ルベーグ積分
測度空間$ (X,\mathfrak{B},\mu)と$ E \in \mathfrak{B}上の$ \mathfrak{B}可測函数$ f(x)に対して、$ \int_E f(x)d\mu(x)\left( = \int_E f d\mu\right)を定義していく。 このページでは、記述する集合は全て$ \mathfrak{B}の元であり、関数は$ \mathfrak{B}可測とする。 *単関数に対する積分
・定義
1. $ f(x) \geq 0の場合
1.-1 $ f(x):単関数の場合
単関数$ f(x)は$ f(x) = \sum_{i=0}^n \alpha_i \mathbb{I}_{E_i}(x)\ \ \ \ \ \left(E = \sum_{i=0}^n E_i,\ \ \ \ \alpha_0 = 0 < \alpha_i \right)と表せる。
この$ f(x)に対して、$ \int_E f d\mu := \sum_{i=1}^n \alpha_i \mu(E_i)と定義する。
※ ↑の定義がwell-definedである事の証明
積分結果が単関数の表現に依存しない事を示す。
$ f(x) = \sum_{i=0}^m \beta_i \mathbb{I}_{F_i}(x)と表せたとする。
この時、$ E_j \cap F_k \neq \phiなら$ \alpha_j = \beta_kとなる。
① $ \mu(E_j \cap F_k) = \inftyなる$ j,kが存在する時
$ \mu(E_j) = \mu(F_k) = \inftyより、$ \int_E f d\mu =\sum_{i=1}^n \alpha_i \mu(E_i) = \sum_{j=1}^m \beta_j \mu(F_j) = \inftyとなる。
② $ \mu(E_j \cap F_k) < \inftyの時
$ \sum_{i=1}^n \alpha_i \mu(E_i) = \sum_{i=1}^n \alpha_i \left(\sum_{j=1}^m \mu(E_i \cap F_j) \right) = \sum_{i=1}^n \sum_{j=1}^m \alpha_i \mu(E_i \cap F_j)
$ = \sum_{i=1}^n \sum_{j=1}^m \beta_j \mu(E_i \cap F_j) = \sum_{j=1}^m \beta_j \mu(F_j)となる。
以上より示された。
1.-2 $ f(x):一般の非負の関数の場合
Th 10.1(可測函数)より、非負な$ f(x)に近づく単調増加な単関数列$ \{f_n\},\ \ \ f_n(x)\geq0が存在する。 この$ f_nを用いて、$ \int_E fd\mu := \lim_{n\rightarrow \infty} \int_E f_nd\muと定義する。
※ ↑の定義がwell-definedな事の証明
単関数の積分の定義より$ \int_E f_n(x)d\muは$ nについて単調増加となるので、
補助定理3を用いると、積分$ \int_E fd\muは$ f_nの取り方に依存しない。
以上より示された。
2. 一般の$ f(x)の場合($ -\infty \leq f(x) \leq f(x))
$ \int_E f^+d\mu、$ \int_E f^- d\muの少なくとも一方が有限の時に限り、$ f(x)は$ E上で定積分を持つと言い、
$ \int_E fd\mu := \int_E f^+ d\mu - \int_E f^- d\muとして定義する。
$ f: 複素関数の時は、$ Re[f(x)] と$ Im[f(x)] が共に$ E上で可積分の時に限って、
$ \int_E f(x)d\mu := \int_E Re\left[ f(x)\right]d\mu + i \int_E Im\left[f(x)\right]d\mu と定義する。
※ $ \int_E f d\muが有限の時、$ f(x)は$ E上で積分可能 or 可積分と言う。
・定理 : 補助定理1~4は単関数に対する定理。
・補助定理1 :
1. $ f,g \geq 0: E上の単関数とすると、
$ \int_E (f+g) d\mu = \int_E fd\mu + \int_E g d\muが成立。
2. $ f\geq 0:E上の単関数として、$ E \supset A+Bとすると、
$ \int_{A+B} f d\mu = \int_A f d\mu + \int_B f d\muが成立。
・補助定理2 :
$ f_n,\ g \geq 0 : E上の単関数、$ \{f_n\}は$ nについて単調増加で、($ Eの各点$ xで)$ \lim_{n\rightarrow \infty} f_n \geq gならば、
$ \lim_{n\rightarrow \infty} \int_E f_n d\mu \geq \int_E g d\muが成立する。
・補助定理3 :
$ E上の非負な$ \{f_n\},\ \{g_n\}が存在して、共に単調増加で$ \lim_{n \rightarrow \infty} f_n = \lim_{n\rightarrow \infty}g_nとすると、
$ \lim_{n\rightarrow \infty} \int_E f_n d\mu \geq \lim_{m\rightarrow \infty} \int_E g_m d\muが成立。
※ 極限は単関数と限らない
・補助定理4 :
1. $ E上で$ f,g \geq 0ならば、
$ \int_E (f+g)d\mu = \int_E fd\mu + \int_E g d\muが成立。
2. $ E上で$ f \geq 0で$ A+B \subset Eならば
$ \int_{A+B} f d\mu = \int_A f d\mu + \int_B f d\muが成立。