FR085CU03
#スピーカー・ユニット #フルレンジ・スピーカー
#自作スピーカー
#日記 #2024年 #1月5日 2024年1月-5 19:14
ONTOMO MOOK stereo編の2023年版の付録のWavecor製の6cmスピーカー・ユニット。横浜ベイサイドネットからは、20周年記念ユニットのFR085CU02( 横浜ベイサイドの販売サイト)が兄弟ユニットとしてリリースされている。
スペック
table: FR085CU02/03シリーズ比較(+参考PLS-P830984/5)
品名 有効半径 インピーダンス 出力レベル F0(Hz) Qts Vas Sd (cm2) mms(g) Xmax(mm)
FR085CU03 2.59 4 86 114.00 0.870 0.61 21 2.000
FR085CU02 2.65 4 84 89.00 0.470 0.6 22 3.600 2.7
PLS-P830984 2.60 8 82.7 110.00 0.750 0.547 21.20 2.270 3.38
PLS-P830985 2.60 4 82.3 117.16 0.630 0.61 21.20 1.900 1.7
Wavecor 製品のFR070WA03と同スペックで、フランジ形状が四角形から円形に変更されている。
フェライト磁石を用いており、Qts大きめでFsが大きい割に低音を出しやすいが、制動を効かせにくい傾向。(姉妹版のCU02はデュアル・ネオジム磁石仕様で、磁気回路が強く、それにあわせて(?)振動系を重くして、CU03より制動を効かせている(ダンパーの柔らかさはCU03と同じ)。)
その他
開口径 62.5mm ネジ穴ピッチ 74mm。端子は、+端子が187, -端子が110の平形端子。
Peerless PLS-P830985 と互換一仕様。端子の取り付け位置もほぼ同じなので、バッフルの取り付け穴の端子用の切り欠きなどもそのまま使える(ただし、フレーム形状が異なるので、バッフルを落とし込んでいる場合は互換性なし)
Qtsなどのパラメータが、CU03とCU02の中間的なのがPLS-P830985という感じなので、聴き比べが楽しそう
鬼目ナットはM3までが無難、特にMDF等の柔らかい板でエンクロージャを作成する場合(後述)。
対応エンクロージャ例
バスレフ型が適す。大きさに割に低域が伸び量感もあるので、低音増強を追求する必要はない。YSクラフト佐藤勇治氏によれば、「コーンの機密性が高いので、」(略)「補強を入れて堅牢に箱鳴りを抑えた箱が好ましい」とのこと。私がいくつかつくった限りでは低音が散漫な音質になりがちなので、低音の質を高める工夫が求められるかも知れない(私は答えを見つけていない)。
各社のエンクロージャ・キット販売(掲載順に特に意味はありません)
共立電子: WP-SPFR085
2L弱の大きさで、共振周波数80Hz。
ONTOMO Shop: https://ontomo-shop.com/?pid=178613508
Wavecor社設計のキット。
4L弱で、バスレフポートの共振周波数 64Hz程度。
私は、junichitanzawaさんが12mm厚にアレンジしたWavecor設計標準箱(ヤフオクに出品)。
ONTOMO Shop スピーカー自作キットのセール販売で、ユニット付きのエンクロージャが特価で販売されていたのを注文中。junichitanzawaさんのと比較する予定。
吉本キャビネット(Bearhorn) https://bearhorn.jp/products/db-fr085cu03/
約2.5Lで、バスレフポートの共振周波数95Hzほど。
横浜ベイサイドネット: 同社の20周年記念箱。白樺製で、容積約3Lで共振周波数60Hzほど。CU02用だが、CU03も載せられるよう設計されている。
ONTOMO Shopと横浜ベイサイドネットのキットは、低域を素直に伸ばしたもので、共立電子と吉本キャビネットのキットは低音の量感重視。NFJのは最適化してないが、小音量であれば割とOK。
