ルベーグ積分入門
* 1章 : はじめに
・動機 : Lebesgue測度とは, 空間における"体積"の一般化 ---> Riemann積分における体積の変わりにLebesgue測度を用いる.
---> 完全加法性により, 関数列の極限や無限級数が扱いやすくなる.
概観
$ \mathfrak{F}上の有限加法的測度$ mを$ \Gamma(X) = \inf \sum_{E_k}m(E_k)として拡張すると、$ \Gamma:外測度 $ \Gamma可測集合$ M_\Gammaはσ加法族で、$ M_\Gamma上では$ \Gammaは(完全加法的)測度になる。 https://gyazo.com/b242885eee941e99b4130955bbea524c
* 2章
有限加法族$ (X,\frak{F}) : 有限加法族 ※ $ \frak{F}:部分集合族
※ $ \mathfrak{I}_N : \mathbb{R}^Nにおける(開)区間全体
※ $ \frak{F}_N:\mathbb{R}^Nの区間塊の全体
※ 区間塊 : 有限個の開区間の直和で表される集合の事。(互いに素な開区間の和の集合)
・Th 4.1
$ Z = X \times Y、$ \frak{F}_X,\ \frak{F}_Y : X,Yの部分集合とする.
$ K(\subset Z)=E\times F,\ \ (E \in \frak{F}_X,\ \ F\in \frak{F}_Y)なる集合$ Kの形で表される集合の
直和から成る集合の全体$ Rは有限加法族となる.
※ $ Rは$ K_1+K_2的なのの集合な事に注意.
※ 有限加法族は無限和が閉じてるとは限らない。(無限和が$ \frak{F}に含まれる場合に測度の完全加法性が言える。) ※ 完全加法的測度$ (X, \mathfrak{F}, m) : 完全加法性を満たす有限加法的測度 $ A_i \in \frak{F},\ \ \ A_i :互いに素 について,
$ A = \sum_{n=1}^\infty A_n \in \frak{F}\ \ \Longrightarrow\ m(A)= \sum_{n=1}^\infty m(A_n)が成立する時, $ mの事を(完全加法的)測度と言う. 有限加法的測度の場合は、$ m\left(\sum_{n=1}^N A_n\right) = \sum_{n=1}^N m\left(A_n\right)で、$ \inftyで成立しない。
・区間塊全体に対する有限加法的測度の構成 : ルベーグ測度につながる。区間塊 --> 有限加法的測度。
$ X = \mathbb{R}^N,\ \ \mathfrak{F} = \mathfrak{F}_N として、測度$ m を有界区間$ I=(a_1,b_1]\times...\times (a_N,b_N] に対しては、 $ m(I) = \prod_{i=1}^N \{f_i(b_i) - f_i(a_i)\} として、
有界でない区間$ Iに対しては、
$ m(I) = \sup \{m(J)\} ($ J:Iに含まれる任意の有界区間)として、
区間塊$ E = I_1 + ... + I_nに対しては
$ m(E) = \sum_{i=1}^n m(I_i) として定義する。
この時、$ m:\mathfrak{F}_N上の有限加法的測度となる。 ↑の$ f_i(x)が右連続$ \Longleftrightarrow\ mは完全加法的
※ 有限加法的測度との違いは、劣加法性が加算無限でもokなのと互いに素な和のアレが一般に成立しない事。 $ (X,\mathfrak{F},m)について、($ m:有限加法的測度) 1. $ \forall A \subset Xに対して、$ A \subset \bigcup_{i=1}^\infty E_nなる掩い方$ E_n \in \mathfrak{F}が少なくとも一つ存在する。
また$ \Gamma(A) = \inf \sum_{n=1}^\infty m(E_n)とすると、$ \Gamma:外測度
2. 特に$ m:\mathfrak{F}上で完全加法的ならば、$ E \in \mathfrak{F}に対しては$ \Gamma(E)=m(E)となる。
一般には$ \Gamma(E) \leq m(E)。
↑「$ m:完全加法的なら$ m=\Gamma」
Lebesgue外測度 $ (X,\mu^*) : 体積の拡張
完全加法的測度$ m(I)=\prod_{i=1}^n (b_i -a_i) を$ \mu^*(A) = \inf \sum_{n=1}^\infty m(E_n) によって拡張した外測度$ \mu^*の事。
