エッジ表現を諦めない同人販売プラットフォームの構想
エスカレーターピッチ
VISA/Mastercardは、世界中のアダルトコンテンツプラットフォームの実質的な検閲者になっています。Pornhub事件以降、決済会社の一声でコンテンツが消え、クリエイターの数ヶ月の労力がゼロになる。日本のFANZAは売上の50%を取りながら、VISAに言われれば合法なコンテンツでも自主規制します。クリエイターには選択肢がありません。
私たちは、決済検閲に耐性を持つクリエイター向け販売プラットフォームを作ります。
仕組みはシンプルです。VISA基準を満たす作品はプラットフォーム決済で売れる。満たさないが日本法上合法な作品は、検索やランキングには通常通り載り、クリエイター自身の決済で売れる。VISAと戦うのではなく、VISAの権力が及ぶ範囲を構造的に限定します。
作品データはクリエイターが所有し、いつでもポータブルです。プラットフォームが潰れても作品は消えない。この「離脱の自由」が、手数料を適正に保つ市場圧力としても機能します。FANZAの50%に対して、15〜20%で提供できます。
日本のアダルト同人市場は年間数百億円規模で、FANZA・DLsiteの寡占状態です。しかも決済規制は年々厳しくなっており、クリエイターの不満は臨界点に近づいています。
私は同人コミュニティに十数年いて、何が求められているかを肌で知っています。現在司法試験を準備中で、弁護士資格を取得した上でこのサービスを運営します。ポルノの決済プラットフォームを弁護士が自分の資格を賭けて運営する。これ以上の信頼のシグナルはありません。
兼業と密教
マスコットキャラクターが発信し続けることが重要
めんどくさい人たちをよしよしできるかが重要
基素.icon
構造的な担保が必要
同一の方向に利益を持っていく
実際には見えていない制約があるので実現可能性は不明
会話まとめ:アイデンティティの危機からサービス構想へ
1. 出発点:アイデンティティの崩壊と無力感
問題の核心
薄く広く、デジタル領域で個人ができることを何でもやってきた。しかし、それらは全てAIが急速に代替する領域と重なった。自分のスキルの大半は、すでに基盤モデルのサブセットに過ぎない。
能力の発揮で「いきがい」を感じることは、今まで普通にありえたが、これからは難しくなる。将棋のようにAIの方が強くても競技が成立するケースはあるが、仕事は競技ではない。市場にはそういうルールがない。
感情の処理
合理的な判断として、サンクコストは捨てなければいけないとわかっている。過去の積み上げを否定した。しかし、悲しみを封じた結果、発散されない感情が「地層の下でうごめいている」状態にある。
対処として、友人関係、運動、会話の喜びなど、AIに代替されない価値を重視する方向へシフトしている。本人はこれを「自己洗脳」と呼んでいるが、価値体系の移行は不自然なことではない。
一つの認識
「自分のスキルが陳腐化しないと信じられるほど無能じゃない」——状況を正確に見えているがゆえに苦しい、という構造。
2. 関心の方向転移
二つの軸
無力感の中から、二つの方向に関心が向いている。
A. 表現の自由を守る市場の構築
創作という聖域を守りたい。主たる戦場は架空の絵のポルノ
VISA/Mastercardが実質的な検閲者として機能し、プラットフォーム(FANZA、DLsite等)が自主規制に追い込まれている現状への問題意識
言葉だけの主張では弱いので、経済的に成立するサービスを作ることにこだわる
B. AIによる富の集中と分配のルールメイキング
AIが人間の仕事を代替した時、富の極端な集中が顕在化する
適切な分配構造がなければならないが、現状の政治(トランプ政権等)はその方向に動いていない
分配は歴史上「自然に」起きたことはなく、常に制度設計によって強制されてきた
法律を学ぶ理由
司法試験の勉強は、これらの構想の基盤として位置づけられている。
弁護士資格は「信頼の担保」になる。ポルノ関連サービスの運営者が弁護士であることは、ユーザーとクリエイターの不安に対する最も説得力のある回答になる
