イスラエル・アメリカのイラン攻撃(2026年3月)
トランプのイラン戦争、どうやら負け確定。「無条件降伏しろ」とイキって始めたくせに、いまや尻尾を巻いて逃げ出し中。イランの強硬派はむしろ強くなり、アメリカの威信はガタガタ、というのがクルーグマンの見立て。
軍事予算で言えばアメリカ vs イランは大人と子供レベルの差なのに、なんでこんなことに? クルーグマンによれば理由は4つあるという。
ひとつめ、そもそも勝てる戦争じゃなかった。初期の斬首作戦で体制を倒せなかった時点で、あとは空爆でミサイル・ドローンを潰すという作業ゲームに突入。第二次大戦のV1/V2迎撃も、湾岸戦争のスカッド狩りも失敗したやつだ。山岳地帯で安価なドローンが飛び交う今、移動式発射台を叩くなんて無理ゲー。要するに、まともな指導者は最初からこんな戦争始めない。
ふたつめ、米軍が劣化してた。Phillips O'Brienの指摘では、ウクライナ戦争で技術環境が激変してるのに、米軍は「俺たち最強」と自己満足してて何も学んでなかった。アメリカ人がこの失敗を全部トランプのせいにしたがるのはロマンチックすぎる、と。
みっつめ、トランプ政権がそれをさらに悪化させた。「戦争長官」ヘグセスは黒人や女性中心に有能な将校を粛清し、忠誠心だけのお気に入り(中央軍司令官ブラッド・クーパー提督ら)で固めた。結果、現場からは威勢のいい虚報ばかり上がってくる。クーパーは2週間前まで「ホルムズ海峡なんて武力で簡単に開けます」とか議会で吹いてた。クルーグマン曰く、トランプとヘグセス自身も嘘の楽観報告を信じ込んでた可能性が高い。誰も本当のことを言えないからだ。
その結果、米軍基地はイランのドローン・ミサイル攻撃で結構やられて装備も人員も損耗。「イランは反撃できないはず」という願望に基づいて準備してなかったツケで、警告した将校は「敗北主義者」扱いで黙らされてたと推測される。
よっつめ、現代戦は知的に敵を出し抜く勝負なのに、MAGAは「頭使う奴ダサい」「威勢よく無知でいけ」が信条。ヘグセスはウェストポイントの卒業式で「敵に代名詞は投げつけられない」「諸君は太ってない、立派だ」とかDEI叩きと筋肉自慢を披露。負けても職を失わないし、いまだに「DEI排除で勝てる」「ムキムキならドローンに勝てる」と言い続けてる。
で、どうするか。クルーグマンとしては悔しいけど、いま逃げるのが正解。戦争続けても兵器在庫は尽きるし、世界の石油在庫も底をつくし、同盟国も国民もついてこない。「数ヶ月前よりアメリカが明らかに弱くなる悪い取引」を呑むほうが、失敗した戦争にさらに突っ込むよりマシ、という結論。
負けてる戦争から引き揚げるには「勝利宣言して撤退」という古典的手法があるのだが、トランプはそれすらできていない、というのが今回の話。
米国はホルムズ海峡をめぐる対イラン戦争で、目標(政権交代・ウラン接収)をどちらも達成できず、事実上敗北している。イランの強硬路線は以前より硬化し、海峡封鎖能力を証明することで逆に立場を強化した。
現実的な落としどころとしては「イランに海峡通過を認めさせ、見返りに米国の対イラン制裁を緩和する」という取引があり得た。米国にとって戦略的敗北だが、トランプが「勝ち」と言い張ればそれで済む話だった。
ところがトランプは「海峡は開放された、しかし制裁は継続、しかもイランはウランを引き渡すと約束した(してない)」という支離滅裂な主張をした。なぜ機能しないかは小学生でもわかる――制裁が続くならイランに封鎖をやめる理由がない。
トランプが現実を受け入れられない理由として、「自分が戦争を始めて負けた」という事実を感情的に直視できないのでは、という分析を提示。彼の頭の中ではまだ米軍に圧倒的優位があり、イランが怯えているはずになっている。
結果として海峡は依然封鎖状態で、むしろイランの石油輸出まで止まって以前より詰まっている。世界の石油供給の約2%が消えており、タイトな市場では地味に効いてくる。
予測市場では「6月1日までに海峡再開」の確率が先週いったん急上昇したが、今や元の水準(約30%以下)に戻った。クルーグマン曰く「それでもちょっと高すぎるかも」。
総括:計画もダメ、降伏(収拾)もダメ。イランだけの話ではなく、あらゆる政策課題に対する不吉な前兆だ、と締めくくっている。
ハリー・リットマン(法律系Substackライター)と対談。テーマはイラン情勢・インフレ・ハンガリー政変の経済的含意。
トランプ政権がホルムズ海峡の海軍封鎖を開始。イランの原油輸出約200万バレル/日が止まる見通し。
クルーグマン:世界の石油消費は約1億バレル/日なので、2%の供給カットは油価を約10%押し上げる計算になる。
石油の先物価格(1〜2ヶ月先渡し)は約100ドル台だが、即時現物価格はすでに148.87ドルまで跳ね上がっており、現物の深刻な供給不足を示している。
クルーグマン:市場が「すぐ解決する」かのように動いているのは不可解で、自分にはそういうシナリオが見えない。
短期(6ヶ月)と長期(6年)の影響
クルーグマン:短期的には石油消費を劇的に減らす方法がない。電気自動車への転換も路上の車の平均車齢が約14年あるので一夜にして実現しない。
供給が減れば世界経済がダメージを受けることで需要が抑制される、という経路が現実的。つまり世界的景気後退が「価格調整メカニズム」になってしまう。
長期的には再生可能エネルギーへのシフトが加速し、すでにリードしている中国が圧倒的に有利になる。太陽光パネル・風力タービン・バッテリー・EVすべてで中国製が世界を席巻する未来。
ドル基軸通貨の地位への影響
ハリー:イランが原油代金を人民元や暗号通貨で受け取るとすると、ドルの基軸通貨としての地位が脅かされるのでは?
