OM-MF4-Mica
Markaudio CHN40のペーパーコーン版で、若干ハイ上がり傾向の明るい音色が特徴の6cmユニット。OM-MF4(Micaじゃない方)用のラビリンス・バスレフに納めたところ、少し散漫で雑な音がするので、エンクロージャ内の中高音が漏れないようにするなどの対策が必要と思うが、エントリークラスのDIY用ユニットとしては十分過ぎる性能を持つ。 MOOK本の付録にしては価格が高い、との指摘もあるが、ツィータを載せずに十分音楽を楽しめる完成度の高さと昨今の物価高・円安の影響を考慮すれば、致し方ない。もちろん、この価格であれば、もっと大きな口径のものをムック本に望むのも理解できる。純粋な音質面での比較では、姉妹品で口径の大きな8cmクラスのOM-MF5/519の方が総合力で上である。
だから、OM-MF4-Micaの存在意義は、エンクロージャを小さくできることにある。フレームがスリム、かつ四角系なのは、製造・販売側も、コンパクトなエンクロージャに納めることを意図している。
ちょうどオントモショップで、ONTOMO MOOK本のユニットとダブル・バスレフ箱のセットで7,000円程度で販売されていて超お得。
音量を上げても破綻せずに良い音がしており、低音はびっくりするほどしっかり出ており、とても良かった。箱を塗装で強化した上で、吸音材に和紙とウールを入れてメタルっぽさを和らげたんだそうな。小さな箱でまとめた点が素晴らしい! 正直、オリジナルのmicroNC4から格段にグレードアップしている(、お値段もだが)。
なので、私の好みからすると、メタルコーンのCHN40の方が良かったのかも知れないが、幸か不幸か私の手元にはMicaがたくさんあるので、OM-MF4に浮気せずに、有効に活用したいところ。幸い、低音にはそれほど拘りがないので、コンパクトで良い音の出る箱をMicaで作るのは、楽しみである。
エンクロージャ対決予定
下表の通り対決させる予定だが、ラインアップがまだそろっておらず、同時対決できてない。
チャンバー型トランスミッションラインの問題は、筐体が大きいことだが、共鳴管を使用したスピーカーとしては(他の大きなユニットを使ってビルドした場合と比較すれば)コンパクトなのと、リスニングポイントの高さは和室などに置いて使う分にはむしろちょうど良いかも知れない、と一応弁護。
まあ、いろんな大きさのスピーカーを作ってもそれほど場所を取らないのはDIY向きと言えるので、いろいろ作って楽しみたいところ。
table: エンクロージャ対決(予定)
ラビリンスバスレフ 中高音がポートから盛大に漏れ出る傾向があり、ほとんど聴いてない。今は、他のユニットを載せている。
ミクセルのバスレフキット 冬に購入してまだ組んでない。必ず作ります。板が歪んでないことを祈っている。CHN40を載せたい気持ちもあるが、、、
超小型パッシブラジエータ 0.3L程度。さすがにブーストしても低音は厳しいが、素性の良い音。
音工房Z601(ダブルバスレフ) 吸音材足りず、少し中抜け気味かも知れないが、低音はグッド。
あまりに気に入ったので、ハイレゾのクラシック音楽をいつになく音量大きめにしてはしごして聴いて、ご機嫌である。
グルダとアバド(ウィーン・フィル)のモーツアルト・ピアノ協奏曲21番とか、アシュケナージとプレヴィン(ロンドン交響楽団)のラフマニノフ・ピアノ協奏曲集とか。グールドのピアノ・ソナタも。ヴァイオリン協奏曲も。
あと、クラシックではないけど、岡村孝子さんのCD音源の歌声が、5F/8422T-03と同様にちゃんと甦って来たので、素直に嬉しい!(声が少し明るくなる点も、5F/8422T-03より良いし、また、CHN40という現行製品があるのも頼もしい。) というかポップス全般良い。 エンクロージャの製作はアマチュアのスピーカー・ビルダの方がされているが、座繰り加工がなされており、仕上がりもよく、これから自作したいと思っている私には素晴らしいお手本である(この域に達するのは私には無理だけど)。