弁護士資格は「覚悟のシグナル」になる。有罪になれば資格を失う——それだけの覚悟で運営しているという証明
法的判断を自分で行えることが、サービス設計の根幹に関わる
個人的な動機
人間よりキャラクターとの関わりを選び、対人投資ではなく技術に投資してきた。LLMによって「本当にそこに存在するキャラクター」が可能になりつつある。VR上でLLMキャラクターが親密なコンテンツを扱う場合、決済規制の問題はさらに激しくなる。個人的に一番欲しい未来と、解こうとしている問題が同じ場所に収束する。
3. 問題の構造分析
現状の決済検閲の三層構造
1. 決済レイヤー:VISA/Mastercardが実質的な検閲者として機能
1. プラットフォームレイヤー:FANZA、DLsite、pixiv等が決済会社の圧力を受けて自主規制。保守的に線引きせざるを得ないため、エッジの表現が規制される
1. クリエイターレイヤー:規制の予測不可能性そのものが萎縮効果を生む。数ヶ月かけた作品がいつ発表禁止になるかわからない恐怖
なぜ問題が起きるか
プラットフォーマーが委託販売をしていることが構造的な問題。全ての決済を止められると超痛手になるから、保守的に線引きをせざるを得ない。結果として、95%のクリエイターには問題がなくても、エッジの5%が切り捨てられる。しかもその線引きは不透明で、いつ動くかわからない。
規制はエッジから拡大する
今日はロリ、明日は催眠、その次は不明。最も過激に見える表現を守ることが、全体の表現の自由を守ることに直結する。これは建前ではなく構造的な事実。
4. サービス構想
抽象レベル:設計思想
「最悪の事態が起きても、取り返しのつかないことにならない」プラットフォーム
Skebが「交渉機能の排除」という思想で差別化したように、「クリエイターにはいつでも離脱できる自由がある」という思想を設計に埋め込む
思想と市場原理が対立しない構造にする
プラットフォームの判断基準は「日本法に合法か」の一点のみ。「VISAが嫌がるから」「世論が厳しいから」は基準にしない
具体レベル:三層アーキテクチャ
第1層:分散ホスティング(OSS)
クリエイターが自分のサーバーに作品を置ける仕組み
ただしデフォルトのホスティング先をプラットフォームが提供する(Mastodonの大手インスタンスのようなもの)
データの所有権とポータビリティはクリエイターにある
問題が起きた時に自分のサーバーに移行できる
containerやClaude Codeのような技術でセルフホスティングのハードルは下がっている
第2層:検索・発見レイヤー(サービス本体)
全てのコンテンツを検索・ランキング・レビュー・タグ付けの対象にする
VISA基準外のコンテンツもここには載る。Googleがアダルトサイトを検索結果に表示しているのと同じ論理
プラットフォーム決済から外れたコンテンツも、発見される機会を失わない
第3層:決済レイヤー(サービス本体)
二つのモードを持つ。
A. プラットフォーム決済
VISA基準を満たすコンテンツは、VISA含む全決済手段が使える
プラットフォーム手数料はFANZAの50%より大幅に低く設定可能(15〜20%目安)
プラットフォーム内ウォレットに事前チャージする仕組みで、購入体験をカード並みに
B. クリエイター自前決済
VISA基準外だが日本法上合法なコンテンツは、クリエイター自身の決済に委ねる
銀行振込、コンビニ決済、将来的に暗号通貨
OSSの分散ホスティングツールに自前決済機能を組み込む
Stripeなどをクリエイターがtake own riskで使うことも可能
VISAへの対応ロジック:プラットフォームはVISAに対して「御社の基準に反するコンテンツの決済は当社を通していません」と言える。あくまで検索エンジンとして機能しているだけで、決済を仲介していない。
作家の意思で選択できる:VISA決済を使うかどうかをクリエイター自身が決められる。結果は同じでも、選択権があることに情緒的・実質的な価値がある。