所感
2〜3L程度の比較的小さなバスレフ箱でワイドレンジに鳴らせる。
junichitanzawaさんが12mm厚にアレンジしたWavecor設計標準箱(ヤフオクに出品)の低音の質が高く、満足度がかなり高い。
対して、共立電子とBearhornさんのキットは、コンパクトながら、低音を強調した設計。特にBearhornさんのものは小音量で鳴らした際に低音をなるべくしっかりと鳴らす設計(気になる場合は、吸音材で調整可)。
中音は、自然な音色がする。私の手持ちのスピーカーは、どこかにクセがあったりするものが多いので、すごく安心する。それでいて退屈な音でもない。
低音は、少々散漫な音である。高音は若干不足気味。この辺りは部屋のサイズその他が影響するが、小さな部屋で聴いている私には許容範囲。
音量はスペックよりも出ない感じで、ボリュームをかなり上げる必要あり。
小さめの箱(1L箱で共鳴周波数110Hzくらい)でも、それなりに鳴ってくれて、扱いやすい。
エンクロージャ比較
ONTOMO MOOK stereo編に暫定試聴結果を記載中(いずれ、まとめ直します)。ヤフオクのjunichitanzawaさんがONTOMO MOOK版の板厚を増やしてモディファイした箱(Wavecor設計箱)が優れものです。共立電子やBearhornのキットは低音過多な印象ですが、デスクトップで小音量で聴く場合や元気に鳴らしたい場合など、こちらの方が好みの人もいるだろうと思います。あと、低音過多と感じたら、吸音材で調整可能です。BSNのCU02用の20周年記念箱は未購入ですが、ONTOMO MOOK版に似た音の良い箱だと思います。
注意点
ユニット端子と樹脂製の台座との間の接着が弱い個体があった。特に夏場は接着剤が弱くなるので、ファストン端子を外す際にユニット側の端子をペンチで押さえた方が良い。
私の場合、台座から端子が抜けてしまい、その際にボイスコイルへの細い配線を強く引っ張って断線あるいはユニット側の回路を壊す可能性あり。(端子が抜けたケースが2例、そのうち故障してノイズが乗ったケース1例。)
故障したケースでは、導線を強く引っ張ってしまった後で、ジェル状のアロンアルファで接着し直して使っていたのだけど、しばらくして、このユニットから、がさごそと雑音が出るようになってしまった。少しいじると復活するのだが、しばらくすると、再び雑音が出るようになったので、使うのを諦めた。
低音過多になりやすい。
M4でねじ止めできるようフランジは設計されているが、ネジ留め位置と開口穴が近いので、MDF製のバッフル板に鬼目ナットを埋込むなら、M3が良い。
なぜならば、ユニット開口径(直径)を64mmとするとネジ取付け位置ピッチが74mmなので、ネジの中心と開口側面との距離が5mmしかないため。もし、M4の鬼目ナット(Eタイプ)を埋込むとすると、外径7.5mm下穴径 6mmなので、下穴側面から開口穴側面まで2mm, ナットの外径から1.25mmしか余裕がない。M3(L10)も厳しいが、外径6mm下穴4.5mmとして、ナット外径から2mmの余裕ができる。
実際 NFJ箱では、M4鬼目ナットを埋込む際にMDF板の開口穴を壊した。
NFJ箱には、M4ナットを埋込んだが、下穴開け(5.6mm)やナット埋込みの際にユニット開口側面がえぐれて、補修が必要となった。少なくともNFJ箱で使用される日本製MDFは、1.5mm厚では、ドリル開口時に板が崩れる。別の箱になるが、共立電子の15mm厚さの箱では、M3のナットを打ち込んでも問題なかったので、2mm厚あれば崩れずに済むかも。
共立箱には、M3鬼目ナットを打ち込んだが、開口側面は問題なかった。その他にも異なるMDF板で試したが、問題なかった。
なお、FR085をM3でネジ締めすることは可能であることは事前に確認済みで、ポリカーボネートのM3用ワッシャーがFR085のフランジのネジ穴座繰り面にぴったりと収まったので、ワッシャーを挟んでネジ留めした。