このチャンバー型トランスミッションラインは、Dr. Scott の設計によるもので、前面にダクトが出ているが、吸音材で中高音の漏れが抑えられている点が、フロント・バスレフとは全く異なる。Dr. Scott は、フィディリティムサウンドのスガノさんのインタビューで、そのような迷路型のバスレフとは狙いが異なり、λ/4共鳴管とバスレフのハイブリッドで、ダクトの吸音材で低音を容易に制御できる点をデザイン上の狙いとしている点を強調している、としている。もう少し聴き込んでから、ダクトの出口に吸音材を詰め込んだりして調べてみたい。 なお、Scan-Speakの5F/8422T-03を載せた同型エンクロージャと比べると、板材のパイン集成材が響いていて、若干余分な残響があるように感じるが、許容範囲。コーラスの響きがとても美しく、私の好みの音である。定位、情報量ともに優れるし、音場も左右に広い。 ダブルバスレフ(音工房ZのZ601)と比べると、低音は甲乙つけがたい。トランスミッションラインは、上述の通り、中高音の濁りがないものの、響きが長く残るのが少し惜しい感じである。ダブルバスレフも低音は負けていないし、中高音の漏れも気になるほどではないのだが、トランスミッションラインのほうがユニットの特徴である中高音がとても自然に聴こえる印象。
箱は、音工房ZのZ601(8cm用ダブルバスレフ)がぴったりであった。 OM-MF4-MicaのTSパラメータは、Z-Modena(MKII)やOM-MF519とほとんど変わらないので、箱的には適合している、と思う。
なので、サブバッフル(アダプタ)を用意して取付ければ、あとは何もしなくても、いい感じに鳴ってくれる。
Z601には、OM-MF519も載せてみようと思う。どちらがふさわしいかな。
低音がかなり伸びて、大満足。(周波数特性は見てないので、見当違いかも知れないが。)
オントモ・ムックの付録のスピーカー・ユニット。Markaudio社製で、オントモムックの記事には、開発者のマーク・フェンロンのインタビューが掲載されていて、振動板を軽量化するために下記の通り雲母(mica)混抄紙を使用して性能向上を図ったとのこと。
成分比: 雲母10%, ケブラー繊維2% , コースグレード圧縮非漂白紙 60%(コースはcoarse(粗い)), ファイングレード圧縮非漂白紙28%(ファインはfine(微細)
高音域の性能が向上、500Hz以下も負荷条件下での安定性が向上
エージング開始40時間目で、既にいい感じ。OM-MF519やCHN519は、エージングに100時間を要し、途中聴き疲れのひどくなる時間帯もあったが、こちらは、エージング中にBGM的に聴いていた限り、目立った変化を感じなかった。これから変わる可能性もあるが、高音の解像度が既に十分良くなっていて、空間再現性も良くなっているので、今から大きく化ける気はしない。
なので、このタイミング(40〜60時間経過時)にいろいろ聴いてみたら、確かに良い音出ているのだけど、中音の詳細な表現が抜けて平板な感じになっている。
実は、バスレフ・ポートがあまりに長すぎて、最適値からほど遠い状態で聴いているので、中音が抜けているのは、そのせいかも。なので、一旦評価を打ち切り、100時間経過してから、再度、ポートを短くするか、あるいは、ラビリンス・バスレフに載せ換えて評価する予定。
スペック
インピーダンス: 8 (Ω)
出力レベル: 85.23(dB)
F0: 106.69
Qts: 0.55
取り付け
バッフル開口径: 65 (cm)
取り付けネジ位置: 83.9 (cm)
端子
端子幅(ファストン端子の型): 187(+), 187(-)
コーンを下側にすると、右側の端子が+で、左側が-。(ん? OM-MF4と逆!? 極性表示もあるらしいが、私はぱっと見では見つけられなかったので、よく分からず。)
動作環境