($ (X,\Gamma)について集合$ Eが)可測 : 可測 ---> 可測 : 「体積を測る事ができる」の意味
・$ \frak{M}_\Gamma:$ \Gamma-可測集合の全体、σ加法族をなす。 ---> $ E \in \frak{M}_\Gamma \Rightarrow E^c \in \frak{M}_\Gamma
---> $ \Gamma(E) = 0 \Rightarrow E \in \frak{M}_\Gamma : 零集合と言う。$ \phiとは限らない。
($ \forall A \subset Xについて、$ \Gamma(A \cap E) \leq \Gamma(E) =0より、
$ \Gamma(A \cap E)+ \Gamma(A \cap E^c) =\Gamma(A \cap E^c) \leq \Gamma(A)が成立するので、$ E:可測)
※ $ \phi \in \frak{M}_\Gamma
・Th5.2 : $ \mathfrak{F} \subset \mathfrak{M}_\Gamma
$ A \subset X,\ \ E_n \in \frak{F}について、$ \Gamma(A) = \inf \sum_{n=1}^\infty m(E_n)を取ると、
$ \frak{F} \subset \frak{M}_\Gammaが成立。 ($ \infは$ E_nによる$ Aの覆い方について。)
・Th5.3 : 外測度の$ \frak{M}_\Gamma上の完全加法性
$ E_n \in \frak{M}_\Gamma,\ \ E_n:互いに素について、
$ S:=\sum_{n=1}^\infty E_n \in \frak{M}_\Gammaであり、$ \Gamma(S) = \sum_{n=1}^\infty \Gamma(E_n)が成立。
・Th5.4 : 外測度は$ \frak{M}_\Gamma上で差・積も閉じてる
$ E,F \in \frak{M}_\Gamma \Longrightarrow E-F,\ E \cap F \in \frak{M}_\Gamma
・Th5.5 : 外測度は$ \frak{M}_\Gamma上で無限回の和も閉じてる。
$ E_n \in \frak{M}_\Gamma\ \ \Longrightarrow\ \ \bigcup_{n=1}^\infty E_n \in \frak{M}_\Gamma
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$ \sigma加法族$ (X,\frak{B}) : σ加法族、完全加法族 ※ $ \sigma加法族 :$ \frak{B}は$ Xの部分集合族
測度$ (X, \frak{B},\mu) : 測度 ※ 要は完全加法的測度
※ $ \mu:\frak{B}-集合関数を測度と言う.
※ $ (X,\frak{B},\mu)を測度空間と言う。 $ X(\frak{B}, \mu)と書くことも。
・Th6.1 : 外測度は$ M_\Gamma上では測度になる $ Xで定義された外測度$ \Gammaについて、$ \Gamma-可測集合$ M_\Gammaは$ \sigma加法族をなし、$ \Gammaは$ M_\Gamma上の測度となる。
・Th6.2
$ (X,\frak{B},\mu),\ \ A_n \in \frak{B}について、
1.$ \{A_n\}:単調増加/減少の時、$ \mu\left(\lim_{n\rightarrow \infty} A_n\right) = \lim_{n\rightarrow \infty}\mu(A_n)
2. 一般の時、$ \mu\left(\underline{\lim}_{n\rightarrow \infty} A_n\right) \leq \underline{\lim}_{n\rightarrow \infty}\mu(A_n)
$ \mu\left( \bigcup_{n=1}^\infty A_n \right) < \infty \Longrightarrow \mu(\overline{\lim}_{n\rightarrow \infty} A_n) \geq \overline{\lim}_{n\rightarrow \infty} \mu (A_n)
$ \mu\left( \bigcup_{n=1}^\infty A_n \right) < \inftyで$ \lim_{n\rightarrow \infty}A_nが存在するなら、$ \mu(\lim_{n\rightarrow \infty} A_n) = \lim_{n\rightarrow \infty}\mu(A_n)
が成立.
