デジタル民主主義をスケールさせるには?
デジタル民主主義をスケールさせるには?
2025-02-25 Plurality Tokyo Namerakaigi 20分
2025-02-28 サイボウズラボ勉強会 60分
https://gyazo.com/e0cbca9528fb418c1248e823bbcfbba9
サムネイル用
Plurality Tokyo Namerakaigi動画
https://www.youtube.com/watch?v=07BQsWtF5KA&list=PLHsuZp6_Tsv9RZnyar7J7F8dpbHDwX5Uf&index=5
サイボウズラボ勉強会動画
https://youtu.be/9US9vrS18Yg
デジタル民主主義をスケールさせるため、古典期アテネから現代までの民主主義の変遷と課題を考察し、投票、ドメイン投票、Quadratic Voting(QV)、Quadratic Funding(QF)等の新しい手法を紹介します。 | Fractal Reader
きっかけ
tkgshn.icon「コミュニティによるデジタル・デモクラシーのスケール」(Pol.isやCommunity Notesの事例を用いた大規模コラボレーションの実現方法)というトピックで、20分ぐらい喋ってほしい
今までにサイボウズラボ勉強会で色々と関連するトピックについて話してきた
2021-05-28 メカニズムデザイン勉強会
2021-07-09 Majority Judgement勉強会
2023-05-12 PluralityとPolis勉強会
2023-06-23 Polis勉強会
2024-03-15 Quadratic VotingとPlural Management勉強会
2024-06-14 Talk to the City勉強会
2024-10-18 世論地図勉強会
2024-11-22 高次元データ分析勉強会
普段1時間話しているので、今回は1/3だからコンパクト
実装の中身を理解している視点から考えることをシェアします
実装の詳細を解説すると時間がいくらあっても足りない
詳細はデジタル民主主義研究ユニットのNoteに書く予定
民主主義を漠然と良いものだと思わない
民主主義を改善するということは「2024年の民主主義」には悪いところがあるということ
「民主主義」を漠然と捉えるのではなく、詳細に分解して考え、どこが良いところでどこが悪いところなのか掘り下げないといけない
ピボット=軸足
現在の立地の良い方の足を軸足にして、良いところは動かさずに、もう片方の足を理想に向けて動かす
古典期アテネの民主主義のスケール
紀元前5世紀
集会で議論し、多数決で政策を決定
「みんなで議論して決めるっていいね」
「その『みんな』って誰?」
出生により市民権を持つ成年男子。女性、奴隷、外国人は除外
全人口の約10~20%程度、およそ3万~6万人
ちなみに東京ドームが55000人
地域で言えば石垣島、宮古島、佐渡島、奄美大島が4~6万人前後
国民こそが唯一の正統な権威である
フランス革命(1789年)のあと、憲法の草案を作る議論
ロベスピエール「国民こそが唯一の正統な権威である」(1793年)
「国民みんなに投票権を与えるっていいね」
「その『みんな』って誰?」
成年男子。
フランスでの女性参政権は1944年までなかった。女性は「国民」ではなかった
日本の女性参政権は1945年、大差ない
一人一票の原則?
「一人一票の原則」っていうけどそもそも現時点でも達成されていない
未成年者には投票権がない
「成人に限定するのは一人一票の原則に反しているのでは?」
「未成年者には合理的な政治判断が可能な判断能力がないから〜」
認知症の高齢者には投票権があるのに?
2013年の公職選挙法改正以降「認知症や知的・精神障害などにより判断能力が不十分と判断された成年被後見人」にも投票権があるのに?(see 成年被後見人の選挙権)
17歳の人はその人たちよりも判断能力がないと主張するんだ?
0歳児も含めてすべての人間に平等に投票権を与え、自分で意思表示ができない子供は保護者に委任すれば良いのでは?