クルーグマン:それはあまり信じていない。ドルの地位は「英語がビジネス共通語である」のと同じ構造で、慣性が非常に強い。人民元がドルを置き換えるには何十年もかかる。そして仮に置き換わっても米国経済への打撃は世間が思うほど大きくない。
クルーグマン:「ドル崩壊論」はもっともらしく聞こえるが、研究者ほどそれを信じない。今本当に直視すべきは世界のエネルギー市場を台無しにしているという「明白な問題」の方だ。
インフレと生活コスト
最新のCPI統計で消費者物価が2年ぶり高水準の3.3%(前月比2.7%から上昇)。
クルーグマン:今数字に出ているのは主にガソリン価格の上昇。これから食品・プラスチック製品・輸送コストなどディーゼル由来・石油化学製品由来のインフレが波及してくる(まだ「片方の靴しか落ちていない」)。
ディーゼルはガソリン以上に値上がりしており、あらゆる物流コストに影響。「最後の1マイル」はほぼすべてトラック(マンハッタンでは自転車配達員だが)。
クルーグマン:インフレが「一時的」で終わるかどうかは、人々が「いずれ正常化する」と思い続けられるかどうか次第。ただし今回の混乱をもたらしたのと同じ政権が今後2年以上も経済政策を担うわけで、楽観は難しい。
ハリー補足:政策の「気まぐれさ」それ自体がコストで、企業はその不確実性を織り込んで動かなければならない。
雇用・移民問題(冒頭のみ、以降は有料部分)
クルーグマン最近の分析によると、雇用創出が停滞しているのに失業率が大きく動いていないという「奇妙な状態」が生じており、その主因として移民取り締まり強化が関係している可能性を示唆(詳細は有料コンテンツのため記事途中で切れている)。
イランへの米軍攻撃は「終わり方が悪い」のはほぼ確実で、停戦合意も双方の言い分が食い違ったまま、ホルムズ海峡は依然封鎖中。原油スポット価格は約147ドルと史上最高値を更新した。
今後の展開シナリオは三つ:
①イランがホルムズを支配して通航料を徴収する「戦略的敗北」、
②地上軍を投入する「泥沼化」、
③民間インフラを破壊する「悪夢」。
最も可能性が高くかつマシなのが①であり、結局アメリカがすごすごと引き下がる形になる。
皮肉なのは、「米国の力の源泉は化石燃料だ」とずっと言い張ってきたのに、その石油がいまや敵の武器になっているという点だ。
そもそも「掘れ、掘れ、掘りまくれ」論は最初から嘘っぱちだった。フラッキングによる増産はオバマ政権下から始まっており、「環境左翼が生産を妨害した」という主張は事実と真逆。増産分の経済規模も米GDPの1%未満に過ぎない。
風力・太陽光をつぶして化石燃料に執着した結果、世界の石油供給を脅かせる立場にあるイランのような政権を太らせるだけになった。
ペルシャ湾岸諸国はアメリカの「守ってやる」という約束が当てにならないと悟り、ウクライナから現代戦の技術・装備を調達し始めている。「対露戦争の実践知を持つウクライナ」が新たな安全保障の売り手として浮上しているのが今の現実。
欧州・アジア諸国もトランプの関税や侮辱に我慢してきたのは米国の力を恐れていたからだが、その力と信頼性のなさが今回で白日の下にさらされた。
まとめ:「米国を再び偉大に」と言いながら始めた戦争で四流国家に負けそうになり、戦争犯罪をちらつかせながら逃げ出す羽目になった。ホルムズは神政テロ国家の「通行料所」と化す。これが「勝ち続けて飽き飽きする」の正体だ。
トランプ氏の支持者である福音派の牧師ジャクソン・ラマイヤー氏は、下院への出馬を予定している。ロイターの取材に対し、オクラホマ州での日曜礼拝で「戦争は通常、善と悪の戦いであり、イランも例外ではない」と説いたことがあると述べた。
「この世には悪人が存在する。叩かなければ、叩かれることになる」と同氏は語った。「善か、それとも悪か。聖書が語っているのはそういう物語だ。幸いなことに、最後には必ず善が勝つと決まっている」
あーダメだこりゃ基素.icon
「トランプ氏の支持率を見れば、国民の3分の1強しか味方につけていないことがわかる。その層の大部分を占めているのが、白人の福音派なのだ」。サウスカロライナ州ファーマン大学で米国政治と宗教の関係を研究するジム・グース教授はそう指摘した。 「中世の十字軍と同じ言い方だ。つまり、『異教徒は阻止しなければならない、邪悪な者は打ち倒さなければならない』という発想だ」。福音派と政治について多くの著書があるメサイア大学のジョン・フィー教授(歴史学)は言う。「米国の歴史上、前例がない」
「世界最強の軍事大国がド貧乏な神政国家に負けた」というショッキングな書き出しから始まる話。イランはホルムズ海峡を押さえ、周辺国と世界経済にダメージを与えることに成功。アメリカは軍事技術の限界・戦略的無能・いざとなったら腰砕けという三点セットを世界に晒した。
トランプ政権は「勝った」と言い張っているが、クルーグマンに言わせれば「史上最悪レベルの戦略的敗北」。道義的信用も地に堕ちた——トランプは土壇場でTACO(=立場を翻す)したものの、巨大な戦争犯罪を予告しており、政治・市民制度がそれを黙認した。
「神のご加護のおかげで奇跡的な勝利」と宣ったのはイランの戦争大臣……ではなくヘグセス国防長官。神学者みたいな発言を米国高官がやらかすという皮肉な構図を提示。
敗北の根本原因はシンプル:トランプとヘグセスに代表される「無知の自慢大会」体質。しかもその無知に「神が我々を支持している」というお題目が乗っかるから始末に負えない。
こうなることは最初から見えていた、とクルーグマン。「こういう連中が政権を握れば大惨事は時間の問題だった」。反省や学習が起きるとは到底思えないし、神様に頼むしかない——という辛辣な締め。
要するに: アメリカはイランに負けた。その原因は軍事力でも資源でもなく、指導層の無知と傲慢。クルーグマン的には「当然の帰結」であり「驚きゼロ」という話。
トランプがTruth Socialに「今夜、一つの文明全体が死に絶える。二度と取り戻せない」と投稿した。要するに意図と動機を自分でバラしている。
これがアメリカの最も暗い時間(our darkest hour)だ、とクルーグマン。「まさかこうなるとは」と驚いてる人は、そもそも現実を見ていなかっただけ。
じゃあ何をすべきか。まず軍の司令官たちへ:イランの民間インフラを破壊せよという命令が来たら、静かに辞めるんじゃなくて、公に拒否しろ。軍の存在意義そのものへの違反だ、と声を上げろ。
トランプ政権の閣僚・官僚たちへ:国家が犯罪国家・テロ国家になっていく中で「自分は農務省の次官補だから関係ない」は通らない。周辺的な役割でも、この政権に仕えることは良心上許されない。
共和党議員たちへ:「文明を滅ぼすのは賛成できないが……」という「but(だが)」の一言で共犯者になる。全員が金太郎飴のように従順に従ってきたからここまで来た。
民主党も他人事じゃない。「戦費がかかる」「エネルギー市場に悪い」「食料品価格が上がる」といったコスト論で批判するのはもう場違い。今必要なのは、道徳的・法的な犯罪であることを曖昧さなしに断言することだ。
結局、今夜滅びるかもしれない文明はアメリカ自身じゃないのか。こんなことをやる国が「文明的」と言えるか。
この瞬間がアメリカという理念の命運を左右する。どう終わるかは自分にもわからない。
結論から言う:トランプはテロリストだ。ICE(入管・税関執行局)自身の定義——「特定のイデオロギーを推進するために人や財産に暴力または暴力の脅しを加える行為」——にトランプはまるまる当てはまる。
トランプはTruth Socialへの投稿で、イランがホルムズ海峡を開かなければ「あっちの全部を吹き飛ばす」と宣言。軍事目標ではなく発電所などの民間インフラを攻撃すると明言している。これは人への攻撃でもある。
「目的が正しければいい」という反論は却下。テロリズムは手段で定義されるのであって、目的の正当性は関係ない。「イラン政権は悪だ」はテロリストが常に使う言い訳と同じ構造だ。
トランプはイランとの「本格的な交渉中」と言っているが、まず信用に値しない。そもそもイラン軍は分権化が進んでおり、テヘランが命令しても海峡を即座に開けるような指揮系統など存在しない。
