具体例で見る剰余類
以下はイメージを思い出すためにざっくり書いているので厳密な定義などは各ページなどを参照
整数と加法の演算を考えた群$ \mathbb{Z}について見る
3で割り切れるものを集めた集合$ A=\{0,\pm3,\pm6,\pm9,\cdots\}は、$ \mathbb{Z}の部分群になる
普通はこういう$ Aのことを$ 3\mathbb{Z}と表記する
この$ Aを一つの剰余類とすると、その定義により以下のようにグループ分けできる
https://gyazo.com/d871448d6a8302c9496091703e0377fe
$ Bは3で割った剰余が1になる集合
$ Cは3で割った剰余が2になる集合
このとき、$ Aは群になっているが、$ B,Cは明らかに群ではない
単位元がないでしょmrsekut.icon
これらの集合$ A,B,Cそれぞれのことを剰余類と言う 図を見ても分かる通り、
剰余類同士は共通部分を持たないし
和集合が$ \mathbb{Z}になることがわかる
$ \mathbb{Z}=A\cup B\cup C
定義に近いところを確認してみる
$ g+A=\{g+a|a\in A\}が成り立つかの確認をする
例えば適当に$ gとして$ 4を選んで、$ 4+aを考えると
$ 4+(-3)=1
$ 4+0=4
$ 4+3=7
$ 4+6=10
とやっていけば、$ 4+aの形ですべての$ Bの元を表すことができている
同じ剰余類の元同士は、同値関係である
同値関係とは、反射律、対象律、推移律を満たす二項関係のことだった ここでは、$ Aの元はすべて「$ a\equiv 0 \pmod 3」になる同値関係である
つまり、合同関係による同値関係である
剰余類を考えたとき、同値類は剰余類と同じものを指している
ここでは、$ Aは剰余類であり、同値類である
$ B,Cも同じ
これらより、剰余類は、「剰余に着目した同値関係による同値類」のことだと言える 剰余類の商は$ \mathbb{Z}/\equiv_3=\{A,B,C\} のこと
ここでは「同値類」は「剰余類」のことなので、それら全体の集合$ \{A,B,C\}が商になる
剰余類の文脈では、商$ \mathbb{Z}/\equiv_3のことを、$ \mathbb{Z}/A=\{A,B,C\}と書く
$ G/Hの$ Hは部分群なので、$ \mathbb{Z}/Bや$ \mathbb{Z}/Cなどとは書けない
$ \mathbb{Z}を部分群$ Aで割ったもの
逆に、$ A+g=\{a+g|a\in A\}として考えれば右剰余類となり$ \mathbb{Z}\backslash Aと書く 指数$ (\mathbb{Z}:A)は何個にグループ分けされるか $ \mathbb{Z}/Aの位数のこと
今回は$ \{A,B,C\}の個数のことなので$ (\mathbb{Z}:A)=3
ラグランジュの定理は$ |G|=(G:H)|H|のことだった
今回で言えば$ |\mathbb{Z}|=3*|A|だと言っている
各グループの位数$ |A|,|B|,|C|が等しく、
それらの合計がもとの群$ Gの位数$ |G|に等しくなる
ことを言っている
当たり前に、一つの群$ Gに対し、部分群のとり方は複数考えられる
一つの部分群が決まりさえすれば、$ Gから$ Hを除いた残りの部分も自動的にグループに分けられる
$ |G|が$ |H|で割り切れないものだったらどうなる #?? そういうふうに部分群$ Hを決めることはできない?
右剰余類と左剰余類が考えられる
右剰余類と左剰余類が一致するような部分群$ Hのことを正規部分群という $ Hのとり方によって、正規部分群の演算が成り立つことと成り立たないことを具体例を用いて解説している動画 ref 今回の例では$ Aは正規部分群なので、商$ \mathbb{Z}/A=\{A,B,C\}は商群になる 元は$ A,B,C
演算は、$ (A+g)+ (A+g')=A+g+g'
もしくは、$ (g+A)+(g'+A)=g+g'+A
単位元は、$ A=A+1_\mathbb{Z}
剰余類の商をもっと普通の書き方をするとよく見る$ \mathbb{Z}/3\mathbb{Z}になる
$ \mathbb{Z}/3\mathbb{Z}=\{3\mathbb{Z},3\mathbb{Z}+1,3\mathbb{Z}+2\}
$ \mathbb{Z}/3\mathbb{Z}=\{\overline{0},\overline{1},\overline{2}\}と書いたりもする
$ \mathbb{Z}/A=\{A,B,C\}と同じことを言っている
今見たようにこれは群になっている
$ \overline{1}+\overline{2}=\overline{0}みたいな話ができる
$ (3\mathbb{Z}+1)+(3\mathbb{Z}+2)=3\mathbb{Z}+1+2\in 3\mathbb{Z}
$ \overline{0}は足しても変わらないので、$ \overline{0}は単位元とみなせる
$ \overline{0}+\overline{2}=\overline{2}
$ \overline{1}の逆元は$ \overline{-1}=\overline{2}だ
合同計算は剰余群の計算だ
$ 1+2\equiv 0\pmod3