この考え方は「ドメイン投票方式」と名前がついている
ドメインは人名Paul Demeny由来でデメニー投票、デーメニ投票とも呼ばれる。
Quadratic Voting
「一人一票の原則は、別にそんな大事でもないから変えたほうがいいんじゃない?」
とラディカルな改革を提案したのがGlen WeylのQuadratic Voting(QV)
書籍「Radical Markets」で読んだ人も多いと思う
この着想由来で3つの少し異なるものが生まれたのでここで整理しよう
Audrey TangのQV
Glen WeylのQV
Vitalik ButerinらのQuadratic Funding(QF)
Audrey TangのQV
後述のGlen WeylのQVを現実に合わせて削ぎ落として社会実装したもの
たとえばハッカソンの優秀賞を選ぶ投票において1人に99票を与える
投票力は投票数の平方根になる
64票投じたら8投票力
16票投じたら4投票力
少しずつ色々な候補に投票するほうが自分の票を有効活用できる
面白いのが「100票」ではなく「99票」にしているところ
キリが悪いので全部一候補に投票することができない
友達に「このコンテストに出てるんだ、投票して」と言われたら、従来手法だったらその友達にだけ投票するよね
この方法だと81+16+1+1とかになって友達には9投票力いくけど、他のプロジェクトにも6投票力いく
Audreyいわく(from Quadratic Votingがシナジーの発見に有用)
相乗効果の高い複数プロジェクトに目を向けるインセンティブが働き、自然に「最適な組み合わせ」を探ろうとする。
「組み合わせることで、単体の合計を上回る価値が出る」=シナジーのある組み合わせが、投票行動を通じて浮かび上がる。
台湾総統杯ハッカソンなどで使われている
Glen WeylのQV
QVのそもそもの提案
「必要に応じて複数票を投じられるが、そのコストは投じた票数の二乗になる」
その「複数票」はどこから来たのか?
Radical Marketsで描かれている提案は「投票権の継続的価値」
みなさん、投票に行かなかったら投票権は無価値になるのを当たり前だと思ってませんか?
現状の投票権には「継続的価値」がない
選挙のたびに「白票を投じることに意味はあるか?」という論争が起きている
投票したい候補がいないときにどうしたらいいのか
たとえば有利な現職がいて、まともな対立候補がいないなど
GlenのQVはシンプルな解決策を提供する
「その票は投票しないで取っておいて次回以降に使えばいい」
QVは投票しないことに意味のあるメカニズム
「投票しないことは良くないことだ」は根拠のない思い込み
今の投票システムは投票されなかった票や白票には価値がないので現職は無視する
しかし、QVだと「投票されないでストックされた票」は「将来現れる現職を倒せそうな対立候補」に投票されるので、現職が投票率をあげようと頑張ることになる
社会実装という点では...
(これを入れたい現職はいないのでは、というのはさておき)
技術的には、秘密投票を守りつつ、使わなかった票が個人に帰属して存続する、という仕組みがなかなか大変
AudreyのQVは継続価値を捨てることで社会実装を容易にしてる
Vitalik ButerinらのQuadratic Funding
A Flexible Design for Funding Public Goods(Vitalik Buterin, Zoe Hitzig, E. Glen Weyl)
「継続的価値を持つトークン?もうあるよね?金だよ!」
「投票権を金で買う」と表現するとアレルギー反応が起きちゃうw
クラウドファンディングやアイドルに対する推し活として捉えてみよう
社会実装として機能している
2009年のAKB48総選挙
ファンはCD購入で投票券を獲得
この時は「購入数=投票券の枚数=投票力」だった
投票力を投票券数の平方根にしたらQFになる
Gitcoin
2017年に設立
2019年頃からGitcoin Grantsを通じてオープンソース公共財への資金再分配を開始
初年度は約70万ドル、その後急成長し、2022年には約2140万ドルが再分配された(link)
そもそも金で投票権を買ったら何がまずいんです?
"for Funding Public Goods"というタイトルの意図
https://gyazo.com/7de5f0eae25deb83ad3ae020628a2fd5
QFでは1人の100万円(=1000投票力)と100人の100円(=10投票力)が同じ力を持つ
https://gyazo.com/b7b59fcc5cc066b7adaf26378206f3f6
100万円は国庫に入って、将来的には再分配される、100人で分けたら1人1万円
A案がいいと思う人が、B案がいい(100円までならだせる)と思ってる人に1人1万円払ってる形
B案がいいと思う人も、100人で分担してA案がいい1人に1万円払っている形
両立しない意思決定選択肢に関しては「自分の意見を飲ませる人全員によりたくさん支払う」方が選ばれる
公共財への投資とかリソースの再分配の観点からはとても良い性質なのでは?
