著作権等侵害罪の一部非親告罪化
今回の改正により,著作権等侵害罪のうち,以下の全ての要件に該当する場合に限り,非親告罪とし,著作権等の告訴がなくとも公訴を提起することができることとしています。
1. 侵害者が,侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること
2. 有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること
3. 有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること
一般的には
1. 原作のまま著作物等を用いるものではなく
2. 市場において原作と競合せず,権利者の利益を不当に害するものではない
ことから,上記[1]~[3]のような要件に照らせば,非親告罪とはならないものと考えられる
一方で,販売中の漫画や小説の海賊版を販売する行為や,映画の海賊版をネット配信する行為等については,非親告罪となるものと考えられます。
このあたりでコミケが考慮されているのは様々な働きかけによるもの
これに対し国内では「非親告罪化が2次創作などにも適用されるのでは」──という懸念も広がった。同人誌などの2次創作は、権利者が“黙認”する形をとっていることで日本独自の多彩な表現が可能になっているとして、2次創作に非親告罪が導入された場合、創作の萎縮など大きな影響を及ぼすとして危惧する声が多く上がっていた。
非親告罪化について、権利者側からは「海賊版対策に有効だが、『商業的規模』や『原著作物の収益性に大きな影響を与えない場合』について明確化を図り、被害者が処罰を望んでいるか否かを十分考慮するなど適切に制度が運用されるべき」(JASRAC)、「映画作品のデッドコピーなど、極めて悪質な行為を対象とすれば十分」(日本映画制作者連盟)など、慎重な意見が相次いだ。 要件
1. 侵害者が,侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること
2. 有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること
3. 有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること
ここで例えばコミックマーケット等で行われる同人誌の二次創作活動について当て嵌めますと、侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的があったとしても、通常は「原作のまま」の著作物を販売することはありませんし、二次創作活動によって創作された同人誌が原作の著作物と競合することもないことから、同人誌の販売によって原作の著作権者の利益を不当に害するものとも言えません。 以上のことから、コミックマーケット等で行われる同人誌の二次創作活動については、非親告罪の対象にはならないだろうと考えられます。
非親告罪化しても、著作者の被害感情が重要
「告訴なしで起訴できるからといって、著作権者に被害感情がない場合に、検察官がわざわざ起訴するとは考えにくいです」
「このような場合に起訴しても何のための刑事裁判か分かりませんし、逆に著者が自分のファンを訴えたことに反感を持てば、世論的にも目も当てられない事態になることは容易に想像できます。第三者が告発しても、被害者に被害感情がないような場合、やはり同じことがいえるでしょう。このような場合、概して、警察も積極的には動きません」
何が親告罪かのリスト