原発性胆汁性胆管炎
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PBC
* ヨーロッパ肝臓学会(EASL)&アメリカ肝臓病学会(AASLD) (2015)
=原発性胆汁性肝硬変 PBC
* 肝臓 2016; 57 (7): 頁未定PBCの病名変更:「原発性胆汁性肝硬変」から「原発性胆汁性胆管炎」へ. * Tanaka A, Takikawa H, Miwa H, Shimosegawa T, Mochida S, Koike K. Change in Nomenclature for PBC from “Primary Biliary Cirrhosis” to “Primary Biliary Cholangitis”. Hepatol Res 2016 Apr 21; doi/10.1111/hepr.12729
! AIH診断に肝生検は必須であるが、PBC、PSCでは必須ではない
! 外径80μm以下の小葉間胆管を中心とする肝内小型胆管の消失をみる。
! AIHやC型慢性肝炎でもCNSDC様の像は認めるが、胆管消失は稀。
軽度の慢性胆管炎 → 胆管周囲のリンパ球浸潤(無くてもよい)と胆管上皮のリンパ球侵入
小葉間胆管のCNSDC
→ 胆管周囲の高度リンパ球、形質細胞浸潤と胆管上皮層のリンパ球侵入、胆管上皮の好酸性腫大
小葉間胆管の消失
→ CK7で小葉間の肝動脈周囲に胆管上皮を認めない
肉芽腫性胆管炎は診断価値が高い
診断.icon
Primary biliary cholangitis (=Primary biliary cirrhosis)
PBC, CA2, HA1, Stage 2
PBC, Scheuers histological classification:Ⅰ
所見.icon
肝内小型胆管(小葉間胆管、隔壁胆管)の周囲に高度のリンパ球、形質細胞浸潤を認めます。慢性非化膿性破壊性胆管炎(chronic non-suppurative destructive cholangitis:CNSDC)を認めます。小葉間胆管の消失を認めます。CNSDCとはいえない胆管炎を認めます。門脈域内に非乾酪化型の類上皮肉芽腫を認めます。 以上より胆管炎の活動度Cholangitis activitiesは
CA0(no activity):胆管炎無し or 軽度胆管上皮障害
CA1(mild activity):軽度ではあるが明瞭な慢性胆管炎を1カ所以上にみる
CA2(moderate activity):軽度ではあるが明瞭な慢性胆管炎を2カ所以上にみる
CA3(marked activity):CNSDCを1カ所以上にみる
肝実質に軽度の非特異的な肝炎性変化を認めます。インターフェイス肝炎を認めます。非定型的細胆管増生、銅顆粒やオルセイン陽性顆粒の沈着、胆汁栓、肝細胞の風船状腫大(cholate stasis)、マロリー体、網状変性を認めます。門脈域周辺部(zone1)の肝細胞の小型化(small cell dysplasia類似変化)を認めます。
以上より肝炎の活動度Hepatitis activitiesは
HA0(no activity):インターフェイス肝炎無し、肝小葉炎(巣状壊死)もほとんど無い
HA1(mild activity):インターフェイス肝炎が少なくとも1個ある
HA2(moderate activity):インターフェイス肝炎が2/3以上の門脈域にある
HA3(marked activity):中等度~高度に小葉炎をみる。
半数以上の門脈域で周辺肝細胞(20個以上)にインターフェイス肝炎をみる。
架橋性、帯状の肝細胞壊死をみる。
以上よりPBCのScheuer分類3期,Ludwig分類3期,Nakanumaらの分類で線維化2点+胆汁鬱滞0点+胆管消失2点のStage3,CA2,HA2と診断します。
PBCの診療ガイド(平成22年)の分類(Nakanumaらの分類)より
病期分類は
①胆管消失評価のためCK7、CK19の免疫組織染色をおこないました。
スコア0:胆管消失が無い
スコア1:1/3以下の門脈域で胆管消失をみる
スコア2:1/3~2/3の門脈域で胆管消失をみる
スコア3:2/3以上の門脈域で胆管消失をみる
②慢性胆汁鬱滞の評価のため、オルセイン染色をおこないました。
* 肝臓 54巻10号 716-719 オルセイン染色の標準化への試み ! メルクor東京化成工業の試薬で還元液に1.5~3%のシュウ酸を使用すること
* 病理と診療 2017 Vol.35 No.7 組織内病原体に関する特殊染色 ! HBs抗原はオルセイン染色で肝細胞に陽性を示すため注意すること (顆粒であることを確認すること)
スコア0:陽性顆粒の沈着なし
スコア1:1/3以下の門脈域の少数周辺肝細胞に沈着あり
スコア2:1/3~2/3の門脈域の周辺肝細胞に沈着あり
スコア3:2/3以上の門脈域の多数周辺肝細胞に沈着あり
③線維化の程度の評価は、
スコア0:門脈域での線維化無し、門脈域に限局
スコア1:門脈域周囲の線維化、不完全な線維性隔壁をともなう
スコア2:小葉構造の乱れをともなう架橋性線維化
スコア3:再生結節と高度の線維化をともなう肝硬変
以上より病期は①②③より
Stage1(no progression):0
Stage2(mild progression):1~3
Stage3(moderate pregression):4~6
Stage4(advanced progression):7~9
以上より病期は①③より
Stage1:0 Stage2:1~2 Stage3:3~4 Stage4:5~6
1期:門脈域の炎症性細胞浸潤と慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)
2期:piecemeal necrosisと非定型的細胆管増生
3期:門脈域の線維化、瘢痕形成と胆管消失
4期:肝硬変期
1期:門脈域の炎症(portal hepatitis)
2期:インターフェイス肝炎
3期:線維性隔壁形成や架橋性壊死
4期:肝硬変期
* 産業医科大学雑誌 11(3):327-332 (1989) 同結合蛋白の定量値 → オルセイン染色 ロダニン染色,オルセイン染色
* 肝臓 58巻3号 183-190(2017) PBCに3b型E型急性肝炎を合併した1例 → HEV感染合併により急性肝不全を来すことがある
慢性非化膿性破壊性胆管炎 あり・なし・不明
組織学的病期Scheuer分類 Ⅰ~Ⅳ期・不明
胆管消失 あり・なし
診断カテゴリー
* PBCに矛盾しない組織像とは胆管消失、肉芽像をさす
①組織学的にCNSDCを認め、検査所見が原発性胆汁性胆管炎(PBC)として矛盾しない
②AMAが陽性で、組織学的にCNSDCの所見を認めないが、PBCに矛盾しない組織像を示す
③組織学的検索の機会はないが、AMA陽性で臨床像及び経過からPBCと考えられる
④いずれにも該当しない