投票とクラウドファンディング
ここまでの振り返り
「民主主義」という言葉で「2024年の民主主義」の「投票」の「紙に政治家の名前を書いて箱に入れる儀式」を連想する人が多い
しかし社会のメカニズムをデザインする視点では、投票とクラウドファンディングは共通構造があるという話をした
両者とも「多数から情報を集めて意見を集約する仕組み」
社会的意思決定のメカニズムデザイン
「投票」の概念をこの視点からもっと詳しく見て、分解していかないといけない
「紙に政治家の名前を書いて箱に入れる儀式」は現在メジャーな実装の一つに過ぎない
投票とはなんだったのか
昔はコンピュータがなかったので集計アルゴリズムが未発達だった
手軽に実装できて広く使われた集計方法が「選択肢を書いて投票、数を数える、最も多いものを選ぶ」という多数決のアルゴリズム
手軽なものとしては他にはくじ引き(抽選制/抽籤制)があった
アテネのアルコン(執政官)はくじ引きで決まった
多数決には色々問題があると思われている
プラトン「無知な大衆の判断は国家を乱す。理想は専門知識を持つ者による統治だ」
アリストテレス「民衆支配は少数意見を軽視し、感情に流されやすい」
ジェームズ・マディソン「多数派の暴政を防ぐため、権力分立と連邦制が必要だ」
ジョン・スチュアート・ミル「単純多数決は個人の自由や少数派の権利を損なう恐れがある」
アレクシ・ド・トクヴィル「現代民主主義はポピュリズムと情報偏在のリスクを孕んでいる」
数学的側面に関しては 2021-07-09 Majority Judgement勉強会でも書いたので興味があれば読んでね
問題はたくさんあるので今回はその中の一つに注目しよう
選挙は4年に一度5bit送信する遅い通信だ(Audrey Tang)
「投票はそもそも送られる情報の量が少な過ぎるよね」という指摘
より多く送信したい
しかし従来は受け止められなかった
2023年ごろから、LLM(大規模言語モデル)の発展によって、より良い集計アルゴリズムが可能になりつつある
ブロードリスニング
色々な応用対象で実験され、色々な成果が出つつある
https://gyazo.com/8aed1a6ee239c672d1e504cdb48d0e9e
Polis / Community Notes
この2つはLLMを使わない投票ベースの手法
PolisはAudreyがvTaiwanで使って有名になった
Pol.is(サービス) / GitHub / Pol.isでのUberの議論
意見に対して人々が「賛成・中立・反対」を投票する
意見自体を投票することも(設定によっては)できる
Community NotesはX/Twitterで使われている。GitHub
さらにMetaがファクトチェックを廃止してCommunity Notes的なシステムに変えるようだ
メタ・プラットフォームズは1月7日(米国時間)、Facebook、Instagram、Threadsにおいて、第三者によるファクトチェックプログラムを廃止すると発表した。 --- メタがファクトチェックを廃止へ──トランプ政権復活前の大転換 | WIRED.jp
ノートに対して人々が「役に立つ・役に立たない」を投票する
ノート自体を投稿することも(ある程度信頼ポイントを貯めると)できる
処理の仕組み
Polis
欠損値は平均値でうめる
PCA(主成分分析)で2次元にする=人々は2次元に配置される
その後でk-meansでクラスタリングする
CNは欠損値がとても多いのが問題
与えられたデータを教師データとして「ごくシンプルなニューラルネット」を学習する(端折った説明)
結果として人々は1次元に配置される(=だいたい政治的左右に一致)
人々の政治的偏向と無関係なノート支持の重みをノートのスコアとする
(詳細はこちら: Community Notesにおける行列分解を用いた信頼度スコアリング)
多様な主体から支持されることを評価する仕組みといえる
Talk to the City
Talk to the City(TTTC)はLLMベースの手法
2023年初頭に登場し、その後2023年10月にオープンソースとして公開された
Talk to the City: an open-source AI tool for scaling deliberation — AI • Objectives • Institute
GitHub
日本では安野さんが都知事選で使い、日テレが衆院選で使い、東京都が長期戦略策定に使ったことで知名度が上がってきている
日テレNEWS×2024衆院選×ブロードリスニング
シン東京2050ブロードリスニング
処理の仕組み
人々の意見の文章をLLMが高次元のベクトルに変換する
それを可視化の目的で2次元にする(UMAPを使う)
2次元にしたものをクラスタリングしてグループにわけ、そのグループの解説をLLMが生成する
世論地図
日本のNPO法人Mielkaが2024衆院選の時にJAPAN CHOICEの新機能としてリリースしたサービス
https://gyazo.com/1e1a56060aab7c997e9d0999fab108a8
PolisとTalk to the Cityの融合路線
前半はPolisみたいに投票で、作られたグループの解説をTTTCみたいにLLMが生成する
政党のマニフェストから抽出した「意見ベクトル」を重ねて表示することが従来のPolisやTalk to the Cityにない特徴
