身体性に基づくロボット認知の創発と発達
國吉康夫,身体性を持つ知能 脳科学とロボティクスの共進化 5章より
現在の人工知能の問題点
身体性,創発,発達といったキーワードに代表されるアプローチ
ロボットを使うからといって身体性の問題を扱えるとは限らない
むしろ,従来の殆どのロボット研究では身体性の効果を消去することで行動を実現していたといえる
シナリオ
身体性の情報構造の解明
身体性に呼応した行動の創発
身体や行動の表象獲得
模倣の発生
相互作用を乗りこなす「ツボ」
相互作用から創発する「ツボ」を押さえれば時間変動下でも制御可能
時間変化する中にも不変な構造(or ループ)をとる瞬間がある:ツボ
その瞬間には,一定の感覚と運動の対応付けが相互作用全体を左右
agentと環境の相互作用から発生,天下り的には与えられない
ここに発達的構成論の必然性
ツボを獲得して制御すると,相互作用自体が変化し,新たな構造とツボが生まれる:ループ
運動を状態空間中の軌道として見ると,ある程度任意性のある所と,数箇所の非常に狭い領域を通らなければならない所(ツボ)がある.
ポテンシャルの勾配が大きい所では外乱に「鈍感」であり多少の力では制御できない
ポテンシャルの峰の準平衡状態では僅かな変動に鋭敏に反応=ツボ
ツボ=隣接するダイナミクスの境界,運動の分節化
ただし,運動による姿勢・慣性変化により,ポテンシャルの形状自体が変化する
起き上がりロボット
目の付け所としての「ツボ」
ツボにあたる瞬間が映像に含まれるかどうかで運動の認識率が違う
アプローチ
カオス結合系
複数の秩序行動の境界が,ダイナミクスの境界としての「ツボ」に相当すると考えられる
胎児・新生児の身体性学習のモデル
発生した構造を学習する機構を加えて相互作用のループを閉じる
体性感覚マップ(身体マップ)の自己組織化
時間相関に基づく体性感覚マップの自己組織化の実験