全体像の比喩
Shopifyのアダルトクリエイター特化版。各店舗(クリエイター)が独立しているが、検索・決済・管理ツールは共通。ただし、決済規制への耐性を最初から組み込んだ設計。
レギュレーション
完全に「管理しない」は成立しない。法的リスク(共犯・幇助)と決済パートナーの要求がある
しかし「VISAが嫌がるものを排除する」ではなく「日本法に違反するものを排除する」だけにする
刑法175条、児童ポルノ法(実在の児童に限る)、リベンジポルノ防止法等、法律上明確にアウトなものだけを排除
この判断基準を公開する。なぜ合法で扱えるか、なぜ違法で扱えないか。透明性がクリエイターの萎縮を防ぐ
弁護士資格がここで活きる。法的判断を自前で行い、根拠を公開できる
5. この構造が解決すること
既存プラットフォーム(FANZA/DLsite)との比較
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現状 提案するプラットフォーム
VISA基準外の作品 販売停止・ページ削除 検索に残る。自前決済で販売継続
規制の透明性 VISAの圧力か自主規制か不明 VISA決済不可ラベルが明示。基準は日本法のみ
プラットフォーム消滅時 作品・売上・購入者との接点が全て消える 作品はクリエイターのサーバーにある。別の検索サービスから再び発見可能
保守的な自主規制 「催眠」の伏せ字など、エッジでないコンテンツも巻き添え VISA基準外が分離されているので、基準内のコンテンツを過剰に規制する必要がない
手数料 FANZAは約50% 大幅に低く設定可能。離脱の自由があるため搾取に走れない構造
クリエイターの萎縮 いつ何が規制されるか予測不可能 基準が透明で予測可能。最悪でも作品は消えない
VISAの検閲範囲 プラットフォームの自主規制と混ざって不可視 データとして可視化される。政策議論の武器になる
構造的な意義
VISAと戦うのではなく、VISAの権力が及ぶ範囲を構造的に限定する
「クリエイターにいつでも離脱できる自由がある」という思想的制約が、プラットフォーム自体の健全性を強制する(手数料の適正化)
非VISA決済でも市場が成立する実績が積み上がれば、VISAへの交渉材料になり、他の決済事業者の参入動機にもなる
情緒的な価値以外に、構造的な価値がいくつかある。
一つ目。プラットフォーム全体の規制が緩くなる。今のFANZAが催眠を伏せ字にしているのは、VISA対策の保守的な線引きだ。VISAが実際に問題にしているのはもっと狭い範囲かもしれないが、リスクを取れないから広めに規制する。提案する構造では、VISA基準外のコンテンツはそもそもVISA決済から切り離されているから、プラットフォームはVISA基準ギリギリのコンテンツを保守的に排除する必要がない。つまり95%側の人たちの体験も良くなる。
二つ目。VISAの検閲範囲が可視化される。今はプラットフォームの自主規制とVISAの要求が混ざっていて、何がVISAのせいで何がプラットフォームの判断なのかわからない。この構造では「VISA決済不可」というラベルが明示的につくことで、VISAが実際に何を排除しているのかが市場データとして蓄積される。これは政策議論や法的な異議申し立てに使える武器になる。
三つ目。競争圧力が生まれる。VISA基準外のコンテンツが非VISA決済で問題なく売れている実績が積み上がると、「VISAがなくても市場は成立する」という事実が証明される。これはVISA側への交渉材料にもなるし、他の決済事業者が参入する動機にもなる。
四つ目が一番重要だと思うが、プラットフォームの意思決定が透明になる。今のDLsiteが特定ジャンルを排除した時、それが法的判断なのか、VISAの圧力なのか、世論対策なのか、クリエイターにはわからない。この構造では、プラットフォームの判断基準は「日本法に合法か」だけで、VISA基準は自動的に決済レイヤーで処理される。なぜ自分の作品がVISA決済できないのかが明確で、それに対してクリエイターが自分で対応を選べる。