テロは弱者の戦略だ。軍事力で目的を達成できないときに弱者がやること。米軍はホルムズ海峡を通常通り開通させる実力を持っていない。だから無関係の民間人に苦痛を与えることに走る。
トランプが「締め切り」を過ぎた後に何をするかは誰にも(本人にも)わからない。が、大規模戦争犯罪を予告していることは事実だ。
軍人へのメッセージ:違法命令を拒否する権利と義務がある。12月にアルビン・ホルジー提督が(麻薬ボートへの違法攻撃への関与を拒否して)辞任した件があったが、今回はそれと比べものにならない規模の話だ。上級将校が戦争犯罪への参加を拒否することが、この暴走を止める唯一の手段になりうる。
共和党議員へ:トランプが完全に脱線していることはお前らも知っているだろう。予備選での報復が怖いからといって従順に従い続けるな。
民主党へ:「外交政策は黙って食料品の話だけしろ」という戦略家の言いなりになるな。それは政治的にも悪手だ——弱腰・無力という有権者の認識を強めるだけ。この戦争は日に日に不人気になっており、「国旗の下に結集」効果など起きていない。
政治的計算は二の次にしろ。今は市民的義務の話だ。
締め:アメリカにはテロリスト大統領がいる。世界全体がそれを知っている。しかしまだ、彼が例外的逸脱であってアメリカという国の本質ではないことを示せる機会はある。そのためには立ち上がるしかない。
クルーグマンがここまで言い切るのは初めてじゃないかな基素.icon
水曜のトランプ演説がヤバい。ローエナジー、ぼんやり、現実遊離。「戦争も何もかもうまくいってる」「ホルムズ海峡? 誰かの問題でしょ、勝手に開くかもね」。指導者の発言じゃない。いつものトランプ的妄想ワールドといえばそうなんだが、それにしてもひどい。
ところが土曜の朝、Truth Socialに突然別人みたいな投稿が出た。「イランが48時間以内にホルムズ海峡を開けなければ地獄の雨が降る」(rainのスペルミスつき)、締めに「GODに栄光あれ」(全部大文字)。水曜の「別に俺の問題じゃないし」から一転、大量戦争犯罪を示唆する最後通牒。完全に別のトーン。
「glory be to God」はトランプの語彙じゃない。これはどう見てもピート・ヘグセス国防長官(ペンタゴン内では「戦争犯罪長官」と呼ばれているらしい)あたりの宗教的狂信者の影響。スペルミスはトランプ本人の手っぽいが、中身はトランプの言葉じゃない。
トランプは自分が歴史的大敗北をやらかしたことを内心わかっている。「常勝」のポーズとは裏腹に、政治的求心力の急速な喪失とレガシーの崩壊を自覚しつつある。問題は、静かに退場するのではなく、名誉挽回のために何か本当にとんでもないことをやらかそうとしていること。
まともな民主主義なら今が修正第25条の出番。こんな精神状態の人間に国家暴力の権限を持たせてはいけない。暴力行使の直前に「GODに栄光あれ」と叫ぶのは、アメリカの伝統ではない。
要するに、正気を失いつつある大統領が核のボタンに手を伸ばしかねない状況。今後数日が本当に怖い。
https://youtu.be/P4W72sSrh7A?si=---EArlNB-oiQlPU
アメリカは世界最強の軍事大国でありながら、軍事予算が「四捨五入の誤差」程度の国家(イラン)に負けたっぽい。トランプがTruth Socialに「ホルムズ海峡を開けたければヨーロッパが自分でやれ」と投稿したことは、事実上の敗北宣言だ。「俺たちは勝った、あとは後片付けを他人にやらせる」という体裁だが、要するに「手に負えなかった」という自白である。
なぜこんなことになったのか。そもそもイランと戦争を始めること自体が愚かだった。現代戦、特にウクライナ4年間の戦訓を少しでも踏まえれば、圧倒的な通常戦力を持つ側であってもドローンやミサイルによる大損害を避けられないことは明白だった。
クルーグマンが参照しているのはBloombergのTobin Harshawの記事で、そこで掘り起こされているのが1976年にNorman Dixonが書いた『The Psychology of Military Incompetence』という本だ。主にイギリス軍の大惨事を分析したものだが、教訓は普遍的に当てはまる。
Dixonが指摘した「ダメな軍事指導者」の共通パターンは二つ。①戦争は「頭」ではなく「筋肉」で勝つという時代錯誤の信仰、②知性や学習に対する根本的な敵意(反インテリ)。この二点が、ピート・ヘグセス(現国防長官)の肖像にそのまま重なる。ちなみに「マスキュラー・クリスチャニティ(筋肉的キリスト教)」もDixonが分析したダメ将官の典型的症状のひとつだ。
つまり今回の失敗は個別の判断ミスではなく、構造的な問題だ。「力と根性と筋肉」でドローン戦争の時代を乗り切ろうとし、インテリを憎み、学習を憎む人間たちが指揮を執った結果、必然的に起きた惨事である。
最も屈辱的なのはこれだ——中世への回帰を望む神権政治国家イランが戦略判断において正しく、かつての世界最高の科学立国であったアメリカが完全に間違えた。この敗北の代償は、おそらく生涯にわたって払い続けることになる。
https://youtu.be/LJA6f7pUbTg?si=zpqkS0I61j34t4Lq
新村直弘
200になるかは全然不明
200ドルなら2022よりも悪い
リーマンの時の流動性危機と同じ
トランプのイラン攻撃も再エネ潰しも「Operation Epic FUBAR(史上最大のやらかし作戦)」も、単一の原因論で説明しようとするな。ただし説明したいなら、金の流れを追え。湾岸の石油マネーを。
ただ全体像を見ると、一本筋が通っている:湾岸産油国の金が、トランプ政権の政策と私腹の肥やし方の両方に深く絡んでいる。
トランプが誇る「外国からの18兆ドルの投資コミットメント」の実態はひどい。本当に確認できる約束は6兆ドル程度で、しかもその中身の大半は湾岸産油国(カタール・サウジ・UAE等)からの曖昧な意向表明。EUより経済規模がずっと小さい国々が、EUより多い約束をしているというのが現実だ。
トランプの私腹肥やしはさらに露骨で、政権復帰後だけで少なくとも14億ドルを稼いでいる。最大の一品はカタールからの4億ドルのジェット機。暗号通貨販売もしっかりやっており、アブダビ王族が5億ドルをトランプの暗号通貨事業に投じたと報じられている。
なぜ湾岸マネーが腐敗の主役になるのか?産油国は民主主義国家と違って、巨大な富と秘密主義と公私の区別のなさを組み合わせた構造を持っている。つまりアメリカの政治家に金を配るのが誰より得意なのだ。
トランプ政権による再生可能エネルギーへの異常なまでの敵意も、この文脈で読むと筋が通る。スコットランドのゴルフ場から見える洋上風力への個人的恨みとか、「ドリル・ベイビー・ドリル」的なMAGA男性性とか複数の理由はあるが、化石燃料で食べているサウジが何十年も国際的な気候変動対策を潰してきた利益と完全に一致する。
イラン攻撃についても、ワシントン・ポストの報道によれば、イスラエルとサウジのMBSが揃ってトランプに攻撃を働きかけていた。MBSは表向き外交解決を支持すると言いながら、裏でトランプに電話をかけまくっていたということだ。
もっとも、腐敗の天才であることと賢明であることは別の話で、MBSも今頃は自分が火をつけた戦争を後悔しているに違いない。
トランプがイランとの戦争でホルムズ海峡を開通させるため同盟国に助けを求めているが、ドイツ・オーストラリア・日本は明確に拒否、英仏もせいぜい戦闘終結後に部隊を出すかもしれない程度で、事実上の全拒否。
ドイツ国防相ピストリウスが皮肉たっぷりに言ったように、そもそも「欧州のフリゲート艦数隻で米海軍にできないことが何かできるのか?」という話で、軍事的にも無意味。
それ以上に根本的な問題として、誰も信用できない政府を助けようというインセンティブがない。助けても感謝されず、害をなした相手も罰しないのが今のアメリカ政府だから。
その「信用されない」ぶりを象徴するのがまた新たな関税攻勢。最高裁にIEEPA関税を違法と判断されたトランプ政権が、今度はSection 301(不公正貿易慣行への対抗措置)を使って60カ国以上に関税をぶつけようとしている。