2024年衆院選で4400人のデータを集めて可視化した: GitHub
TTTCと世論地図とその先へ
Polisにあって、TTTCになくて、世論地図がPolisからカットした機能は何か
それは「可視化を見た後でのコメント投稿機能」
現状TTTCと世論地図は「可視化止まり」
Meta-polisの構想
https://gyazo.com/21beb7358d7da00e2bf24eccec79fbe9 by mashbean
(この図自体はPolisやTTTCをブラックボックスの部品にしているせいで機能的重複があって、エンジニア的にはいまいち賛成できないんだけども)
「可視化を見たユーザが、それにトリガーされて意見を書いたり投票したりできるインターフェイスが必要だよね」というところは同感
継続的なメカニズムとしてはループがずっと回り続けるのがいい
一方で現実的な企画としては明確な終わりのあるイベントとして盛り上げるのの方がやりやすい
ここのギャップをどう埋めるかは課題
協力の深さと広さのトレードオフ
https://gyazo.com/2023cb08538c06434d3ac53d4991d24d from Plurality本
協力には深さと広さがある、これらはトレードオフになっていて、技術の進歩が可能な範囲を押し広げる
もともとのお題「デジタル民主主義をスケールさせるには?」
https://gyazo.com/a7e741fc4fcebd8ba02b51f997ce24f5
民主主義という言葉で連想されがちな「投票」はすでにだいぶスケールしている
広いが浅い
「もう少し広げよう、未成年者とか、外国人とか」という路線もある(1)
Audreyの「投票はそもそも送られる情報の量が少な過ぎるよね」「もっと情報増やしていこう」は深くしていくアプローチ(2)
「候補者から選ぶ」から「議題に直接賛否を投票」や「文章で意見を投稿」へ
(JOINで高校生も発信できるようになったのは広げる方向にも寄与してる)
この方向性は目立つ
なぜなら「広い」ところからスタートしているから
アプローチは他にもある
https://gyazo.com/1d9ebb5769c6c0e31e2d04831b3cc998
気の合う人と二人で話している時の議論の生産性
少人数のグループで議論している時の生産性
これをもっと「深くする」(3)「広げていく」(4)にはどうすればいいか?
AIあんのVTuberはタウンミーティングを空間と時間の制限から解き放った
5日間場所の制約なく24時間稼働して6000件の質問に答えた
AIあんのには人間と違って体力の限界がない
非同期化(空間と時間の制限から解き放つこと)によって参加できる人の範囲を広くした
仕事や子育てで
ChatGPTとAIあんののコミュニケーションの形の違い
https://gyazo.com/4e453420bbbc08b3a9671fa498ef022d
AIとの一対一の会話ではなく、周囲の人が見えることによる情報共有
一般の参加者が「他の参加者がどんな質問をしてどんな返答を得ているか」を見ることができる
AI政治家の3つのレベル
https://gyazo.com/de2c94f79f955838d374e0cc904e2eb5
AIが喋るだけで人の話を聞かない(1)や、人の話を聞くけどそのデータがフィードバックされない(2)と違ってAIあんのは当初から(3)の構造になっていた
AIが間に入って非同期化することによって「大規模な双方向コミュニケーション」が起きている
Open Space Technology
グループディスカッションのやり方の一つで、サイボウズでは100人超えの規模で実施されている
参加者が好きなテーマをみんなの前で提案
「アジェンダ設定の権限を人々に開放する」(by Audrey)だね
みんなは各自で興味があるテーマのブースに行く
誰も興味がない議論に参加することを強制されない
ただしあなたが不人気なテーマを設定したならあなたと話す人は少なくなるだろう(Vitalikの主観主義)
(人数や時間制約によるがサイボウズの事例だと)1セッション30分を4回、ブースは13箇所だった
https://gyazo.com/98e35e5fc7521a65e82b853695717b25 from Plurality本
https://gyazo.com/9907d2b196a02dbb72d9f266e9f7880f
from 3つのイデオロギーの間に2つの対立軸がある
一塊の社会でもなく、個々人ばらばらでもなく、いくつものグループの重なりで社会ができている
Open Space TechnologyはPlurality本のこの思想にとてもフィットしていると思う
100人を13グループに割ると平均7〜8人
顔が見える小さなグループで密な議論をする
4回異なるグループでそれをやることで4つの異なるグループに所属することになる
グループディスカッションの情報共有
Open Space Technologyに限らずグループに分かれてディスカッションするシチュエーションは多々ある
「他のグループでの議論を知りたい」というニーズは高い
しかし、そこの情報共有はスムーズではない
グループディスカッションでの会話がいい感じに要約共有されるにはどうすればいい?