M3の下穴開けには、4.3mm径のドリルを使用した。
エージング: 小音量でも100時間ほど流せばエージングを完了できる。
私がビルドしたもの(私がビルドした順)
共立電子: WP-SPFR085
2L箱で、共振周波数80Hz
共立電子主催イベント(2023.12.16)で聴いたら、CU03で低音がよく鳴っており、好印象。(上流も全て共立のキットで、Raspber Pi3 DAC, プリアンプ、セパレートのパワーアンプ。)
ユニット込で16,000円の特価で販売されていたので購入。
110(w)×180(H)×195(D)mm、すべて15mm厚 MDF、リア・スリット・バスレフ。スリット・ダクト面積は80x5(mm^2)で、長さを測りわすれたが90〜95mm程度。
共立さんがOM-MF4-Mica用に出した箱(WP-SPMF4-MICA)と外形は同じジオメトリである。それにも関わらず、Mica用のエンクロージャより1000円以上安価になっているのは、企業努力の賜物。
CU03は、大きなフェライト磁石がついているので、バッフルが15mm厚もあると、ユニット裏の音の出入りを磁石が妨げる形となるため、バッフル裏面の開口側面を削る必要あり。
ボーズ面のビットで面取りしたが、ユニットのフランジから磁石までの間が板厚の15mm以上あるので、磁石が位置するバッフル裏面の表面近くをえぐるだけでも十分にコーンが動きやすくなるはず。
スリット長が奥行きの半分と仮定して、私の計算だと容積は約1.8Lだ、計算間違い?
WinISDシミュレーションによれば、95~250Hzの範囲に、4dB程度のピークを140Hzあたりに持つなだらかな低音増強があり、80Hzくらいまでなだらかに伸びる感じ。バッフルステップによる低音域の振幅低下を補う意図か。
吸音材: シンサレートのシートを天板、背面、一方の側面、リア・スリット・バスレフポートの手前の底面に貼った。バスレフ・ポートの手前 1 cm ほどは吸音材なしとした。吸音材で塞ぐ形でも大丈夫なのか分からなかったので。
箱と開口径が小さいので、すべての板を接着する前に吸音材を貼ったが、若干低音過多に感じたので、吸音材を増やしたいところ。
CU03のネジ留めの座繰り面にちょうどポリカーボネートのM3サイズのワッシャーが入ったので、このワッシャーを挟んでM3のボルトでユニットを装着した。
所感
私の好み&設置環境からすると、低音を抑えたほうがいいかな。吸音材またはダクトの調整をしたいところ。
フロントバッフルの座繰りを入れてないので、他の6cmユニットを載せて遊んでみたい。(ほぼ同スペックのPLS-P830984を載せたら、良い感じ。)
Wavecor設計箱相当のアレンジ品
ヤフオクに出品されていたjunichitanzawaさんの12mmMDFアレンジ版のWebcor設計標準箱
オリジナル版のジオメトリ: W122 x H230 x D180mm で、ユニットの落とし込み処理がなされているのがポイント高い。
junichitanzawaさんのものは落とし込みがなされていないが、自分で落とし込み加工するのも良し、削らずにPeerlessのユニットなどを試すのも良し。
容積3.7L、バスレフポートの共鳴周波数64Hz程度。
バランスが良く、かつ、低音域も伸びている。個人的に満足。
結構大きめの箱だが、フットプリントは、共立電子箱と同じ。
私の施した小さなアレンジ
エアフロー対策: バッフル裏側の開口側面をやすりで削った
吸音材: 金魚用のろ過フィルター2枚を詰めて定在波と中高音の漏れ対策。
側板のバッフル側の木口をトリマーで斜めにカットして、中高音質向上(?のつもり)
へたくそです。後で、サンダーで整える予定ですが、後回しです。無精者で当分先送りなので、へたくそなのを写真でさらしておきます。
スリットダクトの開口端を少しだけ削ろうかと思ったが、小音量で聴くので、そのまま。
https://gyazo.com/d0b5a631e3e7b0322b521fb9dc1e6c63