その名目が笑えない話で、「強制労働(スレイブレイバー)による製品の輸入禁止を十分に執行していない」という理由。つまりカナダや欧州が奴隷労働を使っているとは言わず、「中国の奴隷労働製品がカナダ市場に入るのを阻止しないカナダが悪い」という論理。
こんな話を本気で信じる者は誰もいない。そもそもトランプ政権が強制労働の根絶に本気で関心を持っているとも誰も思っていない。IEEPA違法判決が出るまでそんな懸念はどこにもなかったのだから。
要するにこれは法律の抜け穴を探した単なる口実であり、しかも同盟国に対する侮辱でもある。まさにその侮辱した相手に今「助けてくれ」と泣きついているわけで、呆れた話。
https://youtu.be/50_EUPdT9CE?si=Ixrz6VaOBtKVHOmB
石油市場は8割が投機家
イランの対戦条件をトランプは飲めない
イランのゴール
トランプへのダメージ
イスラエルへのダメージ。ただし軍事拠点だけで首都はやらない
イスラエルはイランを徹底的に潰したいが、アメリカはある程度ダメージを与えるだけで産油国への影響は無くしたい
モジタバのアナウンスは明らかに革命防衛隊が書いてる
同じイランの代理勢力と言っても、フーシ派とヒズボラは全く違う
イランのイスラム体制革命は聖職者が支配しているが、これはホメイニのイデオロギー。
ナスララは坊さん
フーシ派と個人崇拝の新興宗教。シーア派政党派とは違うので、ヒズボラとは違う
フーシ派は金儲けに走っている
国連がワクチンを持っていくと、ワクチンを打たせるのに金を取ろうとした
トランプは7/4に建国250周年までに納めたい
イラン側も7月ぐらいまでやれば中間選挙にダメージを与えだと判断できるのでは
日本
自衛権の行使と認めていないのでなにもできない
国益的には日米関係を重視するべき
トランプ氏は14日、交流サイト(SNS)で、米軍の空中給油機が攻撃を受けたとの報道が「フェイクニュース」だと主張。ニューヨーク・タイムズ紙とウォールストリート・ジャーナル紙を名指しし「われわれが戦争に負けることを望んでいる。報道は事実と正反対だ。米国に甚大な損害をもたらしていることを理解していない」とこき下ろした。
「自国でエネルギーを掘ってるから大丈夫」なんてのはまったくの幻想で、エネルギー市場はグローバルにつながっているから、ホルムズ海峡が詰まれば地球の裏のアメリカ人の財布も直撃される。得する連中(ロシア等)と損する連中(米中欧の消費者)の非対称な分布を理解しないと、エネルギー安全保障の議論は的外れになる
2026年2月28日、米・イスラエルによる「オペレーション・エピック・フューリー」でイランへの爆撃が開始。イラン指導部の多くが死亡したにもかかわらず政権は崩壊せず、ホルムズ海峡は事実上封鎖されたまま2週間以上が経過している。
その結果、石油・LNG・肥料価格が急騰。本稿はこのエネルギー価格高騰の「誰が損して誰が得するか」を整理することを目的としている。
勝者:ロシアおよびペルシャ湾岸以外の産油国全般。エネルギー輸出国は棚ぼた利益を享受。
敗者(意外な話):アメリカの消費者。米国は石油・天然ガスの純輸出国にもかかわらず、国内市場価格は世界市場に連動するため痛打を食らう。国内で掘っているからといって国内消費者が守られるわけではない、というのがミソ。
相対的に傷が浅い意外な国:中国。輸入依存度が高いはずなのに、なぜか今回のショックへの耐性がある(理由は有料部分で詳述)。
有料パート:①タンカーとパイプラインという輸送の地政学、②エネルギー価格はどこまで上がるか、③国内生産があっても消費者を守れない理由、④石油集約度の重要性、
石破前首相:
まずアメリカのイラン攻撃というのは合法ですか?ということから始めないと、話が前にいかない。アメリカのやったことが国際法的に合法か。
この点は、合法なわけがない。だから↓みたいな譲歩を言っている基素.icon
もっといえば、先制的であるにせよ、自衛権の行使であるということを、きちんと確認する。そうしないと、何のための会談かわからないもん。同盟国であっても、なぜこれが合法なのか、きちんと確認するのは、独立主権国家として当たり前のことだ。
日本の協力を巡り、「機雷の除去は、自衛権の行使になる。かなり慎重に考えないとまずい」
他国の艦船への燃料などの補給については、「『重要影響事態』として認定し、補給活動を行うことは法的にも能力的にも可能だ」
ホルムズ海峡が封鎖されたままだと原油価格はまだまだ上がる。「世界経済が石油ショックに強くなったから」
現状、実質原油価格(CPIで割り引いた値)はトランプ第一期のころとほとんど変わらない。バレル100ドルでも、1970年代みたいな大危機にはならない。世界経済の石油依存度が下がったからだ。
でも供給側を見ると事態は深刻そのもの。世界の通常の石油フローの約20%がホルムズ海峡の内側に閉じ込められている。1973年の禁輸、1979年のイラン革命、2022年のロシア侵攻より遥かにひどい供給ショックだ。
海峡が何ヶ月も閉じたままなら、供給が増えない以上、需要を減らすしかない。需要を減らすとはつまり、ドライバーが運転をやめ、トラックが止まり、航空便が飛ばなくなるくらいまで価格が上がるということ。要するに「世界経済の危機を起こすレベル」まで上がらないと需給が均衡しない。
長期的には省エネや電気自動車の普及で湾岸石油なしでもやっていける。だが短期的にはそんな調整は無理で、需要を抑え込むには「醜い」経済危機が必要になる。
オイルショック後数十年で、ガソリン車の燃費は2倍になった。そのあとハイブリッドが出た
一部で「長期戦になれば150ドルもありうる」と言われているが、クルーグマンに言わせれば「150ドルでも低く見積もりすぎ」。
https://www.youtube.com/watch?v=7ZgKSJz5QTk
収録日:2026年3月13日
モジタバ師
わからなかった
肉声も映像もない。ビジョンもない
ハメネイ体制になっているということはわかった
声明は国連安保理の非難決議への回答
田中:イランの停戦条件として「将来の攻撃禁止の保証」が報じられているが、今はイラン側から見たら全く信用できない
アメリカ・イスラエルに攻撃をしないという言質を取った上で交渉していたが、国際法上も全く根拠がない攻撃をされた
イランは12日間戦争でエスカレーションさせないように抑制的にやったが効果がなかったので、2月2日に国防ドクトリンを変えて、エスカレーションすると公言していた
GAFAMは軍事産業の一翼である
https://youtu.be/31N0blgAAwg?si=LG9zfORifcd6wiPB
攻撃が続けば確実に反撃する。劣度が下がったいらんができるのはホルムズ海峡の攻撃だから、すぐにホルムズ海峡封鎖がなくなることはない
イスラエルはイランに負けず劣らず問題児
ロシアや中国はアメリカより国連憲章に従って動いている
西側のメディアは決め打ちが早すぎ
田中:モジタバ師が革命防衛隊と近いのは多分そうだろうが、問題は「近い」の意味。最高指導者として軍の指揮権を握れる実力があるのか、それとも逆に革命防衛隊に取り込まれているのか。自分は後者を疑っている。3代目の最高指導者はハメネイ以上に立場が相対化され、革命防衛隊の影響下に置かれる可能性が高い。事実上の「影の最高指導者」は個人ではなく集団としての革命防衛隊かもしれない。 ハメネイがマイクロマネジメントができるようになったのは2005年ぐらい。89年に最高指導者に推挙されてから体制確立に15年かかっている。
https://youtu.be/GcnfdNk_W6o?si=HNa-kjdkQsYmGXQz
収録日:2026年3月12日
10年ぐらい前のインタビューでアメリカの重要人物にシーア派かスンナ派を聞いてもわからなかった
イラン戦争の兆候
1月後半から湾岸国の出荷量が増えた。なんらかを知っていたのでは
エネルギー価格高騰と、エネルギー関連株が年初に上がっていた。インサイダー情報を握っている人が買っているはず