https://gyazo.com/b396aeb578a17b1fcfb5309bb84680dd
例えば各グループごとに一人の参加者がスマホで録画しておき、終了後にYouTubeにunlistedでアップロード
YouTubeが文字起こしをしてくれる
ここまで現時点でもう道具は揃ってて運用で実現できる
文字起こしをプログラムで収集し、AIが要約
収集するコードを作ればTalk to the Cityで要約レポート作成できる
動画のタイムスタンプへのリンク付きでまとめるとすぐに元の議論を確認できて良い
異なるグループで関連した内容を話していることを発見してそれぞれのグループの参加者に教える
これは技術的には可能、まだ実装はない
AIのフィードバックが数時間後なら現時点で十分可能、将来的にはかかる時間が短くなっていく
AIが仲介するコミュニケーション
https://gyazo.com/3aeba9eb57caa45165af87dccbc57406
青山さん(Bluemo)が研究している新しい形のコミュニケーション
from /blu3mo-public/Intersubjective Model of AI-mediated Communication: Augmenting Human-Human Text Chat through LLM-based Adaptive Agent Pair https://arxiv.org/abs/2502.18201
Intersubjective Model of AI-mediated Communication: Augmenting Human-Human Text Chat through LLM-based Adaptive Agent Pair
https://arxiv.org/abs/2502.18201
「グループディスカッションの情報共有」の話と地続き
「人間のグループディスカッション」の最小形態は「人間二人の会話」
気の合う二人での生産的な議論は「とても狭いけど深い協力」
AIが十分に人間の代わりをできるようになると同等の深い会話を自分一人でできるようになる
「相手の時間の都合」が関係なくなる=時間の制約から解き放たれる
「グループディスカッション+AI」と「人間とAIの1対1」とはどちらもメリットデメリットある
グループディスカッションは主体的に発言しない人にとっても「参加」の機会になる
最初から「話したいこと」がなくても、他の人の議論を聞いているうちに言いたいことが出てるる
「人間とAIの1対1」は相手の気持ちを考えなくて良い
「発言によって関係が悪化するのではないか」という社会的リスクがない心理的安全性
https://gyazo.com/e0cbca9528fb418c1248e823bbcfbba9
「人間とAIの1対1」に限った話ではなく多様なコミュニケーションの形がある
AIあんのタウンミーティングもその一つ
AIが多様なコミュニケーションに参加して緩やかにブリッジしていく
「スケールさせる」とは?
小さいグループを大きくすることか?
小さい活発なグループをたくさん生み出していくことによって社会の平均的活発度を上げていくことか?
小さなグループの間を「100%断絶でも100%共有でもない情報通信路」で緩やかに繋ぐことか?
まとめ
デジタル民主主義を“深く、広く”拡張し、よりよい社会的意思決定を目指すには?
民主主義を一塊のブラックボックスではなく、要素に分けて考えることが必要
「投票=紙に名前を書く」「一人一票」「多数決」は思い込み
古典期アテネから現代まで、「以前の常識」を問い直してきた歴史
新たな投票・意思決定手法
Quadratic Voting/Quadratic Funding:一人一票の原則を変える発想
Polis / Community Notes / 世論地図:多様な主体から支持されることを評価する仕組み
Talk to the City:AIで膨大な文章を可視化・要約
協力の深さと広さのトレードオフ
Open Space Technology:少人数グループでの濃密な対話でネットワーク構築
AIあんの:時間・場所の制約から解放したタウンミーティング
AIを活用した「ハイブリッドな対話」
グループディスカッションの録画・文字起こし→AI要約→関連議論の発見
「人間×AI」コミュニケーションによる新しい議論の形と心理的安全性
「スケールさせる」とは何かを考る
単に参加者を増やすことではないはず
目的はより深い議論や広い連携を実現することで「協力」の質を高めることでは?
