糸球体疾患
糸球体疾患の中でも毛細血管やメサンギウムが障害されれば血尿が出るのに対し,基底膜と上皮細胞の障害が主体のものでは血尿は出にくい.
【症候診断名(臨床症候分類)】
【組織診断名(病理組織学的分類)】
【病因による診断名】
<一次性>
病理組織学的分類による名称が診断名(疾患名)となる場合が多い
<二次性>
<遺伝性・家族性>
※症候診断名と組織診断名を合わせて慣習的に使用される診断名
×a 扁桃炎罹患2週後に乏尿となった男児
急性糸球体腎炎に伴う急性腎炎症候群の病歴であり,組織所見は管内増殖性糸球体腎炎を呈することが多く合致しない.E59小370
×b 全身浮腫が数日の経過で出現した20歳台の男性
若年者に急性発症したネフローゼ症候群の病歴であり,組織所見は微小変化型もしくは巣状糸球体硬化症と考えられ,合致しない.E64小379
×c 発熱,関節痛,顔面の紅斑および浮腫が出現した20歳台の女性
病歴から,全身性エリテマトーデスの患者がループス腎炎を合併し,浮腫を呈したものと考える.ループス腎炎でも半月体形成性腎炎を伴うこともあるが,その場合は光学顕微鏡で確認できる免疫複合体の内皮下への沈着や管内増殖病変を同時に認めることが多いため合致しないと判断する.E92小440
×d 糖尿病腎症の治療中に浮腫が出現し増悪した60歳台の女性
糖尿病性腎症の進行に伴うネフローゼ症候群の病歴であり,合致しない.E87
○e 浮腫と腎機能低下とが数ヵ月で進行した70歳台の男性
急速進行性腎炎症候群の病歴であり,本組織所見に最も合致する病歴である.E61