叩く可能性は想像できたが相手のヘッドを狙うとは思わなかった。今までにない戦争である。全世界に衝撃が走っているはず。プーチンも殺そうと思えば殺せるはず
戦争のルールが変わった
1920年から40年の新しい技術を使った戦争のショーケースはスペインの内戦だった。それに近い
これは1920〜40年代に戦車・爆撃機が登場してスペイン内戦で試験されたのと同じ構図。今回のイラン戦争も「次の大きな戦争」への実験場になっている可能性がある
近代戦争には「敵のトップは殺さない」という不文律があった。中世からの伝統で、チェスのキングをいきなり取るようなことはしない。アメリカはそれをやった。しかもピンポイントで。これはプーチンだっていつでも殺せたということを世界に見せつけた行為だ。中国も北朝鮮も全独裁者が震え上がっている。
今回の紛争はスペイン内戦に似ている。新兵器の実験場、次の大戦に向けたデータ収集の場になっている。数百万円のドローンを数億円のパトリオットで迎撃するコスト非対称が浮き彫りになり、ドローン対ドローンの迎撃技術が急速に進化しつつある。ウクライナに迎撃ドローンの支援を求めたのはアメリカの方だ。
戦いはハメネイが準備をしてきた
イラン戦争は簡単に終わらない
イランは40年間この日に備えてきた。革命防衛隊+100万人規模の民兵、分散型指揮系統、地下トンネル網。地上侵攻すればアメリカ側に3〜5万の死者が出る。どの大統領にもその決断はできない。
今もハメネイが開発した戦略が実行されている
中央政府が潰れても各地方の部隊が独自判断で戦い続ける分散型システムを構築済み。ハマスのトンネル戦術もイラン発のアイデア。
ホルムズ海峡封鎖は「世界経済を道連れにするぞ」というイランの自爆カード。原油120ドルまで上昇、日本は78年以来初の単独備蓄放出。半年止まれば世界は大恐慌。トランプが最も恐れるのはインフレ再燃と株価下落で、これがイランの最大の切り札。
イラン側の落としどころは「レジームチェンジしないと約束しろ」。彼らの最終目的は自分たちの体制維持。だが、それを認めるとトランプは勝利宣言できないし、イスラエルも満足しない。ネタニヤフのコア支持層は極めて強硬。合理性だけでは分析を読み誤る。
アメリカが狙うイランを内戦にするシナリオがない
クルド人は自治権をもらえなかったのでテーブルを折りた
長期内戦になれば、シリアよりもひどくなる。世界経済にもネガティブ
cf. シリアは原油なし、人口半分
それが難民になってEUで反移民センチメントが起きた
空爆だけで勝利宣言して撤退しても「また核開発・軍事力強化→また攻撃」のサイクルを繰り返すだけ
本当の狙いは中国封じ込め
従来イランはアメリカにとって「便利な敵」だった。イランが脅威(シーア派でスンニ派と仲が悪い)である限り湾岸諸国に武器を売れる。しかし今回は中国という巨大な敵が出現し、ゲームが変わった。
アメリカがフセイン政権を倒して得したのはイランである。なぜか?理解に苦しむ シーア派がイラクの政府をほぼ手に入れた
存在感のための脅威が必要だったと考えると納得できる
一帯一路のシルクロードは中央アジア→アフガニスタン→イラン→イラク→シリア→トルコを通る。シリアは政権交代済み、イラクはフセイン政権崩壊済み。イランも倒れれば中国のユーラシア大陸横断ルートを完全にブロックできる。 アメリカは中東を安定させて軍事アセットをインド太平洋にシフトしたい。中東全体の「世俗主義化」が長期ビジョン。宗教原理主義から脱却させて民主化・資本主義化し、脅威をなくす。
https://youtu.be/pbWDMuL86jM?si=Er9Uxch3JyY_REvT
国家存亡の戦いと意味付けている
イランはネット遮断しているのに住民の攻撃回避の呼びかけがネット
選挙はあるが候補者は評議会が決める
中国と同じ基素.icon
7世紀のシーア派がスンナ派に滅ぼされてしまった。この悲劇の歴史を共同体として持ち続けてきた(アーシュラー)。圧倒的な不利でも強大な抑圧者に抵抗をするのは宗教的な使命だ
カルバラ・パラダイム
ハメネイは殉教者
核を持つなと考えたハメネイ以後の核方針はわからない
https://youtu.be/F3NXdIcbP64?si=H74q53KTXBFZrQ68
単なる娘婿に過ぎないのに。端的に異常
スポンサーは中東の王族。スマートな社会をつくるビジネスをしたい
トランプの事実を認識する能力が著しく低い。ケアが必要なのでは?基素.icon
イランとの戦争が始まったが、トランプ政権はホルムズ海峡を通る日量2000万バレルの石油供給が止まるリスクを完全に無視。代替としてベネズエラ産(日量90万バレル)で賄えると本気で言ってる。
戦争の報道写真を巡って国防総省がヘグセス長官の「かっこ悪い写真」を理由に報道陣を締め出し。こんなことに必死になってる場合か。
こんな無能集団を権力の座に就けたのは誰か?直接的には「どの党が議会を支配しているかも知らない」低情報有権者だが、下地を作ったのはロバーツ最高裁と超富裕層のビリオネアたちだ。
2024年選挙では、ビリオネアによる選挙献金がさらに極端に。民主党に1ドル入るごとに共和党には5ドル。テック系大富豪が減税・規制緩和・暗号資産・野放しAI推進というトランプの政策に乗っかった結果で、十数人のビリオネアが政権内のポストまでもらってる。
ここで一つ疑問:ビリオネアたちは自分たちに都合のいい政府を買ったはずなのに、なぜこんなにも無能な連中を選んだのか?
答え①:有能な同盟者など最初から存在しなかった。政府を完全に乗っ取るには「完全に腐敗した」人間が必要で、少しでも有能だとプーチン化を妨げる(前任のペンスがその例)。腐敗と無能は表裏一体。
答え②:テックビリオネアたちは庶民の生活などどうでもよく、愛国心も薄い。ICEの横暴も、司法省の私物化も、地方病院の廃業も、戦死者も、自分には関係ない。油価が2倍になっても、リムジンとヨットの燃料代くらい払える。戦場に送られる子どももいない。
米国は明確な出口戦略もなく日2000億円近くをイラン攻撃に注ぎ込み、その一方で子どもたちは医療を受けられず、老人ホームの職員は強制送還され、電気代は跳ね上がっている。これは誰のための戦争か——ビリオネアたちのための戦争であり、コストを払うのは他の全員だ。
「Drill, baby, drill」というトランプの主張は要するに「アメリカがたくさん石油を作ればエネルギー価格は安くなる」というものだが、これは根本的に間違っている。
石油は世界市場で取引されるため価格は世界中でほぼ同じになる。アメリカが自国産油量を増やしたところで、中東の混乱による価格上昇を避けることはできない。
実際、アメリカは現在すでに国内消費を上回る石油を生産しており、ペルシャ湾岸からの輸入はほとんどない。にもかかわらず、ホルムズ海峡閉鎖の影響でアメリカのガソリン・軽油・灯油価格は急騰した。「自給自足」は何の役にも立たなかった。
参考として、WTI(テキサス産)とブレント原油(欧州)の価格は長年ほぼ連動して動いており、アメリカが純輸出国か欧州が純輸入国かという違いは価格にほとんど影響しない。
かつて1970年代には国内産油に価格統制を設けて消費者をある程度グローバル価格から切り離す政策が存在した。ただしその結果は「悪名高いガソリン行列」であり、統制廃止後は超過利潤税に置き換えられたが、それも80年代の油価暴落で廃止された。
今の政治環境ではそういった企業・富裕層に不利な価格統制や超過利潤課税など夢のまた夢であり、結局アメリカのガソリン価格は世界原油価格をまともに反映し続ける。国内生産量はまったく関係ない。
むしろアメリカ人は燃費の悪い大型車に乗り続けているせいで、欧州や日本の消費者よりも中東の混乱に対して脆弱ですらある。
今回の戦争を始めた人たちはこんな当たり前のことも見えていなかった、というのが証拠から読み取れる結論だ。
ホルムズ海峡は対イラン開戦以来事実上封鎖されており、急速な再開通の見通しはない。以前の解説記事で示したとおり、これは1970年代のオイルショック(1973)を上回る規模の供給ショック。 では何が変わったのか?