小グループで生まれる濃密な対話を多数つなぎ、社会全体を豊かにする
草の根で始める小さな一歩
社内・コミュニティでPolisやTTTC、デジタル民主主義2030を試してみる
イベントや会議で録画文字起こし×AI要約を使って同じ時間と場所を共有できない人に機会を用意
誰かが作ってくれるのを待つのではなく自分たちで「自分たちの場」に合わせて少しずつ導入していく
--- memo
Making
ver.2
発表練習してちょうど20分だったが、なんか発表時間が15分になってたw
cut from ver.2
MetaPolisの構想
可視化で終わりではよくない
可視化を見た後で、人々がそれに触発されて発言できるとよい
議論が「積み上がって」いく
議論の共通基盤が作られ、改善されていく仕組み
ver.1
民主主義のスケーラビリティ
デジタル民主主義
コミュニティ
Polis
Community Notes
大規模コラボレーションの実現方法
XY問題
熟議のための4つのステップ
3つのイデオロギーの間に2つの対立軸がある
https://chatgpt.com/c/67852ca0-16c0-8011-b292-250d1237518b
民主主義をスケールさせるための技術、PolisやCommunity Notesについて
リプライはスケールしない
一人の人の投稿に1000件のリプライ
読めるわけない
しかも暴言の割合も多い
まとめてミュートする
有用な意見がやりとりされて議論が深まるためにはこの仕組みではダメ
TTTC
LLMの進歩によって暴言のフィルタリングや、似た意見をグループにまとめることができるようになった
可視化しただけとも言える
次のステップは?
ウェブで渡すだけだと機能しにくい
+ブロードキャスト
日テレの事例
人間の解説が付属
専門家(今回のケースでは政治家)との対談の際の叩き台、話題出しに使うことができる
+内部的熟議
東京都の事例
大規模なパブリックコメントとして
1/31に詳しい情報が出るのでそれを書く
Polis
ある種の斬新なUI
リプライさせない
順番はシャッフル(情報量最大化アルゴリズム、要確認)
日本ではまだ根付いていない
日本の環境に適してモバイルファーストでUIをデザインし直したものが「世論地図」
紹介はトンフィさんが先にやってるはずなのでここではしない
内部の集計サーバなどはPolisのものをそのまま使いつつ、AIによるクラスタ解説や政党アイコンの表示をした
比較的根付いてきているボートマッチとPolisの中間
世論地図2024
Your Priorities
もう少しわかりやすいUI
賛成反対に分かれて投稿
直接のリプライはない
コトノハ
良いものがupvoteされる
Community Notes
行列分解
多数決と何が違う?
絵を描いて解説
Meta、ファクトチェック
米メタは7日、運営するフェイスブックとインスタグラムで、投稿内容の正確性を調べる独立したファクトチェッカーの使用を廃止すると発表した。今後は、米ソーシャルメディアのXで用いられているような、正確性に関するコメントをユーザーに委ねる「コミュニティノート」という仕組みに置き換える。
https://www.bbc.com/japanese/articles/cgkxky4vvg3o.amp
「ファクトチェック廃止」というところだけ切り取って「けしからん!」みたいなことをいう人がいるけど、その切り取り方自体がバイアスしてる
「少数の人間によって何が正しいかを判断するファクトチェック」が、あんまり機能しない、または今のソーシャルメディアのユーザによって信用されない、効率的でない、などの理由により「大勢の人間をアルゴリズムによってつないで正しさをチェック」にした方が良いという話
コミュニティノートのCOVID-19関連ノートに関する専門家評価についての英語論文は、以下のものがあります。
“Do Community Notes work? A case study of COVID-19 related notes”: この研究では、2022年から2023年にかけて投稿されたCOVID-19関連のコミュニティノートを医療専門家が評価し、97%の精度が確認されました。
この論文は、コミュニティノートがCOVID-19に関する情報提供において高い信頼性を持つことを示しています。
まともな反論
感情的な反発、暴言