「おまえが男であったらよかったのになあ」
「光る君へ」第1回「約束の月」#65b0f8afeb237b00000b660d
「光る君へ」第2回「めぐりあい」#65b7bfceeb237b0000e1e3ed
https://ja.wikisource.org/wiki/紫式部日記_(渋谷栄一校訂)
この式部の丞といふ人の、童にて書読みはべりし時、聞き習ひつつ、かの人は遅う読みとり、忘るるところをも、あやしきまでぞ聡くはべりしかば、書に心入れたる親は、「口惜しう。男子にて持たらぬこそ幸ひなかりけれ」とぞつねに嘆かれはべりし。
原文がすぐネットで読める便利な時代
この「式部の丞」は弟のこと
弟がすらすら読めなかったり、読み方を忘れたりしていたところも、自分はよくわかっていたので、親が「男子でなくて残念だ」としょっちゅう嘆いていた、と
男だったら学問で身を立てることができたけど(為時としてはそうしてほしかっただろう)、女性ではそういうわけにはいかなかった
普通はね
本作のまひろは父と絶交してるので、父が弟に勉強を教えているときに「私はわかるよー」と口を挟んだりしないだろう
父に聞こえないところで「孟嘗君。」と呟いている→「光る君へ」第2回「めぐりあい」#65b7bfceeb237b0000e1e3ed
弟はわからなかった正解を、まひろの方はわかっている、という部分だけが使われている
で、「男子でなくて残念だ」のセリフは絶交前に持ってきたと→「光る君へ」第1回「約束の月」#65b0f8afeb237b00000b660d
「光る君へ」第5回「告白」#65c74f74eb237b0000b97476
惟規が紫式部より劣っていたらしいことは、上記の通り、紫式部日記に書かれている
それが「おまえのようにはいかない弟のために耐えてくれ」という形で使われた
「光る君へ」第6回「二人の才女」#65cdf7d8eb237b00008ba8b8
「おまえが男であったらのう…」再び
おまえが男だったらなあ、と「つねに嘆かれはべりし」と紫式部日記にあるから、繰り返し使っているのかも
まひろの回答は「おなごであってもお役には立てまする」
「光る君へ」第9回「遠くの国」#65ebf263eb237b00003790bd
「おまえが男であったらと、今も思うた」
まひろに向かって前にも言ってるからね
今回、まひろは自分も「そう思います」と
「光る君へ」第17回「うつろい」#6637189deb237b0000794f28
「男であったら俺なぞ、敵わぬやも」
伊周が定子に、内覧の宣旨を得るよう言われたとき、「定子はすごいな」と口にした
これも「まひろが男だったら」の変奏と見ることができる
「光る君へ」第32回「誰がために書く」#67093d7feb237b0000a2054e
「おまえが。おなごであってよかった」
出仕するまひろに為時が贈った言葉
内裏に上がるのはこれからなのに、ここで呪いを解いちゃっていいのかな? という意見もX/Twitterで見かけた
物語として考えたときには一理ある
為時主体で考えれば、このときでよかったんじゃないかな
まひろの才が公に出ていくときの餞として
「呪ってしまった側」の決着