a.a.、a.e. : almost anyware, almost everyware
集合$ E \in \frak{B}の点について命題があって、それが$ \mu(E_0)=0なる$ E_0 \subset Eの点以外の全ての点で成立する時、
その命題は$ E上の$ \muについて、ほとんど至る所/ほとんど全ての点$ x \in Eに対して成立すると言う。
前者をa.e. / a.e.$ x \in E 、後者をa.a. $ x\in Eと書く。
・Th6.4 : Borel集合族
$ Xの部分集合からなる任意の集合族$ \frak{U}_0に対して、$ \frak{U}_0を含む最小のσ加法族が存在する。 (この様な$ \frak{B}_0 を$ \frak{B}[\frak{U}_0] と書く。)
※ 「最小」: 他の任意の$ \frak{B}に対して、$ \frak{B}_0 \subset \frak{B}となる事。
・Th6.4
$ \frak{J}_N,\ \ \frak{F}_N:\mathbb{R}^N における区間、区間塊の全体とすると、$ \frak{B}_N = \frak{B}[\frak{J}_N]=\frak{B}[\frak{F}_N] が成立。
測度空間$ (X,\frak{B},\mu) : まとめたやつ
$ \sigma-有限 :
測度空間$ (X,\mathfrak{B}, \mu)において、$ X=\bigcup_{k=1}^\infty X_k,\ \ X_k \in \mathfrak{B},\ \ \ \mu(X_k) < \inftyを満たす時、
測度空間は$ \sigma有限であると言う。
※ Th5.2より、$ \frak{F}_Nの定義から、区間や区間塊はLebesgue可測で、その$ \muは所謂「体積」を表す。
---> Lebesgue測度は体積の概念の拡張と言える。
測度空間の完備化
・測度から誘導される外測度
測度空間$ (X, \mathfrak{B}, \mu)に対して、
$ \mu^*(A) := \inf_{A \subset B \in \mathfrak{B}} \mu(B)\ \ \ \ (\forall A \subset X) として定義される$ \mu^*を測度$ \muに誘導される外測度と言う。 $ \mu^*可測集合の全体$ \mathfrak{M} = \mathfrak{M}_{\mu^*}はσ加法族をなし、$ \mu^*はそこで定義された測度となる。(Th6.1) ・Th8.4 : $ \mathfrak{B}上の測度$ \muの$ \mathfrak{M}への拡張
$ (X,\mathfrak{B},\mu)と$ \muに誘導される$ (X,\mathfrak{M},\mu^*)について、
1. $ \mathfrak{B} \subset \mathfrak{M}
2. $ E \in \mathfrak{B}\ \ \Longrightarrow\ \ \mu^*(E) = \mu(E)
が成立。
※ ↑より、$ \mathfrak{M}は$ \muを自然に拡張できる最も広い範囲と解釈できる。
・Th 8.5 : 完備化
$ (X, \mathfrak{B}, \mu)を拡張した$ (X,\mathfrak{M},\mu^*)について、
1. $ A \subset E \in \mathfrak{M},\ \ \mu(E) =0\ \ \ \Longrightarrow \ \ A \in \mathfrak{M}
2. $ \forall E \in \mathfrak{M}に対して、$ B_1 \subset E \subset B_2,\ \ \mu(B_2 - B_1) = 0なる$ B_1,B_2 \in \mathfrak{B}が存在
が成立する。
拡張定理と直積測度
$ X:任意の空間
$ \mathfrak{B}:Xの部分集合のσ加法族で$ \mathfrak{F}を含む物 --> 測度 : $ \mu として話を進める。
・拡張
$ (X,\mathfrak{F},m)と$ (X,\mathfrak{B},\mu)がある時、$ \muが$ mの拡張であるとは、
$ E \in \mathfrak{F}(\subset \mathfrak{B})\ \ \Longrightarrow m(E) = \mu(E) となる事。
有限加法的測度$ mを与えた時に、上記の$ \muを構成できる場合に「$ mは$ \mathfrak{B}上に拡張される」という。
*以降は$ \mathfrak{B}=\mathfrak{B}[\mathfrak{F}] の場合を考える。
・Th 9.1 : E.Hopfの拡張定理
$ (X,\mathfrak{F}) 上の有限加法的測度$ m が$ (X, \mathfrak{B}[\mathfrak{F}]) 上の測度$ \mu に拡張される$ \Longleftrightarrow m:\mathfrak{F}上で完全加法的 さらに「$ m(X_k) < \inftyなる$ X_k \in \mathfrak{F}\ (k=1,2,...)が存在して$ X = \bigcup_{k=1}^\infty X_kと書ける」なら、拡張は一意的。
