通過儀礼
物語論
ジブリアニメや文学作品の中につうかぎれいと共有要素がある。千と千尋の神隠しで女性の通過儀礼を表したりした。ハウルの動く城
魔女の宅急便でも竈かまど や火を何かに配るが非常にたくさんある。カルシファやかまじい
ファン・へネップ 通過儀礼
見解
「ある状態から別の状態へ、ないしはある世界(宇宙的あるいは社会的な)から他の世界への移動に際して行われる儀式上の連続」
「分離儀礼、過渡儀礼、及び統合儀礼で構成される」
「通過儀礼の完全な図式には境界前(プレリミナール・分離)、境界上(リミナール・過渡)、境界後(ポストリミナール・統合)の儀礼を含んでいる」
出典:ファン・ヘネップ著 綾部恒雄・綾部裕子訳(2012)『通過儀礼』岩波文庫
※ヘネップの原著は1909年刊行
ナマハゲも子供を奪い取り、分離し、抱き抱え驚かし、親に戻す。分離、移行、結合の流れ。
ヴィクター・W・ターナー 儀礼の家庭
通過儀礼の移行の状況をコムニタスとターナーは呼ぶ。成人式ではっちゃけるなど。
ファン・ヘネップは通過儀礼の三段階を次のように区分した。
(1) 分離(日常の社会生活からの)。
(2) 周縁あるいはリミナーメン(敷居の意)。この段階において儀礼の主体は、儀礼が行われる以前の日常的な存在形態と儀礼が終了したのちの現在のそれとの間のどっちつかずの状態(地位)に陥る。
(3) 再統合。
この局面で儀礼の主体は、儀礼が行われる前よりも高い地位に上昇するか、あるいは以前とは異なった認識を有する、前とはまったく違った社会的存在として、再び俗なる生活へ儀礼的に戻される。
出典:ヴィクター・ターナー著 根岸昭訳(1981)『象徴と社会』学文社
リミナリティの、あるいは境界にある人間(“敷居の上の人たち、”)の属性は、例外なく、あいまいである。このあり方やこの人たちは、平常なら状態や地位を文化的空間に設定する分類の網の目から脱け出したり、あるいは、それからはみ出しているからだ。
境界にある人たちは こちらにもいず、こちらにもいない。かれらは法や伝統や慣習や儀礼によって指定され配列された地位の間のどっちつかずのところにいる。
出典:ヴィクター・W・ターナー著 富倉光雄訳(1976)『儀礼の過程』思索社
ロシアの民俗学者 ウラジーミール・プロップ
昔話のモチーフの多くが種々の社会上の諸制度に起源を発しており、その中で特別な位置を占めているのは加入礼(通過儀礼を指す)であることが判明する。
出典:ウラジーミール・プロップ著/高橋英子訳(1983)『魔法昔話の起源』せりか書房
昔話は民族ごとの固有信仰でなく通過儀礼を反映していると言える。
関敬吾の昔話論
昔話を全体としてみるときは、真の意味の昔話の基礎的内容は「固有信仰」を語るものではなく、むしろ人間の誕生から婚姻にいたる個人の生活過程を語るもののようである。事件の経過は誕生、成年式、成年式、婚姻の通過儀礼(Riten of Passage)と並行し、その内容はほとんど現実の社会慣習を反映するもののようである。しかも基本的には生と死と再生の過程である。出典:関敬吾(1980)『日本昔話の社会性に関する研究』『関敬吾著作集』昔話の社会性 同朋社出版
日本の通過儀礼として若者宿・娘宿
日本でも若者宿・娘宿といって若い男女が親許を離れて共同生活し、そこの主の年長者から生活から儀礼に至るまでの様々な知識を得るという習慣があった。性的な成熟の年齢を目安に親元を離れ若者宿・娘宿で共同生活する。出典:愛媛県宿毛芳奈地区に残る若衆宿出典:https://4toco.com/folklore1(参照:2024-03-08)  関敬吾(1980)『日本昔話の社会性に関する研究』『関敬吾著作集』昔話の社会性 同朋社出版
世界の通過儀礼・シャーマニズムとの比較
① アフリカの通過儀礼(例:バンツー族・ンデベレ族)
少年は村を離れ、森の中の隔離小屋で数週間から数ヶ月過ごす。その間に割礼・儀礼・神話教育を受け、新たな名を授かり成人として再生する。「分離→移行→再統合」というヘネップの三段階構造が明確に見られる。若者宿と同様に、年長者が保護者・教育者として指導する。
オセアニア・メラネシア文化圏
青少年が共同体から一時的に隔離され、**秘密結社的な宿(メンズハウス)に入る。宗教的・性的・社会的教育を受け、社会構造の一員として再び共同体へ戻る。これは日本の若者宿が持つ社会教育機能と儀礼性に非常に近い。
シャーマン修行(中央アジア・シベリア)
•未来のシャーマンは**「病気」や「夢」「死と再生の体験」を経て覚醒する。このプロセスはリミナリテ世界の通過儀礼・シャーマニズムとの比較 
① アフリカの通過儀礼(例:バンツー族・ンデベレ族)
少年は村を離れ、森の中の隔離小屋で数週間から数ヶ月過ごす。その間に割礼・儀礼・神話教育を受け、新たな名を授かり成人として再生する。「分離→移行→再統合」というヘネップの三段階構造が明確に見られる。若者宿と同様に、年長者が保護者・教育者として指導する。
シャーマン修行(中央アジア・シベリア)
• 未来のシャーマンは**「病気」や「夢」「死と再生の体験」**を経て覚醒する。
• このプロセスはリミナリティ(境界状態)にあたり、
• 分離(病気・発狂)
• 移行(霊的世界との接触)再統合(シャーマンとして社会に復帰)
という典型的な通過儀礼の構造を示す。
• 日本の昔話における「森での修行」「老人との出会い」「変身・再生」のモチーフもシャーマン的イニシエーションの象徴とみなせる。