『文字渦』
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円城塔の第6長篇
祝・文庫化!(新潮文庫)
超余談だが、新潮文庫の背の色は何色になるのだろう。個人的にはこのまま白でいってほしい。(文庫1冊目の背の色は一律白、2冊目が出たら背の色が正式に決定され、その次の刷分から1冊目にも適応されるというルールがある)
濃いめの灰色(ねずみ色)でしたね。無彩色ではあるだろうなとは思っていたので、一応予想的中
裏表紙のあらすじも円城塔によるもの(本人談)
円城塔本人によるネタバレ解説が存在する -> /mojika/解説
動機までご丁寧に -> /mojika/動機
一言で表すなら、日本語の拡張
2種類の自然言語(日常語、理系学術語)、プログラミング言語による共参照
円城塔で一冊選ぶなら、私はこれを推す
「新字」「誤字」「かな」が特に好き
「文字渦」も好き
塚本邦雄の短歌「初戀の木陰うつろふねがはくは死より眞靑にいのちきらめけ」
島内景二による解説(『コレクション日本歌人選019 塚本邦雄』、笠間書院)
『戦後文化としての「恋」は、現実にどこにでもある男女交際であるが、「戀」は回想という想像力の力で作りあげられた虚構の世界である。それが、真の「文化」というものだ。』
『現代人が恋の命(本質)を知らないのは、正字である「戀」を捨てたからである。』
この歌は、“戀”という字とともに失われてしまった戀を、歌の中に再現する試み
谷崎潤一郎『陰翳礼讃』
円城塔はかなり気に入っている様子(中公文庫『夜ふかしの本棚』)
テクストを読むための環境が変わればもちろん受け取り方は変わるだろうし、テクスト自体も変えた方が理解しやすくなるかもしれない
これまでの円城塔の取組の集大成といえる一作
「かな」でひとつの極致を見るが、この作品で取り組んだことはのちの「歌束」「わたしたちのてばなしたもの」につながっていくことになる
読解のためのヒント
『文字渦』で基本となる考え方は「文字渦」「梅枝」で提示される
特に、「梅枝」で境部さんが提示する疑問や考え方が本作の軸となるところのものである