フルレンジ・スピーカー
#スピーカー・ユニット #スピーカー #自作スピーカー
#日記 #2024年 #2月11日 2024年2月-11 00:11
#日記 #2026年 #1月5日 2026年1月-5 16:17 改訂
フルレンジ・スピーカーとは、1種類のユニットで再生周波数域をカバーするスピーカーユニット(フルレンジユニット)を載せたスピーカーのことである。
フルレンジ・スピーカーに対して、複数の異なる周波数域を担うユニットを組み合わせて作られたスピーカーは「マルチウェイ・スピーカー」と呼ばれる。
多くのフルレンジスピーカーは、主要楽器や歌声に対応する200Hzから10kHzまでの音域をカバーする。音楽観賞用のユニットはもう少し広いレンジをカバーするが、全般的には、低音または高音(というか、両方とも)が不足し、「雑味のないすっきりとした音」になることが多い。
フルレンジスピーカーの採用例が多いのは、ユニットの設置スペースに制約を受けるポータブルな製品だろう。スマホやBluetoothスピーカーなどである。Bluetoothスピーカーでは、アンプで低音を増強するなどして低音域を広げているものがよく見られる。
音楽鑑賞用途ではマルチウェイ・スピーカーが製品に採用されることが多いが、フルレンジ・スピーカーも市販されている。複数ユニット間の整合性の問題が生じないことや、理想的な点音源を実現可能な点などが利点とされる。デメリットである音域の狭さを広げるには、上述のアンプによる低音ブースト以外に多くの選択肢がある。音域だけでなく音質を向上させるには、ユニットを格納するエンクロージャに工夫を凝らすのが有効である。エンクロージャは様々な音質特性に影響を与える。以前に「2024年のGW前半は、ただスピーカーの音を聴いてます」に書いたのだが、ユニットを活かすも殺すもエンクロージャ次第である。
スピーカー自作愛好家たちは、様々な工夫により、音楽観賞用途のフルレンジスピーカーを製作している。
現在もっとも普及しているエンクロージャは、音質とコストや設置サイズのバランスに優れたバスレフ型のものだが、バスレフ型にも特有のクセや制約があり、必ずしも性能面で他を圧倒しているわけはない。また、製品の大きさ・形状にはそれほどバリエーションがあるわけではなく、必ずしも、購入者のニーズや好みに応えているわけではない。
自作であれば、様々なタイプのエンクロージャを採用可能である。そして、自作の第一歩として適しているのがフルレンジ・スピーカーだ。マルチウェイ・スピーカーには、複数の異なるユニットを組み合わせるためにネットワーク回路(スピーカーのネットワーク回路参照)が必要だが、その設計には、簡単な電気回路に関する知識に加えて、ユニットやエンクロージャの特性についての深い知識が必要となる。工作キットもあるが、フルレンジを採用したものに比べて部品点数が多く割高となる。フルレンジであれば、エンクロージャの製作に注力でき、費用も多少は抑えることができる。
フルレンジ・スピーカーにもいろいろあるが、最初のフルレンジ・スピーカーを選ぶとしたら、日本の住宅事情を勘案して、以下の小型ユニットから1つを選んで、スピーカーを作るのがお勧めである。万が一、工作が楽しくなってしまうと、部屋がスピーカーで埋め尽くされかねないので、可能な限り小さく、そこそこの音質のスピーカーから始めるのが良い。
スピーカーの作り方を調べる余裕のない人には、ONTOMO MOOK stereo編などの自作キットで工作練習する(私もそのレベル)か、いっそ、自作を諦めて、ヤフオクで1〜2万円台で売られている完成品を入手するのがお勧め。設置場所や利用方法にあわせて、事前にエンクロージャのサイズや形状を決めておくのが良い。
5〜6cm: 1〜2L程度の小さな箱で楽しみたい人向け。箱が小さく物理的な制約を受けやすいので、設計や工作に工夫が必要になるかも
Scan-Speak 5F/8422T-01 (レギュラー製品),, 5F/8422T-03(Stereo誌(2013年)付録)
T01の方がワイドレンジで高性能。今ではペアで2万円を越える高額ユニットだが、レギュラー販売されているため入手容易。
T03は、高・低音が不足するが、中音の質が高く、フルレンジの魅力を十分に発揮する。10年以上前の雑誌付録の限定品だが、今でも時々、Ontomo Shopで売れ残り在庫を入手可能(そろそろ品切れ?)で、また、中古をヤフオク等で入手可。1Lくらいの箱が適合するが、Stereo誌付録のダブルバスレフは、ユニットの性能を引き出しておらず、お勧めしない。iDice miniという今は販売されていないアルミダイキャスト製のバッフルの箱(0.8Lくらい)は、良い音がする。
Wavecor FR085CU02(レギュラー製品), FR085CU03(ONTOMO MOOK、ペアで9千円)
