理系は人の気持ちがわからない
論理・数学的知能 (SQ)と言語的知能 (EQ) は、いずれも知識社会を生きていくのに重要だが、脳のリソースは限られており、 どうやら両者を高いレベルで維持することはできないらしい。 EQが高いとSQは低くなり、 相手の感情を素早く察し、 その場に応じて適切なコミュニケーションをとることは得意だが、複雑な計算や機械の操作は苦手だ。 SQが高いと EQが低くなり、 コンピュータのプログラミングやチェスなどのボードゲームで高い能力を発揮するが、 相手の気持ちがわからず人間関係でトラブルを起こしやすい。 この認知資源の制約から、男は (平均として) 論理・数学的知能に、女は (平均として) 言語的知能に特化するように進化したというのがバロン=コーエンの主張になる。テクノ・リバタリアン / 橘玲 54ページ *ゴシック引用者 イギリスの発達心理学者サイモン・バロン=コーエンは、自閉症の研究から、「脳には大きく分けて〝システム化〟と〝共感〟の2つの機能があり、両者はトレードオフの関係にある」と考えた。これが物議をかもしたのは、「男には〝システム化脳〟が、女には〝共感脳〟が多い」との主張が、「男は理性的、女は感情的」というジェンダー・ステレオタイプを正当化していると見なされたからだ。 これに対してバロン=コーエンは、自閉症は過度にシステム化された脳が引き起こす発達障害で、その割合は男児が80~90%と大きく偏っていると反論した。男女になんの生物学的な性差もないとすれば、この極端なちがいを説明するには、親が男児にだけ、自閉症になるような異常な養育(虐待)をしているとするほかない。こうしていまでは、同性愛のような性的指向や、トランスジェンダーのような性自認と同じように、自閉症など発達障害の原因も(主に)遺伝だと認められるようになった(男性に自閉症が多いのは、胎児のときに浴びた性ホルモンのテストステロンが関係しているとされる)。 / 共感には、相手の感情と自分の感情を重ね合わせる「感情的共感(相手が泣いていると自分も悲しくなる)」と、相手がなぜそのような感情を抱くのかを理解する「認知的共感(泣いている相手を見て、その理由を察知する)」がある。後者は「心の理論」とも呼ばれるが、バロン=コーエンによれば、自閉症者はこの理論をうまく構築することができない。テクノ・リバタリアン / 橘玲 (pp. 52-53) moriteppei.iconほんまかいな。ただの男脳・女脳話じゃん。2000年代ってのもちょっと古いしなー。 もち.iconぶっちゃけ今はバロン=コーエンの理論を「すべてのASDを説明する主流理論」として見るのはやや古い。もっと多様で複雑な認知モデルや神経発達観が出てきてる。ただ、初期の議論を切り拓いたパイオニア的存在ではある。