フルレンジ・スピーカー
#スピーカー・ユニット #スピーカー #自作スピーカー
#日記 #2024年 #2月11日 2024年2月-11 00:11
フルレンジ・スピーカーに、2-wayにはない性能・コスト面での魅力があるのか?と問われたら、よく分からない。
2-wayと比べると、フルレンジスピーカーの音は、低音または高音(というか、両方とも)が足りず、「あっさりとした音」になることが多いが、それは魅力とは言えない。
ユニットを高価なものにして箱を自作すれば、もしかすると、同価格帯の2-wayに近いワイドレンジで高解像度のスピーカーを手に入れることも可能かも知れないが、手間ひまかかる上に、製品情報もバリエーションも2-wayにはかなわないので、総合的な導入・運用コストで劣る。コスト面でメリットがあるのは、2-wayスピーカーを自作する場合で、必要な知識も資金も少なくて済む。
スピーカーの音質は、スピーカー・ユニット以外に、ユニットを収める箱の種類や性能によって大きく変わる。以前に、「2024年のGW前半は、ただスピーカーの音を聴いてます」に書いたように、ユニットを活かすも殺すも箱次第である。
フルレンジスピーカーは、性能的に不足する点があることを理解した上で、たとえば、低音を持ち上げたり異音や歪みを抑えたりするための様々なスピーカー設計技術を学んだり、自分の好みとなるツィーターや、ウーファー、ミッドパスの音色・音質を探したり、クラフト(DIY)・スピーカーを楽しむのに向く。あれこれ試行錯誤しながらDIYを楽しんだり、いろんなユニットを入手して音色を楽しむのが、フルレンジ・スピーカーの魅力であるため、かなりの散財を覚悟した方が良い。
なのだが、敢えて、最初のフルレンジ・スピーカーを選ぶとしたら、箱のサイズと設置スペースを勘案して、以下のユニットから1つを選んで、スピーカーを作ると良いと思う。スピーカーの作り方を自分で調べる余裕のない人には、ONTOMO MOOK stereo編で練習する(私もそのレベル)か、ヤフオクで1〜2万円台で注目スピーカーを落札するまで気長に待つのがお勧め。
気に入っているユニット
5〜6cm: 1〜2L程度の小さな箱で楽しみたい人向け。箱が小さく物理的な制約を受けやすいので、設計や工作に工夫が必要になるかも
Scan-Speak 5F/8422T-01 (レギュラー製品),, 5F/8422T-03(Stereo誌(2013年)付録)
T01の方がワイドレンジで高性能。ペアで2万円を越える高額ユニットだが、レギュラー販売されているため入手容易。
T03は、高・低音が不足するが、中音の質が高く、フルレンジの魅力を十分に発揮する。10年以上前の雑誌付録の限定品だが、今でも時々、Ontomo Shopで売れ残り在庫を入手可能(そろそろ品切れ?)で、また、中古をヤフオク等で入手可。1Lくらいの箱が適合するが、Stereo誌付録のダブルバスレフは、ユニットの性能を引き出しておらず、お勧めしない。iDice miniという今は販売されていないアルミダイキャスト製のバッフルの箱(0.8Lくらい)は、良い音がする。小型ユニットは、箱の響きを楽しめるように板を薄くした方が良いと言われることが多いが、T03の場合には頑丈なバッフルでもOK。容積が大きくなるが、チャンバー型トランスミッションラインも適合する。
Wavecor FR085CU02(レギュラー製品), FR085CU03(ONTOMO MOOK、ペアで9千円)
バスレフ箱で低音を容易に伸ばすことができる。Ontomo Shopで販売されているウェブコー設計の4L弱の大きめの容積のエンクロージャがリファレンス設計として適するが、2Lの容積に収めることも可能。頑丈な箱を作る必要がある。
8〜9cm: 3〜5L程度の箱までなら設置できる、作るスペースもある、という人向け。
机の上に設置して聴くサイズのものはこのあたりのサイズが上限。
ユニットのバリエーションが豊富。
比較的安価なもの: 私は安物ばかり聴いていたからかいまいちなものが多かったのだが、ある日、箱の問題と分かった。
SPK Audio FR03EやMarkaudio CHN519などペアで7〜8千円程度のもの
安くも高くもなく、音質はそれなりだが、良い箱を作ることができれば、常用可。
2024年のGW前半は、ただスピーカーの音を聴いてます
2〜3ペア購入して箱を試作評価して、DIYの腕をみがくのに向く。
少し値の張るユニット
Markaudio Alpair5 v3: とても良い。大音量は出せないと言われているが、私はそこまで大音量で鳴らす必要性を感じたことがない。低音が出ないとも、言われているが、手元の5L箱では十分な低音
Tang Band W3-2141: 美音である。それで、WinISDで適合するであろうバスレフ箱に入れたつもりであったが、T/Sパラメータが公称値通りでないのか、低音がちょっと出過ぎるので、自分で作り直す予定である
その他、いろいろ出されている。
高額ユニット
Tang Band W3-1878: ペアで4万円超えで、高品位でワイドレンジであるとして評価が高いが、設計難易度は高いようだ。2025年5月現在は、音工房Zから(今の為替レートからするととても良心的な価格で)入手可。(私の手には余りそうなので、高額ということもあり、私は未購入。)
10cm: 6〜15L程度の大きな箱を設置できる人向け。スピーカーに15万円くらいかけても良い人向け。サブウーファーやツィーターを加えずとも結構聴けるものが多いので、結局は安上がり。DIYでなく、完成品のフルレンジスピーカーをはじめて購入される方には10cmがオススメ。
Markaudio MAOP7 Gen2
ワイドレンジである。高音がざらつく感じもするが、ボーカルがくっきりとする。弦楽器なども自然な音で良い。低音の量感もあるし、また、応答が速くて良い。
ペアで5万円と高額だが、15万円くらいの2-wayブックシェルフと同等の音が出るので、箱を自作しない人は、15万円くらいの予算を組んで、箱に10万円ほどかけても損しない。
7〜10L程度の容積のバスレフ箱が適す。
Markaudio Pluvia 7HD: 悪くない。MAOP7に比べると安価だが、必要容積は大きめ(9〜15Lくらい)。
それ以上の大きさ: ユニットも箱も大きくなる代わりに、ユニットの選択肢が減り、高額になるので、私は遠慮している。低音が格段によくなるのは理解できるが、10cmを超えたら、2-wayか3-wayの方が無理がなくて良いと思っている。
まとめ
フルレンジのスピーカーに手を出すなら、設置スペースを勘案して、ユニットのサイズを決めると良い
机の上に置きたい人や、たくさんいろんな箱を作ってみたい方には、5〜8cm程度。
音質にこだわる人や完成品の購入を予定する方には、10cmがお勧め。
10cmを超えるユニットは、最初の1台としてはお勧めしない。
フルレンジ・スピーカーは、スピーカーを自作(DIY)することや、音響工学に関心のある人に向く