現代短歌
平安時代あたりの万葉集、古今和歌集、新古今和歌集が古典的な短歌(和歌、古典短歌)だとしたら、正岡子規などによって起こされた和歌革新運動で生まれたのが近代短歌(この時代から短歌って呼ばれ始めた)
現代短歌は終戦後行われた前衛短歌運動から始まって俵万智のサラダ記念日などに代表されるもの(とrickshinmi.iconは捉えています)
文学的要素だったり短歌の固さを取り除いたキャッチコピーのような親しみやすさを持っていたり
近代短歌
正岡子規(1867-1902)
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる(『竹の里歌』1904年)
佐佐木信綱(1872-1963)
うつらうつら眠(ねむり)催す馬の上に見えては消ゆる古さとの庭
ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲(『新月』1912年)
俵万智などが所属する結社心の花の主宰
窪田空穂(1877-1967)
つばくらめ飛ぶかと見れば消え去りて空あをあをとはるかなるかな(『溺れる川』1915年)
伊藤左千夫
斎藤茂吉(1882-1953)
あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり(『あらたま』1921年)
北杜夫の父親
楡家の人びとにもモデルとして出てくる
若山牧水(1885-1928)
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり(『路上』1911年)
酒大好き
石川啄木(1886-1912)
東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる
あたらしき心もとめて 名も知らぬ街など 今日もさまよひて来ぬ(『一握の砂』1910年)
ゴールデンカムイに出てくる
釈迢空(折口信夫)(1887-1953)
好きcFQ2f7LRuLYP.icon
葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり(『海やまのあひだ』1925年)
人も 馬も 道ゆきつかれ死にゝけり。旅寝かさなるほどの かそけさ(『海やまのあひだ』1925年)
土屋文明(1890-1990)
馬と驢と騾との別を聞き知りて驢来り騾来り馬来り騾と驢と来る(『韮青集』1946年)
「うま」と「ろ」と「ら」のわかちを聞き知りて、「ろ」来り「ら」来り「ま」来り、「ら」と「ろ」と来る
馬と驢馬と騾馬の区別を知って見え方が変わったことを詠む
四句目の破格がそのおもしろみを伝えている
大岡信
現代短歌
高村光太郎(1883-1956)
この家に智恵子の息吹(いぶき)みちてのこりひとりめつぶる吾(あ)をいねしめず(『智恵子抄』1941年)
山中智恵子(1925-2006)
うつしみに何の矜持ぞあかあかと蠍座は西に尾をしづめゆく(『空間格子』1957年)
寺山修司(1935-1983)(前衛短歌運動の担い手)
ほどかれて少女の髪にむすばれし葬儀の花の花ことばかな(『田園に死す』1965年)
村境の春や錆びたる捨て車輪ふるさとまとめて花いちもんめ(同上)
目のさめるごとき絶望つひになし工場の外の真青な麦(『テーブルの上の荒野』)
すごく好きcFQ2f7LRuLYP.icon
穂村弘
校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け(『シンジケート』1990年)
木下龍也
rickshinmi.iconの最推し
邦題になるとき消えたTHEのような何かがぼくの日々に足りない(『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』2017年)
好きmtane0412.icon
悩むとは想像力に火をつけて無数の道を照らすものです(『あなたのための短歌集』2021年)
絶望もしばらく抱いてやればふと弱みを見せるそのときに刺せ(『あなたのための短歌集』2021年)
俵万智
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日(『サラダ記念日』1987年)
焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き(『チョコレート革命』1997年
サラダ記念日が有名になりすぎて爽やかな歌の人って思われがちだけど「焼き肉とグラタン」みたいな歌も多くて好きrickshinmi.icon
佐々木定綱(佐々木信綱の孫)
中澤系
#DIV/0! 無数に浮かぶ数がみな裁きの時を待つ未明にも(『uta0001.txt』2004)
キャンディーのいくつか平行世界(パラレル)ではたぶんつまみ上げられなかったほうの(『uta0001.txt』2004)
3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって(『uta0001.txt』2004)
須田覚
2020年に『西ベンガルの月』が出た
おすすめcFQ2f7LRuLYP.icon
インド赴任時に読んだ歌を集めたもの
衣手の露に濡れゆく秋はなく西ベンガルの赤き満月
停電が怖い貴重な「つや姫」を三合炊いている午後八時
何をすれば今日を正しく終えられて明日の私になれるのだろう
これ好きcFQ2f7LRuLYP.icon
書肆侃侃房
永田和宏
細胞生物学者でもある
百あまり文献タイプに打ちており 読み読みて我の加うるわずか
科学を短歌によむ - 岩波書店で目にしたはずcFQ2f7LRuLYP.icon
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