解収束型
問題に表出を追加すると、解の数が必ず広義単調減少するパズル種のこと。 逆に、表出を追加すると逆に解が増えてしまうことがあるパズル種は解非収束型と呼ぶことにする。
この記事による命名。記事では、個々のパズル種について、解収束型か否かなどの分析を行っている。
例
解収束型のパズル種の例
部屋に数字を追加することで解が単調減少する
解非収束型のパズル種の例
ぬりかべなど、一つのエリアにちょうど一つ表出がある、という条件が存在するパズル種の多く のりのりなど、領域が表出として与えられているものは、その領域を増やすことを表出の追加とみなすと、非収束となることがある。 複合的な例
黒マスを追加するという操作は解を収束させるとは限らないが、黒マスをそのままに数字を追加するという操作は解を収束させる。
上記の内容を「黒マスは非収束だが数字は収束」とやや日本語の文法から外れた表現で述べる場合もある。
美術館なども同様。また、多くのパズル種では、数字不明を表す表出である「?」を数字に置き換えると、解は収束する。 十字は非収束だが、三角は収束。
作問方法の違い
唯一解の問題を作る(解の数を1にする)とき、タイプによって以下のような方法が考えられる。 収束型
いくつかの表出を置いてから解をすべて挙げ、その中の1つの解を選び正解とする。それ以外の解をつぶしていくように、表出を追加していく。解が1つになるまでこれを繰り返す。
追加する表出は、選んだ正解盤面を見て、その中の一部を追加していけばよい。
どの表出を追加すると解の数が効率よく減って1に近づくのか、を比較することもできる。
解の数が0になってしまったら、表出の追加を取り消す。解の数が0なのに、それ以上表出の追加を続行しても解の数が1になることはない。
同様に、解の数が1になれば、それ以降表出を追加しても解は変化しない(解き味は変わる可能性がある)。(→余剰ヒント) 闇のゲームはこの性質を利用してゲームの終了条件を定める。 この性質は収束型ペンパ種に限る。非収束型ではそうとは限らない。
いくつかの表出を置いてから、解空間の共通部分を(なるべく全て)挙げる(=決まるところを埋める)。残りの部分も解の数が1に近づくよう表出を追加していく。
また、表出を増やすと解の数が減少するため、逆に表出を減らすと解の数は増加していく。表出を増やし解の数が減少するとき、解空間は元の部分集合となる。表出を減らすとき、先ほど解だったものは依然として解空間に含まれる。
したがって、以下のような作問方法も考えられる。
正解盤面から表出を抜いていく。表出を減らす毎に解の数を数え、解の数が1を超えないようこれを繰り返す。
目的の手筋を仕込みにくい。
作成途中の問題でも唯一解性は保証される。
非収束型
解の数が単調減少せず、パズル種によっては作成途中に解の数が0になる場合もある。
例えば、ぬりかべは表出が全くない状態では解の数は一般に0である。表出を少し置いても同様である。しかし、さらに表出を追加していくと解が生じる。 後で表出を増やすということを前提に、解空間の共通部分を挙げ、表出を追加していく。
より機械的に作成するには、「表出を置かないと決めた場所」「表出を置くかもしれない場所」「表出を置くが、どの数字にするかは後で決定する場所」などを区別し、解空間を考える。
のりのりなどでは、「もう分割しないと確定させた領域」と、「今後分割するかもしれない領域」を区別する。 ヤジリンなどを人力で作問するとき、「表出を置かないと決めた場所」に解空間の共通部分として線や黒マスを埋めてしまうことで、置かないと決めた場所にうっかり表出を置くことを防ぐ。線や黒マスがまだ埋まっていない部分が「表出を置くかもしれない場所」となり、そこに表出を置いていく。 また、
非収束型の表出だけ先に決めておく。
四角に切れは、前述の「表出を置くが、どの数字にするかは後で決定する場所」(この場合は黒マル)を先にすべて決めておくと、この段階から数字を追加することは収束なので、収束型パズル種と同様に作問できる。 数字を追加してから黒マルを増減させると、解の数を1つにするという目的から遠のく場合がある。
非収束型の表出が存在しないパズル種の場合、バリアントを考え、非収束型の表出を作り出す。 Kropkiは白黒マルが表出である。ここに「灰マル…白黒マルになりうるし、どちらでもない可能性もある」というものを導入し、可能な全ての場所に灰マルを置いておく。すると、この灰マルを黒白マルへ変える操作は収束となり、灰マルを消す(白黒マルが入らないと確定させる)操作も収束である。 完成盤面に灰マルが残っていても、これらを白・黒・無に変えれば、通常のKropkiとなる。
これによって思わぬ解き筋が生じる場合もある。灰マルのままにすれば解き筋の制御はある程度しやすい。
バリアントで表出を作り出すのは収束型においても便利になることがある。ナンバーリンクは線を引く代わりに数字をすべて埋めるパズルにすれば、正解盤面から表出を抜いていく作り方も可能となる。 関連記事
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