証明(前者)
($ \Longrightarrow ) $ m の拡張$ \mu が$ \mathfrak{B}[\mathfrak{F}] 上で完全加法的なら、$ mも完全加法的なので成立。
($ \Longleftarrow)
被覆を用いて$ \Gamma(A) = \inf \sum_{n=1}^\infty m(E_n) として外測度$ \Gamma を構成すると、 $ \mathfrak{M}_\Gammaはσ加法族であり、$ \Gammaは$ \mathfrak{M}_\Gamma上の測度となる。 また$ \mathfrak{F} \subset \mathfrak{M}_\Gamma だから、$ \mathfrak{B}[\mathfrak{F}] \subset \mathfrak{M}_\Gamma となる。($ \mathfrak{B}[\mathfrak{F}] は$ \mathfrak{F}を含む最小のσ加法族)
加えて$ m:\mathfrak{F}上で完全加法的なので、$ \Gamma(E)=m(E)\ \ \ (E \in \mathfrak{F})が成立する。(Th 5.1)
以上より、$ \Gammaを$ \muとすれば良い。
※ 一意性の条件は「$ X_i \subset X_{i+1},\ \ \ X_i \in \mathfrak{F},\ \ m(X_i) < \infty,\ \lim_{k\rightarrow \infty} X_k = Xなる$ \{X_k\}が存在」:(*)とも言い換えれる
---> 「$ Xに収束する$ mが有限な単調増加列が存在」
・Th 9.2 : $ mの完全加法性の必要十分条件
$ (X,\mathfrak{F},m)の有限加法的測度$ mが$ \mathfrak{F}上で完全加法的な事は以下の条件(2つを満たす)と等価である 1. $ E_n \in \mathfrak{F}が$ E_{i+1} \subset E_i,\ \ \ m(E_1)<\infty,\ \ \bigcap_{i=1}^\infty E_i = \phiならば、$ \lim_{i\rightarrow \infty} m(E_i) = 0となる。
2. $ E_n \in \mathfrak{F}が$ E_i \subset E_{i+1},\ \ \ E = \bigcup_{i=1}^\infty E_i \in \mathfrak{F},\ \ \ m(E)=\inftyならば、$ \lim_{i\rightarrow \infty}m(E_i) = \inftyとなる。
証明
($ m:完全加法的 => statement) (1.のみ)
statementの仮定を満たす$ E_iに対して、$ F_i = E_i - E_{i+1}と置くと、
$ F_i \in \mathfrak{F}より$ E_n = \sum_{i=n}^\infty F_iとなるので、$ \sum_{i=1}^\infty m(F_i) = m(E_1) < \inftyが成立する。
ゆえに$ \lim_{n\rightarrow\infty} m(E_n) = \lim_{n\rightarrow \infty} \sum_{i=n}^\infty m(F_i) = m(\phi) = 0となる。
(statement => $ m:完全加法的)
$ F_i \in \mathfrak{F}を相互に互いに素な集合で$ F = \sum_{i=1}^\infty F_i \in \mathfrak{F}とする。
$ m(F) < \inftyの時、$ E_n = F - (F_1+...+F_n)とおくと、$ E_nは1.の仮定を満たし、
$ m(E_n) = m(F) - \sum_{i=1}^n m(F_i)より$ \lim_{n \rightarrow \infty}m(E_n) = 0と合わせて、$ m(F) = \sum_{i=1}^\infty m(F_i)が成立する。
$ m(F)=\inftyの時、$ E_n = F_1 + ... + F_n,\ \ E=Fと置くと、$ E_n,\ Eは2.の仮定を満たし、
$ m(E_n) = \sum_{i=1}^n m(F_i)が成立し、$ \lim_{n\rightarrow \infty} m(E_n) = \sum_{i=1}^\infty m(F_i) = m(F) = \inftyが成立。
以上より示された。
※ ↑ $ m(F)<\inftyなら1.の条件のみで「statement => $ mの完全加法性」が証明できる。
・Th 9.3 : $ mの$ \mathfrak{F}上の完全加法性の条件
「$ Xに収束する$ m(X_i)が有限な単調増加列が存在」(Th 9.1の(*))する時、
以下の条件が成立すれば、$ m:\mathfrak{F}上で完全加法的となる。
・$ E_n \in \mathfrak{F}が$ E_{i+1} \subset E_i,\ \ \ m(E_1)<\infty,\ \ \bigcap_{i=1}^\infty E_i = \phiならば、$ \lim_{i\rightarrow \infty} m(E_i) = 0となる。(Th 9.2の1.)