金曜日にトランプが「無条件降伏」を要求→強硬姿勢かつ現実認識が怪しい。
イランではハメネイの息子(強硬派とされる)が新最高指導者に選出。
これらにより、「体制はほぼ存続しつつ新指導者が宥和的なそぶりを見せてトランプにカネを流す」という、ベネズエラ方式のコスプレ政権交代への期待が崩れた。可能性がゼロになったわけじゃないが、当面はない。
時間の経過がキモ。海峡封鎖が続くと生産施設が停止し始め、蛇口のようにすぐ再起動できるものじゃない。非線形性があって、2週間封鎖は1週間封鎖の2倍より大きな打撃を与える。数週間続けば原油価格はさらに跳ね上がる可能性がある。
とはいえグローバル経済危機と断言するのは早計。今の価格水準はロシア・ウクライナショック時と似たようなもので、あのときも米欧はリセッションを免れた。先進国経済は1970年代よりはるかに石油ショックに耐性がある。
それでも状況はやばい。さらにやばいのは、トランプ政権内の「戦士精神」派が、軍と情報機関が事前にリスクを警告していたにもかかわらず、自分たちの冒険の余波に完全に不意打ちを食らっている点だ。
イランの政治体制に詳しい国立民族学博物館の黒田賢治准教授
モジタバ師は、米イスラエルによる攻撃で、父を殺害され、母と妻も亡くしました。イラン国内で戦死者が増える中で、モジタバ師は殉教者(戦死者)遺族を代表する、象徴的な存在になっています。
命を狙われる危険があり、最高指導者に選ばれたことは伏せることもできました。それでも公表したのは、体制の求心力になることを期待されているのでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=CXgVsPNM8bM
2026-03-08 【エマニュエル・トッド「イラン攻撃」を語る】ロシア、中国「二度の敗北」の意味|アメリカ"三度目の敗北" 明暗を分けるのは直近2週間|トランプの行動は合理性で説明できない|世界各国は核武装へと向かう
① アメリカ「三度目の敗北」の構造
トッドいわく、アメリカはすでに二回大きくコケている——ウクライナ戦争でのロシアへの軍事・産業的敗北と、関税攻勢をかわされた中国への経済的敗北。
イラン攻撃はその「精神的代償」として読める。大国に負けたから、ベネズエラ・グリーンランド・キューバ・欧州・イランといった「小物」に向かって暴れているという構図。
「これからの2週間でだいたい分かる」——もしイランが崩壊せずに持ちこたえれば、それが文字通り三度目の敗北になり、世界はアメリカのパワーが終わったことを理解するだろうとトッドは見る。
ただし現時点ではイランが崩壊する兆候は出ていない
② アメリカ社会のニヒリズムと「暴力衝動」
トッドの第二の、より重要な解釈:地政学的利得の話より深刻なのは、アメリカ社会全体に「暴力への欲求」が噴出していること。
宗教的価値観の崩壊がニヒリズムを生み出し、「守るべきものがない」から破壊衝動に走る——「殺すために殺す」ようなメンタリティ。 この衝動はイスラエルにも共有されており、ガザのジェノサイドやベイルート爆撃もその現れ。「イスラエルがアメリカを動かしている」説をトッドは明確に否定。主導権はアメリカにあり、イスラエルはその歩兵に過ぎない。
③ ハメネイ師暗殺の「真の動機」
アメリカの外交政策がますます「個人をピンポイントで狙って殺す」方向に変化してきているとトッドは指摘。
体制転換が本当の目的とは思えない——宗教色が薄れても、次のイラン政権は必ずナショナリストになるから意味がない。
むしろ狙いはイランに内戦を引き起こすこと。5年・10年・20年と混乱が続けば、中東の地域大国としてのイランを無力化できる、という算段。
さらに個人殺害の重要な機能:同盟国・属国の指導者たちへの脅迫。「逆らえばお前らもこうなる」という恐怖政治。現在のヨーロッパの指導者たちはそれを言葉に出さないが、ひしひしと感じているはずだとトッドは見る。
結果としてアメリカは「恐怖の帝国」に変容しており、その国際関係への関与のスタイルはテクニカルにはテロリズムと呼んでいい。CIAがペンタゴンより重みを持つ国に。 ④ EUはトランプの召使なのか
スペイン政府はイラン攻撃に対してはっきり反対を表明した、これは勇気ある行動だとトッドは評価。トランプはすぐ脅しをかけたが、スペインはEU加盟国なのでそう簡単にはいかない。
フランス・ドイツ・イギリスのリーダーたちは「真実を述べる勇気がなく、アメリカの顔色をうかがっている」——これは深刻な問題。
国民の指導者なのかアメリカの召使なのか分からない
ノルドストリーム(独露間のガスパイプライン)破壊についてもドイツは知っているのに沈黙を守った(※番組注記)。ホルムズ海峡封鎖になればエネルギー面でヨーロッパも日本も直撃を受けるのに、まともな対抗手段を取れない
トッドの疑問:「アメリカはイランを攻撃しているが、同時にホルムズ海峡を通じてヨーロッパを攻撃してもいるのではないか?」アメリカの行動を「合理的な国益追求」で解釈しようとすること自体が間違いであり、暴走するニヒリズムと見た方が実態に近い。
⑤ 通じて出た問い
トランプ本人がリアリティから外れた言動を繰り返しており、「アメリカ・ファースト」の合理性の枠内で説明できる話ではない。
「バンスが最近消えている」という事実(副大統領の存在感の喪失)が、何かを示唆しているかもしれないとトッドは示唆。
核拡散の加速が避けられない:核を持たない国はこれを見て「自分たちも持たなければ」と考えるようになる。その核拡散を後押ししているのは他でもないアメリカとイスラエル。
従来の地政学・外交の枠組みでは分析不能なディメンションがこの問題には含まれている、というのがトッドの最終的なスタンス。
https://youtu.be/s87-B8NG8ZM?si=1yehc4yMU4jZIecy
開戦の大義と問題点
開戦の大義については、「最高指導者を排除できたのはよいことだ」「核・ミサイル・海軍を弱体化できたのもよいことだ」という部分は認める。しかし、存在しなかったかもしれない「差し迫った脅威」を理由に、アメリカ国民への説明もなく開戦したのは問題だ。
「核の差し迫った脅威」論は皮肉にも自己矛盾している。昨年6月に「核プログラムを壊滅させた」と言っていたのに、今度は「実は壊滅していなかった」と言い出すのだから。
そもそもこんな状況になったのはトランプが1期目にJCPOA(イラン核合意)を破棄したせいだ。あの合意があれば核製造まで1年以上の猶予があり、今頃こんな事態にはなっていない。核の「ブレイクアウト期間」を1年から数週間に縮めたのはトランプ自身の決断だ。 なお、核物質があっても「実際に兵器化する政治的決断をイランはまだしていない」というのが情報機関の結論だった。核の脅威は「差し迫っていた」とは言えない。
今後の焦点:「市場と弾薬」
これからの行方を左右する二大要因は「市場(マーケット)」と「弾薬(ミュニション)」だ。
トランプは株・債券・石油市場に非常に敏感なので、油価上昇・株安が続けば出口を求める圧力になる。
弾薬については「消耗戦」だ。誰が先に撃ち尽くすか。イランが迎撃ミサイルを使い果たさせる作戦に出る可能性も、こちらが先に枯渇する可能性もある。しかも高価な精密誘導ミサイルで2万ドルのドローンを落とし続けるのは費用対効果が最悪で、長期戦は厳しい。
最悪のシナリオは、精密誘導兵器と迎撃ミサイルの在庫が枯渇して、対中・対露で戦略的に不利な状況に陥ること。そこまで考えて開戦したのかが疑問だ。
出口戦略
「出口」はある。トランプが「勝った」と宣言するだけでよい。「最高指導者を倒した、核・ミサイル・海軍を破壊した、あとはイラン国民に任せる」と言えば終わる。
それで何が変わるか?:「体制転換」を期待しても難しい。後継は最高指導者の息子でIRGC(革命防衛隊)と深く結びついており、IRGCの支配が強化される最悪のパターンになりかねない。外圧で政権をひっくり返すのは20年の経験上ほぼ無理だと証明されている
