【タスク管理論】
#165:2025年のタスク管理について
大前提としてタスク管理の目標は発生したタスクを残らず片付けることではない。タスクが全部終わらないことは当然の前提である。
そもそもこの場合「タスク」は作業の最小単位という意味に過ぎず、「アクション」程度のニュアンスである。ただし「タスク」を「アクション」と言い換えられるかと考えると必ずしもそうとは言えない。
タスク管理はタスクの取捨選択が核にある。タスク管理は「自分にとって仕事とは何か」と不可分であり、自分の価値観と突き合わせる必要がある。
つまりマネジメントが必要だが、日本社会ではマネジメントが乏しい。マネジメントには権限が必要であるのに、マネジメント以外の何かが充填されているのでマネジメントが実行できない。
しかしその中でもセルフマネジメントは可能である。それが周りに波及して変化を呼ぶ可能性もあるが、それ以上にセルフマネジメントの練習は生き方の練習になるということが重要。
マネジメントには「様子を見る」ことが必要である。時間の観点を持たず瞬間だけで判断する、つまり自分を時間で微分すると必然的に自分を無能に感じる。それが結果的にタスクを全部こなさなくてはという強迫観念を生む。
実際には絶えず何かをやっていても、自己コントロール感の欠如で「何もしなかった」と錯覚する。
生産効率を上げることを目指しがちだが、本来効率化は趣味でやるものである。
タスク管理を成立させる要素を揃えても回らないようなら環境に問題がある可能性が高い。
#168:何のためのタスク管理か
タスク管理の定義は難しいのでタスク管理の目的の方を考える。
タスク管理は日々を切り抜けるためにやる。英語のニュアンスではマドルスルー(muddle through)が一番近い。
睡眠を削って仕事をするようなことは、根性があり過ぎて自分を壊すことにもなり、マドルスルーとは言えない。
タスク管理は自己啓発の文脈にあるものでセルフヘルプのノウハウである。自己啓発的なものは毛嫌いされがちだが、自己啓発的なものの排除は実践する力を奪うことにも繋がる。
また、企業のセミナーで重要度・緊急度マトリックスを学ぶことが多いが、企業のセミナーで講義される自己啓発はもはや自己啓発ではない。企業主体の文脈では個人にとって重要でも緊急でもないから大切なことが軽視される。現代を生きていく上では弱い自己啓発でパーソナリティを保持することが有用である。
幸せの形は人それぞれだが、幸せを感じるのは生存の可能性が高まることができている時だろうと思われる。ただし何が自分にとっての幸せかの解釈は人生のステージや時間のスパンによって変化するものである。
タスクというものは前提として降り掛かってきているものである。状況自体に問題があるにもかかわらず共同体意識によって逃げられない心境に陥ることがしばしばあるが、周りに迷惑がかかるから仕事を休めない、は大抵間違っている。そしてみんなが逃げずにいると「逃げ」がもたらす事態を過剰に悪く想定しがちである。
タスク管理だけで仕事や人生の問題が解決するわけではないが、タスク管理を通して自分のキャパシティを知ることができ、セルフケアとして意義がある。
そもそもタスク管理は不完全であることが宿命づけられているもので、完璧にやる必要はない。