・$ m(F)=\inftyなる任意の$ F \in \mathfrak{F}に対して、$ \lim_{k \rightarrow \infty}m(F \cap X_k) = \inftyが成立。
※ $ m(X) < \inftyの時は、Th 9.2の条件の代わりに以下の条件だけで十分となる。
$ E_n \in \mathfrak{F}が$ E_{i+1} \subset E_i\ ,\ \ \ \bigcap_{i=1}^\infty E_i = \phiならば、$ \lim_{i\rightarrow \infty} m(E_i) = 0となる。
矩形集合
条件(*)を満たす2つの測度空間$ (X,\mathfrak{B}_X,\mu_1), (Y, \mathfrak{B}_Y,\mu_2)を考えた時、直積空間$ Z=X\times Yの中で、 $ K = E \times F\ \ \ (E \in \mathfrak{B}_X,\ \ F \in \mathfrak{B}_Y)なる形の集合を矩形集合と言う。
・条件(*) : 「$ (X, \mathfrak{B}, \mu)に$ \mu(X_k) < \inftyかつ$ \lim_{k \rightarrow \infty}X_k = Xなる$ \mathfrak{B}に属する単調増加列$ \{X_k\}が存在する。」
---> 「$ Xに収束する、測度が有限な単調増加列が存在。」
・(Th 4.1) 有限個の矩形集合の直和として表される集合の全体$ \mathfrak{F}は有限加法族をなす。 直積Borel集合族(直積σ加法族) :
有限個の矩形集合の直和として表される集合の全体$ \mathfrak{F} を含む最小のσ加法族$ \mathfrak{B}_Z = \mathfrak{B}[\mathfrak{F}] を直積Borel集合族と言う。 $ \mathfrak{B}_Z = \mathfrak{B}_X \times \mathfrak{B}_Yと書いたりする。
直積測度 : 元の集合族上の測度の積になってる測度
$ \mathfrak{B}_Z上の測度$ \muで、以下を満たす物を$ \mu_1と$ \mu_2との直積測度という。
矩形集合$ K=E\times F\ \ (\mu_1(E) < \infty,\ \ \mu_2(F) < \infty)に対して、$ \mu(K)=\mu_1(E)\mu_2(F)が成立。
・補助定理 1 : $ Xについて短冊状に分割できる
$ \mathfrak{F}を有限個の矩形集合の直和で表される集合の全体とする。
$ K \in \mathfrak{F}の時、$ K = \sum_{i=1}^n E_i \times F_i\ \ \ (E_i\in \mathfrak{B}_X,\ \ F_i \in \mathfrak{B}_Y,\ \ E_j \cap E_k = \phi\ \ (j \neq k))なる$ E_i,\ F_iが存在する。
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・補助定理 2 :
$ K_n \in \mathfrak{F},\ \ \ K_n:単調減少ならば、$ K_n = \sum_{i=1}^{k_n}E_{ni}\times F_{ni}なる$ E_{ni} \in \mathfrak{B}_X,\ \ \ F_{ni} \in \mathfrak{B}_Yを
・$ E_{nj} \cap E_{nk} = \phi\ \ \ (j \neq k)
・$ E_{nj}はある$ E_{n-1,k}に含まれる。($ n \geq 2)
上記の2つを満たす様にとれる。
・補助定理 3 :
補助定理2の条件が満たされているとすると、正の定数$ cを固定して、
$ \mu_2(F_{nj})>cなる$ jについての和を$ \sum'と定義して、$ E_n' = \sum' E_{nj}とする。