外交:「遅すぎる」ことはない
「交渉は手遅れだ」とトランプはSNSで言っているが、外交に手遅れはない。問題はタイミングと条件だ。今のイランは軍事的にも政治的にも外交的にも最弱の状態なので、むしろ交渉のチャンスではある。
ジャレッド・クシュナーたちがジュネーブでオマーン仲介の交渉をしていたのは知っている。彼らは優秀な交渉人だが、核問題は技術的に非常に複雑で専門知識が不可欠。JCPOAの交渉時は技術専門家を大勢揃えた。今回その体制があったかどうか疑問だ。
イラン側は同じ人物が長年交渉を担当してきて継続性がある。アメリカは政権交代のたびに人が変わるので毎回ゼロからのキャッチアップになる。これは構造的な弱点だ。
地上部隊の投入
目的次第だ。大統領が「核・ミサイル・海軍を破壊した。勝った」と宣言して終わりにするなら不要。だが核物質の分散リスク、イランの内部分裂・崩壊リスク(シリア・リビア型)を考えると、「勝って終わり」が本当に終わりになるかどうかは全く保証がない。
クルド人武装への支援
これは非常に危険だ。クルド人への武器供与はシリアの再現になりかねない。国内各勢力が外国の支援を受けて争い、難民流出・過激派台頭・国家崩壊というパターンにはまる。核物質が散逸するリスクも大きく上がる。クルドが優れたパートナーであることは認めるが、武装支援は結果的によいことにならない。
米イスラエル関係
ルビオ国務長官が「イスラエルの先制攻撃に対する報復から米軍を守るため開戦した」と言い、後に撤回した。これは開戦理由がいまだにブレブレであることを示している。
ヒズボラが弱体化してイランが孤立した今、イスラエルは以前なら躊躇していた直接対決に踏み切れる環境が整った。その文脈でこの攻撃は起きた。
バイデン政権期のガザについては、自問し続けている。もっとできたことがあったか。だが最終的にはイスラエル国民の大多数が「これは存亡をかけた戦いだ」と信じており、我々が何をしても彼らは戦い続けた。ハマスを止めるには交渉しかなく、そのためには公の場でイスラエルとの連帯を保ちながら、私的には毎日ネタニヤフ政権を締め上げ続けるしかなかった。
国際秩序の転換
トランプは世界を「勢力圏」で分割する19世紀型の世界観に戻ろうとしているように見える。ロシアはロシアの圏内、中国は中国の圏内、アメリカは西半球で好き勝手にやる、という絵図だ。これは最終的にWW1と同じ結末に向かう発想だ。
もし中東での今回の動乱がイランの真の体制変化につながるなら、イスラエルとサウジの国交正常化、さらにカタール・インドネシアまで波及する巨大な地域統合の機会になり得る。ただしパレスチナ問題を解決しない限り本物の安定はない。700万のユダヤ人と700万のパレスチナ人、誰もどこにも行かない。政治的解決なしに終わらない。
対中対露への影響
今まさにロシアは石油安で戦費が苦しい局面だった。今こそシャドーフリート(制裁逃れタンカー)を締め上げてプーチンを交渉テーブルに引き出すチャンスだった。ところが中東混乱で原油価格が上昇し、ロシアに救命胴衣を投げてしまった。ウクライナ問題でロシアを追い詰める好機を逸した形だ。
対中では同盟国と連携してこそ強みが出る。欧州・日本・韓国・インドと組めばGDPで50〜60%のブロックになる。アメリカ単独では20〜25%に過ぎない。今の路線はその優位を捨てている。
グリーンランド等への野心との関係
イランは「勢力圏外」なので今回は例外的だが、グリーンランドやキューバ・ベネズエラへの関心は「西半球は我が圏内」という勢力圏論の表れ。領土支配が最重要という19世紀的発想で、実際にはそんな必要はない。グリーンランドなど頼んで軍を置かせてもらえばよかっただけだ。
トランプのイラン攻撃という大失態が、期せずして再生可能エネルギー推進の最強の論拠を生み出してしまった 再エネを推す理由はこれまで環境・気候変動・大気汚染だったが、今回の中東危機で「安全保障」という新たな最強カードが加わった。太陽と風は、ホルムズ海峡を通過する必要がない。
アメリカ対イラン戦争は、化石燃料資源に乏しい国々に対し「風力・太陽光・(あと原子力も)でエネルギー自立せよ」という最強のメッセージを世界に叩きつけている。
トランプ流にLNG輸入をアメリカ一本化したとして、トランプ(または将来のトランプ的大統領)がムカついた国への供給を平気で止めないと誰が保証できるのか? 保証できない。
ホルムズ海峡は世界の石油供給の約2割が通る要衝で、LNGや肥料も同様。これが事実上封鎖されてしまった。代替ルートはほぼない。
油タンカーは超絶に脆弱な標的であり、ドローン・対艦ミサイル・機雷は安い。アメリカはパトリオット(高い・数が限られる)でイランのドローンを撃墜してきたが、今やウクライナから安いドローン迎撃システムと訓練を買いに行っているという笑えない状況。
原油価格がもっと上がっていないのが不思議なくらいだが、投機筋が「すぐ終わる」と楽観しているらしい。なぜそう思えるのか、正直謎。一方、小売ガソリン価格はすでに急騰している。
ヨーロッパは再エネで先行しているものの、暖房・発電のLNG依存が残っており、アジアがLNG争奪戦に参入して世界価格を押し上げているため大打撃を受けている。
トランプは再エネ(特に風力)が大嫌いで、洋上風力への数億ドル規模の投資をぶち壊そうとし、英国にも「風車だらけで国を台無しにしている」と難癖をつけた。だが英国は風力が電力の約3割を供給しているからこそ今の危機でまだ持ちこたえている。
オチ:再生可能エネルギーの英雄、ドナルド・トランプ。誰が予想しただろうか。
「法の支配は力による支配に取って代わられ、平和は敵を壊滅させた後にのみ実現するという確信が広まっている」 イラン戦争のコスト:イランへの攻撃にかかってる費用は推計で1日10億ドル。「1億ドルあれば大金だろ」とか言ってたドクター・イービルのネタを引くまでもなく、さすがにこの規模はさすがにデカい。
トランプ政権の議会への追加要求:ロイターによれば、政権は軍事費と消耗した兵器補充のために議会に500億ドルの追加予算を要求しようとしている。全体の連邦予算から見ればまだ小さいが、無視できる金額でもない。
ウクライナ支援との比較:米国がウクライナ防衛に費やした総額は約780億ドル(複数年)。イランへの攻撃は「侵略国から民主主義を守る」というウクライナ支援と違い、米国が自ら進んで始めた戦争であることに注意。
国内の社会支出との比較:1日10億ドルあれば、食料支援や医療保険でどれだけの人をカバーできるか。優先順位がおかしすぎる。
読者コメント(「Derelict」):「戦争には常に財布に金がある。貧困層・障害者・退役軍人・高齢者の生活改善には、どこを探しても1セントも見つからない」という皮肉な指摘。
コメント(「David」):ウクライナへの支援の多くは旧式装備の払い下げや在庫整理で実質的な新規支出は少なかった一方、イランでは最新鋭の高価な兵器をガンガン消費している、という重要な補足。
コメント(「Joerg Ritter」):キール研究所のデータでも米国のウクライナ支援はおよそ1150億ユーロ(約1300億ドル)。ただし旧式兵器を取得原価で計上しているため、実質コストはさらに割安。対照的にロッキード・マーティンのPAC-3ミサイルは年産600発程度で、とても「量産」とは言えない。 コメント(「NY Expat」):ウクライナはドローン戦において世界最先端のノウハウを蓄積済み。米国はその恩恵を無視して高コストの従来型兵器にこだわっている、と批判的。
https://www.youtube.com/watch?v=Y4HRdIRKRdg
エミンはこういう大局観で話す時には、民主党だろうが共和党だろうがアメリカという国が経済的に振る舞うなら、というように見ていると感じる基素.icon
仮定が強いので結構陰謀論感がある
月曜は市場もわりと落ち着いてたんだが、火曜になって現実が牙を剥き始めた。株は一時下落(その後少し戻す)。
