実践編まとめ
以上のように筆者は子どもたちの自力読解活動を支えるために文章理解過程をQNKSと定義し指導を行ってきた。指導を行ってきて、第一に感じるのは児童の主体性の現れである。QNKSというシンプルでわかりやすく、それでいて適用範囲の広い概念を提示することで、子どもたちは自身の認知過程を自分でコントロールできる状態になる。これが子どもたちの学習意欲を非常によく刺激していることが感じられた。
例えば、ここまで例示してきたノート写真の中で授業中に教師が指示して書かせたものはほとんどない。本稿で紹介した事例のほぼ全ては、子どもたちが自主的に家庭学習において自主学習ノートに書いてきたものだけを掲載している。(ほぼ、ほとんど、という曖昧な表現を用いているのは、筆者自身は本稿で紹介した写真はすべて自主学習ノートにおける取り組みだと思っているが、その中の数枚は実は授業中に書いたものであったという可能性が排除しきれないため) 筆者が本稿で例示した写真のすべては家庭学習における取り組みであるという根拠は、QNKSの実践中はその授業における実践を体系的な論文にする意図はあまり持っておらず、授業中のノートについての記録は残していなかったからである。その一方、家庭学習における取り組み例は文章化の意図があったため、使い終わったノートを寄付してもらったり、写真にとったりして、保存していた。本稿の執筆にあたっては、それら家庭学習における子どもたちの取り組みからのみしか引用できない状態であったため、やむなくこのような形をとったが、子どもたちの自主的な取り組みのみでここまでの例示が可能であることが子どもたちの主体性を引き出している一つの根拠となるのではないか。
次に指導の結果と考察にうつる
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