02_2025
ハードコアカルテル 1周目
今後の回に共通しますが、
kihon.iconとされている11k(『独禁法講義 第11版』)の箇所をよく読むのが最も大切です。 視聴覚でお伝えするのが有効なものを厳選して、短い動画にしています。白石が有料加入しているGyazoサービスによるものであるため、広告は出ません。Gyazoの動画は、180秒以内、という縛りがあります。
「読み解く資料」は、教室で一緒に読みます。
ハードコアカルテルとは
競争関係にある複数の供給者が、価格などの主要な競争変数を取り決めて、反競争性をもたらすもの
https://gyazo.com/cd915e2e42dcf4629f240b955a10c79e
「市場」については、11k35-42later.icon
ハードコアカルテルと非ハードコアカルテル
kihon.icon11k95-96
条文は、2条6項だけなので、読んでおきましょう。
https://gyazo.com/80ef83f40e687d453b66c554b33cb1b0
⑥ この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
一般常識として、次のことを知っておいてください。
ハードコアカルテルには課徴金がかかる。
later.icon11k114-123
ハードコアカルテルは刑罰の対象となることもある。
手続の流れ 11k17
later.icon11k123-126
ハードコアカルテルには「減免制度」がある。
違反者が常に複数いることに着目して、一部の違反者の裏切りを促進。
later.icon11k126-128
他の事業者と「共同して」
基本の確認
kihon.icon11k97-100
内容
「意思の連絡」(=「合意」)と解されている。
later.icon11k98のコラム
立証ルール
11k99のような間接事実の積み上げ
入札談合(基本)
kihon.icon11k107-108(「公取委命令事件での法律構成」まで)
later.icon11k108-110(刑事事件関係)
具体例で確認yomi.icon
「意思の連絡」を認定されているシンプルな事例を確認
価格協定(入札談合以外)の例
入札談合(見積り合わせにおける調整を含む)の例
豆知識.icon違反要件を満たすことの説明は、排除措置命令書にあります。課徴金納付命令書は、課徴金要件(「当該商品又は役務」など)と課徴金計算だけ。
「意思の連絡」の認定の典型例
リンク先にスクショされている審決案で、①〜⑤という間接事実が積み上げられて「意思の連絡」が認定されていることを確認してください。
「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」
細かいことはlater.icon11k105-107
ともかく、価格などの主要な競争変数について「意思の連絡」があれば、多くの場合、「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」は容易に認定される。そのことを知っておく。
1周目では、それを前提として、「成立」と「終了」を見ておく。
不当な取引制限の成立
kihon.icon11k110-112
不当な取引制限の終了
kihon.icon11k112-113
今回のまとめ
具体的な箇所は、リンク先(多摩談合)にスクショされています。 「意思の連絡」の確認
「合意時説」のもとでの「競争を実質的に制限する」の認定を確認
もう一歩前へ
質問を受けて
意思の連絡(合意)の認定における「事後の行動の一致」「事後の情報交換」の「事後」とは、そうした間接事実を積み上げることによって認定しようとしている意思の連絡(合意)にとっての「事後」であるということです。
事案ごとに、展開は様々ですから、
意思の連絡(合意)に基づく値上げがすぐに行われて、その状況について値上げより後に情報交換がされることもあれば、
意思の連絡(合意)に基づく値上げはまだかなり先であり、その準備のために値上げより前に行う情報交換も、意思の連絡(合意)よりは後なので「事後の情報交換」と呼ぶこともあるでしょう。
事案ごとに様々な間接事実があり、それについて、便宜的に4分類して頭の整理をしているだけなので、細かい分類論にこだわっても仕方がなく、「いろいろな事案がありますね」というレベルの話です。
多くの文献で「3分類説」というものが言われているようですが、
どのような3分類なのかもよくわからず、
その3分類が論理的に粒度の揃ったものであるのかどうかにも疑問があるのですが、
重要なのは、
上記のように、間接事実の分類は、様々にあり得る間接事実を頭の整理のため便宜的に分類しているだけのものであるので、何個に分けるかは本質的な問題ではありません。
過去の「3分類」では明示されていないものも最近の公取委事例には頻繁に登場しています。そのことは、授業で読み解いた資料にも表れています。
そういうわけで、私は、「3分類説」は、「説」と呼ぶにも値しないような、昔の人の分類の一例、という程度のものであると考えています。授業や11kで時間をかけて取り上げていないのは、それが理由です。