呼吸不全
#救急
2024新田憲市先生授業
【定義】
呼吸器系システムの1つ以上の障害によるガス交換異常
呼吸器系システム:➀呼吸調節(中枢神経)、②呼吸運動(胸壁、胸膜、気道、末梢神経)、③ガス交換(肺、肺血管、間質)
<Ⅰ型呼吸不全>吸ったO2を取り入れられない
1.シャントの増加:ARDS、肺動静脈瘻 AVF
2.肺拡散能の低下:COPD、間質性肺疾患、肺切除後
3.換気血流比不均等分布:気道肺胞系・肺血管系に異常をきたす全ての疾患
<Ⅱ型呼吸不全>はけない。吸ったO2を取り入れられない。CO2出せない。
【呼吸療法】
1.酸素療法
【目的】➀組織への酸素供給を改善させる、②低酸素血症に伴う症状を軽減する、③心肺への負荷を軽減する
【適応】➀室内機にてPaO2<60mmHgあるいはSpO2<90%、②低酸素症が疑われる状態、③重症外傷
鼻カニュラ:1Lで24%(4%ずつ。0Lで20%として)
簡易酸素マスク:5-6L/minで40%
リザーバーマスク付き酸素マスク:6L/minで60%
2.Nasal high flow system
加温加湿した酸素を経鼻的に交流量で流す酸素療法
会話や食事を妨げない
低いPEEP効果と、口鼻腔内のCO2 wash out効果を持つ
FiO2設定範囲:21-100%
流量設定範囲:最大60L/min
3.非侵襲的換気療法:NIV Noninvasive ventilation
意識状態が良く、協力的であること
血行・循環動態が安定していること
気管挿管が必要でないこと(咳がしっかりできる、痰を自分で喀出できる)
顔面の外傷や変形がないこと(マスクがしっかりフィッティングできること)
マスクをつけることが可能なこと
消化管が活動していること(消化管の閉塞がない)
【適応】
Strong evidence:COPD、慢性呼吸不全の急性増悪、心原性の急性肺水腫(急性心不全:ただし虚血性心不全の急性期には不適)、免疫不全に合併する急性呼吸不全、COPDの気管挿管下人工呼吸からのweaning(離脱)の促進
Lwss strong evidence:気管支喘息、周術期の呼吸不全、侵襲的人工呼吸からの離脱困難症例、Cystic fibrosis、気管挿管非適応・拒否患者
Weak evidence:ARDSなどの急性低酸素性呼吸不全、外傷、上気道閉塞、肥満低換気症候群、睡眠時無呼吸症候群
4.人工呼吸
【適応】呼吸停止、上気道閉塞(異物や腫瘍、急性喉頭蓋炎)、呼吸仕事量増大(頻呼吸や努力呼吸)、COPD急性増悪(PaCO2↑+pH↓)、ARDSなど(PaO2/SpO2↓)
【設定】
換気設定(1回換気量(7ml/kg×理想体重)と呼吸回数(pHとPaCO2を指標。呼吸時間に影響する。閉塞性肺疾患では吐ききれなくなるおそれ))
酸素化の設定(FiO2とPEEP)
それ以外(トリガー感度と吸気流量)
×a 補助呼吸
患者が自発呼吸をした際にそれを補助するように陽圧をかける人工呼吸法.
×b 持続的気道陽圧法〈CPAP〉
自発呼吸をしている患者において,吸気,呼気を通じて陽圧をかける人工呼吸法.持続気道陽圧により肺胞の虚脱を防ぐことができる.呼353
○c 間欠的陽圧呼吸〈IPPV〉
決まった容量のガスを定期的に強制換気する.自発呼吸は残さない.
○d 持続的陽圧呼吸〈CPPV〉
間欠的陽圧呼吸に呼気終末陽圧を付加したものである.自発呼吸は残さない.
×e 間欠的強制呼吸〈IMV〉
間欠的強制呼吸では自発呼吸を残す.自発呼吸が不十分な場合に,陽圧呼吸が強制的に行われる.