5F/8422T-03
2013年のStereo誌8月号の特別付録として販売されたScan-Speak製の5cmユニット。雑誌は3,000円で、大好評のうちに完売したという。T-03は、ヤフオクで3000〜5000円程度で推移しているが、ときどき、Ontomo Shopでエンクロージャとセットで安価で販売される。
充実した中音が特徴で、ONTOMO MOOKの付録品としては出色の出来だと思う。低音や高音が控えめだが、低音はエンクロージャ次第である程度伸ばすことが可能。
Scan-Speakからは、姉妹品の5F/8422T-01が 実売価格2万円前後で販売されている。こちらは、T-03で不足する高音・低音がしっかり出るため、T-03にサブウーファやアドオンツィーターを用意するのであれば、製品版のT-01を買ったほうが安上がりだと個人的に考えている。T-03でスピーカーDIYに入門した人のために、Scan-Speakは良い受け皿を用意していると思う。(コンパクトなエンクロージャで低音をなんとかしたいという人は2023年のONTOMO MOOKのWavecor FR085CU03・FR085CU02シリーズの方が低音を伸ばしやすいと思うが、音質は 5F/8422T-01がずば抜けている。) とは言え、T03もエンクロージャ次第で、かなりの実力を発揮する。stereo誌付録のダブルバスレフ箱(確か二気室加えても1L未満)は小さすぎて、単体で聴くと低音不足を感じるし、また、板厚が薄過ぎていまいちな響きで、実力を発揮しない。バックロードホーンの方は聴いたことがないので分からないのだが、バスレフにするのであれば、板厚を増やして、1L〜2L程度の箱に納めたほうが良い。
1L箱では95Hz程度、2L箱に入れれば80Hz付近まで共鳴周波数を下げることができる。共鳴周波数を下げ過ぎるとバスレフ箱では低音の制動が効かなくなってくるが、そこは用途やお好み次第である。低音の響きを変えたいのであれば、共鳴管タイプの箱を選んでも良い。私は、チャンバー型トランスミッションラインをヤフオクで譲っていただのだが、とても気に入った。(実は、T01をこのチャンバー型トランスミッションラインに載せて常用している。) というわけで、現状、10個近くのScan-Speak 5cmユニットを所持し、以下のエンクロージャにインストールしている。
table: 5F/8422T-03を試聴したエンクロージャ(それぞれ最適化できてないので、対決は後日)
エンクロージャ 所感
stereo誌付録ダブルバスレフ 低音伸びてないので設計再考すべし。中高音の漏れも。吸音材で良くなる??
iDice mini (1L アクリル箱+アルミ製バッフル) 1Lと、コンパクトで良い音(後述のRTLとは比較してない)。アルミバッフルで解像度アップ。(正直、かなり高品質!)
OM-MF4用ラビリンス・バスレフ 2.1L。中高音が盛大に(漏れ)出るが、女性ボーカルがとても良い。低音も良い。吸音材を増やすべきなのかも。
ちなみに、上記のラビリンス・バスレフはOM-MF4用に作られたもので、手持ちのOM-MF4-MicaとT03を比較すると、T03の方がボーカル音楽を満喫できた(MicaではないOM-MF4を持っていないので、最適ユニットでどう鳴るのかは分からない)。
また、高価なT01の購入をお勧めする別の理由として、T-03の劣化が挙げられる。stereo誌発売から10年が経過し、付録の品質劣化が否めないので。中古品で、使用期間の長いものは、いまのところエッジに問題はなさそうだが、コーンに変色が認められる。ontomo-shopで2023年1月に購入した蔵出し品は、仮に製造時期が付録と同じだと仮定しても、箱詰めされていただけに状態は良く、まだまだ5年ほどは問題なく使えそうではあったが、新品ではないので比較的早くに寿命がやってくる。
チャンバー型トランスミッションライン
OM-MF4-Mica用に設計されたチャンバー型TLを、Scan-Speak 5cm用として自作された方が、ヤフオクにそのスピーカーを出しておられました。言われてみれば、確かにScan-Speak 5cmのTSパラメータは割とMicaと似てるなーと思えたので、入札したら、なんとか予算オーバーせず落札できた。 届いて、速攻で試聴しました。最初、低音出てなかったので、長いこと聴いてなかったのかも。
で、結論から言うと、最高です。
低音が上品です。かつ、よく伸びています。トランスミッションラインの効果はすばらしい。
中高音も抑えられています。出口のポートの吸音材の効果かも?
