結婚
単に一時的な男女の性関係や私的な同棲と異なり、社会的に承認された持続的な男女間の結合であって、その当事者の間に一定の権利・義務を派生させる制度
排他的性関係は 「嫡出原理」 に直結する社会的機能を持つ
嫡出原理 : 結婚した二人の子どもの社会的位置づけの正当化 歴史
家族形成過程
カナダの家族社会学者・James M. White は、『家族発達のダイナミックス』 において、全国データを用いて家族形成過程にかかわるデータを構築し分析しているが、その際に彼は、職業、婚姻 (法的結婚)、そして子どもをもつことの 3 つの出来事の順序について、以下のような 10 のカテゴリーを用いている。 すなわち (1) 職業→婚姻→子ども、(2) 職業→子ども→婚姻、(3) 婚姻→仕事→子ども、(4) 婚姻→子ども→仕事、(5) 子ども→仕事→婚姻、(6) 子ども→仕事→婚姻、(7) 子ども→仕事=婚姻、(8) 仕事→婚姻=子ども、(9) 婚姻→子ども=仕事、(10) 仕事=結婚=子どもの 10 のカテゴリーである。 このように用意された 10のカテゴリーは、もちろん同棲の普及という事実を踏まえてのことであるが、しかしそれは、家族集団がいつどのような出来事によって開始するのか、という家族の概念にかかわる根本的な問題を提起したことになる。 また同様に、彼の著書では論じられていないものの、当然のこととして、結婚と婚姻という社会水準を異にする男女の 2 つの夫婦生活の形が浮き彫りにされることになる。 結婚行動
循環モデルのフレームワークに基づき,家族形成期の日本女性を調査した 『消費生活に関するパネル調査』 を用いて,1) 結婚意欲と結婚行動の関係の検証,2) 働く重要度と結婚行動の関係の検証を行った。1) では結婚意欲が個人属性と母親属性によって決定され,学歴や大都市居住,賃金率の上昇によって高められるが,未婚状態を継続することにより適応効果が働き,「必ずしも結婚しなくてよい」 「結婚したくない」 と意欲を下げて行くことが明らかとなった。 また結婚意欲が実際の結婚行動に与える選択効果も支持され,結婚行動に直接影響する変数と,意欲を介して影響する変数の存在が確認された。 2) では働く重要度の違いが結婚行動へ与える影響は見られず,選択効果は棄却された。 また就業変化などの直接的な経験による適応効果は見られるが,結婚や出産などによる影響は見られない。これらの分析結果からは,家族形成と就業はどちらかを選択することで他方の重要度を下げるような関係ではないと言えるが,ここで用いた変数が就業と家族形成の狭間における女性の心の揺らぎを十分に把握できていないという可能性は否めない。 参考