フェアユース
公正な利用(フェアユース)に該当するものと評価されれば、その利用行為は著作権の侵害にあたらない
アメリカでは、著作権を制限する「フェアユース」という概念があります。この概念に基づき、著作権で保護されたコンテンツを批評、コメント、ニュース報道、教育、研究、調査で特定の方法により利用する場合は、フェアユースであると認められる可能性があります。アメリカの判事は、以下に参考として示す 4 つの要素に従い、フェアユースであるという主張が有効かどうか判断します 1. 利用の目的と特性(その利用が、商用か非営利の教育目的かなど)
裁判所では通常、その利用が「変形的」であるかどうか、つまり、新しい表現や意味がオリジナルのコンテンツに追加されているかどうか、あるいはオリジナルのコンテンツのコピーにすぎないかどうかという点を重視します。
2. 著作権のある著作物の性質
主に事実に基づく作品のコンテンツを利用する方が、完全なフィクション作品を利用する場合に比べフェアユースであると認められる可能性が高くなります。
3. 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性
オリジナルの作品から引用するコンテンツがごく一部である場合は、コンテンツの大半を引用する場合に比べフェアユースであると認められる可能性が高くなります。ただし、ごく一部の利用であっても、それが作品の「本質的」な部分である場合は、時としてフェアユースではないと判断されることもあります。
4. 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する利用の影響
その作品の需要に対する代替品となることにより、著作権者がオリジナルの作品から受けることができる利益を損ねるような利用は、フェアユースであると認められる
古くて売っていない作品の利用など
米国は権利制限の一般規定としてフェアユース規定を置いている。
1976年の著作権法改正で導入した規定で、フェアな利用であるかどうかは、図表1のとおり諸要素を総合的に考慮して、判定する。
https://gyazo.com/fccea9553f0c9b01747c30e6c1031a91
日本ではこの仕組は整備されていない
立法が遅いのでガイドラインで対応する
私は立法のスピードに対しては、このところ急速に悲観的です。確かに国会は今年多くの課題に直面しましたが、しかし国会が混乱したら通らなくなってしまう法律って何なのでしょう。
不祥事が起きると、1年単位で法律を放っておける立法府。少なくともその人たちの舵取りに、自分たちの文化や社会の命運は委ねないですね。もちろん立法対応も続けないといけないし、フェアユースあるいは柔軟な規定も重要。でも改正を待つだけではなく、「現行法の中でガイドラインを作ろう」「現行法の中で契約をもっと洗練させることはできないか」と民間は民間でできることを進めていかないとダメだと思います。 中国・韓国は事実上存在
牧野 韓国・中国の著作権法を見ると、内容は日本とそっくりで、日本の著作権法を参考にしたことがわかります。韓国に至っては、法律の構成までそっくりです。た
だし、韓国は「引用」という概念を幅広く使って、判例を積み重ねて、06年の大審院判例で、実質(一定の条件で著作物の利用を認める)フェアー・ユースが認められる形になった。 中国は、著作権法を変えずに「通達」という形で「コピーはOK」ということにした。こちらも、事実上フェアー・ユースが認められるようになった。米・中・韓ではフェアー・ユースが認められたのに、日本だけが孤立した形です。