ネフローゼ症候群
#腎泌尿器科 症候診断名
➀尿蛋白3.5g/day(随時尿において尿蛋白/尿Cr比が3.5g/gCr以上の場合もこれに準ずる).
②低Alb血症:血清Alb≦3.0g/dL、血清総蛋白量≦6.0g.dL
③浮腫
④脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
➀②必須
【病態】糸球体濾過バリア機能の破綻
【分類】
<続発性>
若年者
ループス腎炎(膠原病・膠原病類縁疾患に伴う)腎病変(膠原病)
IgA血管炎
中高年
糖尿病性腎症
アミロイド腎症(関節リウマチ RAなど炎症性疾患に伴う)
Multiple myeloma(多発性⾻髄腫)など血管疾患に伴うもの
悪性腫瘍
<原発性>
微小糸球体病変
_<一次性>
微小変化型ネフローゼ症候群→AKI合併しやすい(高度蛋白尿、低アルブミン血症、高齢)血尿なし
生理的蛋白尿
_<二次性>
悪性リンパ腫(Hodgkinリンパ腫)
巣状分節性糸球体硬化症FSGS
膜性腎症MN(血尿なし)
膜性増殖性糸球体腎炎 MPGN
メサンギウム増殖性糸球体腎炎
IgA血管炎
ループス腎炎
先天性ネフローゼ症候群
【合併症】
急性腎障害(AKI)(発症率が30〜40%との報告も)
浮腫
腎機能障害
脂質異常症
血液凝固異常(血栓傾向)
内分泌異常
免疫不全
易感染性
【検査】
尿沈渣所見は:卵円形脂肪体,脂肪円柱,脂肪滴
https://scrapbox.io/files/680a1a1867e1bdf220899979.jpg
ネフローゼ症候群では脂質異常症となり,糸球体から濾過される脂肪成分が増加する.尿細管上皮細胞が濾過された脂肪成分を過剰に再吸収すると脂肪変性をきたし,脱落して卵円形脂肪体を形成する.卵円形脂肪体が尿細管腔内で崩壊すると,細胞内の脂肪滴が遊離して脂肪円柱が形成される.
【治療】
免疫抑制剤:副腎皮質ステロイド、シクロホスファミド、シクロスポリン→予後の改善
アルブミン製剤投与→全身性浮腫が難治性の場合や血漿膠質浸透圧低下に起因する血管内脱水が高度で循環動態への悪影響が懸念される場合
塩分制限→腎血流量低下に続発する続発性アルドステロン症によりNa貯留を生じる
低蛋白食:蛋白異化予防のため十分なエネルギー補充(35kcal/kg/day)
レニン・アンジオテンシン系抑制薬:ACE阻害薬、ARB→蛋白尿減少、腎保護作用
※血清Ca濃度の測定値が低値であっても安易にカルシウム製剤を投与してはならない.血清のCaは約半分がアルブミンと結合しており,低アルブミン血症の場合にはみかけ上減少してみられることが多い.
※ネフローゼ症候群が比較的高度の場合には,大量の水分や塩分負荷を行うと,浮腫の増悪を招くので注意が必要である.