比べると、Scan-Speak 5cmユニットをインストールしたMF4用のラビリンス・バスレフや付録ダブルバスレフのフロント・ポートから、かなりの中高音が漏れていただんだな、と分かりました。
なので、ポートからの中高音抑えられてますが、中音は相変わらず良いです。80年代のCD音源との相性はバッチリです。
分離もよい!
小口径ユニット向けに9mm厚の薄い板材を使っているが、バッフルと背面に桧の無垢板を用い、サイドをMDFで強化したという作者の狙い通りかどうか分からないが、変な残響がなく、高い音質を達成しているように思う。
チャンバー型TLは、小型ユニット向けの設計のようだが、Markaudioのサイトでは、Pluvia 7HDやAlpair10でも同様の箱を作例に挙げていたので、少なくとも10〜13cmくらいまでは、お勧めのエンクロージャに思えた。OM-MF4-Micaも、Z601よりチャンバー型TLが良さそう。
1L箱 iDice mini、ダブルバスレフ箱
オントモムックのダブルバスレフ箱と、Ikeda Product の iDice mini の2種類のエンクロージャを追加した。
どちらも同程度の大きさだが、音は、iDice mini の方が断然良い。
というか、ダブルバスレフ箱は、ユニットの性能を全く引き出せてない。
iDicw miniは、旅行携帯用としてイケる。OM-MF4-Micaの0.5L箱(今は寝室用スピーカー)がライバル。
ラビリンスバスレフ箱、その他古い情報(いずれ書き直す予定)
Scan-Speakの音を試聴してみようと思い立ち、オントモショップで蔵出し販売されていた5cmユニット(正しくは、ムック本のダブルバスレフ箱のバンドル品)を購入してみた。ダブルバスレフ箱は1L程度と小さいので、OM-MF4用のラビリンス・バスレフ箱に載せてみると、このScan-Speakの5cmユニットは、女性ボーカルに適したとても魅力的なユニットだと分かった。
ユニットを箱に載せて、エージングを始めて、女性ボーカル曲を流していたら、鮮やかなボーカルにはっとさせられた。
雑誌は販売終了しているが、関心ある人は、ヤフオク等で5000円までなら買ってみたら良いと思う。私はオントモショップのセールで、箱つきで5500円で買えたので(2023年1月)、夏休みや冬休みの時期にオントモショップをチェックすると良いかも。
私は今回の試聴では、ほぼほぼ完成に近いエンクロージャ(OM-MF4用のラビリンス・バスレフ )をヤフオクで購入して、内部配線のみで済ますことができた。ラビリンス箱や、変換バッフルを作ってくださったヤフオク常連の方々に感謝。
スペック
table: スペック比較(雑誌付録の8422T-03と製品の01、および2023年のONTOMO MOOKのWavecor FR085CU03と姉妹品となる製品のCU02)
item name サイズ(cm) インピーダンス(Ω) 出力レベル(dB) F0(Hz) Qts Vas バッフル開口径(mm) ネジ取りつけ径(mm)
5F/8422T-03 5 8 80 118 0.53 0.5 54 60.5
5F/8422T-01 同上 同上 同上 93 0.61 0.5 同上 同上
FR085CU02 7 4 84 89.00 0.470 0.6 62.5 74
FR085CU03 同上 同上 86 114.00 0.870 0.61 同上 同上
(出力レベルは聴感上はScan-Speakの5Fシリーズの方が上だと思う。Wavecor のFR085シリーズは低能率。)
ユニットの端子:
種類: 正負極ともに、110型の平型端子。
取り付け位置: 正負極が180度回転した位置(両端)にある。
オス端子の取り付け向きが、ボイスコイルを円筒とした場合の接線方向を向いているので、ケーブル端子をまっすぐにしていると、ユニット裏を巻き付けるようにケーブルが伸びるので、ユニットをバッフルに収める際にケーブルがバッフルと干渉しやすい。実は、OM-MF4用の穴(開口径65cm)でも、ケーブルの取り回しをちゃんとしないと、取り付けの邪魔になる。
エンクロージャ
OM-MF4用ラビリンスバスレフ: LBR-3 Meiloサイズの完成品(junichitanzawaさん製)をヤフオクで入手
基本スペック
MDF製: 厚さ12mm
サイズ(W,H,D (mm)): 109, 205, 177 容積は 2L 程度。