バスレフ箱で低音を容易に伸ばすことができる。Ontomo Shopで販売されているウェブコー設計の4L弱の大きめの容積のエンクロージャがリファレンス設計として適するが、2Lの容積に収めることも可能。頑丈な箱を作る必要がある。CU02はCU03と比べて高音質で、また、1L程度の小さな箱に納めることも可能。
8〜9cm: 3〜5L程度の箱までなら設置できる、作るスペースもある、という人向け。
机の上に設置して聴くサイズのものはこのあたりのサイズが上限。
ユニットのバリエーションが豊富。
比較的安価なもの: 音質はエンクロージャの性能次第
SPK Audio FR03EやMarkaudio CHN519などペアで7〜8千円程度のもの
安くも高くもなく、音質はそれなりだが、良い箱を作ることができれば、常用可。
2024年のGW前半は、ただスピーカーの音を聴いてます
2〜3ペア購入して箱を試作評価して、DIYの腕をみがくのに向く。
CHN40pmica/OM-OF4-Mica: エンクロージャの作例が豊富。オントモムックのダブルバスレフや、Markaudioのページで紹介されているチャンバー型トランスミッションラインが優れもの。
少し値の張るユニット(ペアで2万円前後)
Markaudio Alpair5G: フルレンジ・ユニットにしては高音が伸びており、ツィーター不要な点が最大の魅力。3〜4L程度の小さな箱で鳴らすことができる。
Markaudio Alpair5 v3: とても繊細な音を奏でる。4〜5L程度の容積の箱が適合。
Tang Band W3-2141: 美音である。それで、WinISDで適合するであろうバスレフ箱に入れたつもりであったが、T/Sパラメータが公称値通りでないのか、低音がちょっと出過ぎるので、自分で作り直す予定である
その他、いろいろ出されている。
高額ユニット
Tang Band W3-1878: ペアで4万円超えで、高品位でワイドレンジであるとして評価が高いが、設計難易度は高いようだ。2025年5月現在は、音工房Zから(今の為替レートからするととても良心的な価格で)入手可。(私の手には余りそうなので、高額ということもあり、私は未購入。)
10cm: 6〜15L程度の大きな箱を設置できる人向け。スピーカーに15万円くらいかけても良い人向け。サブウーファーやツィーターを加えずとも結構聴けるものが多いので、意外と安上がり。幅広い音楽を聴きたいのであれば、低音に余裕のある10cm以上のものがお勧め。
Markaudio MAOP7 Gen2
ワイドレンジである。高音がざらつく感じもするが、ボーカルがくっきりとする。弦楽器なども自然な音で良い。低音の量感もあるし、また、応答が速くて良い。
ペアで5万円と高額だが、15万円くらいの2-wayブックシェルフと同等の音が出るので、箱を自作しない人は、15万円くらいの予算を組んで、箱に10万円ほどかけても損しない。
7〜10L程度の容積のバスレフ箱が適す。
Markaudio Pluvia 7HD: 悪くない。MAOP7に比べると安価だが、必要容積は大きめ(9〜15Lくらい)。
それ以上の大きさ: ユニットも箱も大きくなる代わりに、ユニットの選択肢が減り、高額になるので、いろいろ自作したい私は遠慮している。低音が格段によくなるのは理解できるが、10cmを超えたら、2-wayか3-wayの方が無理がなくて良いと思っている。
まとめ
フルレンジ・スピーカーは、1種類のユニットを載せたスピーカー。
ポータブルな再生機器(スマホやBluetoothスピーカー)や音楽鑑賞用途など広く使われる。
用途に応じて様々なユニットが市販されるが、多くは200Hz〜10kHzの音域をカバーする。
音楽鑑賞用途では、音域を広げる工夫が必要。音域に限らず、音質を向上させるには、エンクロージャ(筐体)の工夫が有効。
スピーカー自作愛好家たちは、用途や好みに応じて、様々なタイプのエンクロージャを採用したフルレンジ・スピーカーを製作している。
スピーカー作りの第一歩としてフルレンジ・スピーカーがお勧め。電気回路に関する知識や部材をほとんど要求しないので、エンクロージャ製作に専念できる。
日本の住宅事情を勘案すると、最初に作るのは5〜10cm程度の小さなユニットを用いたスピーカーがお勧め
机の上に置きたい人や、たくさんいろんな箱を作ってみたい方には、5〜8cm程度のユニットがお勧め。
音質にこだわる人や完成品の購入を予定する方には、10cmがお勧め。
10cmを超えるユニットは、最初の1台としてはお勧めしない。
本文中で、Markaudio, Tang Band, SPK Audioのフルレンジ・ユニットを紹介
フルレンジのユニットについては、ページの下のLinksにいろいろ写真つきのものが自動リンクされているので、参考までに。