15_2025
ハードコアカルテル2周目
各論2周目では、最近(令和)の司法試験・予備試験の問題のうち一部を末尾に掲げる。
11k94-128を見て、理解できるか確認していく。
条文
2条6項で定義
「2条6項が定義する不当な取引制限に該当する」など。
3条で禁止
7条で排除措置命令の対象
7条の2で課徴金納付命令の対象
7条の2は、3条を経由せず、2条6項(「不当な取引制限」)を直に規定しているが、専門家(公取委)でも知らない人が多い。
ハードコアカルテルと非ハードコアカルテルの違い
11k96の「法執行の違い」と「違反要件論の違い」
行為要件の条文の読み方
「共同して」/「相互拘束」・「遂行」でよい
共同して
「内容」「立証ルール」の基本部分は1周目で済み
11k98のコラム
意思の連絡 → 行為要件
協調的行動 → 弊害要件が成立することを支える考慮要素
例)防衛庁の石油製品事件におけるエッソ石油
11k100- の諸問題
(i) 「事後の行動の一致」が際立つ場合
(ii) 意思の連絡の具体的内容の立証の要否
(iii) 価格決定権限のない者
(iv) 間接的な意思の連絡
ハブ&スポーク
(v) 意思の連絡の勧誘
「中部電力は東邦瓦斯に対し、……を求めた。」
相互拘束・遂行
(多摩談合の「共同して……相互に」は忘れてよい)
公取委は「相互拘束」しか使わない
刑事では、
基本合意は「相互拘束」
個別調整は「遂行」
「(相互)拘束」は、意思の連絡と同義、と考えてよい。
= 意思の連絡を満たせば、下記↓の「相互に」の論点を除けば、「相互拘束」を満たすと考えてよい。
「相互に」11k103-105
一方的拘束
本当に一方的拘束なら満たさないが(文理上当然)
市場外での拘束もカウントするなど柔軟解釈
競争関係の要否
長い間、競争関係のある事例ばかりだったが
平成5年シール判決は、一般論を述べただけであり、事案は、別の論理で説明できた。
最近は、競争関係のない者についても「相互に」の成立を認める事例が増えている。11k104末尾。
弊害要件
書いてあるとおり
因果関係
モディファイヤーを根拠に因果関係要件の存在意義を否定する論は誤りであるが、
実際問題として、ハードコアな意思の連絡が認定されて因果関係が否定される事例はなかなかありそうにない・・忘れてもよい
入札談合
基本合意と個別調整(1周目で済み)
前掲「相互拘束・遂行」でも触れた
公取委と検察庁の「論争」は、20年前のもの
11k109-110の現実的処理を知っていればよい
不当な取引制限の成立
違反の成立
合意時説
課徴金の「実行としての事業活動を行つた日」
値上げ予定日(実際に値上げできたか否かを問わない)
不当な取引制限の終了
11k112-113
需要者の関与
入札談合等関与行為防止法に関する知識のほか
公正取引委員会「共同保険に係る独占禁止法上の留意点等について」(令和6年10月31日)(同日の損害保険会社に係る公表文の別添1)
課徴金
課徴金の基本
7条の2第1項「柱書き&1号」の条文の読み解き
「当該商品又は役務」11k116-119
「実行期間」11k119-120
「1号の付加部分」(11k120-121)は、飛ばしてよい
7条の2第1項3号(11k121-122)は、実例がちらほら出ている
課徴金の割増し
11k122-123
刑罰 11k123-126
一部のものに刑罰がかかる、両罰規定(法人重科)がある、という程度の知識でよい。
減免制度 11k126-128
令和元年改正で、非常に複雑になっている。そういう制度がある、という程度の知識でよい。
意思の連絡(合意)の成否を検討させるもの
例)令和5年司法試験第2問(非入札談合)
意思の連絡(合意)があったことは問題文に書き込んで、その他の論点を検討させるもの
例)令和3年司法試験第1問(入札談合)
例)令和元年司法試験第1問(入札談合)
令和6年司法試験第2問は、活性炭(本町化学工業)がタネ事例であることが明白な出題であるが、典型問題として検討するには少々疑問がある出題。 Y社(本町化学工業)がX1〜X9と競争関係にないので特殊
課徴金について出題し解答させるのがどれほど大変か、という観点から少し疑問