吸音材: 天板とユニット裏のバスレフ板に、シンサレート(0.8mm厚くらい)
ケーブル: WE 16GA撚線 (NFJ販売) ( 21cm + 7cm )x 2 本
21cmケーブルで、ユニット側に250型ファストン(メス)端子、外部端子側に110型メス。
ユニットには、ファストン端子変換(250型→110型)ケーブル(7cm)を介して接続。
外部端子: ontomo-shop のバナナプラグ端子
ユニット固定ネジ: M3 。
5F/8422T-03の取り付け
OM-MF4→5F/8422Txx 変換サブバッフルをヤフオクで入手
https://gyazo.com/28daacac47436321e7e9fe62c29ac527
junichitanzawaさんのエンクロージャは、ムック本付録に比べて少し大きいのでサイドをトリマーで斜めにカットして、サブバッフルを縦向きに設置。(トリマーの使い方を知らず、フロントダクトのある面にコロをあてて削ったのでダクトの横のカット部分が凹んでしまっている)
塗装の練習もこのエンクロージャで実施。へたくそです。でも、(ユニットの)音が良いのでOKです。
吸音材が少なめなのか中音がかなり漏れでてくる印象。でも、明るい感じで良い。(OM-MF4-Micaだと中音が煩い感じだったのだが、5F/8422T-03だとむしろ好印象。)
低音の伸びは、容積の割に少ない印象。ユニットの問題というよりは、ラビリンス・バスレフの特性なのかも。今度、T01を載せて、同じくT01を載せているチャンバー型トランスミッションラインと比べてみる予定。 トリマーによる面取りや、塗装に不備があるのだけど、とても気に入っている。
オントモムックのダブルバスレフ箱
板厚 5.5mm で、サイズ(W,H,D (mm))が各80, 70, 111 (mm)なので、容積1L程度。
ビルド済のものを入手した。やすり掛けして、ターミナルを変更してインストール。
スピーカー端子をバナナプラグ式(ラビリンス・バスレフと同じ)にした以外は、付録標準と同じ。内部ケーブルが細いが、そのまま。
OM-MF4用のラビリンス・バスレフ箱の方が低音だけでなく、全体的に良い感じ。
ユニットのエージングが済んでないのは、ラビリンス・バスレフと同条件なのだが、響きが紙っぽく、感動が少ない
音源が、ブラウザ上のChrome越しのAppleMusicで、SharpのテレビにHDMI接続して、テレビのADCで光出力したものをDAC(Topping E50)-Topping PA5で出力して音が劣化してるかも知れないが、たぶん、それを差し引いても、イマイチか。
自宅で聞き直した。紙っぽい音は、5.5 mm と薄いMDFのエンクロージャの響きだと思う。下記のiDice miniとの比較から。上述のラビリンス・バスレフは 12mmなので、かなり改善される。板の厚みを増やして、容積なども変えてダブルバスレフも作ってみたい。少なくともバッフルは二重にする予定。
IKEDA Product iDice mini
池田工業製
今は、オーディオやってないみたい。
アクリル製。ただし、バッフルはアルミ製
サイズ(W,H,D): 10 (cm) x 10 (cm) x 14 (cm) (奥行きはターミナル端子 1.5cmを含む)
リア・バスレフ
ユニット: 中古で、エンクロージャとセットで入手。コーンの色が紫外線でやけて色あせぎみ。
比較(実は、この感想を書いた後、ユニットを状態の良いT03と交換した。今の感想はもっとポジティブであるので、いずれまとめなおす予定。)
エンクロージャのサイズがほぼ同じ Peerless PLS-P830985との比較
エンクロージャの違い: Peerlessは、ダイソーの5mm MDF 箱で、底面にパッシブ・ラジエータなので、低音控えめ。箱は、漆塗り。
結果(印象の違い): 音質がプロピレンっぽいこもった感じの音だが、中音の繊細な音はPeerlessの方が再現できているし、出力レベルも若干Peerlessの方が高い。低音はエンクロージャの違いを反映するが、Scan-Speakが良い。中音の音質は、Scan-Speakが明るい音で、Peerlessは優しくオブラートで包んだような感じになる。定性的には、これまでの印象通り。
Scan-Speakが鮮やかな音になるのは、エンクロージャの影響と分かった。小さな箱だと中音が薄まる感じ。
エージング(ラビリンス・バスレフにインストールした時の経過)
0時間目: いきなり、いいじゃん!!
