著作権法改正の歴史
著作権の誕生
@tanji_y: グーテンベルクの活版印刷技術の発明と、そこから派生した出版産業の発展によって、「大規模に複製した本を大量流通させて儲ける」産業が生まれた。 同時に、海賊版業者も大量に出現して、そいつらを取り締まるために著作権という新しい概念を「発明」する必要が生じた――と理解しています。
1899年 著作権法 制定
江戸幕府が諸外国との間に結んだ不平等条約を解消するため、ようやく締結することのできた諸外国との改正条約において、(領事裁判権撤廃に先だつ)交換条件としてベルヌ条約に加入することを約していたため、立法したものである。 紙媒体による出版のみを対象とした出版権制度を電子書籍に対応する
視聴覚的実演に関する北京条約の実施に伴う規定の整備
環太平洋協定
2018
(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備
例えば現在許諾が必要な可能性がある以下のような行為が、無許諾で利用可能となる。
○所在検索サービス(例:書籍情報の検索)
→著作物の所在(書籍に関する各種情報)を検索し、その結果と共に著作物の一部分を表示する。
○情報解析サービス(例:論文の盗用の検証)
→大量の論文データを収集し、学生の論文と照合して盗用がないかチェックし、盗用箇所の原典の一部分を表示する。
これまでも著作物利用の権利制限については、研究や技術開発に限って無許諾でできたのだが、目的が限定的すぎて使えないケースが多かった
これまで検索エンジンのための複製は許可されてきたが、紙の文書などアナログ情報の検索利用に関しては対象外だった。
例えば図書館の蔵書を検索して棚を表示し、見つかった文章の一部を表示するみたいな利用もできるようになった
これは、日本でもフェアユースを導入したらどうかという議論の末に行われた改正だ。結果的にフェアユースという概念の導入は見送り、従来の権利制限という穴を大きく、というか、著作権者の権利を不当に害さないなら大抵のことはいいんじゃないか、みたいな方向性で調整した結果である。 https://gyazo.com/bfaca8edf161e9de557235b583475f60
(2)教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備
これまでも、教育機関の授業内で利用するのであれば、著作物の無許諾コピーはできた。また授業のリアルタイム配信で使用するのもOKだった
だが、予習復習のために著作物の一部を生徒に送る、みたいなのはNGだった。なぜならば、授業中じゃないからである。
こうした利用に際しては、補償金徴収分配団体に補償金を払うというのがセットになった。STARTAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)が発足して、そこに補償金を払うことになっている。金額も、1人当たりの年額で小学生120円、中学校180円。高校からは義務教育ではないので420円と高くなる。
(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備
(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等
例えば国会図書館では、すでに絶版となった著作物等は国内の公共図書館にデータ送信できたが、今回の改正で海外の図書館にも送信できるようになった。
術館で作品説明のために館内設置や貸し出しタブレット端末に作品を載せたり、ネットにサムネイル画像を載せたりできるようになった。
孤児作品(著作権者が分からない作品)を利用するための裁定制度も見直された。
著作権者が見つからない作品を利用する際には、これまでは使用料相当額を事前に供託して利用していた。
この改正では、利用者が国や地方公共団体など確実に支払いが見込めるものについては、供託金は前払いではなく、権利者が見つかったときに後払いするということでよくなった。民間の利用については、これまで通り前払いである。
(5)TPP11発行に伴う著作権法改正(保護期間の延長、一部非親告罪化)
著作物等の保護期間の延長
1の保護期間延長については、国内の議論では延長しないほうがメリットがあるということでまとまりかけていたにもかかわらず、国際舞台でひっくり返された。
これまで映画著作のみ例外的に70年、それ以外は死後もしくは公表後50年だったものが、一律70年となった。なお改正前に50年経過して一度切れた保護期間は、復活しない。
アクセスコントロールの回避等に関する措置
配信音源の二次使用に対する報酬請求権の付与
損害賠償に関する規定の見直し
ダウンロード違法化
著作物の円滑な利用を図るための措置
① 写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大
② 行政手続に係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)
③ 著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入
著作権の適切な保護を図るための措置
④ 著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化
⑤ アクセスコントロールに関する保護の強化
その他
⑥ プログラムの著作物に係る登録制度の整備(プログラム登録特例法)
図書館関係の権利制限規定の見直し
絶版資料を利用者が手に入れることができるようになった
複写が一部やりやすくなった
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化
同時配信がしやすくなった
平成30年からの4回の改正ポイントのうち、主だったところを整理してみたいと思う。