カオス結合系
運動の「ツボ」は複数のダイナミクスの境界として現れる
ダイナミクスをアトラクタに限定すれば,各々は引き込み原理により検出できる.
アトラクタをもつシステムとして神経振動子が知られるが,単一のアトラクタを扱うことが多い
カオス結合系
複数のカオス写像を局所or大域的平均場で結合すると,初期値鋭敏性により各要素がばらけようとする傾向と,平均場による収束傾向とが競合し,多様な部分的協調パターンが発生する(Kaneko, 1990; 複雑系のカオス的シナリオ, 1996)
筋肉関節モデルの実験
Y. Kuniyoshi, S. Suzuki, Dynamic Emergence and Adaptation of Behaior Through Embodiment as Coupled Chaotic Field
設定
free jointで結合された上下2本の円柱リンクを周上等間隔の12本の筋肉で結合したシミュレーション
弾性的,受動的
センサにより筋長・筋張力を計測
各筋肉にカオス写像を対応させ入力,出力を筋活性度とする
カオス写像間で,入出力を若干内部混合するパラメータを設定
結果
一定周期でリンクを振る運動が発生
12本の筋肉に一定の協調パターンが形成され,リンクの固有振動数との相互引き込みを起こした
←振動運動が起こりやすい物理的構造
←カオス系をあわせた系全体が安定する領域が振動運動の領域?
入力を遮断すると振動運動は消えた
振動方向が自発的に変わる現象
振動方向に障害物を置くと,ぶつかって2秒ほど乱雑な運動をしたあと,障害物がない方向へ振動方向が変化
虫型ロボットの実験
円盤状の胴体に1自由度ヒンジジョイント(半径方向へ曲がる)で根本をつながれた12本の脚
バネで円盤に垂直方向を中立位置とするよう保持:弾性をもつ
初期のランダムな運動→一定方向へ歩き出す振る舞い!
自発的な秩序形成
胴体に錘を載せて方向制御可能
四方を壁で囲み,1つだけ非固定にするとそこから脱出
複数の秩序行動の境界が,ダイナミクスの境界としての「ツボ」に相当すると考えられる
from 身体性に基づくロボット認知の創発と発達