「さっさと終わる」という淡い期待、消滅。 トランプ政権はたぶん「首脳部を吹き飛ばせばあっという間に政権崩壊するだろ」と思ってたんだろうが、イスラム共和国は単なる悪党の集まりじゃなく、存亡をかけた宗教的狂信者の集団だ。そう簡単に崩れない。しかもトランプ側には爆撃の後に何をするかという計画が皆無、完全になかった。
ホルムズ海峡が事実上閉鎖。 世界の石油・LNG輸送の大動脈であるホルムズ海峡がイランの脅威で機能停止状態に。ドローンと弾道ミサイル(射程1,900km超)を山ほど持つイランを、制空権だけで押さえ込める時代はもう終わっている。サウジのアメリカ大使館、ドバイ・アブダビ・ドーハの空港などにすでにドローン攻撃が着弾。
耐性も弱まってるしミサイルの3割以上は去年のイスラエルの攻撃で喪失基素.icon
在留アメリカ人が取り残される始末。 政府が退避勧告を出したときには、すでにほぼ全便が欠航になっていた。軍用機やチャーター便で何万人もを救出するという爆笑(いや笑えない)事態に。計画なし、準備なし、の戦争をやらかした証左だ。
原油価格は2月中旬比で約15ドル上昇、でもまだ不思議なほど低い。 「なぜ100ドルを超えないのか?」とFTも首をひねっている。市場はまだ「海峡閉鎖は数日で終わる」と楽観している模様。クルーグマン本人は「数週間は閉鎖が続くだろう」と見ており、市場は甘すぎると思っている。
とはいえ、経済破綻にはならない(たぶん)。 1970年代と違って先進国の石油依存度は大幅に下がった。原油が15ドル上がっても米国の消費者物価への影響は+0.3%程度。仮に50ドル以上跳ね上がっても+1%程度。トランプの関税がすでに同じくらいの打撃を与えているが、それでもハイパーインフレにも不況にもなっていない。
問題は「これ単独じゃない」ということ。 今の米経済にはすでに山ほどストレスがかかっている――関税とその先行き不透明感、移民締め付けによる経済的悪影響、AIバブル崩壊リスク・雇用喪失懸念、2008年型の「シャドーバンキング」的な金融不安定リスク。そこに今回の戦争という新たな不確実性が重なった。
こんなに行き当たりばったりなトランプが、中間選挙が近づくにつれてさらに何をやらかすかを考えると、正直恐ろしい。
トランプが議会承認も国民への説明もなしにイランとの戦争(作戦名「オペレーション・エピック・フューリー」)をぶっ始めた。友軍誤射でF-15を3機(計約3億ドル)一瞬で失ったという話から始まる
アメリカの戦争スタイルはそもそも超資本集約型で、人を死なせる代わりに高価な機材と弾薬をじゃんじゃん使う。FDR以来の伝統ではあるが、それゆえ現代戦は恐ろしく金がかかる。ヘグセスが「戦士の精神」とか言ってる場合じゃない。
問題はふたつ。ひとつ目は弾薬在庫が数日分しかなく、ハイエンド兵器はもう底をついてる可能性が高い(トランプ自身が「中級兵器は無限にある」と言ったのが事実上の白状)。ふたつ目はとにかく金がかかりすぎる。
ハーバードの試算によれば、昨年のフーシー派爆撃だけで最大50億ドル近く、イラン核施設への一日限りの攻撃でも20億ドル超。今回の戦争が数週間続けば軽く200〜300億ドル規模になる。
で、その金があれば何ができたか。FDAの食料支援(SNAP)なら125,000人分の年間給付、子ども医療保険(CHIP)なら100,000人分の医療をまかなえる。撃墜された3機分のコストだけでそれだけの話なのだから、戦争全体のコストはその100倍以上になりうる。
トランプはDOGE(財政削減)や関税で国民を散々煙に巻いておきながら、裏では議会承認なし・勝利シナリオなし・出口戦略なしの戦争に何百億ドルもつぎ込んでいる。「貧乏人には削れ、金持ちへの増税は論外」という構造がここでも露骨に出ている。
現代の大統領で開戦時に国民の支持を得られなかった初のケースになった。国民は「なぜやるのか説明もない」「どうせ自分たちが尻ぬぐいさせられる」と感じており、それは正しい。
https://www.youtube.com/watch?v=eMbD8IdSn_8
アメリカは地上戦を考えていない。これで破壊するのは難しい
イラン側から見ると「ちょっと耐えたらアメリカは折れる」と見える
最後にこうなってほしいという状態が、希望的感想しかないように見える
第二次世界大戦前に戻ってきた
戦後に国連憲章で軍事力行使をしないようにした + 核戦争の抑止
https://www.youtube.com/watch?v=oqEUuM0sDcg
イランは四面楚歌
ハマスは壊滅
ヒズボラも2024年9月に大規模攻撃され、停戦後もイスラエルはガンガン暗殺してる
アメリカのイランへの要求はポツダム宣言とかそれ以上のレベルなので、普通の国の指導者だったら受けない
ウクライナにドンバス割譲しろといっても飲めないのと同じ
ハメネイが大量破壊兵器に非イスラム的なハラムだと言ったのを根拠に極端なことをしてこなかった(宗教令)
しかしハメネイが無くなったので宗教令が無くなった
https://www.youtube.com/watch?v=vVE4L2xEYbc
空母打撃群2つを含む16艦艇
作戦遂行艦の35%を利用
イスラエル史上最大の単一航空作戦
戦闘機200機で500の目標攻撃
2025年6月の12日戦争で弾道ミサイルの備蓄の35%を破壊
トランプがイランを攻撃した。で、「1979年の石油危機みたいになるの?」という問いに対して、「たぶんそこまでひどくはないけど、楽観しすぎも禁物」
イランの石油シェア自体は大した問題じゃない:イランの産油量は世界全体のごく一部。だから「イランの輸出が止まった」だけなら油価への影響は限定的なはず。ただし1978年もそれは同じだったのに、なぜか油価は165%も上がった。理由は周辺国への波及への恐怖と投機的な買い占め、それにサウジの減産。今回も同じロジックが働きうる。
ホルムズ海峡が詰まっている:イランは今やミサイルとドローンを大量保有しており、すでにドバイやバーレーンを攻撃している。中東石油の大動脈たるホルムズ海峡の通航がほぼ止まった状態。中東の産油シェアは1978年とほぼ変わらず世界の主要供給源のまま。これはシリアスな懸念材料。 それでも1979年より傷が浅いと言える理由が二つある:
経済の脱石油化が進んだ:GDPあたりの石油消費量(石油強度)は1970年代から70%以上減った。米国はGDPを3倍にしたのに、石油消費量はほぼ横ばい。燃費の向上、天然ガスへの代替、再生可能エネルギーの浸透のおかげ。石油価格が上がっても、昔ほど経済へのダメージは大きくない。
スタグフレーションのリスクが低い:1979年は元々インフレ高進中で、インフレ期待も「アンカーが外れた」状態だったから、石油ショックが賃金・物価の悪循環を引き起こした。今はインフレ率は2%目標より上とはいえずっとマシで、インフレ期待も概ね安定している。したがって今回の石油価格上昇のインフレへの影響は一時的にとどまる公算が高い。
それでも心配なことが少なくとも二つある:
金融システムの脆弱性:1979年当時は金融規制が強固で、銀行取り付けや金融危機の余地が少なかった。今は私的信用(プライベートクレジット)など、金融安定リスクへの警告が前から出ていた。戦争がそのトリガーになる可能性はゼロではない。加えて、S&P500のPERは1978年に比べて異常に高い。バブルが弾けるリスクもある。
ドバイが潰れると世界経済が痛い:これはあまり語られていない論点だが、現代の中東は単なる油田ではなく、グローバルな金融ハブや富裕層の「安全な避難場所」としての役割を担っている。ドバイ国際空港は世界屈指の航空ハブになった。その機能が戦争で損なわれるなら、それもまた世界経済へのリスクだ。
市場は今のところ「短期で収束する戦争」に賭けているが、それが外れたときのダウンサイドについて、みんな楽観しすぎじゃないかとクルーグマンは心配している。
アメリカ・イスラエルを非難していないのが本当に情けないな基素.icon
理想を捨てた国益追究
米軍も参加
いつものfake