キャラクターの能力の決定
前節で決定した、キャラクターの基本的な情報だけでは、そのキャラクターが一体どのような人物かを十分に把握することは出来ません。実際にゲームに参加するためにも、より細部に対して肉付けを行う必要があります。本節では、キャラクターの能力を表現するいくつかのパラメーターと、そのそれぞれの決定方法について紹介します。
能力値
『蒸気爆発野郎!』の世界に登場するキャラクターの身体的、または精神的な特徴は『能力値』によって表わされます。
能力値は、【体格】【運動】【操作】【知性】【感応】【精神】の6種類で、それぞれが4から8までの数値で示されます。数字が大きい方が優れた能力を持っているということになります。それぞれの能力値に関する解説は以下の通りです。
1.【体格】
キャラクターの身体的な頑健さなどを現す能力です。例えば力が強いとか、病気に対して抵抗力があるということを示します。さらに【体格】の数値の大きなキャラクターは、文字通り体格が良く、体が大きいということでもあります。
2.【運動】
この能力値の高いキャラクターは、運動神経が良いということになります。走ってくる馬車に飛び乗ったり、注意深く音を立てずに歩いたりといった作業を行うためにも用いられます。
3.【操作】
この能力値は、キャラクターの指先の器用さを反映しています。細かな機械の組み立てを行ったり、手品を行ったりという行為を行う場合に必要になります。
4.【知性】
キャラクターの理解力や判断力、頭の回転の速さなどを示します。他人よりも早くパズルを解いたり、難解な文章を解読したりといった能力を示します。
5.【感応】
キャラクターの注意深さと同時に、キャラクターの感受性の度合いを表します。この値の高いキャラクターは、社交的な場面で上手く振る舞えるでしょうし、何か失せ物があった時に、探し出すのが上手であるともいえます。
6.【精神】
キャラクターの精神力・集中力などを表わします。この能力値の高いキャラクターは、めったなことでくじけたりしないでしょうし、また、作業を行う時も集中して物事をすすめることが出来るでしょう。
これらの六種類の能力値は、キャラクターを大まかに示すための指標です。プレイヤーはキャラクターがどのような人物であるかを、能力値から大体判断することが出来ます。また、その特徴に従ってロールプレイ(役割を演じること)を行う必要があります。
能力値の決定方法
能力値の決定法は半ばランダムに決定される方法と、完全に自由意志で決定する方法の2種類が用意されています。
それぞれの方法は以下のようになっています。
1.半ランダム法
4D6+24ポイントを、それぞれの能力値に4~8ポイントの間で振り分けます。
ポイントの全てを振り分ける必要はありません。振り分け後に余ったポイントは捨てられます。
2.自由決定法
全てをプレイヤーの好みで決定して良いという方法です。全ての能力値が最大値というキャラクターを作成する事もできます。ただし、そのようなキャラクターを使った場合のゲームの面白さについては保障しかねます。逆に全ての能力値を4ポイントとする事も可能ですが、実際のゲームで活躍出来るかどうかはまた別の話です。
ゲームに慣れるまでは、半ランダム法を用いた方がよいでしょう。しかし慣れた後は、自由決定法で色々な味のあるキャラクターをプレイするのも面白いものです。
副能力値
能力値に準じる値を『副能力値』と呼びます。副能力値には、『打撃力』『耐久力』『熱い魂ポイント』の3種類があります。『打撃力』『耐久力』は能力値から導かれます。『熱い魂ポイント』はサイコロを用いて決定します。
1.打撃力
『打撃力』は能力値から直接算出される値です。サイコロを振る数と修正値で表現され、キャラクターが素手で打撃を行った時に、対象にどの程度のダメージが与えられるかを示します。
【体格】と【運動】の能力値を合計し、以下の表を参照して求めて下さい。
table:打撃力
体格+運動 打撃力
08 1D-1
09-11 1D
12-14 1D+1
15,16 1D+2
【体格】が6で【運動】が7であった場合には、『6+7=13』ですから、『1D+1』が打撃力になります。この場合はキャラクターシートに『1D+1』と記します。打撃力の用い方については、『システム』関連のページにおける『戦闘場面のルール』に記されています。
2.耐久力
『耐久力』は、キャラクターの生命力を示す数値で、『打撃力』と同様に、能力値から直接算出されます。
耐久力は、能力値の【体格】と【運動】を足した値です。耐久力が高いキャラクターは、低いキャラクターよりも、負傷や衝撃に耐える力が強いといえます。 耐久力は、ゲーム中にキャラクターが負傷するなどしてダメージを与えられた場合に変化します。但し、耐久力の上限は、ゲーム中に能力値が変化しない限り変化することはありません。
耐久力の用い方については、『第二部 システムとルール』の『負傷と回復場面のルール』と『戦闘場面のルール』などに記されています。 3.熱い魂ポイント
PC達を一般人から異なった存在にしているものが『熱い魂』です。『熱い魂』は、基本的にキャラクターの信念や想いといった精神的なエネルギーを指します。また、「超時空体」という超常存在との関係の度合も示します。詳しくは「キャラクターと超時空体との関係」を読んでください。『熱い魂』を持つキャラクターは『熱い魂』を獲得するための通過儀礼として、今までの人生の中で何らかの超常現象を経験しています。プレイヤーは任意にそれらの経験と、経験した時期を決定して下さい。もし思いつかない場合には、巻末に付録してある『D%表:超時空体との関係表』を用いて決定することができます。なお、キャラクターはこの経験を覚えていても覚えていなくても構いません。 キャラクターの現時点での『熱い魂』のレベルを示す数値が『熱い魂ポイント』です。この値はゲーム中のキャラクターの行動によって変化します。キャラクターが作成された時点での『熱い魂ポイント』は、2D3ポイントです。また、上限は無く、下限は0ポイントです。
コラム:熱い魂の概念的な意味
熱い魂は超時空体からの関係の度合を示す値です。超時空体と関係しているということはキャラクターにとって精神的な安定と充実をもたらします。つまり、このポイントが高ければ高い程キャラクターの気力は充実しているということです。またこのポイントは他のキャラクターを始めとする様々な存在に対して与えることが可能であり、その結果与えた側と与えられた側とで何らかの精神的な絆が発生するということになります。そしてこの絆は「出会い」というシーンを演出するために直接的な働きをします。それを再現するために『呼び込み』と呼ばれるルールが用意されています。詳しくは「呼び込み判定」を参照して下さい。 キャラクターシートへの記入例
この時点で能力値を決定するために六面体サイコロを4個振りました。その結果は4431と出ましたので合計12。つまり能力値は12+24=36ポイントを振り分けることになります。ここでは体格と操作と感応を7にし、残りを5としてみました。
その横にある副能力値の打撃ボーナスは表から書き写すだけです。また耐久力は自動で決定されています。熱い魂ポイントは6面体サイコロの値を半分にしたものを2回です。今回は1と2だったので3となりました。ここには書いていませんが、10歳の時に「君の部屋の机の上に白い羽毛が点々と落ちていた。辺りを見回したが、鳥が入って来そうな隙間もなければ、羽毛の布団もない。とりあえずはそれらは捨てたが、それ以来時々、羽毛が机や床に落ちている。ある時などは鞄の中に羽毛が散乱していた。それもいつも同じ純白のダウンだ。(D%表:超時空体との関係表の46番)」という経験をしたことから、『超時空体』と関係していることになりました。 この時点でのキャラクターシートは次のようになっています。
https://gyazo.com/c6112a66027ca6822c19532cccc66f52
それではいよいよキャラクターの職業や、それ由来の技能の選択です。