児童に対するアンケート
2018年に学級の子どもたちを対象に行なったQNKSについてのアンケートを引用する。設問は「QNKSについて良いと思う点、悪いと思う点を挙げてください」といものである。 
◯いいと思うこと
 文章に書いていることをNしているうちに、構成ができてきて、構成を書いているうちに、要約文がスラスラと書けるようになるから。
 文章が書きやすい
 勉強の内容をよく理解できる
 自分の意見をまとめられる
 大きな単元もわかりやすくなる
 すごくまとめやすい
 相手の意見がわかりやすい
 前の学校のときよりも、NKSをしって勉強がまとめやすくなった
 しっかりと頭の中で理解できる
 どんな事が中心になっているか考えられる
 本当に文章が書きやすくなる
 みんなでできるし、一人でもできる。
 Kの背骨で構成がわかる
 難しい話もNKSをすればわかる
 話し合いができる
 NKSを知って国語の長い文章を理解することができるようになった
 効率よく頭の中が整理できる
 とにかくいい。まとめやすい
 発表するときに話がまとめやすくなった
 自分の意見が改めて分かる
 今までより文章の要約が簡単にできるようになった
 いろいろなものに応用できる
 頭が整理できる
 教科のまとめ方がわかる
 頭がぐちゃぐちゃになった時、Nして、KしてSすればいい。
 社会や国語をまとめられる
 今まで考えをまとめるのは難しかったけど、NKSをしってまとめられるようになった
悪いと思うこと
 まとめるまでの慣れが必要
 時間がかかる
 初心者は大変だと思う
 Sで話題をつなぐ言葉がわからない
 抜き出せなかったら、組み立てや整理が難しくなる
 Kの工夫が難しい(縦につなぐか、横につなぐか)
 NKSを一つ一つこなしていくのが難しい
 NKの時、要らないのに…って思ってしまう
 情報を深く考えないといけない
 大きい単元は大変でむずかしい
 NやKを書きすぎると、Sでやばいことになる。
#読む(聞く)領域に関する効果
ポジティブ面の記述では「QNKSを意識することで文章を理解できるようになった」という旨の記述が目立つ。ネガティブ面での記述に関しても、QNKSの概念の使いにくさや不正確さにふれるような記述は見られず、むしろQNKSに習熟してきたからこそ気づく大変さや注意点といった内容の記述となっていた。このように児童にとったアンケートからは、本稿の仮説を支持するような内容を読み取ることができる。
#書く(話す)領域に関する効果
さらに、子どもたちの回答は読む(きく)領域をこえ、書く(話す)領域にまで及んでいることがわかる。QNKSにおける読解活動は、ただ読むだけでなく各過程で表象した理解モデルをノートに外化しながら行わせ、最終的にその理解内容を文章として表出させるという指導上の特徴があるため、実際の指導場面では、この流れを文章産出に当てはめて活用できる児童も見られたのである。
実際に、QNKSが定義する「問いをもとに、情報を集め、組み立て、最終的な理解として整理していく」という文章理解過程は、フラワーなどが明らかにしている文章産出過程とも非常によく似ている。
以上、子どもたちのアンケートからはQNKSは子どもたちの自力読解過程を促進するという結果のみならず、文章産出過程にも影響があることが示された。
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#指導していて感じたこと(文章理解)