所感
低音域を目一杯延ばしていて6cmのバスレフ箱と思えない。以下の欠点が気にならなくなるほどのメリットあり。
この低音は、少し散漫でエネルギーが足りないと感じるかも知れない。
4L弱とすこし大きいのが欠点といえば欠点。
吉本キャビネット(Bearhorn): https://bearhorn.jp/products/db-fr085cu03/
3種類のラインアップあり。
B1: FR085CU03/02専用の落とし込みをしたバーチ製のバッフルと、MDF製の箱。
B2: B1と同じ構成だがバッフルの落とし込みをせず、FR070WA05等の同スペックのユニットに対応した箱
M: B2のバッフルをMDF製にしたもの
共通仕様
2.4L 箱で、ダクトの共振周波数は95Hz
WinISDのシミュレーション結果→ バッフルステップ補償不要の95~135Hz付近に約6dBのピークをもつブロードな低音増強あり。
低音を抑えたい方は、後述する通り、吸音材を追加することで調整可能である。6dBの増強はバッフルステップを考慮するとちょうど良いようにも思えるが、低音の量感は、設置環境や聴き手の好み次第なので、試聴しながら調整するのが良い。
114 (W)× 210 (H) ×167 (D) (mm)、バッフル12mm厚、 その他の表側の板9mm, 内部の補強板 5.5mm。
フロント・スリット・バスレフ
ヤフオクでキットが出されていたB1を入手して試作してみた。
カスタマイズをほとんどせずに作ったが、作りやすい。フロントバッフルがバーチ合板なので、仕上がりもグッド。
低音の量感重視で、様々な環境に対応(調整可)。
我が家では、調整しないままだと、低音過多だった。
吸音材で調整可。私の場合、かなりぎゅんぎゅんに吸音材を詰め込んだ。ポリエステル繊維のキルト芯(2mm厚)を 幅9cm 、 長さ 13 x 8 = 104 (cm)に切り、長さ方向に八ツ折りにして背面下半分にぎっしりと詰め込んだら、低音が散漫にならず、格段に良くなった。窮屈な音になったり、低音がやせ細りすぎたりしないか心配したが、その心配は杞憂であった。低音が強すぎると感じた方はお試しアレ。
所感
低音の伸びは控えめだが、Wavecor設計箱などで感じた低音の散漫な印象が抑えられ、密度のずっしり詰まった良い低音が好印象。
コンパクトで、使い勝手が良い。
NFJ謹製エンクロージャ自作キット
PLS-P830985用だが、同レベル(!)で搭載可。
組立・塗装済みの箱(メルカリで入手)
ダクト: 開口径26mmの穴に、Φ24mm x 96mm長のサブウーファー用のダクトを入れた。
なんか、普通に良い音する。低音がしっかり出ている。
同じ1L箱に入れたPLS-P830985より良い。
かなり箱鳴りするが、あまり気にならない。
https://gyazo.com/98de4e45c86f784504cad113f0c108421
リア・バスレフ型(ダクト: Φ26mmx96mm長)
CU03だとかなり低音(+中低音)過多になると思っており、実際そうなのかも知れないが、小音量で聴く限り問題なし。
ターミナルは、NFJの角形(取付径49mm)の埋込ターミナルで、バナナプラグ接続用端子をWyvern AudioのWV-BT3-2という丸形埋込ターミナル(この丸形ターミナルも取付径49mmだが、ポートと干渉するので使えなかった)の端子に交換。
ただし、1L未満の箱に入れるのであれば、FR085CU03よりもFR085CU02の方が優れる。高額ユニットだが、03も決して安くはないので、コンパクトさを求めるのであればCU02を是非購入されたし(個人的な感想として、1L箱のCU02は、上に挙げたどのCU03箱をも凌駕したので、出費は惜しくないです。ただし、CU03は2025年6月に共立エレショップにて5000円でセール販売されたりしていたので、今後のセール販売価格次第では、DIY用途で買い増すこともあるかも)。