 2.未実施 検査年月 西暦 年 月
interface hepatitis1.あり 2.なし
リンパ球や形質細胞優位の細胞浸潤1.あり 2.なし
肝細胞のロゼット形成1.あり 2.なし
中心静脈周囲の肝細胞壊死1.あり 2.なし
胆管病変1.あり 2.なし
肝硬変1.あり 2.なし
急性肝炎様発症AIH
○ Acute exacerbation phase AIH
→ 急性期から回復期のあらゆる組織像をとりうる
○ Acute on chronic
IgG4関連AIH
○ IgG4-associated AIH
○ IgG4-related AIH
* 肝臓 59巻6号 277-283(2018) 肝障害が発見の契機になったIgG4関連AIHの1例 ○ c/w drug-induced AIH
* 肝臓 57巻9号 487-495 (2016) 全身性強皮症にAIH-PBC OSを合併し、瘢痕肝を呈した一例 → AIHに瘢痕肝が多く見られる。
! AIH、PBCの10%にオーバーラップが認められ、橋本病やシェーグレン症候群などを合併しやすい。
◆ TIPS
* 肝臓 48巻6号 278-283(2007) 急性肝炎様に発症し典型的な組織像を呈した1例 2回肝生検をおこなった ! 急性発症時のIgGやAIHのscoreはいずれも正常(肝組織像は非特異的急性肝炎像)。原因不明の急性肝炎にはAIHが含まれると考えること
* 肝臓 55巻2号122-131 (2014) 乳癌化学療法後に増悪したAIH2例 ! アナストロゾール(アリミデックス)はAIHを含む自己免疫性疾患(甲状腺炎,リウマチ,Sjogren)を誘発する
Pathological diagnosis was chronic active hepatitis, A2~3, F2~3, compatible with AIH.
* 病理と臨床 2017Vol.35No.3 P.214- 病理学的鑑別 ! 消化PAS染色で組織球を染めると急性期の小葉中心体の肝細胞壊死が門脈域へ移動するのがわかる→鎮静期には小葉に組織球はいなくなる。
鑑別
* 肝臓 51巻2号 65-70 (2010) AIHが疑われ、肝生検にてNASHと診断した1例 ! IAIHGスコアリングシステム(1993→1999改訂)
小児のAIH
* 肝臓 54巻10号 698-704(2013) 貧血を契機に肝硬変に至っていた小児AIHの1例 ! 10歳未満の発症率は0.1%未満 ← 国内発症は年間約10例
! 小児でもIAIHGスコアリングが使われるが,飲酒項目など問題有り。小児の正式な基準は無い。
○ Childhood autoimmune hepatitis
* 肝臓 54巻10号 2013 中年女性のPBC-AIHに対して柴苓湯を併用した1例 ○ Overlapping syndrome
! 診断においてIAIHGスコアリングシステムは使わないこと
○ overlap型PBC
○ 肝炎型PBC
多核巨細胞の出現
* 肝臓 50巻2号 65-70 (2009) 多核巨細胞性肝炎の組織像を呈した1例 ! 多核巨細胞が乳児期のウイルス性肝炎や先天性胆道閉鎖症の肝組織に出現することはよくある。
! 成人では多核巨細胞の出現はまれであるが、ウイルス感染や薬剤性、自己免疫に関連するとされる。
臨床調査個人票 自己免疫性肝炎(新規)
検査実施1.実施 2.未実施 検査年月 西暦 年 月
interface hepatitis1.あり 2.なし
リンパ球や形質細胞優位の細胞浸潤1.あり 2.なし
肝細胞のロゼット形成1.あり 2.なし
中心静脈周囲の肝細胞壊死1.あり 2.なし
胆管病変1.あり 2.なし
肝硬変1.あり 2.なし
* 第110回日本病理学会総会
W4-2 自己免疫性肝炎と類縁疾患
胆管炎のみでは確診できない
オルセイン染色や胆管消失があれば確定診断
エンペリポレーシス(Emperipolesis)
https://gyazo.com/e46dc7a2d98c83de418d3fdfdd3fb666 EMPERIPOLESIS
https://gyazo.com/9c469cc6481db73585b0f160d9a8b6de Peripolesis
https://gyazo.com/1f386ef604ce2076ee721e637f0566ac Peripolesis
https://gyazo.com/edfd255bc703b5253fc81127c9cccb45 point contact
Acutre AIH:薬物性肝炎の像と区別できない
高度:中心静脈周囲の壊死(全例の50%程度)、肝細胞の敷石状配列(全例の80%程度)
軽度:中心静脈周囲の出血、鬱血、色素貪食細胞、内皮障害
F1程度の線維化が起こりうる