女性ボーカルに、ハッとさせられる良さがある。いやー、手持ちのどの曲聴いても、美しくて、病みつきになってしまう。
OM-MF4-Micaは、共振周波数低すぎな6L箱に入れたので中音がいまいちだったが、ラビリンスに載せたScan-Speakは中音がばっちりな感じ。MDF箱っぽい音を上書きして、良い音にしてしまっている。
能率が悪いので、ボリュームを多少上げているが、なんか、OM-MF4-Micaより、上手にラビリンス・バスレフ箱を鳴らしているかも(って、Micaを他の箱に載せてからかなりの日にちが経過したので、間違った記憶に基づくかも。) この箱はOM-MF4(F0=97.5 (Hz))用なので、おそらく、製品版の5F/8422T-01を載せたら、もっと良くなるんじゃないかと思う。
しかし、よくよく考えてみると、40年くらい前に私がお年玉を貯めて買ったSonyのCDラジカセがこんな音だったかも知れない、と遠い記憶が思い起こされてきた。80〜90年代のCDの音は、ちょうど今聴いてるScan-Speak 5cmの音のように鮮度が高かったように思う。(記憶があやふやなので、もしかすると、CDじゃなくて、カセットテープ(ウォークマン)の音だったかも知れないけど。)
当時の音を再現したい訳ではないのだけど、80〜90年代のCDは録音を台無しにして色あせたような音が多いので、ボーカルを濃密に再生するような工夫が必要だと考えていて、Scan-Speakの5cmユニットは、イコライザなしでそれを実現してしまっていると思う。
ちなみに、アンプは、ATOLL in 100SE の方が私の頭の中のラジカセ風で、ROTEL RB-1582MK2につなぐと鮮やかさが増して、さすがに昔の自分がこんな音聴けたわけがない、と我に返る自分であった。
20時間目
あまり変わらないが、低音が出るようになったかも。定位はいまいちで、分解能も上がってこない。
なんだけど、許せてしまっている自分。20時間しかエージングしてないユニットをこんなに聴き込むとは思わなかった。とても女性ボーカルが良く、気に入ってしまっている。
45時間目:
多少空間再現性良くなったような気もするが、全然ダメでボヤンとしている。
相変わらずボーカルはGood!! 良い録音はいまいちかもしれないけど、80〜90年代のしょぼいCDの音は俄然魅力的になります。
80時間目:
空間再現性が良くなってきて、録音の良いものもそれなりに聴けるようになってきた。でも、若干音場が狭いので、いまいち。狭いのがユニットの性能なのか、箱のせいかどうかは分からない。ラビリンス・バスレフなので、他の箱に載せているOM-MF4-Micaを載せたらはっきりするだろう。
ボーカルは相変わらず良い。録音のよくないCDも相変わらず良くて、私はご機嫌です。
音工房Zのスーパーツィーター
1.0μFまたは1.33μFでつなげたところ、良い感じにグレードアップできた。効率が異なるので、調整しないといけないが。