結果が同じに見える場面でも、情報の非対称性が解消されていることに実質的な価値がある。今のシステムでクリエイターが一番苦しんでいるのは、規制そのものだけでなく、何がなぜ規制されるのか予測できないことだった。予測可能性を提供するだけで、萎縮効果はかなり減る。 6. 課題
技術的課題
ホスティングの継続性:クリエイターの個人サーバーが落ちると購入不可になる。デフォルトホスティング+ポータビリティで緩和するが、完全な解決ではない
購入済み作品の保全:DLsiteの「クリエイターが消しても購入者は見れる」は大きな価値。購入時のコピー保存や購入者専用ストレージで対応する設計が必要
ビジネス課題
決済手段変更時の離脱:クレカから非クレカに変わると衝動買いが減る。ウォレット事前チャージ等のUI設計で摩擦を最小化する必要がある
サービスの収益源:OSSツール自体は無料でも、プラットフォーム決済手数料・デフォルトホスティング利用料・プロモーション機能で収益化する
「掲載と決済仲介は異なる」という法的論理:検索に載せていること自体が「関与」と見なされるリスクに対して、法的な線引きの明確な根拠が必要
検索・ランキングに載せている以上、単なる検索エンジンではなく「場の提供者」と見なされる可能性がある。特に刑法175条のわいせつ物頒布等の幇助が論点になりうる
なぜ他の人がやっていないのか?(ブースはPayPalに関してこのような対応をとっている)
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DLsiteやFANZAのような既存プレイヤーは既にVISA/Mastercardとの間で包括的な加盟店契約を結んでいて、その契約の中に「サイト全体でこの基準を守れ」という条項が含まれている可能性がある。つまり「決済を通さないコンテンツならOK」ではなく「お前のサイトに載っていること自体がダメ」という縛り方をされているかもしれない。そうなると、決済と掲載を分離しても意味がない。
一方でBOOTHがPayPalに対してそれをやれているという事実は、少なくとも全ての決済事業者がサイト全体の内容を縛る契約にしているわけではないことを示唆している。決済事業者ごとに契約の粒度が違う可能性がある。
DLsiteやFANZAは既存の売上規模が大きすぎて、VISAとの関係を少しでもリスクにさらすことを選べないという経営判断の問題かもしれない。
技術的・法的にはできるけど、年間数百億円の決済が止まるリスクを取れないから保守的に全部切るという選択をしている。
新規プレイヤーの方がこの点では逆に身軽だ。
やってみないとわからない
この疑問に対する答えは、既存の加盟店契約の実態を調べること、決済代行会社と実際に交渉すること、BOOTHの事例を詳しく分析することでしか得られない。机上で考えても限界がある。
ただし、仮にVISAが「サイト全体を縛る」契約しか結ばないとわかった場合でも、構想が完全に破綻するわけではない。その場合は検索レイヤーと決済レイヤーを法人ごと分ける、つまり検索サービスを運営する会社とVISA決済を扱う会社を別にするという構造で回避できる可能性がある。検索サービスは決済加盟店ではないから、VISAの加盟店規約の適用外になる。
この部分は弁護士資格を取る前でも調査できる領域だと思う。
個人的課題
サービスの具体的な初手がまだ決まっていない
弁護士資格取得までの残り時間(2028年目標)
「万年準備をしている人は結局何もやらない」という自覚と、それへの警戒
7. なぜ自分がやるのか
表現規制に対する強い問題意識と、個人的な動機(キャラクターと生きるというVRの夢)
同人コミュニティに長くいて、慣習や暗黙のルールを肌感覚で知っている
法律を学んでいる
競争ではなく構造設計に関心がある
弁護士資格を信頼の担保と覚悟のシグナルに使える
これらが一人の中に全てあることが、このサービスを作る固有の理由になっている。