10cm用6L箱(バスレフポート未調整。φ=36mm x 117mm ⇒ 共振周波数 60Hz )にサブバッフルをつけて設置
共振周波数がOM-MF4-Micaには超絶低すぎて、確かに不相応な低音が出ていて、その分、中低音が抜けてるかも。
30mmまで短くすると、共振周波数 106Hzでちょうど良い感じ? フラットになるかどうかは不明。
ポートを抜いて 15mm厚(?)のバッフルのみにすると、ポート径が41mmに広がり、共振周波数が約150Hzになり、(中低音以下が盛り上がりすぎるせいか)低音が曇った感じする。ポートから中音が抜けて干渉してる可能性もある。
(2L ラビリンスバスレフ(ヤフオクで入手した LBR-3 Meilo サイズ版): 一瞬載せたが、印象に残らず。(今は、Scan-Speakの5F/8422T-03を載せていて、良い感じに鳴っているが、中高音の漏れが多い。 ) https://gyazo.com/be2b85816107b3929fdae9293f726062
音工房Z Z601(V2)
3Dプリンタで作ったサブバッフルをヤフオクで提供くださっている方のダブルバスレフ箱を入手した。
105mm PCDのネジ位置にM4の鬼目ナットが埋めてあるので、10cmエンクロージャ用のサブバッフルを使ってMicaをインストールした。
期待していた以上に低音がしっかり出ていて、チェロ演奏もボーカルも薄くならず、Micaにかなりぴったりな箱だと分かった。音工房さんも、Micaはハイ上がりだからバスレフよりもダブルバスレフの方が相性がよさそうだと書いているし、音工房さんが音場型のエンクロージャを作ったのは、Z601を凌駕する箱を作れなかったからかも。真偽のほどはさておき、Z601は素晴らしい箱だと思うので、ほんとオススメ。V2のバーチ製の箱も販売して欲しい。
吸音材を足す必要はなさそう。
ターミナル端子と内部ケーブルとのハンダ付けがいまいちなので、ハンダをとって圧着する予定。
能率: かなり悪い。低音が出ないので、思い切ってボリューム上げた方が良い。
空間再現性: 良い。リアルな感じする。
定位、分離
5人のコーラス: かなり良い
環境音
せせらぎ: せせらぎが川面を移動する感じがリアル
存在感、臨場感、ライブ感: 上の2点から期待されるほどではなく、それなりだが、悪くない。
音質(エージング40時間目からほとんど印象は変わらないが、80時間目に聴いてみると、物足りなさがなくなった。まだ変わるかは分からない。)
全体的に、明るく、良いユニット。解像度高いんだが、平板な印象があり、小口径で音像が小さいので、遠くから聴いていると感じる。
中音: ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テナーともに良い感じなのだけど、濃密さ・迫力が抑えられて(繊細な表現が抜けて)平板な音になる傾向。(ダクトを抜いてみたが印象は変わらず)
プッチーニものは、よい。たとえば、マリア・カラスの蝶々夫人の二重唱"Vogliatemi bene"はとても素晴らしい。これだけしっとりと美しく歌ってくれれば、十分だ。でも、ヴィオレッタとか、ヴェルディ・オペラだったら物足りない。
低音: 100Hz程度までは十分出ている
比較
結論と今後
箱がフィットしていないので、箱探しをする。
1. エージングを完全に終えたら、ラビリンス風バスレフに載せ換えてみる。おそらく容積不足だと思うけど。
Scan-Speak の5cmがラビリンスにすごく合っているので、泣く泣く載せ換える。
2. 6L箱で、バスレフポートあわせてみる
3. MIXEL箱を組み立てて、載せる。(本命と考えている箱だが、Micaはもう1セットあるので、そちらの行き先も考える必要がある)
4. ユニットの使い道を気長に考える。もし、Mixel箱がしっくり来なかったら、2連とか考えるかも。
チャンバー型トランスミッションラインなどの作例を試すのが良いかも。