FR085CU02
Wavecorの6cmフルレンジユニットで、私が最も気に入っているユニットのひとつである。
横浜ベイサイドネットが2023年に創業20周年を記念して販売したWavecorの6cmフルレンジ・ユニット。同じ年にONTOMO MOOKからも兄弟ユニットであるCU03が発売された。
FR085CU02は、少し値が張るものの、初心者のクラフト用ユニットとして適している。手の込んだことをせずに簡単にワイドレンジで、コンパクトなスピーカーを作ることのできる、申し分のないフルレンジ・ユニットだと思う。
最初の印象は高音が若干控えめで、解像度が低目。中音は、素直できれい。解像度は、ユニットだけではなく、箱の問題でもある。高音が大人しいが、老耳な私には、ツィーターを足すほどではない。高音不足が気にならないのは、アルミコーンから心地よい音色の高音が聴こえて来るからだと思う。私がニアフィールド用に使っているAlpair6MやOM-OF101、5F/8422T03はアドオンツィーターが必要なので、ツィーターなしで聴けるのは、大きなアドバンテージだ。
CU02は小さな容積で、バランス良く低音が出ており、2-wayのスピーカーから切り替えたときの不満が他のフルレンジよりも少ない。なので、真のフルレンジという謳い文句はその通りかと思っている。3.5Lくらいのバスレフ箱に入れても、低音がブーミーにならないようにバスレフポートを設定すれば、良い感じに鳴ってくれるが、個人的には小さな箱の方が良いと思うし、他のユニットとの差別化ができると思う。
問題点をひとつ挙げるとすれば、能率が低いこと。広い部屋で家族と聴くのには向かない。狭い自室でニアフィールドで聴くのが良いと思う。
私はくっきりとした解像度高目のスピーカーが好みなのだが、偶然も重なって、1L箱でそこそこの解像感を出すことができた。
それは、リアダクトに使っている塩ビ管がユニットの磁石と干渉して、両面のバッフルでユニットを支える構造になっているからと思われた。板厚は9mmしかないので、小音量で音楽を流しても、エンクロージャ全体が思いっきり振動して、いわゆる箱鳴りを起こしている。それでも解像度の高い音を再生できているのは、ユニットが後ろのバッフルとも緩く結合されたことによりフロントバッフルの振動の影響が低減されたからなのか、単にユニットの後ろ側の振動が低減されたからなのか分からないが、興味深い。
あ、いや、その前に、ダクトと干渉しない箱と比較しないことにははっきりしないので、比較用の箱を作る必要があるのだが。また、ダクトと干渉させるのではなく、支柱で支えるとか、内部フレームを入れてゴムかなにかを挟んで緩く固定するなどして、遊んでみたいと思う。箱がコンパクトなので、工作精度は求められるものの、材料代は安くなるし、実験箱が邪魔にならないのが良し。
試聴
コイズミ無線のキューブ型エンクロージャ・キット(約0.8L、 Fb=80Hz弱)
75Hz(ダクトΦ13mm x 81mmLくらい)と80Hz(ダクトは同径で、長さ 70mmくらい)を比べると、だら下がり系の75Hzの方が良いと感じた。どうも低音が伸びたことよりも、分解能が増したように思う。ユニットの磁石とダクトが物理的に干渉して、磁石をエンクロージャに固定する構造になったので、それで解像感が増したのではないかと推測している。
なので、ダクトを干渉しない長さに戻す、あるいは、できれば、干渉しない箱を作って比較試聴する予定。
磁石を箱に固定するのは古(?)の技で、効果ありそうなのだけど、磁石を固定する方式だと、ユニットを交換しやすい構造を設計するのが大変なので、一工夫必要。スピーカー・ユニットの制振手法にいろいろ書いていこうと思う 組み立てて、ミルクペイントで塗装した。
https://gyazo.com/21ff5eb8a42f65b6c129f6b5c70151d0
scrapbox(このWebサイト)の色にあわせて、ターコイズブルーを使ったツートンカラーにしてみたのだけど、後ろ側をベージュ系にしたので、ばっふる以外が、背面のふすまに溶け込んで目立たない罠。
音は最適な感じする。キレが良い!低音もちょうど良い感じ。バッフルの板厚を増やして、ディフラクション対策も加えた箱も作ってみようと思う、解像度がさらにアップするはず!あと、スピーカー・ユニットの制振手法も試す。 (コイズミ箱に納める前の試聴結果): NFJ 謹製MDFエンクロージャキットの1L箱(塗装済のものをメルカリで入手)に装着。
バスレフポート長不足でボン付いているはずだが、意外と良い感じ。
14.5L箱にいれた10cmユニットのMAOP7と遜色ない、と言ったら大げさだが、1L箱に入れた6cmユニットとは思えないほど周波数範囲が広いので、クラシック音楽などもいける(たまたま直前に聴いた8cmのFF85K(FF85WKではない)だと、どうしても低音不足で音が痩せたような感じになるのだが、それがほとんどない。)
分解能はぼやんとしてしまう、これは、ユニットの性能よりも、エンクロージャ、特にバッフルの板厚が9mmと薄いからだと思う。(なぜなら、15mm厚や12mm厚の箱に納めたFR085CU03はもう少し良いので。アンプ性能を出し切るまでは至らずだが、それはCU03の限界かも。) 低音が多少もたつくのは、、、短か過ぎるバスレフポートを固定していないからか、箱の板厚が薄いからか、、、改善できないかも知れないけれど、あまり気にしていない。
最適化はこれからだが、とてもお気に入りのユニットである、コンパクトでも万能に鳴る点を活かしたいユニット、旅のお供にしたい(一人旅ならヘッドフォンだが)。
容積0.8Lで共鳴周波数80Hzだとフラットな低域が実現できそう。1.2Lで73Hzとかでも良い感じ。ダクト(円筒)径20mmだとダクト長を確保するのが難しく、13mm径の細いダクトにして小音量で鳴らしたらどうか。小音量で聴くので、ダクトから変な音は出ないと期待。
欠点は、能率低いこと。CU03と比べてもかなりボリュームを上げないと聴こえない。でも、それくらいか。
エージング(1L箱にて)
10〜20時間目: あれ、CU03の方がいいかも知れない。能率低いからかも。
30時間目: よくなってきたと思う
50時間目: 30時間目と変わんと思う。
100時間目: なんだか、きびきびとしていていいかも、能率は悪いけれど。小さな箱で低音が出せるのがこのユニットの良いところだと思う。横浜ベイサイドネットの箱は3L以上あるので、箱の作り方次第なのかも知れないけど。