このとき、$ E_n'は単調減少となる。
直積測度の構成 : Th 9.4から完全加法性が示される。
直積集合$ K = E \times Fに対して、
$ m(K) = \left\{\begin{array}{lll} 0 & (\mu_1(E) = 0\ \ or\ \ \mu_2(F)=0) \\ \mu_1(E)\mu_2(F) & (\mathrm{otherwise.}) \end{array}\right.と定義する。
$ \forall K \in \mathfrak{F}に対して、補助定理1より、
$ K = \sum_{j=1}^n E_j \times F_jなる$ E_j:互いに素と$ F_jが存在するので、
$ m(K) = \sum_{j=1}^n m(E_j \times F_j)と定義すると、
$ Kは$ K = \sum E_j \times F_jの様な表し方には関係しないので、$ m:\mathfrak{F}上の有限加法的測度となる。 ※ 直積測度の$ \mathfrak{B}_X,\ \mathfrak{B}_Yの条件より、$ Z = X \times Yと$ \mathfrak{B}_Zについて、
$ Zに収束する$ m(Z_i) = \mu_1(X_i)\mu_2(Y_i) < \inftyな単調増加列$ \{Z_i\}が存在する事が言える。
---> $ mの完全加法性へ
・Th 9.4 : 直積測度$ mの完全加法性
上記の$ mは$ \mathfrak{F}の上で完全加法的となる。
※$ m: 完全加法的かつ、Th 9.1の条件(*)を満たすので$ m は$ \mathfrak{B}[\mathfrak{F}] 上の完全加法的な測度$ \muに一意的に拡張できる。
(証明)
Th 9.3より、以下の2つを示せば良い。
・$ K_n \in \mathfrak{F},\ K_i \supset K_{i+1},\ m(K_1) < \infty,\ \ \lim_{n \rightarrow \infty} m(K_n) = c > 0ならば$ \bigcap_{n=1}^\infty K_n \neq \phi <--- (9.16)
・$ K \in \mathfrak{F},\ \ m(K) = \inftyならば$ \lim_{k \rightarrow \infty} m(K \cap Z_k) = \infty <--- (9.17)
追記
Section 10
どのような関数に対して積分が定義できるかを考えていく。
まずはRiemann積分の考え方を拡張する。
$ E(f>a) \in \mathfrak{B}なる性質に注目して可測関数を定義し、色々な性質を調べ、積分を定義する。
記号の定義
$ \mathfrak{B}:σ加法族とした $ (X,\mathfrak{B})について、$ E \in \mathfrak{B}を固定し以下を定義する。 ・$ E(f>a)= \{x \in E\ ;\ f(x)>a\}
・$ E(条件) = \{x \in E\ ;\ xを用いて表した条件を満たす\}
・$ \chi_E (x):指示関数、$ x \in Eなら$ 1、$ x \notin Eなら$ 0。
※ $ (X,\mathfrak{B}):可測空間と呼んだりする。(可測集合$ M_\Gammaとは意味が違う) 単函数/階段函数
$ (X,\mathfrak{B})に対して、ある集合$ E\in \mathfrak{B}を$ E = E_1 + ... + E_nとして有限個の直和に分割して、
$ f(x) = \sum_{i=1}^n \alpha_i \chi_{E_i}(x),\ \ \ \ (\alpha_i \in \mathbb{R},\ \alpha_i \neq \alpha_j\ (i \neq j))と表せる函数を単函数 / 階段函数と呼ぶ。