参入障壁
未来の競争状況を決める変数。現在の競争状況を表すのは集中度。 参入障壁を乗り越えることが困難なほど、小さな会社の生き残りつづけられる余地がある。
市場への新規参入を困難にする要因。
高い参入障壁は競争を制限し、市場の独占・寡占化を招くことがある。
参入容易性を評価するフレームワーク
参入容易性に影響を与える変数
航空機産業は航空機を調達するため多額の投資が必要であるが、高額で売却できるため、サンクコストが少ない。そのため航空機産業の参入障壁は高くない。
化粧品業界の後発参入のマンダムは既存のチャネルではなく、コンビニに集中することで売上を伸ばした。
チャネルによる参入障壁の高さが、業界地図を塗り替えることもある。セブンティーンアイスはアイスを買える自動販売機を全国1万箇所に展開してトップシェアを獲得した。
放送、プラチナバンド
差別化された製品
先行企業が有利な状況を築いている
知財
独自の技術
原材料を有利に確保できる
立地
助成金
交友関係
距離
時間
リソース
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参入障壁の種類
1.経済的参入障壁
a.規模の経済
大規模な生産・販売がコスト削減につながる業界では、新規参入企業は競争力を確保するために大きな投資が必要である。
b.資本コスト
新規参入には設備投資や研究開発費が必要であり、これらの資金調達が困難な場合、参入障壁が高まる。
2.非経済的参入障壁
a.政策・規制
政府による規制や免許制度が存在する業界では、新規参入が制限されることがある。
b.独占・寡占化
独占・寡占状態が続くと、市場参入が困難になることがある。
3.技術的参入障壁
a.特許・技術秘密
特許や技術秘密がある業界では、新規参入企業が技術を獲得することが難しい。
b.研究開発能力
既存企業が研究開発に強みを持つ場合、新規参入企業は競争力を確保するために研究開発能力を向上させる必要がある。
4.市場構造的参入障壁
a.顧客の固定化
顧客が既存企業との取引を継続する理由がある場合、新規参入企業は顧客を獲得することが難しい。
b.ブランド力
既存企業が強力なブランド力を持つ場合、新規参入企業は顧客を獲得することが難しい。
c.流通チャネルの支配
既存企業が流通チャネルを独占・支配している場合、新規参入企業は製品・サービスを市場に届けることが困難である。
5.参入障壁の克服方法
a.革新的な技術・ビジネスモデル
革新的な技術やビジネスモデルを開発し、市場に独自の価値を提供することで、参入障壁を克服できる。
b.協業・提携
既存企業や他の新規参入企業と協業・提携することで、資源やノウハウを共有し、参入障壁を低減できる。
c.政策・規制の緩和要請
政府や業界団体に対して規制緩和を働きかけることで、参入障壁を低減することが可能である。
以下の問題に有効
1.新規事業立案
参入障壁を理解することで、新規事業立案時に市場への参入可能性や競争状況を評価できる。
2.競争戦略の策定
参入障壁の分析を通じて、競合他社との差別化や独自の競争優位を築く戦略を検討できる。
3.業界分析
参入障壁の高さを評価することで、業界全体の競争状況や将来の市場動向を把握できる。
以下のな結果が期待できる
1.市場参入の成功確率向上
参入障壁を克服する方法を適切に選択し、市場参入の成功確率を高めることができる。
2.競争力の強化
参入障壁を理解し、競争戦略を策定することで、企業の競争力を強化できる。
3.事業成長・利益向上
参入障壁を考慮した事業戦略を立案・実行することで、事業成長や利益の向上が期待できる。
参入障壁を乗り越えるために、以下のようなハードルがある。
1.資金調達
新規参入に伴う投資や経営資源の調達が困難であることがある。
2.技術・知識の獲得
特許・技術秘密や業界特有のノウハウの獲得が難しい場合がある。
3.既存企業との競争
既存企業が強力なブランド力や独占的な流通チャネルを持っている場合、競争が激しくなる。
参入障壁を克服して実行すると、以下のようなネガティブなことが起きる可能性がある。
1.資本のリスク
大規模な投資が必要な場合、資本のリスクが高まる。
2.市場の過剰競争
多くの企業が参入することで、市場が過剰競争状態となり、利益率が低下する可能性がある。
参入障壁を考慮する状況は、以下のような場合である。
1.新規事業の立ち上げ
2.業界分析や競争分析を行う際
3.事業拡大や多角化を検討する際
メリット
1.市場参入の成功確率向上
参入障壁を克服する戦略を立案することで、市場参入の成功確率が上がる。
2.競争力強化
参入障壁を理解し、競争戦略を策定することで、企業の競争力を強化できる。
デメリット
1.投資リスクの増加
参入障壁を克服するために投資が必要な場合、リスクが高まる。
2.過剰競争のリスク
参入障壁が低い業界では、過剰競争が起こりやすく、利益率の低下が懸念される。
事例
Apple iPhone
独自のデザインと使いやすさで競争相手に差をつけた。iOSやアプリストアを構築し、エコシステムを築いたことで競争優位を獲得し、市場シェアを拡大。
Tesla
自動車産業において電気自動車を投入し、従来の自動車メーカーとは異なる技術とデザインで市場を席巻した。独自の充電インフラを展開し、競合他社と差別化を図りながら参入障壁を克服した。
Amazon
