優越的地位濫用(基本解説セミナー資料)
https://stjp.sakura.ne.jp/_presen/keynote/IllegalConduct_withGuidelines.jpeg
https://gyazo.com/6eff1d3acd44ab8d19e4b840c80d106b
概要
競争停止でもなく、他者排除でもなく、取引相手方から搾取
日本では、搾取行為を「優越的地位濫用行為」と呼ぶ
優越的地位濫用の違反要件(概要)
2条9項5号で規定(後述)
優越的地位
利用して
濫用
課徴金がある(20条の6)(後述)
11年間、課徴金納付命令がなかった
アドボカシー
日本の優越的地位濫用規制の歴史・特徴
昭和28年改正(1953)
導入
昭和31年(1956)
補完法として下請法を制定
平成15年下請法改正(2003)
平成21年改正(2009)
課徴金導入(20条の6)
違反要件も2条9項5号として整理し法定
平成23年〜平成26年(2011-2014)
5件の課徴金納付命令
全て、平成25年改正による審判制度廃止(平成27年4月施行)前
平成30年(2018)12月30日
平成31年/令和元年(2019)
2011-2014の命令に係る審決
ドイツ競争当局がFacebookに命令
令和2年(2020)
種々の実態調査報告書
飲食店ポータルサイト
コンビニ本部加盟店取引
など
確約認定
令和2年以後、多数
2011-2014の命令に係る東京高裁判決
令和3年(2021)
業界啓蒙型ガイドライン
令和4年(2022)
価格転嫁、社名公表など → 現在まで
令和5年(2023)
令和6年(2024)
令和7年(2025)
まとめると次のような流れ
中小企業保護の色彩(政治からの期待が強い)
競争法の母国である米国は冷淡
厳罰主義で課徴金導入
課徴金制度(非裁量性)が機能せず
確約制度の導入
欧州中心の世界的流行
「価格転嫁」等の観点からの期待
ガイドラインについて
違反要件
2条9項5号の条文
(「不公正な取引方法」を定義する2条9項の一つの号)
五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。
優越的地位
乙が甲と取引する必要がある(不利益な扱いを受け入れざるを得ない立場)
取引の一方の当事者(甲)が他方の当事者(乙)に対し、取引上の地位が優越しているというためには、市場支配的な地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位である必要はなく、取引の相手方との関係で相対的に優越した地位であれば足りると解される。甲が取引先である乙に対して優越した地位にあるとは、乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため、甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても、乙がこれを受け入れざるを得ないような場合である。
公取委界隈は、「優越的地位」(相対的優越)で足り「支配的地位」(絶対的優越)は必要ない、と強調。
「他にない」━━━━━━「切れない」
・・の、どこなのか、の問題。
課徴金事例で公取委は、かなり低い数字でも「優越的地位」はある、と主張している。
民事裁判事例では、「他にない」くらいでないと優越的地位なしとして切る事例が少なくない。
濫用行為(不利益行為)
2つの視角
あらかじめ計算できない不利益
合理的範囲を超える不利益
甲が乙から買い切る取引では、協賛金の要請、従業員派遣の要請、返品、減額、などは原則として濫用行為に当たるが、乙の「直接の利益等」の範囲内なら、例外的に許される。
取引内容そのもの(交渉価格など)によって不利益を与える、という認定には、かなり慎重
しかし、それが、「価格転嫁」促進政策となっており、公取委は種々の取組。
課徴金要件
日本の課徴金制度(20条の6)は、甲の特定の乙に対する行為が違反である場合に、甲の当該特定の乙との取引額(売上額/購入額)の1%を課徴金とする。乙が複数いる場合、これらを合算する。
→ 乙が127社いれば、「甲と乙1」「甲と乙2」・・・「甲と乙127」というように各127回の違反要件認定作業をする。
第二十条の六 事業者が、第十九条の規定に違反する行為(第二条第九項第五号に該当するものであつて、継続してするものに限る。)をしたときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、当該事業者に対し、違反行為期間における、当該違反行為の相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額(当該違反行為が商品又は役務の供給を受ける相手方に対するものである場合は当該違反行為の相手方との間における政令で定める方法により算定した購入額とし、当該違反行為の相手方が複数ある場合は当該違反行為のそれぞれの相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額又は購入額の合計額とする。)に百分の一を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、その額が百万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
3つの法律
下請法とフリーランス法が、補完
独占禁止法の優越的地位濫用に該当しやすいと類型的に言えるものを法定して簡易迅速な規制
https://gyazo.com/84cacd0cbeaa77dac7969cafbb257535
下請法改正の条文
下請法(現行)e-Gov法令検索
改正後 e-Gov法令検索
「公布済みかつ未施行」のものの出し方(一般論)は、e-Gov法令検索からリンクしているYouTube動画をご覧ください。 https://gyazo.com/4f9805500969ff1d525c6909aa21d271
電子記録債権等の手数料等について
ご質問がありました。
運用基準改正パブコメ案
https://gyazo.com/df08928733515f5f9d6b55e3db52d5ea
ご質問
「金銭による支払と同等の経済的効果が生じるとはいえない」とはいえないのではないか?
(委託事業者の遵守事項)
第五条 委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、次に掲げる行為(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあつては、第一号及び第四号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
一 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の受領を拒むこと。
二 製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、手形を交付すること並びに金銭及び手形以外の支払手段であつて当該製造委託等代金の支払期日までに当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む。)。
三〜七 (略)
2 (略)