「梅枝」
https://gyazo.com/15ab3bf0dd7faa49a0a7d74f506ef674
『文字渦』全体を通して問う問題を一作のなかですべて提示している
円城塔の問題意識に沿って考えないと相当苦労する
漢字についての議論の仮名への拡張
「文字渦」「闘字」と漢字についての考察のみにとどまっていた物語が、カタカナとひらがなも対象としはじめる 漢字への疑念からはじまって日本語という体系にも疑問を投げかける
小説を創作するという行為への問題提起
「そう、紙の本は『コンテンツを入れかえる』ことができないし、『文字の大きさやフォント、レイアウトを変更する』こともできない。」
「小説」とは、単なる文字データの羅列ではなく、読者の読むべきフォーマットも含めたもの
「小説家」はテクストそのものだけでなく、「小説」を制作しなければならない
小説を鑑賞するということの不確定性
かつてのひとびとは巻物に書かれたひらがなだけの続け字で物語を読んでいた
いまの活字本になった物語とは違うのでは?
文面に対するアプローチ
理系的アプローチ
なぜ「Your Heads Only」では丁寧に導入していたのに、「梅枝」ではなんの断りもないんだ……
二次元五近傍セル・オートマトン
中心のセルとその周囲を囲む4セルに注目し、これら5セルを参照して中央のセルが変化するという機構になっている。(フォン・ノイマン近傍)
ライフゲームは二次元九近傍セル・オートマトン(ムーア近傍)、上下左右・自分自身・斜め
フォン・ノイマン近傍とムーア近傍は適切な拡張のもとで等価
文系的アプローチ
京極夏彦の美意識
「文中に複雑な漢字がある場合、その上下左右に配置される文字は空白の多い文字でなければならない」
文庫p129「『これは、いわゆる二次元五近傍オートマトンだから、チューリング完全であることも、自己複製可能なことも自明だ』と境部さん。」
これは本当に真か?
自明という言葉を使っているのでギャグである、という説
しかし、そのような記述は存在しなかった
にしても、こんなところに疑わしい記述があるとは思わなかった
詳しい人(円城塔)による解説
わざわざご丁寧に本当にありがとうございます
やっぱり数学的に厳密に自明なわけではないという感じ
ここで、円城塔はあくまで詳しい人(複雑系の研究者)として発言しており、これは作者としての発言ではない
実際、作者しか知り得ないような隠れたレイヤの話はしていない
「昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい?」