書籍のオンライン販売からスタートし、独自の物流ネットワークやITインフラを構築することで、多様な商品カテゴリーに参入。参入障壁の高い業界にも積極的に進出し、Amazon Web Services(AWS)などの新規事業で成功。
Netflix
従来の映画・テレビ業界において、オンライン動画配信サービスを展開し、参入障壁を克服した。独自のオリジナルコンテンツ制作やアルゴリズムによる推薦機能を活用し、競合他社と差別化を図りながら急成長を遂げた。
関連
マイケル・ポーターが提唱したこのモデルは、業界内の競争状況を分析する際に用いられる。競争相手、顧客の交渉力、サプライヤーの交渉力、代替品の脅威、新規参入者の脅威の5つの要素からなる。参入障壁は、新規参入者の脅威の要素に関連する。
C.K.プラハラードとゲイリー・ハメルによって提唱された、企業が競争優位を獲得するために持つべき独自の能力や知識。参入障壁を克服するためには、他社との差別化を図るコア・コンピタンスを獲得・強化することが重要である。
競争の激しい市場(レッドオーシャン)から、競争がない革新的な市場(ブルーオーシャン)を創出する戦略。参入障壁が高い市場において、独自の価値創造や競争優位を築くためにブルーオーシャン戦略を活用することができる。
企業の内部環境(強み、弱み)と外部環境(機会、脅威)を分析し、戦略を立案するフレームワーク。参入障壁は、外部環境の脅威の要素として考慮される。企業はSWOT分析を通じて、参入障壁を克服するための戦略を立案できる。
事例
昨年2月、日本市場への再参入を宣言した現代自動車は、今年8月までの間に700台を販売した。以前、現代自動車は2004年までは韓流ブームに乗って年間2500台余りを販売したが、その後下落傾向が続き、2010年には日本市場から一時撤退したものの、その後、アイオニック5を前面に出して日本のEV市場に挑戦している。
現代自動車のチョ・ウォンサン日本法人長(常務)は「日本は軽自動車が40%を占め、輸入車は5.4%しかないなど、非常に閉鎖的な市場」だとし「特にEVブランドはEVだけを販売してはならない。高速充電器と充電インフラまで(販売に)含まれるため、本社と協力を進めている」と語った。
Appleが新型「iPhone」を発表したのと同日、Tim Cook氏は、「Android」を使う親とシームレスにテキストを送信できるようにしたければ「母親にiPhoneを買ってあげて」と語り、「その点に関して現時点では、精力を注いでほしいという要望はユーザーから寄せられていない」とした。同氏は米国時間9月8日、秋の新製品発表イベントで「iPhone 14」シリーズなどを発表した後、Vox Mediaのカンファレンス「Code 2022」に登壇し、そのように発言した。
Googleは8月、Appleに対する世間からのプレッシャーを高めようと、テキストメッセージ規格「RCS」の採用をAppleに求める公開ウェブサイトを立ち上げた。RCSはSMSとMMSを置き換えるもので、iPhoneとAndroidの両方で採用されれば、両システムの間でより円滑にテキストメッセージが送受信できるようになる。Googleは、5億人以上がRCSを使っているとしている。RCSを採用することで、入力中であることを示すドットの表示、暗号化、より高品質の動画や写真のテキスト送信など、Appleの「iMessage」と同様の機能を提供できる。
クックCEO、「Android」とのテキスト送信問題で「母親にiPhoneを買ってあげて」
プラスチック成型品を祖業にするアイリス。収納ケースや園芸・ペット用品などで拡大した歴史もあり、ホームセンターが販売の主軸だった。ただ、さらなる成長を目指すうえでは販路の拡大が欠かせない。そこで、ここ数年開拓しようと取り組んできたのがスーパーマーケットだった。
これまで、カイロやLED電球など新たな領域に事業を広げたことを突破口にしてスーパーの売り場面積を拡大しようとしてきた。ところが、いずれの製品も競合企業がいて商品の特徴を打ち出しにくかったことに加え、スーパーは問屋を介した仕入れが中心で、思うようには広げられなかった。
攻めあぐねていたスーパーを開拓する切り札になったのが国産マスクだった。アイリスの大山健太郎会長は「ドラッグストアやホームセンターといったこれまで取引があるところだけでなく、商品不足に悩むスーパーにも供給しようと考えて生産体制を思い切って大規模化した」と語る。
安定的に供給され、消費者に安心感も与えられる国産マスクは全国のスーパーから引く手あまただった。問屋を介さずダイレクトに発注できるアイリスは、取り扱う商品の幅も広い。国産マスクを仕入れられるようになったスーパーは、次第に乾電池やLED電球などアイリス製品の取り扱いを増やしていった。それが、今期の家庭用品の販売拡大につながった。
アイリスオーヤマ、国産マスク参入が生んだ思わぬ効果
サンフランシスコで商売を始めるのがいかに大変かがわかる記事。抹茶アイス店を開くために貸店舗を契約した男性。営業許可を得るのに1年以上。家賃だけが飛んでいく。近隣住民の説得のための弁護士費用も膨大。19万ドル使ってまだ壁の色すら変えられない。
新規店舗開店にあたっては近隣住民(半径150フィート以内)に告知して、反対がないことを確認する必要がある。一人でも反対があると聴聞会で審査があるんだけど、開催まで数カ月待つのはザラ。この人の場合は近隣のアイスクリーム屋に反対されて難儀している。