『美しい星』メモ(😖)
/icons/hr.icon
1961年11月14日 起稿
1962年8月31日 擱筆
1962年、『新潮』1~11月号に連載(1961年12月8日~1962年10月8日)され、同年、新潮社より出版。四百円。
/icons/hr.icon
あらすじ
第一章
十一月半ば
1961年11月?→確定
羅漢山/愛宕山
p6
海抜百九十五米の羅漢山は、弘治年間、すなわち後奈良帝の治世に、能仁寺初代座主斧屋和尚が愛宕山と命名し、開山の基祖となったが、降(くだ)って元禄五年、五代将軍綱吉の生母桂昌院が、十六羅漢を寄進安置してから、羅漢山と呼び伝えるようになった。
円盤現れず。
第二章
第一章のニ三日あと
文案:暁子、文飾:重一郎、英訳:暁子
第三章
十二月一日
暁子、竹宮との逢瀬
第四章
年が改まる
第三章の翌年一月
二月五日が月曜。
ここでほぼ確定。1962年2月。
父による偶然の話。
誰かの葬式。不吉な予感。
第五章
三月十日土曜日
羽黒と曽根と栗田が定期的な瞑想会のため会う
三人の背景
第六章
三月中旬
暁子、伊余子に連れられ病院へ行く
重一郎、竹宮の真偽を確かめに金沢へ行く
第七章
三月初め
一雄、黒木を初めて訪ねる
黒木、覚醒(円盤を見る)?
第八章
四月十七日
重一郎と伊余子と暁͡子、暁子の部屋で入日をみている
大杉家に羽黒、曽根、栗田が訪問
長い議論のはじまり
重一郎、羽黒の考察に同意(重要)
第九章
第八章の議論の続き
重一郎の反論
羽黒たちの反撃
白鳥座一派による、重一郎への、人類への呪詛
第十章
父重一郎、ガンで入院。
長女に竹宮の正体を明かす
長女からガンを明かされ絶望
犠牲。人類の生存。重一郎の勝利。
声を聴く。
約束の場所へ。
円盤、現れる。
/icons/hr.icon
人物と舞台
埼玉県の飯能
父・重一郎 52歳
母・伊余子
堅実
長男・一雄
プレイボーイ。政治の世界へ。黒木の秘書に
長女・暁子(あきこ)
竹宮と恋し、子を身籠る
自覚のきっかけ:円盤。声を聴く。
目的:人類の啓蒙と救済。宇宙市民へ導く
方法:UFO研究会という名目での活動を通しての啓蒙。政治家への働きかけ
村田屋のおかみさん
p41~
少年店員
仙台
人間を憎む法学者の男・羽黒真澄 45歳
入会権の研究
全ての女を憎む男・栗田
宝部文子を殺された。愛憎。
有名人を憎む床屋の男・曽根
平穏な一般的な家庭。小学校一年・三年の息子。五年の娘。妻の秀子。中学二年の長女。休日は家族で大学構内へ散歩。
敏腕保守政治家・黒木
表向きは爽やか。
自覚・命名のきっかけ:円盤。白鳥を思わせる山襞
目的:人類滅亡。
方法:瞑想による悪意の増幅。テレパシーによる悪意の伝播。原水爆によるすみやかな滅亡。政治家への働きかけ
金沢
金星人?
竹宮(川口)薫:美男子。大杉長女と恋におちる? 金星人の偽物?
きっかけ?:『道成寺』の披キで金星人であることの端緒をつかむ
目的:遊び
方法:文通。なりすまし。
お内儀:竹宮と恋仲だった
/icons/hr.icon
メモ
その君を見ずして、貴下がその真実を信じ、告白し、断言し、誓言し、また擁護せねばならぬというのが眼目のところです。
『ドン・キホーテ』前編四章
机に頬杖ついて、ぼんやり窓のそとを眺める。風の強いゆえか、雲が綺麗だ。お庭の隅に、薔薇の花が四つ咲いている。黄色が一つ、白が二つ、ピンクが一つ。ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。
太宰治『女生徒』
羽黒の本当に信じている神がどのようなものか(あるいは信じていないか、自分が神か云々)は置いておいて、羽黒の言いたいのは、つまり人間どもの信奉している一般的な「神」というものは得てして人知の及ばない虚無と人類の知り得ていることの間に仮定された堤防のようなものであり、それは境界の管理人にすぎず、神ですらない。ということである。
p276 人間は自ら虚無を作りだすことができないと思い込んでいるが……云々
虚體
p40
インキのシミ
p141
黒い微小な羽虫
曽根の強さは、重一郎の看破した人間のしたたかさと密接なのではないか。
『カラマーゾフの兄弟』との関係
p288 人はパンなしには生きられないし、パンさえあれば生きていける
胸の空洞(虚無)
p287その空洞に縄を通して、束ねてやる
これ『固有時との対話』へのアンサーじゃね?
卍の清涼飲料水は何か。
金沢出身の人の葬式
銀の薔薇の造花
一~十一月号に連載で、全十章ということは、二回に分けた章があったのか、休載をはさんだのか? よくわからない。
「美しい星」というワードが出てくるページ
p169 曽根の妄想
p305 重一郎
p321 羽黒
留意すべきこと:人類が滅亡するだろうという見立てと平和は不可能だろうという見立ては別。
朗読会でのメモ
p271 他人の想像力に訴える
p275 虚無
p277 無意味
p277,278 終末論
p281,282 だらだらした平和・事前の平和
282 絶対の平和の条件
284 方法
288 孤独の空洞
289 空洞の発明
290 空虚の連帯
295 気まぐれ
302 悪
305 美しい星 重一郎
308 破滅の願い
314 栗田、曽根
321 美しい星 羽黒
322 呪詛
祈りと呪い
明るい微笑・暗い微笑
笑い
羽黒はジョークが下手
8・9章の議論
お互いが表と裏から類似したことを述べている
オーデマル・ピゲ→オーデマ・ピゲ、スイスの高級時計メーカー
完全な偽物だからこそ、その裏切りも完全なものであり、それに耐え抜いた暁子の宇宙人としての自覚も完全なものとなる、ということではないでしょうか。ちょっと騙されやすいどころではなく、完全に騙され、裏切られたところから生まれた「自分は金星人である」という自覚でなければ、本当の覚醒とは言えないというテーマ処理の仕方なんだろうと考えています。
結局、誰かが宇宙人かどうかということは、つきつめれば知りえないことであり、信じるということしかできない。少なくとも、円盤が本当に来たるまでは。
SF的な結構をもつこの小説が宗教的な色彩を帯びるというメカニズム
p228
黒木、車から降りてなにか見る?
p234
仙台に行った黒木が、入会権問題で羽黒をたよる。旦々塾。
p240
羽黒「黒木さんに会えたのはよかったね」
羽黒側から仕組んだことじゃなかった可能性
重一郎に引導をわたす暁子
/icons/hr.icon
疑問・雑感
第十章、「赤い卍形に焔の房のついて廻っている清涼飲料の商標のネオン」は何か。
ちなみに、1962年はリポビタンDが発売された年らしい。
タイトル損感
関心、ゾルゲは、ハイデガー(おそらくは『存在と時間』)からきているかもしれない。 だとすれば、どういうことがいえるか。
/icons/hr.icon
フリースペース